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ホーム > ニアセ金融道  > 【特別講習】企業の融資講座:直接金融
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伴苦博士・・・銀行と証券会社とベンチャーキャピタルを渡り歩き、疲れてへたっているところを拾われた、ニアセの金融相談役
たかし君・・・伴苦博士の近所に住むちょっとませた男の子。お金は貸す方が悪いと思っている。
 

伴苦博士
たかし君、それでは夏休み自由研究の続き、「直接金融」の話をしようかの。「【夏休み特別講習】企業の融資講座:間接金融」はこちら
たかし君
博士、今更何言ってるんですか。夏休みなんてとっくに終わっちゃってますよ。
伴苦博士
え?あれ?いや、そこらへんは大人の事情で調整効くんじゃないの・・・?
たかし君
おかげで夏休みの自由研究は別のテーマで提出しちゃいました。はい、これ。
伴苦博士
なになに、「博士の観察日記」?「8月23日 今日も博士は相変わらず花を咲かせることができません。」って、おい、これ大人に言っちゃいかん!
 
たかし君
で、「直接金融」って何ですか?
伴苦博士
相変わらずマイペースじゃのう。まぁいい、説明を始めよう。銀行の融資は「間接金融」じゃ、という話はしたと思う。これは、お金の出し手(預金者)が直接企業にお金を貸す訳ではなく、間に金融機関が入るから「間接金融」と言うんじゃが、ここまではよいかな?
たかし君
しつこいぞじじぃ!と言われない程度に、さりげなく復習ですね。
 
伴苦博士
これに対し「直接金融」は、資金の出し手から企業に直接お金が渡ることになる。
たかし君
企業がお金を借りるという結果は同じだと思うんですけど、何か違いがあるんですか?
伴苦博士
「直接金融」は、必ずしもお金を「借りる」訳ではないんじゃ。「資本金」を「出資」してもらうことも含まれておる。しかも、企業にとっての資本金は基本的に返済義務がないんじゃ。
たかし君
踏み倒し放題ってことですか!?何てひどいんだ!博士の次くらいにひどい!
 
伴苦博士
自由研究の件は本当にすまん・・・いや、ひどくないんじゃよ。そもそも株式会社制度というのは、「こういう素晴らしいアイディアがあるので会社を起してビジネスしたいのですが、少し資金が不足しているから、支援(出資)してくださいませんか。ビジネスが成功して利益が出たら、その一部を分配(利益の配当)いたします。」という考え方で成り立っておる。
たかし君
ふ~ん。それが踏み倒す事とどう関係あるんですか?そんな説明じゃ僕の怒りは治まりませんよ。マジで弾ける5秒前ですよ。
伴苦博士
だからごめんて・・・。少し踏み込んだ話をするとじゃな、「間接金融」である「融資」で調達した借入金を「他人資本」と言うのに対し、「直接金融」のうち「出資」で調達した資本金のことを「自己資本」とも言うんじゃ。
たかし君
いつの間にか「自己」とか言って自分のものにしちゃうわけですね。恐るべし大人の世界・・・
 
伴苦博士
ちょっとこれを見てくれるかな。会社の財産(資産、負債)の状況を表したバランスシート(貸借対照表)と呼ばれるものを図式化したものじゃ。
kinyu
伴苦博士
ここにある「借入金」が「融資」で、「資本金」が「出資」なんじゃが、記載される「部」が違うじゃろ?
たかし君
そんな大人の都合にごまかされる僕じゃないですよ。問題は博士がいつになったら咲くかってことです。
伴苦博士
それもごめん、もう咲き終わっちゃってるから。って言うか、今までで一番キツイ一言じゃぞ、それ。
話を戻そう。「資本金」というのは、会社の利害関係者のうち債権者(図にある負債の支払相手のこと)の保護という役割を担っておる。
 
