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ホーム > アキンド探訪  > マーケター必見。インフルエンサーが拡散しても物が売れないワケ

「インフルエンサー」という言葉が一般化した。インフルエンサーは直訳すると「影響を与える人」を意味する。ファンがその人にあこがれ、同じようになりたいと願っている。それだけなら従来のアイドルと変わらないが、大きな違いはネット上で芸能事務所にも所属していない「素人」が影響力を持った点にあるだろう。

芸能人が推した商品は「どうせスポンサーがいるんでしょ」とうがって見る視聴者が増えたいま、あえて素人感のあるインフルエンサーから紹介してもらえば商品が売れる。なによりインフルエンサーはテレビ広告に出るような芸能人より単価が安く、コスパが良い。大企業に広告費の予算で後れを取るベンチャーがこぞってインフルエンサーへ投資し、そこに大企業も追従した。

私が新卒でマーケティング職についたとき、世間は「インフルエンサーの時代」の黎明期であった。「ブロガー」という言葉がようやく大企業の経営層にも認知された。自社製品のPR文を書いてもらおうと、企業はテレビ広告のコストをインフルエンサーへ割き始めた。

だが、断言してもいい。今の方法でインフルエンサーへ投資しても商品は売れない。その理由は大きく分けて2つある。

マーケターが陥る罠…インフルエンサーの特性を無視した広告文

まず、インフルエンサーごとの特徴を無視したPR文の依頼が多すぎる。別にこちらも「個性を見て!」とワガママを言いたいのではない。インフルエンサーの基礎的なジャンルすら間違っていることが多すぎるのだ。

たとえば私は「外資系OLのぐだぐだ」というブログでフォロワーを獲得した。このタイトルから想定されるキャラは「キラキラ☆いけ好かない☆女子力」といった感じだろう。だから私にはコスメやファッションのPR文掲載依頼が大量に来る。だが、私のTwitterを3日でもフォローすれば気づくはずだ。

「こいつ、まったくオシャレに興味がねえ」と。

恥ずかしながら私がメイクを始めたのは29歳、つまり去年だ。ちょっとコスメに気を使っている中学生より素人である。服を買うときは人に選んでもらっている。さもないとトンデモな服を着ることを知っているからだ。なお、私のワードローブの半分は「お姑さんからお譲りいただいたもの」で占められている。自分で買った服すらない悲しみのファッションモンスター。それが私である。

こんな私にファッションのPR文を依頼するのがいかにばかげているか、すぐに分かるだろう。だが現実にはバンバン依頼をいただく。期待していただけるのはありがたいが、受けたくても受けようがないのだ。何なら、高級時計のマーケティングをしていたので男性ファッションの方が詳しい。

と、「ブログのタイトルから受けた印象」「主な読者層」だけを根拠にインフルエンサーを選ぶ企業はかなり多い。

なぜそんなことになってしまうのか?スポンサー企業は「このインフルエンサーはアラサー女性に人気で、単価もお安いのでお勧めですよ」と広告費の投下を持ちかけられる。インフルエンサー候補は、ざっと100名を超えることもある。担当者も忙しいから、各個インフルエンサーの実態を調べる時間がない。

あなたが担当者なら「じゃあこの人で」と100名のおまとめ発注を出すだろう。だが、そこには確実に、あなたの商品を売るのに適していないインフルエンサーが混ざっているのだ。

インフルエンサーに依頼する前に。マーケターとしてこれだけは確認すべき

インフルエンサーには「PRの依頼をいただけるだけでありがたいから」と何でも受注してくれる人がいる。なんでも引き受けてくれるインフルエンサーは、限られた仕事しか受けない頑固な、そして実は誠実なインフルエンサーよりも代理店にとってありがたい人材だろう。大量のインフルエンサーを使って商品を拡散したいとき、断らないインフルエンサーは確実に候補者リストへ入る。そしてあなたの商品が自分経由で売れないと分かりながら告知してくれるのだ。そしてあなたの商品は売れないだろう。

だから過去100件の投稿だけでもいい、商品を本当に売りたいなら出稿者はきちんと確認すべきだ。自分で投稿を追う時間がないなら、下記2点だけでも広告代理店に問い合わせてみてほしい。

このインフルエンサーのファンは何を理由にフォローしているのか?

「外資系OLのぐだぐだ」というタイトルだが、実は「アラサー女って主婦、バリキャリ、両立とどれを選んでもバッシングされてしんどいよね」という趣旨でご支持いただいていることが理解できれば、「愛されメイク」なんて絶対に依頼すべきではないと分かるだろう。

過去にこのインフルエンサーがバズらせた商品は何があるか?

PRでなく、純粋なオススメでバズらせた商品をピックアップしてもらうと自然な波及効果がみられてよい。

私の実例では、下記がある。
https://twitter.com/10anj10/status/757970743913242628
メイクやファッションではザルな私だが、実はシャンプーマニアをやっていた。こういった「このジャンルならこの人が詳しい」というフォロワーからの信頼が確立しているインフルエンサーへ、同ジャンルのPRを依頼するとバズりやすい。ただし、こだわりがあるインフルエンサーには「純粋にオススメできる製品でないと嫌だ。御社製品はXXが理由でオススメできない」という理由で依頼を断られる可能性もある。

わずかこの2点を質問するだけで、「商品を売ってくれるインフルエンサー」に出会える可能性はぐっと上がるだろう。売れない広告を出すくらいなら、投下しない方がマシである。インフルエンサーへの投資が増える今だからこそ、ザルな投資にならないよう警鐘を鳴らしたい。

この記事を書いた人

慶應義塾大学在学中に起業を2回経験。卒業後は外資系企業に勤め現在は独立。フリーのマーケターとして活動するほか、ブログ『トイアンナのぐだぐだ』(http://toianna.hatenablog.com/)をきっかけにライターとしても活動中。

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