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ホーム > アキンド探訪  > 「お客さんが来ない日」に何をするべきか、耐え忍ぶ日のために

 
世の中には色々な商売があり、悩みもまたそれぞれだと思いますが、シンプルに客が来ない」という悩みはありますよね。これが例えば、仕事を自分で動いて取りに行けるような業種なら「営業しよう・・・」ということにもなるのですが、店舗を構えて待ちをベースにしているとそれもなかなか出来ません。特に飲食店などは、創業当初など客足も全く安定せず、地獄のような多忙と更なる地獄のような暇さを同時に味わうことになりがちです。
 
こういう時に何をすればいいのかについて、僕にはわかりません。しかし、何をしてはいけないのかについては大体分かった気がします。今回は飲食店をベースに考えますのでそちらの話が多いですが、他の業種にも通底するお話だと思います。何せ、僕がこの間までもがいていた地獄のお話ですので、鮮度はバッチリです。

うまくいかない時、従業員に発破をかける

僕も飲食業の個人店でアルバイトをしていたことは結構あります。基本的に接客業には向かない人間なのですが、料理にも酒にも興味があったのでカウンターにも厨房にもそれなりに立って来ました。その中で、個人経営店のオーナーがやることの中でも最悪と感じたのがこちらになります。
 
客が来ないとアルバイトは暇を持て余します。それを見てイライラする気持ちは痛いほどにわかります。しかし、「仕事が無いなら探せ!」程度ならまだしも、「現状打破のアイディアの一つも出さねえのかテメーは、友人の一人にでも電話入れて呼べよ!」と怒られた時には、「ああ、これはもう末期的だなぁ・・・」という気持ちになりました。
 
「とりあえず従業員を絞り上げる」は実のところを言うと、経営者の選択肢としてはそれなりに有力です。現場の空気が緩んでいて生産性が上がっていない時などは、とりあえずこれをやってみるのは一つの手でしょう。一般的にこういうことを公言すると怒られますが、最後の一滴まで胡麻から油を搾るのは大事な仕事です。
 
しかし、そもそも客が来ない」時にとりあえず従業員を怒鳴りつけるのは本当に意味のない行動です。それでも、飲食店に限らず経営が上手くいっていない経営者は大体これをやってしまいます。
 
僕は「部下は大体僕より有能」という状態で経営をしていたので、あまり機会に恵まれませんでしたが。きっと状況が揃えば僕だってやってしまったんだと思います。それくらいありふれた話です。そして、これが発動したお店が長く生き残るのを僕は見たことがありません。
 
現状打破のアイディアを出せ」みたいな抽象的な指示を理解して自ら行動してくれる部下がいるとしたら、それは本当に得難い宝です。しかし、一般的な従業員がこういうものだとは思わない方が良いと思います。ましてや、「客が来ない」という状況下で高圧的に出された指示を実行する従業員なんてまずいません
 
客が来ない、日々経営が悪化していく状況下で、すさまじいストレスを感じていることはわかります。しかし、そのストレスを従業員にぶつけても事態は悪化しかしません。それだけ暇なのにその従業員を雇っているということは、業務継続に最低限必要な人員なんですよね。その方に逃げられたら、また求人費用と教育費用がかかるだけです。
 
とにかく、「従業員に無駄なストレスをかけない」を徹底した方が良いでしょう。というのも、業務が暇ということは部下とあなたは気詰まりな時間をどうしても長く共有することになってしまいます。創業期の不安定な時期に人員的不安定という更なる悩みの種を呼び込むのは本当に避けましょう。これは、本当に意識していないと出来ないことだと思います。あのストレスの中で正気でいるのは本当に難しい。

うまくいかない時、別の儲け話を探す

お金に困っていると突然降ってくるタイプの儲け話というものは存在します。といいますか、本業が上手く回らず他の儲け話を探している人間についてちょっと想像してみてください。「これより嵌め込みやすいカモはいない」って誰でも思いますよね。これは必ずしも詐欺とは限りません。合法的な範囲で致命的な結果をもたらす取引なんてゴマンとあります。そして、商売が上手く回っていないと認知されるということは、この手の皆さんにターゲットとして認識されるということです。
 
商売を始めてみるとわかりますが、商売人同士の間では常になんとも形容しがたい儲け話が流通しています。それは、ちょっと見には非常に魅力的なものだったり、あるいは本当に大ネタだったりします。酒場でふと拾ったネタからガッチリ儲けが出た経験だって結構な割合の人にはあると思います。僕もあります。
 
しかし、商売が左前になってくると、この回ってくる話のリスク度合いが一気に跳ね上がります。まぁ、そりゃそうですよね。絶好調の人間を口説こうと思ったらそれなりにオイシイ話をしなければなりませんが、進退窮まっている人に持っていく話をそれほど厳選する必要もありません。ちなみにこの先には「話すら来なくなる」「来る話は大体法に触れる」というフェーズもありますが、まぁこの話はいいですよね・・・。
 
