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  肉、トマト、オニオン、チーズ、肉。   バンズのかわりにビーフパティでサンドした、肉バーガー「ワイルドアウト」をご存知だろうか?美味しそう×写真映え×ネタになるの三拍子が揃っていて、見るからにバズりそうだな!というのが、初見の素直な感想だ。   これは相当戦略を練って商品開発したに違いないと確信し、人気ハンバーガー店「シェイクツリー」に商品の開発秘話を伺ってきた。 行列のできるハンバーガー店「シェイクツリー」 2011年にオープンした「シェイクツリー」は、JR総武線錦糸町駅、地下鉄両国駅からそれぞれ徒歩10分のところにある。   多くのハンバーガーチェーンが駅近に店を構えるなか、シェイクツリーは、やや不便な立地に店を構えている。それにもかかわらず、連日盛況。週末には行列もできる。 店名の「シェイクツリー」は、「shake a person’s...

  インターネットが普及していない時代、パソコンの使い方もわからなったひとりの建築士がネットショップを開店。ネットで「蟹」を売り、楽天市場で蟹ブームを起こした「北国からの贈り物」。 しかし、一大ブームを引き起こした北海道発の「インターネットの蟹屋さん」は、決して右肩上がりに成長したわけではありませんでした。10年間勤めていた建築設計事務所を辞めて始めた株式会社北国からの贈り物。 代表取締役社長「加藤敏明」氏にこれまでの歴史を交えながら、商売の難しさ厳しさのお話を伺いました。 「北国からの贈り物」立ち上げた、けど売れない   -最初から売れました?   加藤社長:最初は建築設計事務所で働きながらネットショップをはじめました。まぁ、案の定全然売れなかったですね。オープンして1カ月後にようやく1件、初めて注文がありました。ネットショップしている方なら誰でも経験があると思うんですが、初めて注文来たとき「本当に注文がくるものなんだ」と驚きました。東京のお客様から毛蟹を1尾注文もらって、それを届けたんですよ。   1年位やって月に10件程度は注文が入るようになって、リピーターさんも増えてきたので、いよいよ勝負を賭けようと楽天市場に出店したんです。当時は楽天市場に出店するには初期費用30万円を払わないとダメなのですが、今まで貯めた貯金を切り崩して出店しました。僕が32歳位の頃で収入も多くなかったので、勝負ですよね。   実際楽天市場に出店してみたら、なんと11月12月の売り上げが400万円程度。11月12月がちょうど蟹の売れるシーズンだったというのもあるのですが、これだけ売れるならいけるぞと、改めて確信して妻と会社とも相談して会社を辞めることになりました。98年にネットショップを始めて2000年の4月に独立して、蟹屋の店長さんとして「北国からの贈り物」という会社を立ち上げました。     ―よくご家族が独立を認めましたね。   加藤社長:家族の説得はかなり苦労しました。子供が2人目産まれたタイミングで会社辞めたので、妻や妻の両親からは会社辞めるなんてどういうことだと、詰められました。会社辞めて何するんだと言われて、インターネットで蟹売るんですと説明しても、何だインターネットって、蟹売るのかって険悪で、妻からは「建築家のあなたと結婚したのであって蟹屋のあなたと結婚したわけじゃないわ」、みたいな話もされて・・・でも「俺はこれで生きて行くんだ、起業家として会社を大きくしていくんだ」、と話しても通じないわけですよ。   子供産まれたばかりでしたしね。その時僕が言ったのは、「不安な気持ちもわかるけど、これで俺生きてくと決めたから、やらせてくれ」って、その代わり月の売り上げが1千万にならなかったら、諦めて会社員に戻るから1年間やらせてくれっていう覚悟を伝えたんです。それでようやく納得してもらえました。   独立後は売り上げを上げる為にメルマガやページ作りを今まで出来なかった分、一生懸命やっていました。しかし、売り上げが上がらなかったんです。楽天広告も出したのですがそれでも売れなくて。というのも4月から6月って蟹の売れる時期ではなかったんですよ。蟹の売れる時期は10~12月なんですが、僕の中では12月までに月1千万の売上げが目標だったので、もっと売らなくては月に最低100万円売らなくてはという意気込みでメルマガを書いて、サイトのページも作って。広告を買うほど売り上げが下がってくるので、5千円だったタラバガニをセールで3千円や3割引で出すようになりました。   注文0の日が続く   加藤社長:そうすると、いよいよアクセスもなくなって最後は注文0の日が1週間続いた事が楽天でありましたね。その時は楽天の担当に電話して、「今まで注文が来ていたのに1週間注文が来ないなんて、おかしいじゃないか楽天のシステムが壊れているんじゃないか」と聞いたんです。そしたら「お調べします」と言われて、3分後に楽天の担当者から注文メールが来て、「今テスト注文しましたけどどうですか」と。壊れてなかったんですよ。ただ単に、「売れていない」だけでした。   売り上げ0の日が続くというのは今思い出しても、恐ろしいことですよ。これから子供2人育てていくのに売り上げ1週間無いけどどうしよう、と悩みましたね。   そこで売り上げが上がらない理由を考え抜きました。その時初めて、自分が売り上げ上げたいから商品安く売ったり、メルマガ出してセールしたりしていたけど、お客さんの立場は違うと気付いたんですね。   お客さんってどういう時に蟹が欲しいんだろうと考えて、それは誕生日や家族が集まる時、年末のお歳暮のシーズンに贈ったり、年越し蕎麦とかお正月に食べたりとか、晴れの舞台だったりするから、こっちが売りたいと思っても、お客さんの都合もあるから無理だなと気がついたんです。   それで焦るのをやめて、12月までに目標達成すればいいから、それまでは売ることよりも自分がどうしてこの商売を始めたのか、うちの商品はどうやって食べたら美味しいのか、自分の商売に対する思いを12月までお客さんに伝えようと今までとは間逆のスタンスで、売れなくてもいい、ただ商品のことを伝えたり、自分の思いや会社がどんなことやっているのかを伝えることに集中しようと思ったんですよ。   売ることよりも、インターネットを通じて商品をお客さんに知ってもらうことが大事だと切り替えて、リラックスしながらメルマガ書いて子育てして。メルマガの内容も商売寄りの内容から切り替えて、今日は子供達とお風呂はいったとか、下の子が寝返りうったとか、上の子がこんな言葉を喋ったという話を書いてみたんです。   そうするとお客さんから、メルマガほのぼのしてていいよね、うちも同じぐらいの子供がいて苦労わかるよ店長さん、とメールがきたんですよね。あとは子育てが終わった僕より上の世代の人達からも、俺にも私にも子育て苦労した時期があった、そんな問い合わせメールがくるようになって。   そうするとついでに「お薦めの商品は何ですか?」と聞かれるんですね。ページを見たらタラバガニがあるけど、「この商品はどうやって食べるのか」と、商品の質問も一緒にくるんですよ。「このタラバはボイルしてあるので、届いたら直ぐに食べられますよ」と、やりとりしていると注文が増え始めてきました。そういったお客さんとの素のコミュニケーションや、あとは蟹の仕入れ日記のようなものをメルマガでやっていると、それを見てお客さんが、面白そうだと安心して注文してくれたりしました。そうして7~9月に少しずつ注文が増えてきたって言うのが、商売面白いなっと思った時のステージでしたね。   ―半年位は何もなくて、きつかったと思いますが、やはり大事なことはファン作りですか?   加藤社長:ファン作りですね。お店をはじめると、どうしても肩に力が入って、これだけ売り上げ目標ってなるじゃないですか。そうしてプッシュするとやはりお客さんも引いてしまうんですよね。余裕を持つというか、信頼関係を作るとか、どんな商売でも一緒です。売りたいから安売り、はやっぱりダメですね。時代は違うけどそう言った商売の根幹は、今も同じだと思っています。 ワケありカニに火がついて蟹ブームに   ーその後、楽天市場で蟹ブームを作られたと思うのですが、その時の話を教えてください   加藤社長:当時はタラバガニの姿とか、立派な蟹が贈り物で売れるんですよね。でも、中には仕入れると足が1本折れたり黒ずんでる商品も出て来るんですよ。折れていたり黒ずんでいるだけで、中身は変わらない。どんどん注文が増えてきて仕入れが増えると、その内の2杯3杯は足折れの蟹が出て来たので、そういったものはギフト商品としては売らず、ワケあり蟹で半額で売りました。そしたらそれが人気になった。いわゆる「ワケあり商品」ですね。ワケあり商品はうちがはしりなんです。   最初はワケあり商品の蟹を買って、美味しかったから今度は贈答用に綺麗な蟹を買う、というお客さんが増えてきたんです。北国の商品は安くて美味いし、贈答にも使えると注文が増えて、12月には売り上げが、2千万円まで増えたんです。始めてから1年くらいの話ですが、びっくりするぐらい売れて、半端なかったですね。楽天もビックリ、僕もビックリしました。   ―2千万円はすごいですね。   加藤社長:売上の要因の一つは、ファンが増えていたからだと思います。僕はメルマガ書くのが好きでしたから、どうしたら沢山の人に読んでもらえるかを考えて、メルマガの中に自分の家族ネタやクイズを入れたり、メルマガ購読者向けのプレゼント提供や、色々な企画やオークションをして会員を増やしたんですね。その時のメルマガ会員は1万人位いたんですけど、そのお客様が年末に購入してくれたということですね。   加藤社長:自分の中ではメルマガ会員を10万人集めた段階でパートスタッフ雇用して組織としてやろうと思っていました。10万人会員あれば商売になるだろうって自分の中で思ったんですよ。メルマガ会員を10万人にするまで1年位かかりましたね。   翌年、メルマガ会員が10万人になったのでアルバイトスタッフ採用して3人位でやり始めました。売り上げが2億3億になって、毎年1.5から2倍位売り上げが伸びていく楽しい時代でしたね。その3年後にYahoo!オークションに出店しました。ずっと1人だったので今までは1店舗しか見きれませんでしたけど、売り上げは増えてメルマガ会員も増えてきたので、1店舗1店長制で多店舗展開をやっていくと、また売り上げが伸びてきてという循環を作る事ができました。   まずはワケあり商品を買っていただいて、今度はギフトで買っていただく、というリピーターのお客様が増えて、お客様単価も高くなっていきました。売上が上がっていくのはいいのですが、受注がパンクしましてね。   1年間積み上げてきたお客様が年末に爆発して、受注業務がパンクしたり、人が足りなくなったり、出荷場がパンクしたり、ものが売れすぎて無くなったり・・・毎年何かしらの試練があってそれを乗り越えながら何とかやっていました。   初期の楽天RMSは月50万円程度しか売れる想定をしていない仕組みだったので、受注処理がすごい大変だったんですよ。僕もやっていましたが1日300件注文がきて、それを手作業で1件1件メールを書いて、3日間で合計3~4時間しか寝れないような状況で商売をやっていました。1月の繁忙期が終わった時に、すごく嬉しかったんだけど死ぬかと思ったんですよ。今回はトラブルもなくお客さんに迷惑もかけず商品届けられて良かったけど、受注業務を効率化しないと翌年はこの3倍注文がくるから間違いなく死ぬと思ったんですよ。   当時はネットショップの一元管理システムもなかったので、ネットショップの受注業務を管理するシステムを自前で作って、翌年の12月にはそれを活用しながら乗り越えました。   当時はネットショップで爆発的に売れる事を想定したインフラが無かったんです。