スタートアップに揃えるべき4種の人材と、自社を壊す「毒になる社員」とは

ニアセ寄稿

 
こんにちは、トイアンナです。
 
これまでに2回起業してパッとしない成果を出してから就職。現在は3回目の起業へ挑んでいます(懲りてない)。しかし失敗から学ぶこともあります。今回は特に私が辛酸をなめた、スタートアップ界隈でゴロゴロいる「毒になる社員」についてお話します。

スタートアップの時期に、社員は厳選できない

「スタートアップ」。いい響きですが、金も知識も足りない時期です。そんなスタートアップ時期に自社へ飛び込んでくれる社員は、はっきり言ってどこかおかしい、おかしくないといけません。そのおかしい要素別に4分類したのが、こちら。
 

・ とにかくデカいことをやりたい「ビジョナリー型」

乱世の英雄です。何もかも決まっていない創業期に大活躍するリーダー。このタイプが発起人となるケースも多いんじゃないでしょうか。営業が上手で資金をバリバリ獲得する一方、なぜか私生活(≒女性問題)で問題を抱えがち。中堅企業へ進化する過程でコンプライアンスと衝突します。
 

・ 好奇心でキャリアを選ぶ「キュリオシティー型」

「面白そうだから」という理由でスタートアップへ飛び込んでくれる逸材。アイディア出しや企画で重宝します。欠かせない人材である一方、本人のやる気は「この業界なんとなく分かっちゃったわ」と感じた時点で失速しがち。ようやくビジネスが軌道に乗ったかな、という時期に急な辞職をします。そしてまた次のスタートアップへ繰り出し、永久の旅人となる方も。
 

・ 頑張りを褒められたい「ワーカホリック型」

何かをしていないと死んでしまう狂戦士です。元コンサル出身者にありがち。音頭をとってくれるリーダーを求めてさまようため、上記の「ビジョナリー型」リーダーにほだされ、飛び込んでくれます。大企業出身者が多いため保守的な提案をしがちですが、この社員のおかげで違法・脱法の地雷原へ突っ込まず生き延びる企業は少なくありません。
 

・ スタートアップにおける守りの要「シールド型」

最後の最後でスタートアップに参加してくる慎重派スタートアップでなおざりにされやすい総務・財務部門を立て直すバックオフィスの盾です。社長を含め初期メンを叱る役割のため、姉御肌の人材が担当しやすいです。

リスクが高いのは「前社批判に終わるタイプ」

いずれのメンバーも優秀さで厳選すべきなのは言うまでもありません。また、これらの人材どれも欠けてはならない基礎パーツ。最低人数で回すにせよ、この4タイプは欲しいものです。では、いかに優秀さをジャッジすべきでしょうか?
 
答えは「社会不適合だったからスタートアップへ来た」のではないことです。
 
一般的にスタートアップは、会社員を経験してから「いっちょやったるか」と集まり、人生を賭けてみる方が多いはず。会社員経験者はマナーや根回しを知っているため案件を受注しようにも有利であったり、投資を得やすかったりします。
 
ところが「社会不適合だったからスタートアップへ来た」人材はここで力を発揮できません。キャッシュがないとあっという間に死ぬのがスタートアップですから、この時期に参画してもらうのは早すぎるのです。参加してもらうとすれば、安定収益が確保できてからの拡大期でしょう。

過去の経歴を「いかに語るか」で毒になる社員を見抜く

特にスタートアップ期で「毒になる社員」の特徴を列挙します。
 

・ 前職について悪口一辺倒で語る
・ 元カレ・元カノについても悪しざまに言う
・ 社交的でFacebookの友人が多い
・ 過去に有言不実行だった経歴がある
・ 挫折体験を語らせると大体「誰かのせい」で挫折している
・ 頭だけを使う成果が多く、手を動かした経歴が少ない

 
このタイプは「自分がこれまで成功できなかったのは、環境が悪かったからだ」といかに自分が悲惨な経験をしてきたか滔々と語ります。人情味のある社員ほどこれを信じてしまうのですが、実際に仕事を任せると信じられないほど動けません。業務改善のためフィードバックをすると、会社が悪いと言い出します。そうして自社組織を壊してからまた次の会社へ去るのです。
 
このタイプは、自分を上記の「キュリオシティー型」だと自称しがちです。
 
好奇心旺盛なんです、だからいろいろな事業に興味を持って職歴が多いんです
やりたいことは全部試します。飽きっぽいと言われることも多いです
 
ですが創業期に欠かせないキュリオシティー型は、興味を持ったことはある程度まで完遂します。つまらない作業も嫌だとはいいながら実行する胆力があるのです。一方、「毒になる社員」は前職やこれまで付き合ってきた人間を一方的に責め、自分を被害者にします。
 
スタートアップを志す人間なら誰しも、大企業に失望した経験くらいあるでしょう。だが創業期を経験することで「自分も至らない点があった」「あの会社の長所も取り入れよう」とバランス感覚を取り戻します。しかし毒になる社員」は相手が100%悪かった、自分は被害者だと、一方的な視野を維持します
 
ちなみに私がいままで聞いて一番びっくりしたのが、「みんな私に恋をしてしまうんです。ダメって言ってるのに。創業メンバーが私を奪い合うことが多くて、それでどのスタートアップも長続きしませんでした」と断言した志望者でした。ここまでくるとポジティブ過ぎてもはやあっぱれですが、採ってはいけない理由も伝わるかと思います。

面接では過去をじっくり聞き出そう

では、どうすれば「毒になる社員」を見抜けるでしょうか。事例を見て「こんなんすぐに分かるでしょう」と思われるかもしれませんが、前職への義憤あってこそやり抜ける人と、自分を被害者に仕立て上げるだけで手を動かさない「毒になる社員」の識別は難しいものです。まずは前職や周囲からのリファレンスチェックを勧めます。
 
また、過去の経験をじっくり聞き出すことで「ずっと他責ばかり」「成果を出す前に組織を去っている」「恋人も相手が悪いとののしるばかり」と、毒になる社員ならではの特徴が浮かび上がります。
 
スタートアップに適した人材は4タイプ共通で、下記の要素を持っています。
 

・ 頭だけでなく手足も同時に動かす
・ 成果を出すまでは意地でも踏ん張る
・ 失敗したらまずは自分を疑う
・ 承認されないシーンでもなすべきことをなす

 
この共通点は、たとえ飽きっぽいと言われるキュリオシティー型でも同様です。この要素が毒になる社員と未来の幹部を識別するリトマス紙となるでしょう。
 
「忙しすぎて面接をする時間もない」のがスタートアップではありますが、それでも毒になる社員の雇用は避けたいもの。少ない人数で回す分、メンバーは会社のブランドイメージも担います。採用を最優先にするくらいの気持ちで、自社員を厳選してください。さもなくば私と同じ穴に落ちることとなるでしょう。ご武運を。

 
 

慶應義塾大学在学中に起業を2回経験。卒業後は外資系企業に勤め現在は独立。フリーのマーケターとして活動するほか、ブログ『トイアンナのぐだぐだ』(http://toianna.hatenablog.com/)をきっかけにライターとしても活動中。

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