商売人の性質として、一つの事業がヤバくなるとそれを立て直すより「なんか別のことをやるか」という方向に行きがちです。往々にして、赤字を吐き出している事業を整理しないまま他のことをやろうとする人が多いです。実際このパターンでホームランを打つ人も意外といるので、否定しにくいところはあるんですが。それでも、強運と実力を併せ持った一つまみの人以外は、傷口を致命的に広げることになります。
 
ツキがないときは何をやってもダメ」は、商売に関しては純粋に構造的な真理だと思います。上手くいっていない人間に上手い話は来ないのです。しかも、上手くいっていない人間は判断力も鈍っています。逆転ホームランを打つしかないと目が血走った人間が正常な判断を下せるでしょうか。
 
しかし、この話には更に辛いオチがあります。負け勝負を取り返そうと思ったら、どこかで恐怖を振り切って勝負に出るしかない、それも劣悪な選択肢の中から往く道を選ぶしかない。これもまた真理です。このとき、どういう判断を下すかは個人個人が人生を賭けて勝負するところなので、何も言えません。良い旅を祈ります。

うまくいかない時、めんどくさい人間になる

商売が上手くいっていない人間には二種類います。
異常に人前に出てくるか、人前にほとんど出てこなくなるかのどちらかです。ちなみに、僕は後者でした。だってねぇ・・・。ちなみに、このいずれも非常にダメだと思います。
 
理想論を言えば、どれほど商売が上手くいっても驕らず、上手くいっていなくても卑屈にならない。これが理想です。こんなの誰だってわかりますよね、そりゃそうでしょう。驕るのは論外ですし、卑屈になり過ぎればその分足元を見られるだけです。ハッタリも効かなくなります。
 
実際のところ、自分が完全にコケてから皆様に挨拶に行くなどしてわかったのですが、商売人は案外やさしいです。「商売が上手くいかない」みたいな苦悩を彼らは大体わかってくれます。コケて初めて「俺も2回コカしたよ」みたいな話をしてくれた経営者がたくさんいました。
 
だから、変に突っ張る必要も逆に卑屈になる必要もあまりなかったんですね。自分の手持ち資金や腕力を正確に把握し、ちょっとだけ大きく見せようとする。これだけで十分だったはずです。「仕事が来ないなら人脈増やすぞウォォー!!!!」みたいなテンションで夜の街を漂流する経営者は多いです。しかし、これは正直なところ「上手く行ってる人が多忙な時間を割いてやる」なら効果的だと思いますが、酒場で「コミュニケーション!」と叫んでいるおっさんは、あまり相手にしたくないですよね。特に儲かっていない人の場合は・・・。みんな敵を作りたくないのでにこやかに接してはくれますが・・・。
 
飲食界隈でも「客が来ないなら飲みに行け」という格言があり、これを実行されている方もちょいちょいお見受けしましたが、正直言って3回来てくれた辺りで義務的に「そろそろ行かなければダメか・・・」という心理が発生する程度です。プラスにはなりません。「オススメの店」としてお客様を紹介するにしても、自分の商売のカンバンを賭けてご紹介出来るお店に限ります。お客様にお店を紹介するのは結構怖いのです、「いや・・・好みではなかったかな・・・」と言われてしまうのは厳しいですからね。
 
もちろん、お客様を融通しあって商売を回しているような界隈もあります。そういう場合は例外です。この辺の政治性を勘案せずに社交をしても、コスト負けするのは多分間違いないと思います。人間、物事が上手く運ばないと必ず何らかの方向でめんどくさい人間になってしまうものだと思います。これは本当に仕方がないことですが、なるべく避けるのが一番です。本当に辛いことになります。
 
ここまで書いていて吐き気がしてきました。前回とも引き続きのエントリですが、辛いときは本当に辛い。しかし、経営者である以上、「俺の辛さを理解しろ」と叫んでもあまり得をすることはありません。なるべく控えていきたいものですね。
 
お勧めの息抜き媒体はインターネットです。商売が上手くいっていない商売人の話には結構需要があります。愚痴が言える有り難さがある。そして、仕事から離れた話も出来ます。映画や本などお金のかからない趣味も有効です。延々悩み続けるのは美徳ではありません、かなり難しい注文だとは思いますが、仕事以外の時間も確保するようにした方がいいです
 
「24時間仕事のことを考え続けろ」みたいなアドバイスをする人もいますが、あれは超人向けです。上手くいっているときは一日24時間でも30時間でも仕事のことを考え続けられますが(だって楽しいし)、辛い時にそれをやっても自分を追い詰めるだけです。そもそもそんなに考えることなんて無いでしょう?賽を投げたら目が出るまで待つしかない、そんなもんですよね。
 
とにかく、無駄に苦しんでも良いことはありません。誰にも愚痴れないその辛さは本当にわかります。人生、あれより辛いことはそんなにありません。しかし適宜、気持ちを緩められるところは緩めて、死なないようにやっていきましょう。

 
 

この記事を書いた人

1985年生まれ、早稲田大学卒業後金融機関勤務を経て起業するが大失敗。 現在は雇われ営業マンをやりながら、ブログを書いたり ツイッターをしたり、フリーライターをしたりしています。 発達障害(ADHD)持ちです。そちら関係のブログもやってます。 Blog http://syakkin-dama.hatenablog.com/ Twitter https://twitter.com/syakkin_dama

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