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  三重県で特に栄えていると実感する近鉄四日市駅前付近には、数多くの商店街があり、中に入ると様々な居酒屋がひしめき合っています。その中でも、群を抜いて美味しいと思ったお店、四日市諏訪栄商店街にある、博多もつ鍋専門店「おくゑ」。   おくゑの初号店が出来たのは、県庁所在地である三重県津市。四日市駅前店は2店舗目になります。ちなみに3店舗目として四日市中川原駅前にラーメン店「ぐんじ」も出来ました。おくゑのもつ鍋店が繁盛するにつれ、三重県内に少しずつ、もつ鍋屋が増えたように思います。 繁盛店を作るコツはそのお店の逸品を作ること おくゑのもつ鍋を注文して毎度思うのは、規格外に大きいプリプリのもつ。鍋いっぱいに溢れそうなもつは、鍋の上でキラキラ輝いています。また、野菜も鮮度抜群のものばかり。おくゑの野菜って、甘くて美味しいんです。食べた瞬間に「本当に新鮮で美味しい野菜って、甘いんだなぁ」とこの店に来ると改めて実感します。   鍋に、野菜ともつがヒタヒタになってから更に煮込むこと数分。美味しい博多もつ鍋の出来上がりです!本当、もやしも、ニラも全部美味しいんです。もつが食べ終わったら、いよいよシメのチーズリゾット。そう、博多もつ鍋専門店「おくゑ」のもつ鍋の後のシメはチーズリゾットなんです。   ここのもつ鍋(塩味で注文すべし)の出汁でチーズリゾットを作ると無茶苦茶美味いんです。この食べ方は、おくゑの常連客が良く知る通な食べ方です。 こんなに可愛い見た目のチーズリゾットの材料。 チーズリゾットになった途端、上記写真の通りお皿の上では口元だったハズの胡椒と目の部分の唐辛子が、いい具合にチーズリゾットの隠し味としてマッチし、絶妙な味のハーモニーを奏でるのです。こんな罪深い料理いったい誰が考えたの?   今回はそんな革新的なメニューを考え出した博多もつ鍋専門店「おくゑ」オーナーの奥田英司さんにお話を伺う事ができました。店長の、郷土に対する深い愛情や人柄が垣間見えました。 三重県にもつ鍋の繁盛店を作った「奥田英司」 店長の奥田英司さんは、気さくでとても話しやすい人。ユーモアもたっぷりで、少し話しただけでも元気が貰える人です。   なぜもつ鍋屋を作ろうと思ったのですか?   奥田店長:三重県津市に、本格博多もつ鍋を食べられる専門店が無かったからです。最初のころは、地元を活気づける事と県外に出ていった友達が安心して帰ってこれる場所を作ってあげたいと思った事がキッカケで店を作ろうと思いました。   この仕事をする前は、政治家の秘書の仕事をしていました。秘書時代に博多の方に出会い、もつ鍋の味や作り方を知ったのがキッカケで、もつ鍋屋を作ろうと思いました。秘書をやっていた頃、美味しい料理を沢山食べられる機会があったのも今の仕事にかなり活かされていると思います。   なぜ、もつ鍋屋を作ろうと思ったのが三重県なのですか?   奥田店長:以前アメリカに留学していた事があったのですが、県外を出たことによって自分が育った町に恩返しをしたいと思ったんです。三重県内で雇用を生んだり、三重県産の食材を使ったりしたいなと思っていました。三重県産の食材を仕入れるルートも作り、おくゑでは出来る限り全ての食材や調味料を三重県産にする事にこだわっています。おくゑの名物のもつは、国産牛もつ100%。色々なメーカーの食材を見て、全部自分の目で選ぶようにしています。   また、三重県の人が食べた事がないような食べ物を、僕の店で提供したいと思ったんです。メニューには、僕自身が発明した料理も沢山あります。メニュー名が「今日は気まぐれサラダ」「これぞ、もつ焼きそば」など、色んな面白いネーミングのサイドメニューが一杯で、見ているだけでも楽しいですね。   新しい料理を考える時に、心がけている事は何ですか?   奥田店長:僕は、サラリーマンとして正社員で働いた事がありません。「これは、こういうものだ」といった固定概念が僕にはないのです。だからこそ、「まずは、やってみよう」と自由に発想できるのではないかと思っています。   例えば、「コップはお水を飲むためのものだ」という考えって、固定概念だと思うんです。しかし「それは歯を磨くために使う」といった新しい固定概念に遭遇した時、人はその新たな固定概念に対してどうやって打破するかを考えないといけないと思うんです。常に、固定概念に出くわした時に「他の方法があるのでは」ということを発想し続ける事で、新しいメニューが生まれるのだと思います。   また、僕自身も食べる事が好きなので、県外の繁盛店に行ってみたりしながら「次は、何を作ろうかな」と、常に勉強を続けるようにしているんです。