楽天市場でさえ、受注ソフトも物流の考え方もありませんでした。 それを1つ1つ、無いものは作ろうと受注管理システムを作って、バックヤードも倉庫さんと相談して何回かパンクしながらその度にやり直して整備しました。 よかれと思った「安売り」で3年売上が伸び悩む   ―これは失敗したな、というお話はありますか。   加藤社長:そうですね、結構あります。リーマンショックの頃なんですが、確か2008年9月位でこれから蟹のシーズンだぞという時にリーマンショックが起こったので、蟹も3億位仕入れていたのに、景気が下がったので例年に比べて3割位落ちましたね。蟹はグルメの中でも高い商品だったので、買わない人が多かったんだと思います。   これは大変なことになるなと、広告を出してもメルマガで商品を紹介しても、売れなかった。お客様も12月にボーナスが出るかわからない状態で、贅沢に高価な蟹は買えない、と買い控えている状況だったんですよね。自分もそうでしたしね。11月後半にもう今年は世の中的に仕方がないから、利益を諦めようと決断しました。景気悪いけど、でもお客さん蟹食べたいよねって事で、思いっきり安売りしたんです。   リーマンショックで景気がすごい悪くなったけど、年に1度楽しみにしているお客さんもいて、ずっと買ってもらっているお客さんに買ってもらえない方が寂しいと思ったので、原価でもいいから、食べて欲しいなって思いでメッセージを書いて販売したんです。   今年はこういう時勢で景気も悪いし、毎年買っているお客さんに食べてもらいたいので赤字覚悟で販売するので良かったら年末蟹食べて、今年は楽しかった話題も少なかったけど最後に蟹食べてハッピーになろう、とメルマガを出したんです。それで一気に売れて、昨年の1.3倍売れたんです。利益を諦めてもお客さんに買ってもらえれば翌年に繋がるし、僕の中では年に1度のお客さんとのご縁を繋げたと安堵感と達成感があって、お客さんにしても例年よりも安く蟹が買えたという喜びもあったと思います。   1年に1度の書き入れ時の12月から2月まで安売りしたので、経営的なダメージは大きくてですね。あの時は良かれと思ったけど、1度安売りをするとなかなか値段も戻らないし、安売りのしすぎも失敗したなと思ったのは終わった後ですね。景気が普通の時に安売りをしたのではなく、景気が下がっている中での安売りをしてしまったので、戻そうと思ったものが戻せなかったと、そこを読みきれなかったところもあるし、通常の時とは違う状況だったと不可効力だったという思いもありながら、安売りしないと売り上げも上がらないという状況が2008年から2010年まで続きました。   ―その翌年も安売りしたんですか?   加藤社長:価格のプライスリーダーになってしまったので、他の蟹屋さんも引きずられて、蟹を安くしないと売れなくなってしまったんです。どこかのタイミングで価格を戻すところはあったのかもしれないけど、戻しきれなかったのが自分の中でありましてね。2010年の後半から仕入価格を工夫して、値段も上げながら利益率も元に戻すようにしました。結果的には2010年の12月は良い数字が取れたんです。   ー今は蟹以外も色々と販売されていますが、どのタイミングで商材を広げたのでしょうか。   加藤社長:2011年の震災がきっかけですね。あの時はどこも厳しかったと思いますが、蟹屋も相当厳しかったと思います。祭り事が一切ダメみたいな風潮になりましたよね。単価の高いものが売れなくなってですね、半年位売り上げ半分に下がりました。   その時は・・・本当にしんどかったですね。4月~6月売り上げが下がる時期だったのですが、そこは生きてく為に仕方ないと色々なものを売りました。北海道の水を売ったり、カンパンを売ったり、北海道の商材で被災地向けの常温商品増やして売っていこうと、色々なメーカーさん、取引先を増やしてあらゆる商品を売りながら、今どんなものがお客さんに求められているのだろうと商材を増やした時期でしたね。   ―それがきっかけで、今の形があるんですね。   加藤社長:商材を増やすタイミングで、「北国からの贈り物」は何屋なのか、僕達の売りたいものは何だと改めて話合いしまして、蟹をメインにしながら売って、北海道色を強くした北海道の美味しい物をもっと広げて売っていこうと決めました。 「北国からの贈り物」というブランドはどうあるべきかを考えて、見直しながら今に至っています。   「北国からの贈り物」で北海道を活性化する   ーしかしネットショップが全くない時期に建築士を辞めてネットショップを始めるなんて、よく奥様が了解しましたね。   加藤社長:その時は了解していないんですがね。会社を辞めて、その年の12月に僕がずっと働いて3日で3時間しか寝ていないのを分かっていて、「そんなに無理してどうするの」って、最後に手伝ってくれたんですよ。それまではずっと独立に反対だったから、声も掛けてくれないし、手伝ってくれることもありませんでした。12月の10日過ぎたぐらいかな、もう死ぬかと思うくらいヘロヘロになっていたら、そこで手伝ってくれて。   「そんなに頑張ってどうするの」と声掛けてくれて「死んじゃうよ、あなた」と。その時、妻に「大変で死にそうなんだけど見てくれ、こんなにお客さんから注文が来ているんだ」といって初めて売上を見せたんです。「約束しただろう、もうすぐ1千万円超えるんだ。お前との約束はこれで果せるから、これで我家は安泰だ、ようやく売り上げも上がってお客さんもこれだけ来ているから、これから先は子供達を育てていけるから安心して」と僕も泣きながら本音で話したんです。   妻も「分かっている」と、「出来ることがあったら手伝う」と言ってくれて、2人で夜中にFAX送ったり紙切ったり、パソコン使えませんでしたからね。手作業の部分を手伝ってもらいながら乗り切りました。妻には感謝というか苦労ばかりかけているんですよ。(笑)   ー最後に一言お願いします。   僕の中では、軸が今でも建築家なんですよ。事業を始めたきっかけが北海道の経済の活性化というところで、僕の中ではもともとそれを建築家としてやりたかったんです。ネットの事業で北海道の魅力ある商品を日本全国、世界へ届ける中で自分も経営者として起業家として雇用して、収益上げて地域社会へ貢献して、町が良くなって北海道が良くなっていく、というのが僕のゴールです。蟹屋って小売をやる楽しみがあるし、海外でやる楽しみもあって、苦労も多いけど1個1個をすごく楽しみながらチャレンジしています。   続けているとお客さんもついてくるし、販売の仕方も分かって来る。商売って継続なんですよね。     ...

  私は社会人になって14年間、「言葉」を生む仕事をしてきました。しかし、言葉と言うものは、ただ「表現する」ためだけに存在するのではなく、商品やサービス、プロジェクトの「コンセプト」や「進むべき方向性」を指し示すものとして機能します。   そう考えれば、どんな業種、どんな職種で働かれている方も「強い言葉を生む技術」は、仕事をする上でとても重要で、持っていると強い武器になるものと言えます。   そこで今日は、そんな「強いコンセプト」や「強いディレクション」につながる「強い言葉の作り方」について、具体的な例を交えて、お伝えしたいと思います。 「強い言葉」を生むために言葉を再定義する 「強い言葉を生む」ためには、いくつか方法論があるのですが、今日は最も使い勝手が良く、本質的なものについてお伝えしたいと思います。それは       言葉を再定義する       というものです。簡単に言ってしまえば「ある言葉」や「ある考え方」を、「別の言葉で言い換える」というものなのですが、これがとても有効なのです。わかりやすい例を出します。       四十歳は二度目のハタチ。(伊勢丹)       これは、2009年にお亡くなりになられたコピーライター、眞木準の伊勢丹のキャッチコピーです。おそらく「伊勢丹に四十歳のターゲットを集客したい」というクライアントの要望を受け、開発されたキャッチコピーだと思います。   クライアントからこのお題が出た時、きっと駆け出しのコピーライター(若い頃の自分も含め)は   ・洋服にこだわる四十代は、かっこいい。 ・今日初めて、娘のインスタグラムにのった   などと書いてしまいます。   ・クライアントの戦略ワードをキャッチーに言語化する ・ターゲットのインサイトをつく ・ターゲットの背中を押す要素を入れる   という「キャッチコピーのあり方」に照らし合わせれば、悪いキャッチコピーではないと思います。しかし、このコピーは、ポスターや新聞広告など「限定された場所」でしか使えない「表現のコピー」に留まってしまっています。   言い換えると「コンセプト」や「ディレクション」にはならない“枝葉”のコピーであって、様々な施策に「広げる」ことができる“幹”となる言葉にはなりません。その視点で「四十歳は二度目のハタチ」を見てみるとどうでしょう?   この言葉は「四十歳」を「二度目のハタチ」と再定義するコピーであることがわかります。つまり “幹”(コンセプトやディレクション)となって、広がりが容易に想像出来ます。少し考えただけでも、   ・二度目の成人式 ・四十歳から飲める「大人の中の大人」限定の飲料キャンペーン ・二度目のハタチ採用活動   など、単なる「百貨店のキャンペーン」を超え、世の中の「四十歳」を再定義し、社会の価値観をも変えてしまう力を秘めていることがわかります。   このような言葉こそが「強い言葉」と言えるのです。   言葉を再定義し「強い言葉を生む」ための、オススメのやり方もご紹介しておきます。「再定義すべき言葉(課題となっているキーワード)」を、ノートの真ん中に書き、周りに言い換えを書いていきます。       他の言葉で、例を出してみます。   【飛行機の言い換え】 ・空飛ぶ映画館 ・電車より安全な交通手段 ・最速の移動手段   【水の言い換え】 ・お湯が冷えたもの ・薬(サプリサプリメント)を飲むもの ・植物の食事       飛行機を「空飛ぶ映画館」だと捉えれば、映画館で行っているサービス、例えば、3Dメガネを配って3D映画を上映したり、数種類のポップコーンが食べられたり、さらに進めると映画に合わせた飲食を提供したり(フランス映画とその地方のワイン、チーズなど)と、コンセプトからどんどん機内でのサービスへアイデアを広げていくことができます。   水を「薬を飲むもの」だと捉えれば「薬を飲むためだけのお水」というコンセプトが生まれます。酸性の薬(サプリメント)にも、アルカリ性の薬(サプリメント)にも合う中性、しかも成分の吸収を助けたり、新陳代謝を促したりすることができれば画期的な水が生まれます。これからの高齢化社会にあった商品として話題にもなりそうです。同じように水を「植物の食事」と捉えれば「植物専用のミネラルウォーター」というコンセプトで、植物の成長に適した成分を含んだ水、しかも人間も飲めるものを生むことができます。ペット専用のミネラルウォーターを作っても面白いかもしれません。   実際は、商品化やサービスの実現化に向けては、様々な検証、そして収支が合うかなど検討すべき点が多々ありますが、コンセプトづくり、アイデア出しというフェーズで見れば、かなり有効に使える方法論だと言えます。   以上のように、どんな業種、職種で働かれている方でも必要となる「強い言葉を生む技術」は、「再定義するコツを掴むだけ」で容易に手に入れられることがわかります。   何の拠り所もなく、コンセプトを生もうとしても、なかなか難しいものですが「再定義する」というシンプルな目標を掲げて、連想ゲームのように言葉を書き出していけば、驚くほど簡単に「強い言葉」「強いコンセプト」にたどり着くことができるのです。   課題を抱えて、頭を悩ませている方がいらっしゃったら、一度「再定義する」を試してみてはいかがでしょうか?     ...

