【図解つき】婚活マニア歴6年のトイアンナが語る婚活業界ガイド

ニアセ寄稿

『婚活商売』が乱立中。婚活マニア歴6年の著者がご案内

書籍『「婚活」時代』が発売されてから10年。婚活はいまや一般用語として普及した。婚活の手段も従来のお見合いや合コンだけでなく、選べないほど多数の選択肢がある。
 
であるからには、そろそろ「婚活にはどんなものがあるか」網羅的に見てもいいのではないか。そこで今回は、結婚希望者からの人生相談を6年ほど受け続けてきた“婚活マニア”としての経験をもとに、婚活業界をご案内したい。
 

これが婚活業界マップだ

婚活業界はおおまかに11種類へ分かれている。

▲婚活業界マップ▲婚活業界マップ

 
高単価なものでは3万円程度かかるが、低単価なものは1,000円台から参加できる。真剣度は「結婚とは限らず恋愛や友人関係を探しにくる」人の割合でマッピングした。
 
以下、各項目を解説する。
 

(1) 合コン

歴史はなんと明治時代にさかのぼる、出会いを促進する飲み会。株式会社ぐるなびの調査では婚活で選ばれる手段の3位にランクインしている
 
だが実施する人の多さと対照的に、成婚率は低い。リクルートブライダル総研の『婚活実態調査2018』によると、合コンで出会った相手と結婚した人は2017年に成婚した人のわずか9.6%に過ぎない。これまで人生相談を900件近く受けてきた筆者としても、既婚者がよく混ざっている、盛り上がりを優先して個々の相手と話しづらいなど課題が見られる。楽に開催できる反面、効率はよくない婚活といえる。市場規模は不明だが、飲食店業界へ一定の割合で貢献していることは間違いない。
 

(2) 街コン

飲食店と提携し、多数の店舗を回ることで婚活を楽しめる合コン。従来の合コンと異なり、見知らぬ男女が集まるのが特徴。2014年の意識調査によると、合コンよりも結婚への真剣度が高いことが判明している。
 
街コン単体での市場規模を推察することは難しいが、大手街コン企業の株式会社リンクバルの決算資料を読み解くと、街コンよりイベント型婚活で業績を伸ばしていることからやや縮小傾向にあると思われる。

(3) オフ会

オンライン上の人が現実世界で集まるイベント。友人関係を築くことも目的のうちに入っているため、出会いへの真剣度はそこまで高くない。だが実際にはオフ会経由での交際、結婚の相談も多くいただくため実際には婚活のメソッドとして存在している可能性が高い。市場規模は不明。
 
筆者の経験上、男性の比率が高い趣味(腕時計、トライアスロン、スポーツカーなど)に女性が参加すると婚活としても価値がある。ただし、ニワカは嫌がられるので、あくまで趣味が重なれば、の話である。逆に男性は、女性が多い趣味(料理、フラワーアレンジメントなど)に参加すれば婚活もうまくいきやすいのではないか。
 

(4) 趣味コン

近年増加している「趣味やイベントを通じた出会い」を促進する合コン。アートの展示会、アニメイベント、音楽フェスなど従来婚活とは関係なかったイベントを紐づけ、同じ趣味の人間同士で出会いやすくしている。先述の株式会社リンクバルの決算資料を見る限りでは、最大で前年比59.5%の拡大を見せている急成長市場。
 

(5) 相席居酒屋

強制的に相席となることで出会いを促進する居酒屋。発端となった「相席屋」だけでなく、相席型のビアパプ「The Public Stand」などが都心部を中心に人気となっている。市場は株式会社セクションエイトのほぼ一人勝ちとなっている。2017年5月決算の売上高は53億1,800万円で、2,000億市場と推定される婚活業界全体の3%と、1社ですさまじいシェアを維持している。
 
私は非パリピなのでThe Public Standでビールをすするだけの女と化した。しかし、初対面でも和気あいあいと話せるタイプには最高の出会いスポットだろう。
 

(6) 婚活サロン

直接異性へ出会うわけではないが、婚活を有利に運ぶためのレッスンを受けられる講座。個人単位の経営が多く、一部はオンラインで開催されている。大御所では「魔女のサバト」などが有名。女性向けが圧倒的に多く、内容は男性の選び方や出会いの場の探し方など、マインドセットから実行ま実践まで幅広い。業界規模は不明。
 

