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ホーム > アキンド探訪  > 1日約300個売れる!江戸うさぎ『妖怪★いちご大福』の開発は職人さんとの戦いだった

 
日暮里のお菓子屋さん「江戸うさぎ」で販売している「妖怪★いちご大福」が大人気だ。
 
テレビ番組・雑誌・ネットなど各種メディアにもとりあげられ、冬のシーズンになるとSNSでも写真をよくみかける。1日200~300個ほど手作業でつくっているが、日によって昼過ぎに売り切れてしまうことも。
 
開発したのは観光土産品及び進物用菓子食品類の企画卸売を行っている「大藤」。
妖怪いちご大福以外にも小判型のおせんべい「これでよしなに」、お尻型の生菓子「美尻」といったおもしろお菓子から、3種類の味が楽しめる飴「アメノミックス」といった政治家シリーズものまで幅広くとりあつかっている。
 
江戸うさぎ店長兼、大藤商品管理部の横尾さんにユニークな商品の開発秘話をうかがってきた。

江戸うさぎの「妖怪★いちご大福」ってなに?


▲妖怪★いちご大福 1つ258円
 
口からぴょこんとはみだしたイチゴ、ゴマ粒で作ったつぶらな瞳がかわいい。谷中霊園からやってきた妖怪という設定だ。いちごシーズンの冬限定商品。

▲妖怪★くり大福 1つ285円
 

秋になると「妖怪★くり大福」が販売される。芸術の秋にふさわしく栗のハンチング帽をかぶっている。


▲妖怪★あんず大福
 
通年販売の「妖怪★あんず大福」も人気だ。

江戸うさぎの「妖怪★いちご大福」はどうやって生まれたの?


▲お話しをうかがった横尾さん(「江戸うさぎ」店長兼大藤商品管理部)
 

●社内は「気持ちわるいよ」とほとんど反対意見だった

 
- 横尾さんが「妖怪★イチゴ大福」を開発されたそうですが、どんなきっかけだったんでしょうか
 
商品管理部 横尾文乃さん(以下、横):新しく和菓子職人さんが入られたときに「イチゴ大福が得意です」とおっしゃったのがきっかけです。それじゃあイチゴ大福でなにかつくろうと。ただお店は人通りのすくない地味なところにありますし、コンビニのレジ横でも100円で売ってます。それならどうにかお客さんをお店まで呼ぶにはおもしろいものを作らないとって思いました。
 
でも、職人さんは別におもしろさを求めてないですよね。できあがった大福に「これ、なにがおもしろいんですか?」ってしょっちゅう揉めてました。

▲開発当初はこういう形だった
 
- 味の評価ならまだしも、おもしろくないっていわれてもどうしたらいいかわからないでしょうね。
 
横:紙ねんどのように大福をいじって「こうはできませんか?」って提案するんですけど「できません」と断られてました。
大福をいじって、提案してをずっとつづけてましたね。
 
- 徐々にあの形に近づいていったんですか
 
横:そうなんです。あるとき突然、イチゴ大福が妖怪に見えたんです。あとワンポイントあればいいなと、ためしに黒ゴマをつけてみました。そうしたらもう完全に妖怪!
 
でも、社内の意見は10人中9人が反対でした。「気持ち悪いよ」といわれたり「白イルカにみえる」と言われたりしたんですけど、日暮里で白イルカ大福だしても売れるわけないですから。「谷中の墓地からやってきた」ってキャッチフレーズをつけて、妖怪でいくことにしました。

▲谷中の墓地からやってきた妖怪いちご大福
 
- そのころには職人さんもやる気になってたんですか
 
横:いえいえ。「目は誰がつけるんですか?ぼくは和菓子の職人ですよ」と言われていましたし、悩んで眠れない夜もあったみたいです。
 
でも、いざ売りはじめたら「おいしかったです」「入院した友だちに持っていったら元気になりました」というお客さんからの声がぞくぞく届いて、心をひらいてくれました。いまでは愛犬をかわいがる主人みたいに「妖怪いちご大福、かわいいよね~」って毎日いってますよ!
 
- お客さんからの「おいしい」がすべてを丸くおさめたわけですね
 
横:わたしは妖怪水大福も好きなんですよ。笹からだすと、はだかになって恥ずかしそうなかんじ。殻からでてきたカタツムリみたいで、つるーんとしててカワイイんですよ。生菓子だから消費期限は3日なんですけど「どうしても送ってほしい」って声がおおいので、妖怪大福系もネット販売しています

江戸うさぎ「政治家シリーズ菓子」の開発秘話

 
- お店は和菓子がメインなんですか?
 