  ニューアキンドセンター様で書かせていただくのも今回で3回目になりますが、1回目2回目と失敗談ばかりだったので、今回はちょっと失敗談ではないものを書かせていただきます。本日は「出資者」の話です。僕の起業で成功と呼べるのはここだけじゃないかと思うところもあり、本当に出資者には恵まれました。お陰でまだ生きています。   この辺の話は今まで以上に個別性が高く、100人の起業家がいれば100通りの創業資金調達方法があるとは思うのですが、とりあえず僕の経験からの話になります。僕の創業は何の実績もない人間が資産家を口説いて金を引っ張ったというだけの話ですが、周囲の創業事例を見るとわりとよくあるパターンのようです。何かのご参考になれば幸いです。 出資で起業するか自己資金で起業するか そもそもの話ですが、ベストは100%自己資金による起業です。出資者なしでやれるならそれがベストなんです。全て自己の裁量でやれますので、完全に自由な経営が可能になります。もちろん(誰にも株を渡さなかったとすれば)創業者利益も総取りになりますね。融資なども受けずに済むなら正にパーフェクトと言えるでしょう、返済も利払いもキツいしこれが一番いいですね。まぁ、世の中そんな都合の良い話はないんですけど。そんな金持ってて起業する意味があるかと言われたら微妙ですし・・・。   現実を言えば若手起業家が数百万~数千万の資金を完全な自己資金で用意するのはかなり難しいです。かなりの一流企業にお勤めのところからスタートでも、20代で真水の1000万を用意するのはそれなりにキツいですね。また創業融資などもある程度タネ銭がないと借りにくいです。出資金は返済義務のない資金ですので、そういう意味ではリスクが低いとも言えます。現実的なところを言うと、出資金と会社名義での借り入れを組み合わせて創業資金を作り出すのが一般的な段取りになるのではないでしょうか。出資100%なら返済義務がないので理想ですが、色々考えるとなかなかそうもいかないのが世の中の厳しいところで。   出資者の立場になって考えてみてください。それこそ「代表取締役が会社をブン投げて物理的に逃げた」という事態だってあり得るわけですよ。というかよくあるわけですよ。本当に社長というのはよく失踪する生物です。「おまえもリスクを負え、最後まで逃げない保証をつけろ」とは言いたくなるじゃないですか。(それでもわりと逃げるんですけど)創業融資は代表取締役が連帯保証人になるとちょっと金利が安くなったりしますので、この辺を負わされることが多いでしょうね。もっとシンプルに出資と融資を組み合わせてくる場合も多いと思います。   出資者と創業者の株式の配分に関しては、双方が納得するまで徹底的に話し合っておくべきです。少なくとも、「株式は100%出資者のもの」と主張する出資者の下で起業をするべきではありません。株式を一切持っていない創業者ですが、単なる定額働き放題プランですね。おまけに会社の借金の連帯保証人なんかになっていた場合逃げることすら出来ません。労働法規にも守られないのでほとんど奴隷です。まさかそんな条件で起業する人間がいるわけがないと思うじゃないですか。結論だけ言うとたまにいます。ここまで派手なアレじゃなくても序盤でこの辺が甘かったがために残酷なことになる事例はわりとありますね。   ある程度の自己資金を入れたり、会社の借り入れの連帯保証をしたり、あるいはプレイヤーとしての自分の必要性などを担保にして、納得できる割合の株式を創業者として獲得しておくことは最低限必要になります。この創業者として得られた株式ですが、将来的な創業者利益の担保であるとともに、自社内における今後の対人交渉、役員や従業員などに対してのとても強いカードでもあります。というか、代表取締役が切ることの出来るカードって本質的に金とこれしかないんですよ。   出資者はよく選ぶことを薦めます。極端な例ですが、出資を受けて創業してしばらくしたら、出資者が反社の人だったことがわかった、なんて事例ももちろんあります。きちんとビジネスプランに共感と理解があり、将来の夢と展望を共有できる、社会的に問題のない出資者を選びましょう。出資者の金の出所が不明なんてのは論外です。「気づいたら反社のフロント企業経営者だった」って話はですね、なくもないんですよ。経営が傾いたら彼らが寄ってくるのは有名な話ですが、創業からそもそも終わっていたパターンもあります。そして、しっかりと話し合った上で適切な配分で株式を受け取りましょう。何をもって適切とするかの根拠については、自分自身で考えるしかありませんけれど。   メイン出資者を選ぶチャンスは創業初期にしかありません。「出資者を選ぶのは自分だ」というつもりで出資者探しをするのがいいと思います。悪魔のような出資者ももちろん存在します。「良い大学出て良い会社に入った若者を俺のような人間がマトモに雇おうと思ったら安くて年600万はかかるが、起業という形で・・・」みたいなことをやっている人間は普通にいっぱいいます。(この話はそのうち細かくしたいと思います)   まとめ   ・出資者は選びましょう、間違っても反社から資金を得てはいけません   ・創業時の持ち株の比率は納得いくまで話し合ってください。議決権などの概念はよく勉強しましょう。初期メンバーや出資者の人数、事業の性質などによって最適解は変化します。   ・自己裁量で他者に譲渡可能な自分持ちの株式は、経営権や創業者利益の担保であるとともに今後極めて重要な交渉カードになります。迂闊に切らないようにしてください。   ・出資者に「食われる」ケースもそれなりにあることは頭の片隅に入れておいてください。 出資者の探し方 「お金を持っており、かつ事業に投資したい人」を探して、自分の事業計画をプレゼンするだけの簡単な作業です。僕は大学在学時代から果てしなく出資者を探し続けていたので、起業を具体的に考え始めた時には出資者の目処は大体ついていました。それで、「なんで僕に投資したんですか?」と出資者に尋ねようと思ったんですが、現在のザマでそれを尋ねるとかなり重苦しいことになってしまう気がしましたので、なんとなく予想してみることにします。そのうち風向きが良くなってきたら答え合わせをしましょう。   儲かりそう、と思わせる事業計画 これは基本かと思います。あくまで「儲かりそう」であって「儲かる」ではないのがポイントです。「絶対に儲かる事業計画」が仮に存在したとしても、出資者が「儲かりそうだな」と思ってくれなければ無意味なんですよね。僕は作図やパワポなんかはまるでダメですが、文章と喋りにはそこそこ自信がありましたので、これはそんなに苦労しませんでした。たぶん、これは狙う事業や個人のキャラクター性によってもやり方の正解が違うと思うので、とりあえず色んな人間に事業計画を話しまくって反応を見てみるといいと思います。(ただし、事業計画を丸パクって自分でやりそうな人間は避けましょう)それと、事業計画書は書きまくりましょう。就職活動のエントリーシートと一緒で、書けば書くほど、語れば語るほど洗練されていきますので。(実際の事業の成否とはたぶん無関係の技能ですが)   出資者のやりたいことと一致した事業計画 さりげなく非常に重要な気がします。これは地主系の皆さんであるとか、あるいは投資業で財を成した皆様にありがちなことですが、「実業をやりたいな」と考えている資産家の方はかなりの数います。でも、もちろん自分でやるのは面倒だしリスクも高い。しかし、出資する形で誰かにやらせて自分はオーナーになれば、出資した額面以上に損失が膨らむことはなく、事業に付随する各種リスクが降りかかることもない。ならやってみるか、そういう需要はこれだけ不景気の日本でもわりとあります。特に、飲食なんかは「やってみたいけど、自分でやるのは食中毒とか怖いし絶対嫌」という需要がわかりやすくありますね。「フレンチで修行したけど創業はオーナーの意向でハンバーガー屋」みたいな話もわりとある。そういうわけで、これは「事業の成功」という観点からは正しいとは言いにくいですが、「出資者に合わせて事業計画書を書く」もナシではないです。少なくともある程度合わせる柔軟性はあった方がいいですね。   出資者が「あいつに金を託した」と胸を張れる何かを持つ ぶっちゃけたところですが、資産家である出資者から見て子飼いの起業家はちょっと値の張るペットみたいなものです。ワンワーン。 僕は、起業における主役は(出資を得ての起業の場合)起業家ではなく出資者・投資家だと思っているんですが、主役の皆様が気持ちよく「俺の下で会社やってる奴なんだよ」と紹介出来るだけの何かを持っておくと、必ず役に立つと思います。そういう意味で、「経歴なんか起業するなら役に立たない」という話はあんまり説得力がないと感じています。また、経歴というのは必ずしもキラキラしたエリート路線ばかりとは限らず、「地べた這い回って来たぜ」みたいな現場アピールするラッパーみたいな経歴もそれはそれで強みになります。持ち味を生かしましょう、人生はいつだってそうするしかない。   直接的に出資者の役に立つ能力 出資者は事業に金を出すわけですが、出資者と起業家の関係は実際もうちょっと密接だったりしますので、直接的に出資者様のお役に立てる特殊技能があったりするとかなり出資を得やすくなります。ほら、なんだかんだ人間の懐に滑り込むのには「具体的に役に立つ」って一番早いじゃないですか。僕のメイン出資者は地主様ですが「あなたの周囲で発生するめんどくさい仕事やスジの悪いあれは全部やります、やらせてください」「やります」「やります」などのプッシュが効果を発揮しました。人間、気合いを入れればわりと色んなことが出来ますので気合いだと思います。とりあえず「出来る」「やらせろ」と言ってみる姿勢です。多少色んな人にタダ働きさせられがちになるのは経費と思って諦めましょう。   人間的共感 出資者との間にある種の共通する価値観や共鳴する理念があることがとても大事だとは思います。結局カネを出す出さないの最後の一線ってそこになってくることが多いと思うんですよ。まぁ、出資を得るためにはある意味自分を偽ってでもこれを出資者との間で作り出さなければならないこともあるでしょう。でも、理想を言えば自然な形で出資者との間に人間的共感が発生しているのが一番良いですよね。僕がこうして大失敗しても未だに僕の出資者は僕に良くしてくれています。これは、やっぱり人間的に共感出来る部分があるということが大きく、そういうところが確保出来ていると理想だと思います。それだけに何とか恩は返したいですね・・・。頑張ります。次は上手くやります。   まぁ、こんなところかなぁと思います。とにかく色んなところを駈けずり回って、お金を出してくれそうな人に会ったらゴリゴリプレゼンをする。いつ、いかなるタイミングでも、口から事業計画が(それも可能であれば出資者ごとの特性に合わせてある程度カスタマイズされたものが)溢れ出るくらいまで高めて人生を送ることが重要なのではないでしょうか。僕のそう長くはない人生でも、これで複数の出資者候補は確保出来たので、多分やればできるのではないかと思います。こないだも「1億貸そうか?」という話がインターネットから転がって来ましたし。(どうなるかわかりませんが、今度一回お会いしますかという話になりました)   「事業に投資したい資産家がいる場所ってどこだよ」というお話ですが、流石にそれは自力で見つけてください。どっかにはいるんだから必死で探せばそのうち見つかるかもしれないですよ。流石に僕の金脈を他人に渡すことは出来かねます。僕だっていつかはもう一戦やるんですから。気合い入れて探しましょう。うまいこと見つかったら僕にも紹介してください。俺のものはやらないがおまえのものはくれ。   「起業して成功する」ことはともかく、「出資を得て起業する」というところまでは、「とにかく俺は起業をするし、儲けるし、あんたを儲けさせるし、事業プランももちろんある、俺の話を聞け」と叫び続けて人生を送ればどこかのタイミングで打席に立つチャンスが巡ってくるものなのではないかな、と思います。あとは、なるべくチャンスのありそうなところに移動していく嗅覚みたいなものも必要かもしれませんけれど。まぁ、それは各自与えられた条件の中で頑張るしかないところだと思います。こないだも「株式の10%で1500万出資受けたよ。未経験の業種で初創業だったけど」って人類と遭遇して「マジかよ」ってなったので意外とチャンスはあるんだと思います。やっていきましょう。   まとめ   ・事業計画書を書きまくる、いついかなる時でも事業計画を話せるくらいまで練る。   ・出資者の希望や性質に合わせて事業計画を書くのもあり。   ・出資者にとって金を出す理由になるだけの経歴や肩書きがあると良し。   ・直接的に出資者の役に立てる技能があると懐に潜り込みやすい。   ・人間的共感が発生していると理想的。   ・やっていきましょう。     ...

