「アボカドに醤油を足したらマグロになる」。この都市伝説、聞いたことありますか? 知ってはいるけど試したことはない。だったら、我々が調べます。今回、創業110年を誇る老舗寿司店の寿司職人さんと共に、この真偽を真面目に調査。いま、都市伝説の真実が明かされます。
【ご協力頂く老舗寿司店】
三ます
明治43年(1910年)創業の老舗寿司店。
住所:東京都新宿区四谷4丁目28
営業時間:平日(12:00頃~14:00、17:00~21:00)土曜(11:30~21:00頃)
定休日:曜日(土曜休みの場合あり)
【寿司職人さんのプロフィール】
名前:中山修一
年齢:47
肩書:寿司職人
明治から続く老舗寿司店にお邪魔します!
「アボカドに醤油を足したらマグロになる」という噂の真相を調べるため向かった先は、東京新宿にある寿司店「三ます」。
創業110周年(2020年3月時点)を迎えた老舗で、4代目店主の中山修一さんが出迎えてくれました。中山さんは20歳で寿司職人となり、職人歴27年目のベテラン。イワシやサバ などの光り物を得意としています。
中山さんに協力していただく調査方法は以下の通り。
・アボカドに、5種類の醤油をかける。
・5つの「醤油をかけたアボカド」を中山さんに食べてもらう。
・5つのうち、どれがマグロに近いかを判定してもらう。
調査のために用意した醤油はこちら。
左から
・「アイスにかけるしょうゆ」
・「香る生(なま)醤油 ひしほ」
・「甘口しょうゆ」
・「丸大豆こんぶしょうゆ」
・「醤油糀」
アボカドは固くもなく、柔らかすぎることもない、食べごろのものを用意。
塩分控えめ「丸大豆こんぶしょうゆ」+アボカド
さっそく醤油とアボカドを足していきましょう!
第1号の醤油は「丸大豆こんぶしょうゆ」。塩分控えめでこんぶ出汁がきいています。
中山修一さん(以下、中山) 寿司醤油より色も味も薄いですね。マグロっぽさは皆無。アボカドに醤油を足しただけ、というそのままの味です。醤油が薄味なので、アボカドの持つ強さに負けてますね。醤油にこんぶの香りが漂っていますが、これもマグロ感を遠ざけている要因です。
トロを食べているのかと勘違い!「香る生醤油 ひしほ」+アボカド
続いて使用するのは「香る生醤油 ひしほ」。味に少々パンチのある醤油です。
中山: んっ! これはマグロ感がありますね。醤油がちゃんと主張しているので、アボカドに負けてない。マグロの部位で言うならトロっぽい
なぜマグロ感が出たのでしょうか?
中山: まず『醤油』が理由です。醤油が口に広がった瞬間、脳が魚を食べていると勘違いする。そしてアボカドの植物油が、マグロを舌に乗せた時の脂の溶け方に近いので、マグロ感が出るんです
お菓子を食べているみたいな「甘口しょうゆ」+アボカド
九州人が好みそうな「甘口しょうゆ」。甘さは果たしてどう影響するのでしょうか?
中山: (口に入れた瞬間)これは違う! 甘すぎてお菓子を食べているような感覚になりました。甘みが強すぎで、アボカドとの調和が取れていない…
小さな子どもは喜びそうな味だけど、マグロじゃない!とのこと。
お肉が食べたければこの組み合わせ。「醤油糀」+アボカド
米糀(こうじ)が入った「醤油糀」は醤油というより、味噌のようなトロミと味。
中山: これは味噌にアボカドを足したような味ですね。マグロとはほど遠い。マグロ というよりお肉を食べているような感覚です」
マグロではなく、お肉に近いですか?
中山:『醤油糀』は味噌のような醤油。味噌はお肉との相性が良いため、脳がお肉をイメージし、肉味噌を食べているような気分になりました。アボカドはマグロだけでなくお肉にも変身できるようですね。お金がないけどお肉を食べたいって時はこの組み合わせをすればお肉を食べた気持ちになれます。これはお得だ(笑)
まるでケーキ⁉「アイスにかけるしょうゆ」+アボカド
まるで黒蜜のような甘さが特徴の「アイスにかけるしょうゆ」。アイスとの相性は最高ですが、アボカドとの相性はどうなのでしょうか?
中山: (食べた瞬間)あっ、これはケーキみたいですね。マグロではない。砂糖が多いので、甘みが圧倒的な存在を放っていて、アボカドが負けてしまっている。バランスが悪いですね。黒蜜のような醤油なので、醤油風味もしない。ただ、新しい味の組み合わせなので、これは面白い!
ワサビを足すとさらにマグロ感を出せる!
本日の総評を中山さんにお願いしました。
中山: 5つの醤油でいろんな味のバリエーションが楽しめました。マグロになったり、お肉になったり、ケーキになったりとアボカドの変幻自在さを実感。アボカドだけで魚、肉、デザートが食べれるなんてフルコースですね(笑)」
5パターン試した中で、マグロに最も近い組み合わせはどれでしょうか?
中山: 2つ目の【「香る生醤油 ひしほ」+アボカド】が一番、マグロに近かったですね。これにワサビを付けるとさらにマグロ感が出るんじゃないかな」
ということで「香る生醤油 ひしほ」+アボカドにワサビを足してみました。
中山: (食べてみたところ)うん。一番マグロっぽい。ワサビと醤油の組み合わせは魚っぽいので、頭の中で魚の風味が脳内再生される。取材で使ったワサビは生わさびなので辛すぎ。そのため、辛さが醤油に勝ってしまい、醤油とのバランスが悪いです。スーパーで売っているようなチューブのワサビは辛さ控えめなので、チューブのワサビをお勧めします。また熟れたアボカドの植物油はマグロの脂と近いので、柔らかめなアボカドを選ぶといいですね。
ということで、今回用意した中では「香る生醤油 ひしほ」+熟れたアボカド+チューブに入ったワサビの組み合わせがマグロっぽくなると分かりました。
ただ中山さんが「マグロには渋みや酸味もあるけれど、醤油やアボカドにはないので、本物のマグロの持つ味わいは出せていません」と語るように、醤油+アボカドはマグロに限りなく近づけるけど、本物のマグロにはなれないと分かりました。
中山さん、ご協力ありがとうございました。
中山: なんちゃってマグロもいいのですが、やっぱり本物が一番。うちでは築地で仕入れた本物のマグロを使ったお寿司が食べられますので、ぜひ足をお運びください!
結論
「香る生醤油 ひしほ」+熟れたアボカド+チューブに入ったワサビ
これを組み合わせると一番マグロっぽくなる。 また醤油によって、アボカドはお肉のように感じたり、ケーキのように変身することが分かりました。
なお、今回の検証のために醤油を使わせていただいたヤマト醤油味噌さんのサイトはこちら 。
また実際に使ったそれぞれの商品ページはこちらです。
・「丸大豆こんぶしょうゆ 」
・「香る生(なま)醤油 ひしほ 」
・「甘口しょうゆ 」
・「醤油糀 」
・「アイスにかけるしょうゆ 」
気になった方はぜひ、ヤマト醤油味噌さんの醤油を使って、アボカドを食べてみてください!
※記事の情報は掲載当時(2020年3月)のものです。店や商品の最新情報は各サイト等でご確認ください。