横:小売り店の「江戸うさぎ」はそうですが、運営会社の大藤は主に観光土産品及び進物用菓子で和菓子・洋菓子等を扱い、企画しています。おもしろいネーミングをつけたり、地産のものをつかったり、そういうことをかんがえていますね。都内でいえば、東京タワーや浅草、お台場などで取り扱って頂いております。
 
現在、販売は終了していますが「おでんカレー」もうちが企画しました。ドジっ子な妹がお兄ちゃんのためにカレーを作ったけど、間違えておでんをいれちゃったって設定ですね。あとは段ボール肉まんが話題になったときには、肉まんをのせる段ボールスタンドも作りました。
 
- そういう企画ってどなたがかんがえるんですか?
 
横:会長ふくめて社員みんなで考えますね。おもしろいものが採用されます。

 

▲晋ちゃんラッキートランプせんべい。

 
- さきほど店頭で「晋ちゃんラッキートランプせんべい」を見ましたけど、時事ネタを取り入れるのが早いですね
 
横:ここ10年くらいは政治家シリーズものを企画してまして、小泉フィーバーのころに「純ちゃんまんじゅう」をつくったのが最初ですね。すごい人気商品でした。
 
うちの会長がこういう土産品を作りたいって自民党本部に聞きに行ったんですね。でも「作っちゃダメだよ、お菓子は」と断られまして。普通だったら作らないじゃないですか。でも「いいや、作っちゃえ」とはじめてしまったわけです。党のほうも1つの会社にOKをだせないので、公認されているわけではないのですが勝手に作ってるんです。
 
- すごい突破力
 
横:2005年の衆議員解散選挙で郵政民営化が可決か否決かまったくわからないときに、お世話になった純ちゃんに感謝をこめて作りました。


 
横:日付入りの記念切手風にしました。
民営化で可決したわけですけど「僕自身もわからないなか、その心意気が嬉しい」と小泉さんに首相官邸に呼んでいただいてお会いしてきました。「純ちゃんまんじゅう、ありがとうございます!」と本人を前にして純ちゃん純ちゃんいってたのです、いまから思えば失礼ですよね(笑)政治の固いイメージをお菓子で柔らかくできたらいいですよね。


▲3本の矢 塩味、梅味、抹茶味をミックスした「アメノミックス
 
- アイデアは思いついたらメモしてるんですか?
 
横:こんな感じでスケッチブックにネタを書きためてるんですけど、企画化しない方が多いですよ。


▲何冊もネタ帳をもってきてくれた
 
- これぜんぶお菓子のネタ帳ですか!
 
横:落書きみたいなもので恥ずかしいのであまり見せたくないんですけど……。

 
横:これは試作品まで作った、鼻の水ようかんですね。鼻水と水ようかんがかかってます。でも、水ようかんは夏の食べ物だけど、風邪をひくのは冬だし、じゃあいつ売るの?ってわからなくて発売してません。
 
- あ、発売やめた理由、そこなんですね。

 
横:これは発売してるんですけど「美尻」です。叶姉妹にもブログでとりあげて頂いて、すごく嬉しかったんですよ!叶姉妹のお身体はなんというか、すごく…
 
- ファビュラスですもんね
 
横:そんな叶姉妹に認められて嬉しいです。
これもけっこう職人さんと揉めました。「プリッとしたお尻を作ってください。わかりますか?」っていうんですけど、できあがったお尻は角ばった50代のお尻なんです。「もっとよく尻をみてください!こんなお尻じゃダメです!」と何度もやり直しました。
 
- なんだそのやりとり(笑)
 
横:その結果、すごくプリッとした美尻になりました。店頭で口にだすのは恥ずかしいようで、お客さんは「これください」って指さして注文しますね。
 
ユニーク商品の背景には、クオリティーへの執拗なこだわりと突破力が存在した。
時事ネタを機敏にとりいれつづける大藤から、今後も目が離せない!
 
 
 

 
 
 

この記事を書いた人

◎取材・文:松澤茂信 「東京別視点ガイド」の編集長および観光会社「別視点」の代表。各種専門家をガイドに、体験型タモリ倶楽部みたいなツアーを月5~6本運行してます ◎撮影:齋藤洋平(Instagram) 観光会社「別視点」副代表。観光カメラマン。

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