  学生時代に、飲食店でアルバイトをしていた。   「アットホームな職場」、「安心のオープニングスタッフ」。求人誌はどれも胡散臭く感じられたため、前から気になっていたダイニングバーに飛び込んで、半ば強引に雇ってもらった。   未経験だったため、最初の2カ月はお客さんの前に立つことすら許されないまま、皿を洗って過ごした。そのうち先輩たちが軒並み辞めて、店としてはかなり消極的な理由で、僕の接客デビューが決まった。   愛想は良い方だとわかっていたから、接客で売り上げを伸ばすことの楽しさには、すぐ気付いた。「また来るね」と言ったお客さんが本当に来てくれることがやり甲斐で、金曜・土曜に2時間制を敷かれるとサービスに時間をかけられないことだけが不満だった。 高そうなスーツと、高さのあるヒールを履いたカップルが来ると、あえて男性側に気を配る。   おしぼりを男性に渡す素振りをして、その男性が女性を優先させる人か判断する。おしぼりを女性に譲るジェスチャーをすれば、以降は全て女性優先。小さなことだけれど、「エスコートできる男」をアピールできるひとつめのチャンスが「おしぼり」だから、そこは自分が悪者になってでも男性をアシストすると決めていた。   場の支配も、できるだけ男性に委ねる。会話の邪魔にならぬよう、テーブルの前に立つ時間を極力減らす。このディナーが、この日のデートが、ふたりの夜がうまくいくことを、そっと祈りながら迅速なアシストを続け、黒子に徹していた。   無事にデザートかコーヒーまで辿り着き、女性がトイレに立った瞬間にカード会計をスマートに済ますと、僕は心の中で「うまくいきましたね」と、男性と自分のタッグを褒め称える。恐らくは、ミスのない完璧なエスコート。男性も女性も、酔いすぎることはなく、心地よい気分で店を出る。 そんな接客業での経験を経て、社会人になった。   社会人といっても、所得はそこまで高くないし、ワインにやたらと詳しいだとか、食べた瞬間にソースに入っている食材がわかるとか、そこまで繊細な舌も持ち合わせてはいない。   それでも、過去の経験が良くも悪くも活きるのか、サービスや料理を楽しんでいると、「お気に入りの店」というのがチラホラ出てくる。例えば、僕が好きな接客は「サービスマンの存在感がほとんどないのに、テーブルの上はいつもキレイで、お酒も適量な状態が保たれていること」。これができている人に出会うと、絶対にまた足を運びたくなる。   そして25歳のとき、誰にも教えたくない、とびきり「お気に入り」の店ができた。 「ちょっと背伸びしたデートをしよう」と、予約もしないで入ったイマドキなレストラン。店内に水槽があるようなイヤラシサは皆無で、5つ星ホテルのような堅苦しい雰囲気もない。オープンキッチンならではの緊張感と臨場感がフロアに活気をもたらし、そこに微かに聞こえるBGMが調和をもたらしている。   初めての店では、純粋にその店のオススメが知りたいと思い、7,000円か8,000円くらいのコースを頼んだ。社会人3年目の「オトナ」なデートには、丁度いい値段。 テーブルに着くと、おしぼりとドリンクメニュー、ワインリストを渡される。僕に差し出されたおしぼりを軽いジェスチャーで彼女に向けると、綾野剛のような薄顔のサービスマンは「失礼しました」と言いながら、笑顔で彼女の手元へ。   シャンパンのグラスとコースをふたつ頼むと、店内を見回す。オフィス街にあるからか、平日だとビジネス利用が多い。外国人も見受けられ、顧客の年齢層は30~40代くらいに見える。   25歳当時の自分たちからすれば少し背伸びしたように思えるその店の端、僕らのテーブルに、ナイフとフォークが添えられた。 一品目を食べ終わったところで、サービスマンがフォークとナイフを新しいものに取り換える。ソースがべったりついたソレを一皿ごとに変えるのは、贅沢すぎる気もするけれど嬉しい。僕らは今夜、贅沢をしに来ているのだから。   そして、テーブルの上に新たなフォークとナイフ、グラスだけが置かれた状態になって、ふと気付く。僕の手元にあるナイフとフォークの位置が、先ほどと左右逆になっていることに。 これだけサービスやらレストランについて書いていながら恐縮なのだけれど、僕はフォークとナイフを左右逆に使う癖が、昔から治らなかった。まるで左利きのように、フォークは右手、ナイフは左手で食事をする。   この店のサービスマンは、それを1皿目で見抜いて、2皿目から即座に対応してきたようだった。   お客さんのことを、めちゃくちゃ細かく見ている。なのに、「これで正解でしょ?」という自己顕示欲は微塵も感じさせない。こちらの動きを先読みしているかのように、二皿目以降も絶妙なタイミングで、さりげなくも完璧なサービスを続けた。理想的すぎるおもてなしを受けて、僕はその店をえらく気に入ってしまったのだった。   店を出る直前、少し混雑も落ち着いてきたようだったので、エントランスで店長を呼びだしてもらう。すばらしいサービスだったこと、ビジュアルも楽しくて美味しい料理だったこと、店内の雰囲気がよかったこと、その場で感じたことをできるだけ伝えると、店長が名刺を差し出した。   「よかったら、いつでも遊びにきてください。連絡をくだされば、また彼にテーブルを任せます」   あれから5年。たったひとつの接客術によって、僕は特別な日を迎えるたびに、この店に足を運ぶようになった。相変わらず隙のない最高のサービスと、アイディアと企画性に満ちた楽しい時間を過ごすために。     ...

  「地球上になかった味」と評され、カレー通たちから支持される『火星カレー』。   池袋駅西口から徒歩3分ほどの場所にあり、かわいい看板が目印です。カウンターとテーブル席が4つのカレー屋さん。 火星カレーの特徴はなんといってもこのメニュー構成。さまざまなお肉がカレーの具になっています。鶏、豚、牛といった定番はもちろん、カンガルー、馬、鹿といった他では見たことないカレーがずらりと並びます。 ▲鴨カレー880円 + 豆トッピング100円 鴨カレーに豆トッピングです。 彩り鮮やかなお豆はチキンスープで煮ています。ごはんはかるく焼かれて焦げ目がついており、香ばしい匂い。ルーは水分の少ないタイプですが、ドライカレーともキーマカレーとも一味ちがいます。水をほぼ使わずに、野菜から出た水分で作っているそうです。ルー1皿あたりニンニクが1かけら半入っているそうですが、独自のスパイス配合が効いてぜんぜん臭くありません。たしかにいままで食べたことのない味。これはクセになりますね。 ▲カンガルーカレー1080円...

  学生時代、世界は変えられると思っていました。専門は国際政治で、紛争解決。ビッグな研究にビッグワード。さすがに平和を作れるとまでは思っていませんでしたが、平和が生まれる仕組みくらいは解明できるだろうと。   ビッグなテーマを扱うと、夢も大きくなる。学生起業を思いついたのは、そんな時のことでした。   結論から書きますが、私は2社起業して両方ポシャりました。2社目はそこそこ起動に乗せましたが、最初の失敗はひどかった。けれどひどい失敗ほど学びも大きいものです。ですから今回は大言壮語を振り回して盛大にズッコケた最初の起業についてお話させていただきます。   起業したのは帰国子女向けの教育事業でした。海外に長年滞在した高校生は、大学受験で帰国生向けの推薦入試を受けられます。推薦入試とはいえ事前に滞在国のセンター試験結果に近いスコアを提出する必要があるほか、大学によっては別途筆記試験も課されます。   ところが帰国子女の高校生には卒業して日本へ帰ってから、最初の入試まで準備期間が2カ月しかありません。それゆえ本来の能力を発揮できず第一志望に通らないことも多々ありました。それで「通信教育で帰国前から対策できる仕組みを作ればいいんじゃないか」と考えたわけです。 目的に合致した人しか起業仲間にしてはいけない ここで私は、起業家が「絶対にやってはいけない」ミスを犯しました。当時の彼氏と起業したのです。他に参加したのは彼氏の友達。そして私以外の創業メンバーは金に困っていました。考え得る限り最悪のチョイスです。   何があっても、起業はビジョンが合う人としかやってはいけません。目的に合意できないと、経営方針がブレるからです。私が通信教育で作りたかったのは「帰国生が実力を発揮できる世界」でした。当時の彼氏が求めていたのは「東大に通っている自分の学力で楽にこなせる仕事」でした。彼の友人が求めていたのは「すぐ手に入るキャッシュ」でした。   全員、目的がバラバラです。目的が違えば細かい施策で揉めます。揉めている間は商品の質が上がりませんから、盛大な時間ロスになりました。実例として、知名度を上げるために広告を打とうとしたことがあります。海外在住の日本人向け新聞へ出稿したのです。   そのときは残念ながら集客に繋がりませんでした。しかし「帰国生が実力を発揮できる世界」を目指す仲間なら、広告をどう直すべきだったのか、媒体は正しかったのかレビューしたでしょう。しかし「すぐ手に入るキャッシュ」を求めていた彼の友人はみんなで出し合った広告費が捨て銭になったと怒りました。   テストプランとして出稿したイギリスの新聞広告は、2017年現在もたった£12(約1,600円)。(http://www.news-digest.co.uk/news/classified/apply.html)けれど彼の友人はお金がなく、とにかく儲かると信じて起業に参加していました。だからわずか1,600円で大揉めしたのです。   目的が違う相手と起業してはいけないと書きましたが、特にお金に困っている人と組んではいけないと学びました。仕事柄、ベンチャー企業へ伺うことも多いのですが、成功事例を聞いていても最初の1年は赤字覚悟。正直、お金に余裕のない人間は家庭教師のバイトでもした方がよさそうです。   けれど起業の声かけをして集まる人の半分は「事業売却でがっぽり儲ける」「寝てても従業員が働いて儲かる仕組み」を夢見ています。こういうタイプをスタートアップ期に招き入れるのは最悪の選択肢です。 具体的な失敗と廃業までの流れ ここからは、あまり振り返りたくもない廃業までの流れをご覧いただきましょう。最初は口コミもありそこそこ生徒が集まりました。時給2,000円のバイト程度。これでやる気を出した我々3名は、さらなる集客を考え広告投資を決めます。   「帰国子女にヒアリングしたから」と自信満々に新聞広告を打ちましたが、前述の通り集客へ繋がらず、彼の友人が怒ります。「儲からないなら教材づくりは協力したくない」「じゃあ報酬は払えない」などしょうもない小競り合いをするにも時間を使います。   次第に全員が「何でこんなに時間を使って儲からないんだ」という思考になっていきました。揉めているだけで何も顧客へ価値を提供していないのに、働いたつもりになってしまったのです。   その後は「広告に出資した金返せ」なんて話になった挙句、彼の友人が音信不通に。添削指導にも人材が必要なので、人手不足から通信教育の質が下がり、ゆるやかに生徒が減り始めます。   仲間を探そうと起業の話を同級生にしてみましたが「一攫千金」タイプが集まるばかり。安定した年商が上がったら法人化しようと思っていたのが不幸中の幸いか、アッサリ廃業が決まりました。彼との関係はこの後しっちゃかめっちゃかになり、最後はmixiで相談を聞いてくれた女性に寝取られてTHE END。 起業は華やかで、経営は地味だから 「起業」という言葉は華やかです。ベンチャー企業のウェブサイトには、顧客の世界を変えるソリューションが溢れています。しかし経営と廃業はとても地味。ビッグマウスにふさわしいスモールワールド。けれどすべて自分の責任です。   調子に乗った自分が友情と恋愛関係を壊しました。金じゃどうにもならない人間関係を、金でトラブって壊してしまった。当時は人間不信っぽく相手を責めてみましたが、悪いのは全部自分です。バカ、本当にバカ。あの日の未熟な自分を殺してやりたい。   その後、目的が合う相手と再び企業を志すものの同じく広告戦略でコケて頓挫。モノの売り方を学ぶため、就活で外資系企業のマーケティング部門へ入りました。   今の私は、世界を変える起業はできないかもしれません。けれど自分の担当した商品が売れることが大きな喜びです。それは当時の私が死ぬほど成し遂げたくて、できなかったことでした。     執筆:トイアンナ ブログ:トイアンナのぐだぐだ     ...

