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ホーム > アキンド探訪  > ECで勝ち抜くための秘訣【前編】社長がシャチョウに聞いてみた
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『考え方』が一貫していれば、それがブランディング

 
2000年より名古屋に本社を構え、インテリア家具・雑貨などを中心に、生活を豊かにするアイテムを世界中、日本中からセレクトし販売するネットショップ「scope」。徹底的にこだわり抜いた商品セレクトで多くの根強いファンを持つネットショップであり、数々の賞も受賞しています。
 
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自社サイトはもちろんのこと、scopeの独自の世界観はSNSでも発揮、そのハイセンスでユニークな写真や動画、参加型の企画などがユーザーに支持され、同社のFacebookページは現在、35万人以上の「いいね!」を獲得しています(2016年4月現在)。 
 
今回は、有限会社スコープの「シャチョウ」こと代表取締役の平井千里馬氏と、以前から親交の深いHamee株式会社代表取締役の樋口敦士氏との対談形式で、平井氏のSNSについての考え方や「scope」のブランディングについてなど、前編・後編の2回に分けてお届けします。
 

Facebookを「やるなら徹底的に」やる

Hamee樋口(左)と、スコープ平井様(右)Hamee樋口氏(左)と、スコープ平井氏(右)

 
―そもそも、お二人の交流のきっかけは?
 
平井:出会いのきっかけは、2012年ですかね?楽天主催の SOY TRIPでサンフランシスコに研修旅行に行った時に、5~6人のいくつかの班に分かれていたんですけど、樋口さんと同じ班でした。樋口さんはその時2回目の参加で、僕は初めてで。僕たちの班はそんなにこう、「常連」みたいなお店じゃない班だったんですね。ショップ・オブ・ザ・イヤーも最近受賞し始めたような人達が集まっていて。それでまあ仲良くなって、毎晩飲んでいて(笑)。次の年も、班は違ったんですけど一緒に参加していました。
 
で、僕はその時急に、Facebookをやろうと思ったんです。SOY TRIPの時にアプリを作っている会社が来ていて、Facebook絡みのコンテンツの話をしていたんですよね。それまでは「 Facebookなんて絶対やらない 」って言っていたんですけど、「 FacebookやらないとSOY TRIPに参加しちゃダメ 」って言われていた時期だったんで、当時は。だけど絶対やりたくないから、それなら俺、行かないってメールして (笑)。その時は結局「 平井さんは(やらなくて)いいです 」っていうことになったんですけど。
 
でも、サンフランシスコに行って、Googleの人の話の中にも、SNSネタが多かったんですよね。その話聞いて「やんなきゃ」って。メルマガ配信するのをやめるくらいの勢いでFacebookを始めて、月1万人増やすのを目標にして、どうやったら増えるかなって。SOY TRIPから帰ってきて、7月から始めました。「やるなら徹底的にやろう」と。始めるのが遅いんです、僕らは。インスタグラムも、始めたのは2015年の12月ですから。
 

「どうしたらおもしろいか、どうしたら参加したくなるか」を考える

 
樋口:平井さんの所は、いわゆる「テクニック」じゃないんですよね。写真と商品のクオリティを徹底的に上げていく。うちは「どうやってバズらせるか」みたいに考えちゃうんですけど。
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平井:「バズらせる」という発想がないんですよね、僕らには。例えば、テレビの番組作りに似ているのかもしれないんですけど「どうやったら視聴率を獲れるか」みたいな、数字の計算を僕らはしないんです。いいページを作るプラス、発想ですよね。「どういうことしたら見てる人はおもしろいか、どうしたらみんなが参加したくなるか」。僕らのコンテンツはシェア型だと思うんですけど。みんなと一緒に作る、みたいな。押し売り型じゃないんですね。「こうしたらいいよ」じゃなくて、シェアしている。スコープのFacebookを始めた時は「スコープ」っていう会社が「一個人」になる、みたいな発想で始めました。
 
―Facebookを始めると、どうしてもテクニック的な所に走ってしまいがちだと思うのですが、そういう話はスタッフから出てきたりしなかったんですか?
 