繁盛しているお店には、繁盛している理由が必ずありますから。   繁盛店のどの部分をチェックして勉強されているのですか?   奥田店長:まず、食材、サービス、店の綺麗さですね。料理については、アレンジ(独自性のあるアレンジをいかに考えているかどうか)をチェックしています。   また、「なぜこのお店が流行っているのか?」を自分なりに解釈するようにしています。その為に、店の従業員と話したりする事もあります。常に研究心を持ち続ける事で、新メニュー開発には余念がなく、向上心を忘れないようにしています。   例えば、僕の店の看板商品である「もつの唐揚げ」ですが、通常のもつって小さいじゃないですか。でも、おくゑのもつは凄く大きいんですよ。僕には、これが「からあげに使う肉」に見えたんです。で、「これを揚げたらどうなるんだろう?」って疑問に思ったので、特製の唐揚げ粉をつけて揚げてみた所、外はカリッ、中はジュワーっと旨味が出て、凄くおいしく出来たんです。勿論、商品として出した所、これがヒット商品となりました。 実際に、私達も「もつの唐揚げ」をガブリと頂きました。もうこれがね、口に入った瞬間肉汁がジュワーっと広がって口の中で溶けていって、思わず「う、うまい!美味すぎる!」。他にも、おくゑには様々なサイドメニューがあります。 こちらの商品「明太子の卵焼き」も店長のオリジナル発明商品です。ヒットメニューを次々と出しつつも、現状に甘んじる事なく新商品開発に余念がない店長は、新メニュー開発に対しても常に意欲的。だからこそ、ヒットメニューを開発し続けられるのかもしれませんね。   もつ鍋屋を初めて良かったなと思った事は何ですか?   奥田店長:アメリカに留学していた時に思っていた事ですが、アメリカって1プレートずつ、一人ずつの料理を提供するスタイルなのに対し、日本って、鍋料理など「同じものを分けてみんなで食べる」という文化があると思うんです。   鍋って、鍋奉行や取り分け係など、その人それぞれの役割や人柄が垣間見れる所があると思うんですよね。僕は、鍋のそういう所が面白いと思うし、そういった日本の素晴らしい文化を仕事を通じて継承し続ける事が出来るのは嬉しいですね。   繁盛店を作るためにはPRが必要 今では、3店舗目のおくゑグループ。開業したお店をヒットさせる為のPR方法とは?   奥田店長:最初の頃は、知り合いに電話したり、行く所行く所、全てのお店、会う人全員にお店の名刺と自分の名刺を配り続けるようにしていました。広告費もそんなにかけられないので、だったら名刺を配ろうって思ったんです。   名刺はどのような方々に配られていたのですか?   奥田店長:名刺は、老若男女問わず出会ったすべての人に配布していました。スーパーだろうが、お菓子屋だろうが、ドコモショップだろうが、行く先々で名刺を渡していました。卒業した高校に自ら出向いて、先生たちに名刺を配り歩いていた時もありました。   なぜ、お店の名刺だけじゃなく自分の名刺も配るようにしたのですか?   お店の名刺だけじゃなく、自分の名刺も配るようにしたのは「一体どんな人が経営している店なのか」を、知ってもらい安心感を与えたかったからです。お店にお客様が来てもらえるようになる為には、来ていただけるお客様に「信頼」と「安心感」を与える事が大切だと思ったからです。   もちろん、全員が名刺を受け取ってくれる訳ではありませんでした。でも、そこは持ち前のコミュニケーション力とバイタリティで何とか乗り切りました。人に対して、「どういう風に自分をPRすればよいか」という方法はアメリカで4年間留学した頃に学びました。   人生が80年あるならば、3~4年アメリカに行けば視野が変わるかもしれないって思ってアメリカに行ったんです。名刺を、出会う人すべてに配りつづける精神も、アメリカの留学先で学びました。その時の経験が、今の仕事に生かされていると思います。アメリカので学んだPR方法、それはまず「強烈なインパクトを与える事」です。そこでまず、お店を覚えていただくためには何が必要なのか、を考えなければいけないなと思いました。   ちなみに、僕の店で強烈なインパクトとしてPRできるポイントは、奥田英司(店長本人)と、今までになかったもつ鍋、そしてオリジナル商品のもつの唐揚げですね。 繁盛店を作り、多店舗展開させる方法は「従業員」 多店舗ヒットする、できる経営方法とは?   奥田店長:実は、僕は経営方法などが全くわかりません。飲食店でアルバイトをした事はありましたが、どうやって経営したらいいかは、今の仕事をやりながら覚えていった感じです。   