  通勤時間、無駄だと思いませんか。 というか、あの時間って会社のための時間なのに、給料は発生していないんですよね。どういう事ですか!   すみません。突然熱くなってしまって。 しかし片道2時間の通勤中、ふと「何だこの時間は」と思ってしまったんです。しかも毎日のように電車遅延するし、すし詰め状態の満員電車だし、お腹の調子は悪いし。そしてふと、「毎日何やってるんだ!」と思ってしまったんです。   度々すみません。 しかしみなさん、在宅勤務とかリモートワークとか、通勤時間の存在しない働き方がしたいと思いませんか。毎日頑張って会社に出社している企業戦士のみなさんなら、一度はリモートワークという働き方を夢見たことがあるはずです。   わざわざ会社に行かなくても自宅やカフェ、海でも川でも山でも正直どこでも仕事はできる!リモートワークさせて欲しい!   とは言いつつも実際リモートワークって、しっかり仕事できるのかわからない・・・。リモートワークだと部下やチームメンバーの顔が見えないし、サボってる可能性もある・・・。対面じゃない分、相手とのコミュニケーションが上手くいかなくて仕事しずらいかも・・・。   なんか不安や疑問など懸念材料ばかり出てきますね。そんな中、Hamee株式会社の開発部約30名が一斉にリモートワークを実践したようです。2週間以上前に開催の旨を告知して、Wi-Fi環境や問題があった時に集まれる場所等、考えうる最低限の準備をした上で実施されたそうです。   その内、はじめてリモートワークを実践した方と既に週1リモートワーク中のエンジニア2名にお話を伺いました。       ▼リモートワーク初めて!マドンナエンジニア:甲斐氏の場合 ▼週1でリモートワーク。ハブられてるわけではないエンジニア:瀬尾氏の場合 ▼リモートワーク全面導入!ソニックガーデン代表取締役:倉貫義人氏の評価       集中力と作業効率は通常の2倍。甲斐愛佳氏の場合 ▲甲斐愛佳氏...

  労働者は強い。創業期人材のジレンマ。 従業員は会社に利益をもたらしてくれるとても重要な存在です。人間一人にこなせる業務の量が有限である以上、業務を拡大しようと思ったら従業員を雇うというのは有力な選択肢になってきます。会社経営というのは、つまるところ従業員に給料を払って、支払った額以上の利益を出すことですからね。従業員は利益の源泉そのものです。   その一方で、従業員のことを「労働力を販売しに来る取引先」として考えると、あまり良質な取引先とは言えません。極論をすればですが、「その日に欠勤されたら会社に大損害が出る」という日であっても、体調が悪いと従業員が主張すれば出社させることは不可能です。また、一応、法的には一定期間を経た後でないと退職できないというルールは無くもないですが、本人が「就労不可能である」と宣言すれば、会社に引きずり出すなんてことは一切出来ません。そして実体験ベースで言いますが、わりとバックレます。(これに関しては別に訴訟起こしてもいいんですけど、割に合わない)   創業期も半ばに差し掛かり、従業員が増え始めるとこれまで創業メンバーだけで回していた頃とは全く別種のトラブルが頻発するようになると思います。また、「人を使う」ということの難度の高さに直面せざるを得なくなります。実際ここで、「人的規模の拡大は志向しない」という方向に舵を切る経営者も少なくないです。まぁ、僕の事業はどうしても拡大するとなれば従業員を増やすしかない業種でしたので、前回のエントリに引き続いて、こちらも失敗の話になります。   労働者の権利は強いです。そして、恐ろしいことに労働者は支払いを待ってくれません。大抵の取引先は電話して事情を話してお願いすれば支払いを多少待ってくれたり(まぁ、今後は都度、現金払いでお願いしますみたいなことになることもあるけど)するものですが、従業員にはそういうことは一切通じません。遅配なんか出した日には、従業員との信頼関係は完全に終わりだと思っていいでしょう。あの状況まで追い込まれた時の従業員は最悪の債権者です。金融機関の取立てよりずっと恐ろしいですよ。また、給料を止めたまま従業員に仕事をさせるというのはね・・・。本当に何が起きるかわからない世界に突入します。   なにより恐ろしいのは、従業員に対しては「一定期間に一定量の労務を提供する、労務の提供が契約通り成されなければ違約金を支払う」というような、通常の商取引では当たり前の観念が一切通じないことです。労働者は(まぁ厳密に言えば1ヶ月程度のあれはあるけど)いつでも会社を辞められるのです。社員数人規模で事業を回している時にこれがどれほど恐ろしいことかは少し考えてみればわかると思います。   しかし、創業直後の会社に「辞めてもいい人間」なんてものを置いておく余裕があるかといえば、あるわけがありません。経営効率の面だけで言えば、全ての従業員が代わりの利かない存在であることが理想です。しかし、言うまでもなくそれは「どこが崩れても総崩れ」という状態に他なりません。更に、「自分が抜けるとこの会社は大変なことになるだろうな」ということに気づいた従業員は際限のない要求を始めます。   そういうことをしない人間を雇えばいいという話かもしれませんが、これはとても残念なことだと思うんですけど、毎日が乱戦状態で業務マニュアルなど存在すらしない創業初期に、「会社の弱みにつけこんで金を抜こうとする」程度の知恵の働かない人間では、なかなか戦力になりえないのです。状況を読み、雇用主と報酬の交渉をする。これはプレイヤーとしての優秀さの表れそのものですし、労働者としては当たり前の権利です。これが出来ない人間が優秀なわけがない。これが創業期人材のジレンマという概念です。(今考えました) 起業家と労働者の利害は一致しない そもそも、株を持っていない従業員にとって「未来の成功」なんてのは絵に描いたモチでしかないんです。今月払われる給与、それが従業員にとって世界の全てです。特に、創業したばかりの会社に株も貰えない状態で入社するような人間にとっては。創業したての零細企業なんて、3年後には存在してない可能性の方が高いわけですからね。未来の展望なんて、客観的に見たらクソほどの価値もないわけですよ。このクソほどの価値もないものをいかにキラッキラさせるかが経営者の腕とさえ言える。   創業期の会社における経営者と労働者の利害は、根本的に一致しないのです。もちろん、「従業員としての待遇を維持したまま株をよこせ!」と主張する人間も出てくるでしょう。(まぁ、経営者だって「株はやらないけど役員にならない?」って言いますしね、これはお互い様です)   従業員を雇って会社を回すということは、能力の低い使えない従業員と、能力はあるが当然要求も苛烈な従業員との終わりなき戦いです。要求されるがままに金を払っていたら倒産しますし、与えられる株の数は当然有限です。(まぁ総量を増やすことも出来なくないけど、他の株のホルダーがブチギレると思う)   かといって、有能な従業員に逃げられても大変なことになります。そして従業員に重要なポジションを任せられなければ利益はなかなか出ないですし、経営者が全く休めないということになります。その一方で重要なポジションを掌握されたら相手に交渉力が発生してしまう。「従業員が徒党を組んで全く同じ業種の別会社を立ち上げた」みたいな話だってよくあることです。取引先もノウハウも顧客も全部ゴッソリ持って他社に移られた、なんて話は最早聞き飽きたレベルですね。僕もやられました。   これはもう、模範解答の無い終わりなき戦いです。例えば、従業員Aに「辞められたくなければ俺の給与を上げろ」と脅かされたとします。仕方なくあなたは従業員Aの給与を上げました。そりゃもう従業員B、C、Dが出てきますよね。出資者(株主)も怒るかもしれませんね。他の役員たちも口々に不満を言うでしょう。そりゃね。人間、他人の給料には本当に敏感ですからね。まぁ、Aに口止めをするなどの措置はなくもないですけど、小さな規模の会社でバレずにそれをやれるかというとね…。   また、従業員は大抵の場合「自分の業務」を「自分だけがこの業務に精通している」という状態に持って行きたがります。業務ブラックボックス一丁あがりです。(これは労働者の振る舞いとしては大変正しい戦略なので、労働者の皆さんは積極的にやりましょう。僕もそうしています)「あなたの仕事を全部この人に伝授してください」という指示を出して、素直に仕事を教える従業員ですが、体感的には「存在しないんじゃね?」と思うレベルです。このようにして「新人潰し」や「課長も逆らえない現場のババア」などの概念が発生します。まぁ、でも、これもやっぱり労働者の処世術としては正しいというしかないですよね。 従業員が憎い 正直なところ、会社の規模を一定以上に拡大した後、信じられないほど従業員に対して冷酷になる経営者ですが、「気持ちはわかる」としか言いようがありません。僕だって従業員が怖くて出社拒否したい日が何度もありました。従業員を「仲間」とか「味方」とかそういう認識をするのは、余程運と人徳に恵まれた経営者以外は不可能だと思います。「タチの悪い取引先」くらいが穏当な表現で、「敵」と表現する経営者にも会ったことがあります。   彼は「自社の従業員の大半が大嫌いだし、もう少し会社のスケールを上げて収益を仕組み化したら古参の人間は全て排除する」とベロベロに酔っ払って語っていました。彼が転ばずに走りぬけたら、立派なブラック企業経営者になるんだと思います。そんな彼の会社の求人広告には「アットホームな職場」と書かれていました。確かにそういう家庭もありますね…。   何故か、わりと多くの人が「経営者は労働者より強い」と思っています。でも、創業期の会社に関してはこれは完全に嘘です。余裕で労働者の方が強いです。だって、経営者の切れるカードってせいぜい「減給」と「解雇」くらいしかないんですよ。創業したての零細企業をクビになるのが怖い人間なんてそんなにいないですよ。(たまにはいますが、そういう人間が優秀な人材である可能性は低いでしょう)   例えば、従業員10人のそこそこ儲かってる零細企業があるとしますが、ある日突然5人が辞表を出したら大惨事ですよ。普通に倒産まであります。実際、「従業員が全員辞めた」みたいな話は経営者界隈で結構聞きます。「従業員が逃げたけど、仕事止めたら違約金が・・・」って僕に電話かけてきた社長もいました。すいません社長、ちょっとブログとツイッターが忙しくてお力になれませんでした。まぁ、今の僕には動員できる人間もいないし事業もコケて顔も効かなくなったのでどの道お力にはなれなかったと思いますけど。   僕も現在は給料を頂戴する身の上ですが、改めて労働者は最高です。何せ、会社にどれだけ損害与えてもよっぽどコンプラ的なアレでなければ訴えられることもないし、最大のリスクが「クビになる」ですよ。こんなのノープレッシャーもいいところじゃないですか。ここ数年、毎月給料日は本当に憂鬱だったのですが、貰う側になると本当に楽しいものですね。最高です。そりゃ「労働者が憎い、従業員が憎い」って気持ちにもなるよなぁと改めて思いました。   そういうわけで、僕自身も創業期にある企業がどのように人材を確保しマネジメントすればいいのかについてはあまり明確な答えを持っていません。「創業者のカリスマ」とか「マインドコントロール」とか「やりがいを与え、夢を見せる」とか「零細企業でもクビになりたくないレベルの人材でなんとか利益を上げる方法を考える」とかそういう方向性なのかなぁと思います。   よく、自社の未来の展望を熱く語って社員をウォー!させてるイケてる新興企業の社長がいますが、あれ本当にすごい能力で、株も分けてもらってない社員に会社の未来の展望なんてさして関係ないし、そんなんどうでもいいから今月の給料上げろって話じゃないですか。普通に考えて。ハチャメチャに上手くいったところで、どうせ一番先に利益取るのは株主で次は経営者、従業員なんて最後におこぼれを貰う程度でしょう。そりゃ経営に食い込むレベルまで登りつめてた人は美味しいかもしれないけど。   事業拡大が上手くいったところで末端従業員の平均給料なんかそんなに上がらないです。事業拡大とともに利益率がアホほど上昇するならともかく、総売り上げから人件費に配分出来る割合なんて事業規模が拡大してもそんな変化しないんですから。事業規模がデカくなったらその分人件費も増えるわけで。しかも拡大期の採用なんてムチャクチャなんだからロスもでかくなる。まぁ、出世して給料を上げるチャンスは増えるかもしれないけど。   創業期の会社には、人間に夢を見せて非合理的な努力をさせるある種の能力が必要になるということなんですかね…。僕はどうしてもそういうのが得意ではないので、未だによくわかりません。でも、そういうことが出来る社長が勝ってますね、やっぱり。   で、起業を志す皆さんどんな感じでやっていこうと思いますか?従業員を雇って上手いことやるイメージはできましたか?「有能だけど安く働く忠誠心溢れる労働者が欲しい」って思いましたよね。でもね、それを100人単位で調達出来るならあっという間に億万長者なんですよ・・・。僕も次の事業のためにここは非常に考えているところなんですが、あまり倫理的でない手段しか思いつきません。コンプライアンスはとても大事です。社会に怒られます。やっていきましょう。    ...