平井:なかったですね。一か月に1万人っていう目標も、ただ単純に「1万人達成できなかったらつまらないでしょ?」って思ったからで。今までやっていたことをFacebookでやって1万人集まらなかったら、それはただ(内容が)おもしろくないからっていうだけで。お前(の作る内容)がつまらないんだよ、みたいな(笑)。さっきも話したんですけど、何かを作っていく中では数字は誰も見てないんですよ。
 
樋口:みんなが目指したい所ですよね、そこは。結果的に商品が売れているってことですもんね。
 

同業者みんなで知恵出し合ったら、みんな同じ店になっちゃう

 
―お互いの、出会った頃から現在までの印象はどうですか?
 
樋口:スコープさんのこだわりや作り方っていうのは、全くHameeが持っていない部分なんですよね。商品ページの作りも全然違うし。スコープさんは最初からブランディングがきちんとしていて、商品づくりだとか、ヨーロッパで仕入れをしているっていうので、「普通じゃないな」っていう想いは、最初から今でもありますね。
 
平井:樋口さんは、すごく賢いじゃないですか。組み立てがしっかりしていて、会社も上場して。出会った頃なんて樋口さんに「いろいろやるとお金なくなるんですけど、どうしたらいいですかね?」とか話していて。「上場するか(お金を)借りるしかないですよ」って言われて、「やっぱそうか、それしかないのか」っていう、次元の違いですよね(笑)。
 
―お互いに違うものを持っていた感じでしょうか。
 
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平井:あとは普通に、一緒にいて嫌じゃないんですよね、疲れない。なんか、僕にいろいろ聞こうとする人もいっぱいいるんですけど。僕自身が、あんまり人に教えるのが好きじゃないんです。だから「集まって勉強会しよう」とかも、絶対やらないですね。うちのスタッフにも一切させないし、する意味がわからない。そんなことしたら、みんな同じになっちゃうじゃないですか。例えば楽天の店が20店舗あって、みんなで知恵出し合ったら、みんな同じ店になっちゃう。
 
「ブランディングとか教えて下さい」とか言われることもあるんですけど、「自分で考えようよ」って。でも、樋口さんには、海外どうするかとか、ネクストエンジンを使った仕組みで協力してもらったり。昨日の飲み会でも、SNSをどう活用するとか、コンテンツをハイエンドにするにはどうするかとか、コラボして、協力し合いたいって話していて。
 
例えば、「2社で同じモノをつくって売上げを獲っていこう」じゃなくて、お互いが持っていない考え方のコラボみたいなのを、密にやっていけたらなと。みんなどれだけオープンにしていても、コアな部分は言わないじゃないですか。僕も、よっぽど信頼している人じゃないと嫌だ、っていうのがあるので。僕はものすごく狭く、深く付き合うみたいな感じですから。
 
樋口:僕も、勉強会とか行かないですね。
 
平井:だから上場したんじゃないですか(笑)。
 

自分たちがいいと思うものしか売りたくない

 
―両社とも、いわゆるECの黎明期からネットショップをやっているイメージがあります。当初からオリジナル路線でいきたいという考えがあったのでしょうか?
 
平井:そうですね、僕らの考え方がなんで独自かって言うと、僕らはもともと「最終的にはメーカーになりたい」っていう思いがあるんです。「自分たちがいいと思うものしか売りたくない」と思っていて。そうしたら、自分たちで作るしかない。だけど、作るとロットがすごい。そうすると卸さないといけなくなるんですけど、卸すと人の言うこと聞かないといけないから「まずはロットが掃ける売り場を作ろうよ」という発想に行きついたんです。2000年頃から、「売り場を作ってからモノを作る」というやり方をしていたので、まあ鳴かず飛ばずで、時間がかかって。まあでも俺らは、ライブハウスで終わるつもりは無いぞ、いつかブレイクするだろう、と(笑)。まぁ、今でもまだ苦労していますけどね、ロットで。
 

scope_satsueiポルトガルの毛布製作現場を撮影に

 
例えば売り場を作るっていっても、何でもありにならないように方向性はきちっとしておかないとな、と思っていて。そうしないと、ブランディングが崩壊しますから。スコープの発想は、昔はデザイン、今はゴミにならないもの、使い続けて受け継いでいくものにしようという方向に発展してます。考え方は、昔も今もそんな変わってないんですけどね。「考え方」が一貫していれば、それがブランディングだと思うんです。
 