飲食店は、拘束時間が長く、仕事内容が過酷なので働きたくない人が多いと言われています。そんな中、おくゑでは常にモチベーションの高い従業員が多いですね。従業員の教育には、今後も力を入れていきたいなと思っています。   お店で働く従業員のモチベーションが高い事は、お店の評判にもつながりますから。正直、2店舗、3店舗目を次々と出店出来た理由も「従業員が成長し、お店を任せられるようになったから。」なんですよ。   従業員のモチベーションは、どのように高めていらっしゃるのでしょうか?   奥田店長:従業員それぞれで考える事や欲が違うと思うんです。なので、僕が見守ってあげながら、まずは色々やらせてみるようにしています。そして、それぞれに合った課題を与えるようにしています。   他には、従業員がそれぞれにコミュニケーションを取って、休みを取りたい子には休みをあげたり、売り上げが上がった子には特別ボーナスがつくようにしています。最初の仕組みは、当然ですが全部を作らないといけませんでした。店長業務もマネージャー業務もやらなければならない・・・。しかし、今は従業員がやってくれるようになったので、新しい展開がどんどん作り出せるようになったなぁと思います。   あと、僕が飲食店を経営でモットーとしている事は、飲食店で美味しいものを提供するのは当たり前で、同時にエンターテイメント性も提供する、という事です。   エンターテイメント性とは、具体的にどのような事でしょうか?   例えば、「外でご飯を食べに行くという事」は非現実的な空間を店側が提供するという事だと思うんです。各テーブルに店員自らが入り、もつ鍋を作ってくれるというサービスや、店員がお客様と少し面白い話をする事がエンターテイメント性だと思っています。   僕のお店は、食を通じて、笑顔、喜びを作り出すお店を旗印としてスタートしました。 お店にお客様が来てくれる事を通じて、ただ食べるだけではなく楽しんでもらえるお店になって欲しい。そして、感謝の気持ちを常に忘れない事がお店が繁盛し続ける理由だと思っています。 みんなに楽しんでもらえる為に、店長自ら、羊の被り物をしてホームページや広告に登場するのも、「食を通じて、笑顔、喜びを作り出すお店」というサービス精神からかもしれません。また、メニューにもコスプレした店長が自ら登場します。もつ鍋料理店ですが、ワインメニューをトップメニューと見開きで載せるアイディアの斬新さも他のお店に無いアピール力なのかもしれませんね。   今後、どのように活動していきたいか等・・・。将来構想などはありますか?   奥田店長:いつか店舗を県外に出したり、また海外留学時代の友達を辿って国外にお店を持ってみたいですね。それから、日本の方にも海外に行って夢を持ってほしいなと思います。もし、日本の方が海外に行った時に僕の店があれば、そこで働く事も出来るじゃないですか。そういうのも、凄くいいなと思ったんです。   最後に。奥田さんのように、店を開業したいと考えている経営者の方々へメッセージをお願いします。 奥田店長:まずは「着眼大局」「着手小局」。視野は大きく、行動は一歩ずつ。夢を実現する為に、歩んできたストーリーやプロセスも大切にして欲しいなと思います。   一つ一つのプロセスを大切にしていくと、やがて出会った人々から与えられる影響力は絶大なものと感じるようになります。出会った人々との感謝の気持ちを忘れないで、頑張って欲しいです。   編集後記 店長のユーモアや明るさの背景には、出会ってきた人々に対する感謝や愛情が深く感じられました。味に対するセンスや着眼点もさることながら、常に人々への感謝を忘れずにステップアップしてきたからこそ、今の成功があるのだと思います。   私も、店長の話を聞いて、改めて出会った人への感謝を忘れずに生きていこう、そう気づかされました。私自身、このお店がヒットし続ける理由は従業員の教育がいつもしっかりできていて、楽しんで仕事をしている人ばかりだという事、どんなお店にいっても結局ここのもつ鍋に戻ってきてしまう位、味が美味しい事、そして、今回店長のお話にあったように、常に向上心と研究心を忘れずに生き続けているからだと思いました。   おくゑの野菜が甘くて美味しいのも、ほんのり優しさを感じる食べやすいもつ鍋の味も、店長の人柄からの旨味なのかもしれませんね!       ○取材協力 おくゑ 住所:(四日市店)三重県四日市市諏訪栄町1-8 三幸ビル2階    (津店) 三重県津市栄町2-390 みちくさビル1階 営業時間:(平日・土曜)11:30~13:45 17:00~23:00      (日曜)11:30~13:45 17:00~22:00     ...