(7) アプリ

この数年で急成長を遂げた、アプリで他人と出会う婚活の方法。2017年の成婚者のうち22%がサイト、またはアプリで出会っており、わずか2年で1. 5倍に伸びている。最大手アプリの「Pairs(ペアーズ)」はのべ12万人以上カップルを成立させた。
 
どのアプリも料金体系が1,000円台と安く参加しやすいが、いずれもfacebookの自己紹介を参照した会員登録を行うため既婚を隠しても登録できるなど真剣度は参加者によってまちまち。既婚者を見抜く見る目がある人に勧めやすいツールとなっている。
 
また、アプリによる成婚率は高い一方で代表的なアプリだけで42個も存在するなど、市場的には超レッドオーシャン。私が今から起業するなら、婚活アプリだけは作りたくない。
 

(8)マッチング型相談所

結婚相談所でもオンラインで会員情報を検索でき、自分で出会いのきっかけを作れるサービスのこと。代表的な例は楽天オーネット。独身証明書の提出が義務付けられていること、会費が数万円/月以上と高額なため、参加者の真剣度は高い。最大手の1社である楽天オーネットを参照すると入会者数は増加傾向にあり、拡大市場と思われる
 
成婚率は婚活サイト・アプリ経由の出会いに続く20.7%。強みはスタッフによる手厚い相談だろう。自ら出会いを選択せねばならないアプリやコンパと違い、どう動くべきか、誰を選ぶべきかをスタッフへ逐一相談できる。そのため恋愛ではオクテな人も成婚しやすいと思われる。
 
私は以前楽天オーネットを利用していたが、すさまじい会員数で「こんなにいい人ばっかりこの世にいるの!?」という経験をさせていただいたので、完全な信者。楽天オーネットについては書く時もバイアスがかかるので話半分に聞いてほしい。
 

(9) お見合い型相談所

いわゆる伝統的な結婚相談所。中小企業の集合体だが「日本結婚相談所連盟」を代表とする連合体として提携し、会員情報を共有することで他社に引けを取らない出会いの数を担保している。月額会費のほかに「成婚料」として成果報酬を支払うのが一般的なため、単価が高くなりやすい。いっぽうで地域密着型の営業をしている業者が多く、「娘・息子の結婚が心配」な親世代へ受けがよい傾向にある。
 
成婚者の結婚相談所利用率が2016年から2017年で-5.3%となっており、おそらくアプリや他の婚活サービスにシェアを食われているものと推察される。
 

(10) 友達の紹介

もっとも伝統的な婚活かつ、最も成婚者が頼った比率の高い方法。知人には「家族・友人・職場の人」が含まれるため、あらゆる縁故を使った出会いがここに入る。アプリや趣味コンなど新しい業態の婚活が増えるなか、成婚者の利用率は2015年から増えている。
 
「婚活サービスが増えすぎてどうすればいいかわからない」タイプは、昔ながらのご縁に頼る動機が生まれるのだろう。市場規模は不明。ホームパーティでの紹介など、市場としてはうま味のない婚活である可能性が高い。
 
私は数少ない友達にも「お前に紹介できる案件はない」とおっしゃっていただいたので……ノーコメントで。

(11) 婚活パーティ

1カ所に男女を集め、一気に自己紹介しあうことで出会いを促進するパーティ。成婚率は高く、2017年の成婚者のうち17.7%が婚活パーティ・イベントで出会っている。オミカレなど婚活パーティを網羅的に探せるポータルサイトの登場により、参加しやすさが高まっている。Googleの検索数も増加傾向にあるなど市場は成長トレンドにあるとみられる。個人的には「自分の市場価値」を確認する場所として、婚活初期での参戦がおすすめ。
 

婚活ビジネスについてのまとめ

全体のトレンドを振り返ると、ほぼ全業界で業界が成長しており、婚活市場そのものが大きくなっていると見られる。特にアプリ市場は成婚率から見ても爆増したが、前述のとおり競合も多いことから「婚活アプリで起業」はオススメしづらい状態だ。(結婚したい人には、間違いなくアプリも導入することを勧める)
 
一方、知人の紹介が2015年に比べて増加するなど「婚活サービスが増えすぎたことによるバックラッシュ」が起きていることも予想される。これからは増えすぎた婚活サービスでどれを取捨選択すべきか、「婚活サービスのコンサルタント」が求められると言えるだろう。

慶應義塾大学在学中に起業を2回経験。卒業後は外資系企業に勤め現在は独立。フリーのマーケターとして活動するほか、ブログ『トイアンナのぐだぐだ』(http://toianna.hatenablog.com/)をきっかけにライターとしても活動中。

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