「リアル」だからこそ価値が出る

 
樋口:だから、例えば写真を見ただけで、ファンの方はスコープさんだ!って気がつくだろうし、ずっと同じこだわりで続けているから、自然と、配色とか見ただけでわかると思うんですよね。
 
平井:僕らはね、「リアル」なんですよ。いわゆる〝風〟の写真は撮らない。「ごはんを食べる風」みたいな写真は撮らないんです、本当にごはんを食べている所を撮る (笑)。
 
樋口:撮影合宿とかやるんですか?
 
平井:そうです、来週もやるんですけど。スタッフ4人を缶詰にして(笑)、朝から晩まで。で、その中での写真を撮るんです。
 
樋口:僕が以前平井さんに連れて行ってもらった所は、カフェのような場所でした。
 
平井:最初はその場所は、出荷場にいいんじゃないかと思って借りたんです。でも、結局別の倉庫を借りてしまった。だからそこで「店出そうかな」って、バカみたいにお金かけて作り込んだんですよ。ロートレックの本物のポスターも飾り、僕がお店を出すつもりでスコープの世界観で完成させた。でも完成したらお店出すのしんどくなって、撮影スペースにしようと。そんな適当な感じなんです(笑)、でもお店としてはリアルです。ただ何も考えてない。
 

撮影合宿風景 佐島1撮影合宿の風景

 
―その場所も「カフェ風」じゃなくて、リアルにカフェがあるから価値が出ていいっていうことですよね。
 
樋口:カフェ“風” じゃなく、リアルだからこそ価値が出るんですよね。うちは“風”なんですよね。
 
平井:リアル、いいかもしれないですよ。例えば僕らの場合、撮った写真で、テーブルの上にサランラップが出ている、それでいいじゃん、って。共感ポイントになるわけじゃないですか。例えば海外の商品だったら、共感ポイントがないわけですから、お客さんの。雪印の牛乳置いてあっていいじゃん、って (笑)。まぁもちろん、かっこよくないといけないんですけどね。
 
出張でも、スタッフみんなで時にはホテルはヒルトンに泊まったり、飛行機はビジネスクラスにしてみたり。そういうことをする理由のひとつは、まず色々な世界を知って、リアルな体験してみないとわからない事もあるじゃないですか。だけど、僕だけがやっていると、スタッフとの格差が生まれる。スコープは基本的に、フラットな関係なんです。お客さんとも、取引先ともフラットで。「買うから偉い」っていう発想が全くなくて。掲示板で質問があっても、「わかんない」とか普通に書いちゃう(笑)。そういうブランディングですね。
 
後編「新しいことを増やしたら何かをやめる」に続きます
 

編集後記

 
自然体で飾らない平井さんのお人柄はさることながら、「 数字の計算はしない 」「 売り場を作ってからモノをつくる 」「 〝風〟の写真は撮らない 」など、常識にとらわれない独自の発想に驚き、scopeさんがなぜ多くの人を惹きつける店舗づくりができるのか、少しだけわかった気がします。
 
Facebookにしても「どうやったら多くの“いいね!”を集められるか」と考えるのではなく、あくまで「おもしろい」内容や「お客さんが参加したくなる」内容をつくる、というブレない姿勢は、scopeさんがお客さんから愛される理由に間違いなくつながっていると思いました。
 

この記事を書いた人

「ネクストエンジン」のマーケティング全般とその他雑用を幅広く担当。趣味は迷惑メールの購読と家庭菜園。「お母さんのパート先のいい人紹介するから⇒URL」というひねりの効いたおもしろ迷惑メールにテンションをあげますが、既婚。二児の父。

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