たかし君
えっ!再検査って、博士、頭以外にも悪いところがあるんですか?
伴苦博士
債権者ね。分かり易いボケじゃのう。わしは精神以外いたって健康じゃ。
資本金には会社の安定経営のための「元手」という側面があるから、返済義務を課したら、経営者は安心して事業に打ち込めんじゃろう、と言う話じゃな。経営に打ち込めなかったら、利益が上げられず、債権者にお金が払えなくなるかもしれんじゃろう?
たかし君
利益がでなければ、出資した人も利益の配分がもらえなくなっちゃうんですよね・・・。
伴苦博士
そう、したがって当然お金の出し手にしてみたら、間接金融に比べて直接金融はリスクが高くなるんじゃ。
 
たかし君
でもそれじゃ誰も出資なんてしないんじゃないですか?
伴苦博士
安心したまえ。リスクが高い分、リターンも高くなる可能性があるから、経営者以外にも出資の出し手はちゃんといるんじゃ。
たかし君
リターン?スワヒリ語使わないでくださいよ。
伴苦博士
いや英語じゃ。直訳すると「見返り」かのう。リスクが分かってなぜリターンが分からないんじゃ。
出資とは、言い換えると株式を取得して株主になる、と言うことじゃ。株主になると利益の中から配当をもらう権利や、会社の財産を分けてもらう権利(残余財産の分配権)といった経済的な見返りを得ることができるんじゃ。
たかし君
配当ってたくさんもらえるんですか?
伴苦博士
その話をしだすと掲載限度の文字数を軽く超えるのでまた今度にしようか。
 
たかし君
知りたいなぁ。
伴苦博士
貪欲な子じゃ。しかし実は出資で一番経済的な見返りが大きいのは配当ではなく、「キャピタル・ゲイン」と呼ばれるものなんじゃ。
たかし君
株式の売却益のことですね!
伴苦博士
何故知っている!?いつも肝心なところで年齢に見合わない知識をぶち込んでくるのう。いや、おっしゃるとおりじゃ。
簡単に言うと、株式の価値というのは会社の価値と等しいんじゃ。出資した時よりも会社が成長すれば、株式の価値もそれに比例して高くなる。
たかし君
株式の価値が高くなるとどうなるんですか?
伴苦博士
取得した株式が何倍もの値段で売れるかもしれん、ということじゃ。まぁ、それなりに時間はかかるがのう。
たかし君
え~っ、そんなの、何年かかるか分からないじゃないですか。博士が白骨化しちゃいますよ。
伴苦博士
そんなにかからん。というか、出資する側は、その期間もちゃんと計算したうえで出資の採算性がとれるかどうかを検討するんじゃよ。
 
たかし君
ふ~ん・・・ところで、出資する側ってどんな人なんですか?
伴苦博士
ベンチャー企業への出資者としては、「ベンチャー・キャピタル」が一般的じゃな。わしも以前かかわったことがあるんじゃが。
たかし君
この前話してくれた銀行とは違うんですか?
伴苦博士
親会社が銀行だったり、一般企業だったり、いろんなバックグラウンドのベンチャー・キャピタルがあるんじゃ。
たかし君
銀行みたいに審査ってあるんですよね?
伴苦博士
当然じゃな。ただし、銀行との最大の違いは「過去の実績」ではなく、「将来性」を計る、という点じゃ。将来性を計ることによってリスクとリターンのバランスを見極めるんじゃ。
たかし君
僕と一緒だ。
 
伴苦博士
そうじゃ、キミは将来性の塊じゃ。
たかし君
じゃなくて、僕は博士の将来性が楽しみでこうやって遊びに来ているんですよ。早くもうひと花咲かせてください。
伴苦博士
うぅ(涙)。嬉しいこと言ってくれるね。涙で何も見えんから続きは後日じゃ。
たかし君
(チョロいぜ)
 
次回につづく・・・

この記事を書いた人

金融業界を渡り歩いた元インベストメント・バンカーで、白髪白髭とじじむさいしゃべりが自慢の40代おっさんです。

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