  こんにちは、小鳥遊しほです。   イラストレーター、フードコーディネーター、コラムニスト、モデルをしています。去年「株式会社おもうつぼ」という会社も作ってみたので社長というのもやってます。いろんなことをしてないと死んでしまう病なので肩書きばかりが右肩上がりですが暇をこよなく愛しています。   さて突然ですが、「まだしたことがない事」って誰しも必ずあるじゃないですか。指先だけでスマホから知識が湧いてくる世の中だけど、物事は経験だなって歳を重ねるたびに思うわけですよ。やっぱり自分の目で耳で全身で感じなければということで、さぁ!どっか行こう!という新企画です!     編集部:「小鳥遊さん、なにしたいですか?」   小鳥遊:「工場いきたい!ビール工場って良い取材ができると思うなぁ〜」   編集部:「それ、飲みたいだけじゃないですか?」   小鳥遊:「そもそも工場見学ってデートに向いてると思うんですよ。脱マンネリ化に工場デートを!って内容ステキじゃないですか?」   編集部:「てことはビールじゃなくてもいいってことですよね?」   小鳥遊:「いや、あの、でも〜...

  正しい商品管理で「スピード」を! 欲しいと思った商品は、ほぼ全てインターネット通販で手に入る、という世の中になって久しいですが、今では注文してから当日~翌日には商品が届く時代になっています。そのため、ネットショップには商品を発送するまでのスピード感が求められています。   それでは迅速にお客様に商品を発送するには、何をすればよいのでしょうか。 素早い受注処理、発送業務の効率化などが考えられますが、意外と見落としがちなのが「商品管理」。 正しい商品管理をすることで、在庫の健全化はもちろん、商品に関わる様々な作業削減が可能です。それでは実際にどのような見直しを行えばよいのか、ポイント3点に絞って説明していきたいと思います。題して、「楽するための商品管理3か条」・・・!   楽するための商品管理3か条 1.商品管理は在庫管理に始まり在庫管理に終わる 2.倉庫管理の状況は関係者全員で把握 3.売上分析でアイテム数を見直すべし 1.商品管理は在庫管理に始まり在庫管理に終わる 在庫管理がどれほど重要かは、通販事業者の方はお腹が痛くなるほどお分かりだと思います。 余談ですがツイッターでいたずらに「通販 在庫管理 できてない」と検索したら、購入者による怨嗟のツイートが見れました。   ツイッター検索結果「通販 在庫管理 できてない」   恐ろしいですね。お腹痛いです。 さて、まず商品管理を行う上で一番始めに見直して欲しい「在庫管理」。読んで字のごとく在庫をしっかり把握することです。   もっと言うと、商品在庫の流れを把握することで「どの商品」が「どの期間」で「どの程度」流れて(売れて)いるのか、を把握することです。在庫を数字にしてみると、思っていた感覚とズレてしまっていることも意外と多く、「冷や汗出るほど過剰在庫を抱えてしまっていた!」なんてことがよくあります。   在庫回転率で在庫の動きを把握 まず、「どの程度」在庫が回転しているかを把握するには「在庫回転率」から算出することができます。在庫回転率を算出することで、「少数在庫になることの販売機会損失」や「大量の在庫を抱えて期末在庫が増え、粗利圧迫」などの、在庫に関わるリスクを抑えることができます。     そして不良在庫が発覚した場合には期末などのタイミングで破棄することも必要です。滞留在庫期間を決めて滞留期間が過ぎたアイテムは在庫アイテムから削除していくようにしていきましょう。 2.倉庫管理状況を関係者全員で把握する 倉庫の在庫管理をしっかりすれば良いかというと、そうともいえません。 どのように倉庫管理をしているかという情報を現場レベルだけでなく、関係者全員で把握できるようにしましょう。   というのも実際に帳簿をつけたり棚卸しを行うのは倉庫担当者ではない場合が往々にしてあり、倉庫管理のルールや状況がきちんと共有されていないと、棚卸し時のカウントミスや、作業時間が余計に掛かるといったリスクが発生します。   また、ついつい倉庫の現場サイドに合わせてピッキングしやすいロケーション管理になりがちですが、これも棚卸しの際には都合の悪い場合があるので、良く考える必要があります。   最適なロケーション管理は、棚ごとに何を置くのかを固定して管理する方法と、流動的に場所を変えていく方法などがあります。企業によって運用ルールを決めるのが良いのですが、それぞれメリット・デメリットを記載しましたので、ぜひ参考にしてみてください。   商品ロケーションを固定する方法 メリット ・置き場所が明確になっているため、商品の出し入れ、品揃えに時間がかからない ・場所が固定しているので、違う棚に同じ商品を入れるミスが少ない ・ピッキングの最短ルートを事前に検討できる   デメリット ・棚が空いていても商品群が違う場合は入れることができない ・ケースによっては品揃えに時間がかかる場合がある   商品ロケーションが流動的な方法 メリット ・好きなところによく売れる商品を並べて、ピックしやすくできる ・空きの棚を作ることなく並べることができる   デメリット ・変更があった際、場所を共有していないと、探しながらピッキングをすることになり時間がかかる ・同一商品が違う棚に並ぶことがあり、正しい個数の把握が難しい   定期的な実地棚卸し また、可能であれば実地棚卸しは定期的行った方が良いでしょう。帳簿上の在庫数値を鵜吞みにするのではなく、定期的に実地棚卸しを実施して数量を把握することが重要です。   定期的に実地棚卸しを行う事で、不良品の発見など予期しない在庫の差異をあらかじめ把握することができます。棚卸し作業は在庫数量が多いとその分時間がかかるので、「流動性の高い商品を中心に行う」など運用ルールを決めて実施するようにしましょう。 3.売上分析でアイテム数を見直すべし 在庫管理からその年の「在庫回転率」と「平均在庫金額」を算出し、現場だけではなく関係部署にも同じ情報が流れることで売上分析の土台が出来上がります。 売上分析で売り上げに貢献している商品アイテムを把握することで、商品アイテム数を絞り込むことにつながり、必要最低限のアイテムで在庫数を管理できるようになります。この管理が実現できれば、今まで不要な商品アイテムに費やしていた時間を短縮し、また不良在庫の発生を抑えます。 正しい商品管理、パワーはいるけどやる価値はある 在庫管理は原価管理という見方もありますが、情報を上手く用いれば売り上げ、粗利拡大などの戦略に用いることもできます。感覚で売れ筋商品と思っているものが数字を見ると現実は違っている可能性もあります。   正しい商品管理を行う時には手間と時間が掛かり、人件費も費用も掛かります。が、長い目で見ればメリットに変わっていくはずですので、一度未来に向けて投資してみてはいかがでしょうか。     ...

  ▲おふろの国「ゆ」のネオンが揺らぐ鶴見川。この川周辺にスーパー銭湯が3つもひしめき合う激戦区となっている。     私は1年程前からサウナが好きだ。 好きというより愛してる。いや、愛してるではなく空気のようにあって当たりまえ、完全に本妻としてサウナを迎え入れている状況だ。   サウナの良いところとして、一番に挙げられるのはリラックスできること。一人ハダカになって熱いサウナと冷たい水風呂を往復することで、日頃のモヤモヤや将来に対する不安などが、いつの間にかすべて汗とともに流れ出てしまう。   そんなサウナのこと、サウナ施設のことをもっと知りたいと思い、いろんなサウナを巡り歩いていたら、リラックスとは違う、自分の心に火を灯すような元気を与えてくれるサウナ施設と出会うことができた。 それが今回ご紹介する神奈川県横浜市鶴見区にある「おふろの国」。   「おふろの国」は、プロ熱波師の「サウナ皇帝」井上勝正をはじめ、全国の温浴施設看板娘で構成するアイドルグループ「OFR48」、歌うマッサージ師大西一郎など多彩なスタッフを抱え、No.1熱波師を決める「熱波甲子園」や「大サウナ博」、「熱波道プロレス」などユニークなイベントを多く打ち出す異色のスーパー銭湯だ。   ん?プロレスが入ってた?とお思いの方。正しい反応ですが、読んでいただければ腑に落ちると思います。この「おふろの国」の店長であり、これらの仕掛け人でもある林和俊さんに、イベントの意図や個性的な従業員の発掘方法などについてお話を伺ってきた。 スーパー銭湯「おふろの国」は温浴業界に熱い波を起こす ▲お話をうかがった「おふろの国」林和俊店長。     浴室の壁ごしに声をかけあう「愛してマス風呂」、お風呂にまつわる話しだけをする放送「オフロナイトニッポン」など、温浴業界の常識を打ち破るイベントをプロデュースしてきた。バケツで熱波!設備がなくてもとりあえずやってみる。   - おふろの国ができたのはいつですか?   林店長:2000年の11月ですね。僕はそのオープンの半年後に入社しました。   ...

