『外資系トップの思考力』ゲームに勝つ「直感」の源泉を手に入れるには。

ニアセ寄稿

おはようございます。私、ひるねと申します。
一に睡眠、二に睡眠、たまに読書みたいな感じです。どうぞよろしくお願いします。
 
 
睡眠の途中で読んだ「外資系トップの思考力―経営プロフェッショナルはいかに最強の解を生み出すのか」が面白かったのでレビューします。

『外資系トップの思考力』シリーズ

この本は2006年に刊行された『外資系トップの思考力』から始まる「外資系トップ」シリーズの第4弾です。世界で活躍するトップは、めまぐるしく変化する時代に、問題の本質をどのようにとらえ、解決策を編みだし、遂行しているのか。
 
 
先読み力、共感力、仮題設定力、意思決定力などについて、10人の外資系トップが、キャリアを通じて鍛え上げた思考力を語っています。
 
 
新米社会人時代から現在、そして未来に向けて、その時々のシチュエーションで、どういう視点でものを見て、どういう切り口でものを考え、どう行動してきたか、具体例とともに思考プロセスが明らかにされます。

外資系トップの想像力

毎日、目の前のことに一生懸命取り組んでいると、どうしても「自分目線」に視野が狭くなってはいませんか。その一方で、「エライ人」に対しては、なんでも知っていて、迷ったり間違ったりせずに自分たちを導いてほしいという、依存にも似た気持ちを知らず知らずのうちに抱いてはいないでしょうか。
 
 
ところが、この本に出てくるエライ人たちの話を読むと、最初からなんでもお見通しのスーパーマンはどこにもいません。誰もが、不確実な状況で、想像力で流れを読み、タイミングを逃さず判断することが求められ、「結果として」そのゲームに勝ち続けられた人が生き残っているだけなのです。

外資系トップの「本質」と「直感」

ではそんな「ゲームに勝ち続けてきた」人たちが、拠り所にしているのはどんなことか、読んでいきますと、「本質」と「直感」というキーワードが何度か出てきます。
 
 
本質」といえば、本質思考、課題設定力、ゼロベース思考など、本屋のビジネスコーナーにいっぱいあります。要するに、何が肝心なのかを見誤ってはいけないということなのだと思いますが、では、何が肝心で何がそうではないのか。どう見分けているのでしょうか。
 
 
そこでもう一つの「直感」が出てきます。
直感」については、脳研究者の池谷裕二さんの著書『単純な脳、複雑な「私」』に面白い記述があります。まず脳の研究では「直感」と「ひらめき」はまったく別のものとして扱われているそうです。
 
 
どちらもフッと思いつくところまでは一緒ですが、その理由を説明できるのが「ひらめき」、できないのが「直感」。だけども直感は、結構「正しい」ことが多い。

直感は多数の「経験」と「知識」と「訓練」の結果

直感は脳の基底核から出てくるそうなのですが、基底核とは「手続き記憶」、つまり箸の持ち方だとか自転車の乗り方などの身体の動かし方のプログラムを保存している脳部位です。
 
 
箸は使えるようになるまでには練習が必要ですが、一旦覚えてしまえば、腕や指先の筋肉をどう動かすかといった細かいプロセスを意識することなく、ものをつまむ、食べるといった結果だけを受け取ることができます。
 
 
これをみると直感とは、すでに訓練済みで利用できるようになった思考のルートを無意識のうちに利用し、結果だけを受け取る動き、とも言えそうです。ここで間違えてはいけないのは、無から有を生んでいるわけではなく、多数の経験と知識と訓練の結果であるということ。
 
 
プロ棋士が対戦中に「直感」で勝利に繋がる一手を打てるイメージであり、素人がカンで適当な手を打ったらそれは「直感」ではなくただの「でたらめ」です。

外資系トップの「経験値」

本質を見極めるということは、木の葉1枚1枚の葉脈まで見るのと同時に、木ではなく森を広く見渡すことを求められるようなものです。目の前に見えている木々から一旦引いて森を俯瞰したあと、改めてどの木にフォーカスするか、その選択肢は無限大すぎて、「直感」の助けが必要。
 
 
ただ、その「直感」の精度を上げるのに、そこまでの人生で積んできた経験や知識といった、一個人のノウハウだけでは今や物足りません。まわりに情報はいくらでもある現代です。
 
 
そこで、これまた何度となく本書に出てきたキーワードとして「人の意見を聞く」「対話の中から答えが見つかる」というのがあるのですが、どうやらこれは、単純に情報収集しているのではなさそうです。
 
 
では何をしているのかというと、他人の経験値も擬似的に自身の経験値としてしまっているのです。他人の目線で見たものをまるで自分の目で見たもののように咀嚼し、他人の脳内に敷かれた思考ルートを自分の中にも模造します。
 
 
そうやっていわば無数の「箸の持ち方」をインプットしておくことにより、ある日突然、これまでに見たことのないような箸や食材を前にしても、気がつけばスッと口に運んでしまっている。そういうことができるようになるのです。

さいごに

本書の題名を見て、自分は外資系じゃないし、トップじゃないし、なる気もないし、と思うでしょうか。それとも、自分とは違う世界にいる人は、なにを見てなにを考えているのか興味がわきますか。周りの人の行動や置かれている状況を目にして、自分だったらどうするか、思考のシミュレーションをしたことはありますか。
 
 
今、ちょっとした好奇心でインプットしたものが、ある日「正しい直感」となって自分や仲間たちを飛躍させる着火剤になったら、面白いですよね。

▼おもしろかったですよ▼

<読んだ本>

外資系トップの思考力-経営プロフェッショナルはいかに最強の解を生み出すのか
(ISSコンサルティング編 / ダイヤモンド社)

 
 

<参考図書>

単純な脳、複雑な「私」
(池谷裕二 / 講談社)

 
 
それでは「おやすみなさい」
 
 

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