  フェリス女学院出身のお嬢様芸人で「お笑い界の池上彰」を目指すたかまつなな氏。   正真正銘の箱入り娘で、お嬢様。なんといっても家系に驚く。ご先祖が新宿を開拓した高松嘉六氏、曾祖父は東京ガス社長で日本工業化学界の元老・高松豊吉氏。   まさにお嬢様。   お嬢様芸人「たかまつなな」氏は芸能活動をする一方、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科と東京大学大学院情報学環教育部に通い、学業にも励んでいる。さらに、18歳選挙権導入をきっかけに、株式会社笑下村塾を設立。代表取締役として会社を経営し、講演会やシンポジウム、ワークショップ、イベントなどを手掛けており、社長「たかまつなな」という顔も持ち合わせている。   「芸人」「学生」「社長」「ジャーナリスト」   何不自由無い生活を送っているのだろうと思いきや、クラウンドファンディングで学費を集めていた。彼女は一体何者なのか、「お笑い界の池上彰」とは何なのか、「お笑いを通して社会問題を発信したい?」、いろんな疑問を伺うべく、本人に直接会って話を伺った。 「たかまつなな」についての素朴な疑問   - 学生?芸人?社長?ジャーナリスト?メインは何をやられているのでしょうか?   たかまつなな氏:そうですね。全部メインといえばメインです。あまりガッツリ自分がココだ、とか、ここにいたいんだって、思わないようにしています。両立といえば両立をしています。   平日は毎日、大学に通っています。東大の方は夜の授業が多いです。TVの収録や講演会、出張授業、お笑いライブなどの仕事が入ったりしますが、ギリギリまで授業を受けてTVの入り時間をちょっとだけ遅らせてもらったりしてうまくやっています。   - なぜ2つ、東大と慶応両方行かれているのですか?   たかまつなな氏:慶応でいくつか勉強したいことがあって、メディアと教職など。教職を取りながら、メディアのことを勉強をするということが慶応は結構厳しくて。私が通っている藤沢キャンパスだと、メディアというと報道ではなく、プログラミングやインターネットが多いんです。   どうしたら勉強できるかなって考えていて、三田の方にメディアコミュニケーション研究所に話を聞きにいったのですが、教職課程と並行するのは難しいと言われました。どうしようか考えていたのですが、大学3年生の時に、教職の単位をほとんど取り終わっていました。あと1年、何か勉強ができると思い、学部4年生の時から慶応と東大のダブルスクールを始めました。   -...

  2017年4月3日月曜日、通勤で使っている六本木駅には、こわばった表情の新入社員らしき「社会人」が髪を整え、着心地悪そうにスーツを着て、足早にどこかに向かっていた。   そんな新社会人達を見ていると、ジーパンにセーターで出社する自分にまで緊張感が伝わってきて、ふとあの頃を思い出した。   14年前。   2003年4月1日、出来たばかりの電通ホールで私は、六本木駅で見かけた新社会人のような出で立ちで、大きな不安を抱えていた。   どうしても入りたかった電通の入社式当日。嬉しいはずのその日に、私の頭の中には全く違う想いがあった。   「この会社で正しかったんだろうか」 「この会社で一生やっていけるだろうか」 「落ちこぼれたりしないだろうか」   「フレッシュマンブルー」とでも言うのだろうか。全く知らない世界に飛び込む不安と恐怖に押しつぶされそうで、周りにいる180人の同志(同期)の顔さえ、グレーのフィルタがかかって見えていた。   そして、あの日の自分は、強く、疑いなく、こう思っていた。   「早く、新人という肩書きから抜け出したい」   六本木駅で見かけた新社会人の多くも、似たような想いを持っているのかもしれない。   しかし、14年後の今、あの頃の自分に。そして2017年、不安を抱えるすべての新社会人に「このこと」を伝えたいと思う。   「1年目の君にしか、できないことがあるよ」 この一年は、二度と来ない。 当たり前のことだが、社会人1年目というものは一度だけしかない。二度とやっては来ない。これから約40年。君たちは会社の一員として、社会の一員として、長いプロとしての人生を生きる。いい意味でも悪い意味でも、どんどんこなれてくるだろう。だからこそ、この一年でしかできないことをして欲しい。変に背伸びしたり、誰かの真似事をするのではなく、今の君の「強さ」で戦って欲しい。 インターネットを捨てよう。 上司や先輩になくて、君にあるものは何だろう? 「時間」だ。今しかないその時間を使ってどんどん外に出かけよう。「ググれカス」なんて定型文は聞き流し、現場に足を運ぼう。担当する商品やサービスがある現場に行って、ライバル商品と並んだ時の見え方、買っていく人が何分で、何を見て、購入を決めているかを観察しよう。インターネットには載っていない情報が、現場にはある。それを手にして会議に臨もう。沢山の業務を抱えている上司や先輩には得難い情報。それこそ、1年目の君にしか持てないものだから。 「最強の素人」になろう。 素人の目を持って仕事ができるのは、社会人1年目だけ。逆に素人同然の意見として許されるのも、社会人1年目だけだ。2年目以降は色んな大人の事情がわかってきて、嫌でもプロの視点を持つようになる。また、1年目であれば許されていたことが、2年目では許されなくなるし、「2年目なのにそんなこともできないのか」「2年目なのにそんな質問をするのか」と言われたり、思われたりする。   人は成功したことからより、失敗したことから、かけがえのないものを学ぶ。   これは、私がこの14年間で得た教訓だ。人は成功したことはすぐに忘れてしまうが、失敗したことは絶対に忘れない。そして、同じ失敗を繰り返さないよう努力する。つまり、人は失敗した回数が多いほど、大切な局面で失敗しにくくなる。だからこそ「失敗が許される1年目」にできるだけ失敗を重ね、2年目以降での成功率を上げてほしい。   「恥ずかしいから」とか「どうしよう」とか言ってる間に、1年は過ぎ去る。どんどん打席に立って、どんどん空振りしよう。ホームランバッターはそうして生まれるから。 「この人だ」という師匠を見つけよう。 14年間広告の仕事をしていて、つくづく感じるのが、優秀な人間が生み出すものは「学生っぽい」ということだ。言い換えると「実現可能性が怪しいもの」。過去の実績や、予算、スケジュールのしがらみを取っ払って、たどり着けない場所にたどり着く。圧倒的に「なかったもの」を世の中に見せつける。   では、新人の「学生っぽいアイデア」はなぜ実現しないのか。   「個人の実績」と「人脈」の問題がある。   仕事は人についてくる。過去の仕事ぶりと実績から「この人なら大丈夫だ」という人に、チャレンジングな仕事がやってくる。また、どんな優秀なプロでも一人で仕事を仕上げることはできない。同じく「この人にならついていく」という優秀な仲間が、優秀なプロの周りにはいて、ともに新たな実績を作っていく。さらに実績に魅せられた優秀な仲間が集まり、人脈もどんどん拡がっていく。   そこで、こう考えてみるのはどうだろう?   「僕の学生っぽいアイデアは、優秀な師匠となら実現できるかもしれない」   入社したての君は、おそらく君の配属先と、君の上司を選べない。だからこそ、やることがある。会社の中を見渡し「この人だ」という師匠を見つけ、つけ回そう。   部署が違ってもいい。君の仕事は、君の直属の上司から命令されたことだけじゃない。10年後の君のために、ついていくべき指針を見つけ、やるべき仕事を終えた後、師匠の仕事を手伝い、技を盗むんだ。「残業は絶対したくない」という考え方も否定はしない。でも、10年後に打席に立っているのは今、がむしゃらに目を輝かせている新人だという事実も、一方である。   今は師匠の実績と人脈でしかないものが、やがて、君の実績と人脈を形作っていく。 「あと38年しかない」と考えられるか、どうか。 2003年の入社式から、もう14年も経つ。 冗談抜きで昨日のようだし、そろそろ社会人の折り返し地点だと思うと、言いようのない焦りさえ感じる。   近ごろ、こんなことを考える。   「あと何年働くんだろう?」   スタート地点で見る14年先は遥かに遠い。でも今、後ろを振り返って思うことは「14年はあっという間だった」ということだ。この調子だと、きっと60歳で後ろを振り返ったとしても「昨日のようだった」と言っているのだろう。   生きる早さが変えられないとすると、今、何をすべきか。   「今、それに気づくこと」だと思う。   60歳で後ろを振り返った時の「今」を、今、意識するか、しないか。   それこそが「今」を大切にできる、最良の方法なのだと思う。   私は、1年目にそれができなかった。   教えてくれる人もいなかった。   だから、この記事を書こうと思った。   今、1年目である新社会人の君たちに。そして14年前の自分に、はっきりこう言ってあげたかったのだ。   「今、君にしかできないことがあるよ」と。     ...

  僕は起業に失敗しました。   はじめまして。借金玉と申します。   僕は26歳で起業しました。業種は飲食と輸入貿易です。 ざっくりいいますと、「イケてる商品を輸入して、その商品を軸にした飲食店を多店舗展開しながら卸売りもするぜ、原価も下がって儲かるぜ!」みたいな事業でした。集めた出資金は4000万円程度。そこに会社名義での借り入れを2000万ほど行いました。(もちろん会社の連帯保証人は僕です)最初はそこそこ上手くいきましたが、従業員が10人ほどまで膨らんだところで悪い意味でのビッグバンが起こり、結果として現在、僕は31歳の無一文です。辛うじて破産は回避できましたが、何一つ手には残りませんでした。そういうわけで、ニューアキンドセンター様で文章を書かせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。   さて、起業の失敗というのはわりと個別性が高く、失敗の原因は会社や経営者、業種あるいは社会情勢などによりけりといえると思いますが、それでも大体「これで失敗する」という典型パターンはあります。典型パターンだけでも無数にあるんですが、これから起業を志す方に最初にお伝えしたいのは「人」の話です。それも、創業初期における人の話です。僕が最も失敗したところと言えると思います。会社の基本はやはり「人」です。人が働いて利益を生み出すという基本構造はどのような会社でもまず変わりません。   これは起業に失敗した人間の書いている文章ですので、「どうやったら起業に成功するか」という需要には応えられません。そんなの知ってたら自分でもう一回起業しています。しかし、どうやったら起業に失敗するかに関しては、あまり詳しくなりたくはなかったのですが詳しくなってしまいました。そんな文章です。起業を志す皆様の何かの役に立てば幸いです。 人間は裏切りますし、裏切りが発生するのは全て代表取締役の責任です これから起業をする皆さんになんとなくでもいいので覚えておいて欲しいなぁと思うことがあります。表題の通りなのですが、人間は必ず裏切るということです。ピンと来ない人もいるとは思いますが、少なくともそう考えておいて損はありません。もし起業をされたら、いずれ嫌というほどわかると思います。   どういう形で起業するかによって状況は多少変化するでしょうが、なんにせよこれから先あなたが起業をするならば、出資者(株主)、役員、従業員といった社内の人間と必ず渡り合っていくことになります。 もしあなたが代表取締役であるなら、これらの登場人物の利害が相反しないように調整することが最大の仕事になるでしょう。構成員全員の見ている物が違う組織が生き残っていくことはほとんど不可能です。それぞれの思惑があることは百も承知の上で、全員が一つの目標に向かって能力をフルに出していける環境を作れなければ、事業の成功などままなりません。   もし、その中で離反者や裏切り者が出たのであれば、それは代表取締役のあなたが悪いのです。裏切った方が得な環境を作ってしまった時点で、あなたにはなんの弁解の余地もありません。それは全てあなたの責任です。その覚悟を決めてください。これを受け入れ、「裏切りようのない」組織を形成する努力をしましょう。   それは、実は創業初期にしか出来ないことなのです。創業初期は大抵の場合、代表取締役も、役員も、出資者も(存在するとすれば)従業員も、熱に浮かされています。将来この中から致命的な裏切り者が出るなんて全く考えることはないでしょう。重要な職責を担う人間が突然離反した時のことなんて想像もしないでしょう。未来には希望しか見えないと思います。僕もそうでした。でも、とても残念なことなのですが、確実といっても過言ではない確率で裏切り者は出ます。自分の会社を見ても、他人の会社を見てもやはりそういうものなのだな、と思います。   創業初期にきちんと人間の利害関係を調整し、一つの目標に向かって進める組織を作ることが何より大切です。裏切られるのは裏切られた方が悪い、騙されるのは騙された方が悪い。そう腹を括って、具体的な対策を講じた上で創業出来るかどうかで、会社の生存率は大きく変化すると思います。       まとめ ・人間は裏切ります。   ・裏切られるのは代表取締役の責任です。   ・裏切られた方が悪いです。騙された方が悪いです。   ・創業初期にしっかりと、全てのプレイヤーが会社を裏切ることの出来ないシステムを作り上げましょう。 創業メンバーの選び方とザイルの結び方 僕は「気の合う仲間と楽しく起業」をどちらかといえば否定する立場です。もちろん、これから長く仕事を一緒にしていく仲間ですから、気があうに越したことはもちろんないんですが。それは気の合う仲間と不倶戴天の敵になるリスクを受け入れた上でのことだと思います。僕が今「必ず報復する」と心に誓っている人間も、かつてはとても気の合う仲間でした。そういうものに耐えられないと思うのであれば、一人で起業されることを薦めます。(まぁ、とはいってもその後、従業員を雇ったら似たような事態は普通に起こるんですけど)   しかし、もちろん複数人で起業をするメリットもあります。それぞれ違う能力を相互に補い合うことが出来るからです。実際、僕は営業や企画が強いですが事務作業がまるでダメですので、役員には事務作業が非常に得意な人間を入れました。   会社経営や事業運営に付随する非常に煩雑な事務作業を、大まかな指示だけで全て自分で調べて実行出来る人間を採用できたのは私にとって、とても幸運なことで、彼がいてくれたおかげで私は自分の得意ジャンルの仕事に専念することが可能でした。いつかまた彼と一緒に仕事をしたいと心から思っています。(彼はもう僕と仕事はしたくないだろうけれど…)これは余談ですが、創業期は「誰もその仕事をやったこともなければやり方も知らない」状態が日常です。自分で調べて実行して成功させる能力の無い人間は創業メンバーには向きません。   また、創業する業種によっては商材の専門知識を持った人間を迎え入れる必要に迫られる場合もあると思います。例えば「プログラムは書けないけどITで起業したい」ということもありえるでしょう。(オススメはしないけどありえないことでもないとは思う)その場合、プログラマーを雇わなければ話にならないですね。   経営の面白いところは、人間を雇えば自分では出来ないことがどんどん出来るようになることです。可能性が自分の限界を超えて大きく広がっていくのはとても楽しいですね。市場にはあらゆる能力や経験を持ったプレイヤーが存在しています。基本的には金さえ払えば大抵の能力や経験を手に入れることが出来るでしょう。もちろんそこに落とし穴があります。自分に出来ないことを他人に業務としてやらせるということは、当該プレイヤーに抜けられたらその仕事が誰にもこなせなくなるということです。このパターンで終わる事業はいっぱいあります。創業初期の業務内容なんて、ほとんど100%が属人的なものですから。   例えば3人で創業する場合ですがその3人は全員が「誰1人抜けても事業が成り立たない強力なスキルを持った3人」だと思います。そうじゃなきゃ、わざわざ組む意味がないですからね。それはつまり、1人抜けたら最悪の場合、会社が潰れるということです。これを防ぐ手立は必ず打っておく必要があります。(逆に、初期メンバーの中に必要不可欠と言える能力のない人間が混ざっていた場合ですが、確実に後から揉め事になります。「あいつはいらない」と誰かが言い出します。避けましょう)   創業メンバーの中で代表取締役1人が自社の株式を保有している場合などはわりと良い手があります。他のメンバーに自分の持っている株式の一部を譲渡する代わりに、特殊な条項のついた借用書を切らせるのです。要するに、n年問題なく働いて結果を出したらこの株式購入のための借金はチャラ、ただし途中で離反したり会社に対して背信行為を働いたりした場合は全額ただちに返済、みたいなやつです。詳しいことは弁護士に相談してください。ちょっとお金はかかりますが、かなり強力です。なるべく理不尽な額をつけておきましょう。(おまえがこの会社を裏切る気はないだろうから金額なんて単なる数字だろ?それくらいの覚悟みせろよ)   この書類にサインをさせておくだけで、少なくとも規定年月の間、裏切りや離反がやりにくくなりますし、背信行為を働いた場合の懲罰も可能になります。また、法的拘束力は微妙ですが、「話し合いの末持ち株を返却した上で退職という形になった場合は、同業他社への転職をn年禁じる」などの条項を入れておいても損はないでしょう。   創業メンバー全員が出資をした場合などについては、なるべくリスクを応分に分散させて逃げられなくする方法もあります。具体的に言えば、銀行融資などを引く際の連帯保証人に全員を連座させれば、そうそう逃げることは出来ません。(ただ、この場合、指揮系統が不明瞭になる欠点がありますが…)他にも様々なやり方が考えられると思います。起業の形態に合わせて頭を絞りましょう。   先ほどの、株式購入のための貸借契約を結ぶということは、とりもなおさず「例え創業メンバーの親が大病を患って介護が必要な状態になっても、創業メンバーには常に会社を優先させる」ということです。「親の介護で戦列を離れる」という人間が出た時は、「では契約通り満額を支払え、支払いがなければ裁判もきっちり起こす」と告げる腹が必要です。どれほど強力な契約も、それを履行する人間の意志なしには成り立たないからですからね。一回それをやったら「あなたとの契約は反故に出来る」と全ての人間が認識します。そうなったらお終いです。   逆に言えば、親や身内が死にかけたくらいで戦列を離れるような代表取締役は話にならないということでもあります。なにせ、登場人物全員の人生がかかっているのが会社ですから。その辺は強く認識しておく必要があります。親の死に目に会いたいならサラリーマンやるのがいいと思います。期待値だってそっちの方がずっと高い。もちろんね、仕事の合間に親御さんの面倒を見る余裕があればそうすればいいんですけど、残念ながら創業初期にその余裕があるかというとね…。   この手の提案をすると「それは嫌だ」と主張する人間ももちろんいると思います。「自分は能力と労働力を提供するのみでリスクはとりたくない」というタイプです。そういう人間は、あくまで「従業員」あるいは持ち株なしの「役員」としての参画に留めるのがベストでしょう。更に言うと、そういう人間を「抜けられたら絶対に困る」というポジションにつけてはいけません。労働法にうるさいことを言われない役員辺りにしとくのがいいと思います。逃げることが可能な人間は、長期的には必ず逃げます。人間同士の無根拠な信頼関係なんて、一切信じるに足りません。   創業初期は、とにかくフリーライドしようとする人間が山ほど寄ってきます。あなたの創業プランが優秀であればあるほど、妙に使えそうな人間がよってきたりもします。しかし、フリーライダーは風向きが良く高い給料が出る内は元気に働きますが、会社が窮地に陥ったときあっという間に逃げ出します。他社からもっと良い条件を出された時もあっさり逃げます、それも持てる物は全部持ってです。信頼できるのは、リスクを背負った人間だけです。僕はこれを「ザイルを結ぶ」と表現しています。誰かが落ちたら皆で引き上げる、どうしてもだめなら皆で落ちて死ぬ。その覚悟が決まっていない人間を経営の中核に入れては、絶対にいけません。   創業を共にするということは、最悪のときは一緒に死ぬ覚悟を持つということです。創業メンバーは、「事業に欠かせない能力を持ち」「リスクを取る覚悟がある」人間を旨に選びましょう。この二つがそろわない限り、「絶対に必要な人間」として仲間に迎えるのは不可能です。そして、それを踏まえた上での創業メンバー選びが「気の合う仲間」であったなら、それは本当に幸福なことだと思います。まぁ、非常に難しいとは思いますが。   人間を「信頼する」というのは、十分に外形的要因を整えた上でのみ成立する概念だと強く認識しましょう。リスクを負わない人間を信頼しては絶対にいけません。というよりは、信頼出来る人間なんてこの世には1人もいません、信頼するに足る状況にある人間が存在するだけです。あと、契約書にサインする意味のわかってないバカというのも稀に存在して、そういう人間は契約とか結んでもあまり意味がないので絶対経営に入れてはダメです。話が通じない上に落としどころなどという概念もないので、一回揉めたら行き着くところまで行くしかなくなります。(そういう人間がわりとある種の仕事が出来たりするのが世界の怖いところです)       まとめ ・複数人で創業するメリットはあるが、デメリットも多い。   ・リスクを差し出せない人間は経営の中核メンバー足り得ない。   ・複数人で起業をする際は、コアメンバー全員がきちんとザイルを結ぶこと。   ・一度結んだ契約は一切の情を排して履行する覚悟を持つこと、またその厳しさを己にも課すこと。   ・バカは不可。 多くの問題は創業初期に起きている 僕は26歳で起業して今年32歳になりますが、改めてこの数年間を振り返ると、多くの問題の根源は創業初期にあったと感じています。もちろん、僕が抱えていた問題はこのエントリに書かれた程度のものではなく、もっと大量の問題があって、それにふさわしい結果に至ったわけですが。   正直なところ、後悔は尽きません。あの時、ああしていればがどこまでも積みあがります。資金は初めての起業としては望外なほどあった、創業期に集まった人間の能力だって決して低くはなかった。むしろ、僕が発起した会社を考えると望外な能力を持ったメンバーが集まったと思います。でも、たくさんの問題があった。しかし、創業初期にその問題に気づくことは出来ませんでした。根底には、やはり人間に対する理解の甘さがあったと思います。   本当のことを言うと、もっと自分の失敗を具体的かつ赤裸々に書いた方が面白いテキストになるんだろうなぁとは思うのですが、まだ傷が癒えきっておらず吐き気、眩暈、動悸、震えなどの症状が発生したため、この程度の画素数で書かせていただきました。まぁ、勘の良い方なら、大体どこで失敗したかわかりますよね…。人間って、3人集まったらもう戦争するんですよ・・・。あれほど熱く未来を語り合って創業した仲間たちでもね…。   初めての起業はとにかく忙しいと思います。雑務だけでも大量に発生しますし、大体のことが初体験でしょうから、精神肉体両面での負荷も非常に高い。その上、一度事業が動き出してしまえば1日だって無駄には出来ません。人件費がかかってますからね。事務所を借りてれば賃料もかかります。一日無駄にすれば、その分だけ命より尊い資本金が目減りしていくわけです。   しかし、その上で焦らないで欲しいと思います。きちんと会社の仕組みを作り、これから発展させていくことを想定した揺るがぬ土台をきちんと組むことの方がずっと大事です。創業初期に発生していた問題は、往々にしてしばらくは表面化しません。それは、会社が成長していく過程の中で徐々に現れて来ます。そして、そうなってしまってからでは、大きなリスクを伴う抜本改革を行うか、対症療法を繰り返して誤魔化していくかの選択しか取れなくなります。本当に、僕みたいなことにはならないで欲しいです。まぁ、とにかくね、創業時は一回、弁護士に相談に行った方がいいですよ。腕が良くてノウハウ豊富で、タチが悪いアイディアがポンポン出てくるタイプの。   会社経営ですが、想像し得る悪いことは大体全部起きますし、想像もしなかった悪いことも大量に起きます。信頼していた役員が金庫と口座の現金を全部持って失踪、なんてこともこの界隈では大変よくある話です。それに近いことは弊社でも普通に起きました。 それでも尚、起業を志す皆さん、頑張ってください。心から応援しています。僕ももうちょっとこっちを頑張ったら、また追いかけるつもりです。やっていきましょう。     ...