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ホーム > アキンド探訪  > ただ一度しかない1年目に。新社会人に贈る「今、あなたにしかできないこと」

 
2017年4月3日月曜日、通勤で使っている六本木駅には、こわばった表情の新入社員らしき「社会人」が髪を整え、着心地悪そうにスーツを着て、足早にどこかに向かっていた。
 
そんな新社会人達を見ていると、ジーパンにセーターで出社する自分にまで緊張感が伝わってきて、ふとあの頃を思い出した。
 
14年前。
 
2003年4月1日、出来たばかりの電通ホールで私は、六本木駅で見かけた新社会人のような出で立ちで、大きな不安を抱えていた。
 
どうしても入りたかった電通の入社式当日。嬉しいはずのその日に、私の頭の中には全く違う想いがあった。
 

「この会社で正しかったんだろうか」
「この会社で一生やっていけるだろうか」
「落ちこぼれたりしないだろうか」

 
フレッシュマンブルー」とでも言うのだろうか。全く知らない世界に飛び込む不安と恐怖に押しつぶされそうで、周りにいる180人の同志(同期)の顔さえ、グレーのフィルタがかかって見えていた。
 
そして、あの日の自分は、強く、疑いなく、こう思っていた。
 
「早く、新人という肩書きから抜け出したい」
 
六本木駅で見かけた新社会人の多くも、似たような想いを持っているのかもしれない。
 
しかし、14年後の今、あの頃の自分に。そして2017年、不安を抱えるすべての新社会人に「このこと」を伝えたいと思う。
 
「1年目の君にしか、できないことがあるよ」

この一年は、二度と来ない。

当たり前のことだが、社会人1年目というものは一度だけしかない。二度とやっては来ない。これから約40年。君たちは会社の一員として、社会の一員として、長いプロとしての人生を生きる。いい意味でも悪い意味でも、どんどんこなれてくるだろう。だからこそ、この一年でしかできないことをして欲しい。変に背伸びしたり、誰かの真似事をするのではなく、今の君の「強さ」で戦って欲しい。

インターネットを捨てよう。

上司や先輩になくて、君にあるものは何だろう? 「時間」だ。今しかないその時間を使ってどんどん外に出かけよう。「ググれカス」なんて定型文は聞き流し、現場に足を運ぼう。担当する商品やサービスがある現場に行って、ライバル商品と並んだ時の見え方、買っていく人が何分で、何を見て、購入を決めているかを観察しよう。インターネットには載っていない情報が、現場にはある。それを手にして会議に臨もう。沢山の業務を抱えている上司や先輩には得難い情報。それこそ、1年目の君にしか持てないものだから。

「最強の素人」になろう。

素人の目を持って仕事ができるのは、社会人1年目だけ。逆に素人同然の意見として許されるのも、社会人1年目だけだ。2年目以降は色んな大人の事情がわかってきて、嫌でもプロの視点を持つようになる。また、1年目であれば許されていたことが、2年目では許されなくなるし、「2年目なのにそんなこともできないのか」「2年目なのにそんな質問をするのか」と言われたり、思われたりする。
 
人は成功したことからより、失敗したことから、かけがえのないものを学ぶ。
 
これは、私がこの14年間で得た教訓だ。人は成功したことはすぐに忘れてしまうが、失敗したことは絶対に忘れない。そして、同じ失敗を繰り返さないよう努力する。つまり、人は失敗した回数が多いほど、大切な局面で失敗しにくくなる。だからこそ「失敗が許される1年目」にできるだけ失敗を重ね、2年目以降での成功率を上げてほしい。
 
「恥ずかしいから」とか「どうしよう」とか言ってる間に、1年は過ぎ去る。どんどん打席に立って、どんどん空振りしよう。ホームランバッターはそうして生まれるから。

「この人だ」という師匠を見つけよう。

14年間広告の仕事をしていて、つくづく感じるのが、優秀な人間が生み出すものは「学生っぽい」ということだ。言い換えると「実現可能性が怪しいもの」。過去の実績や、予算、スケジュールのしがらみを取っ払って、たどり着けない場所にたどり着く。圧倒的に「なかったもの」を世の中に見せつける。
 
では、新人の「学生っぽいアイデア」はなぜ実現しないのか。
 
「個人の実績」と「人脈」の問題がある。
 
仕事は人についてくる。過去の仕事ぶりと実績から「この人なら大丈夫だ」という人に、チャレンジングな仕事がやってくる。また、どんな優秀なプロでも一人で仕事を仕上げることはできない。同じく「この人にならついていく」という優秀な仲間が、優秀なプロの周りにはいて、ともに新たな実績を作っていく。さらに実績に魅せられた優秀な仲間が集まり、人脈もどんどん拡がっていく。
 
そこで、こう考えてみるのはどうだろう?
 
僕の学生っぽいアイデアは、優秀な師匠となら実現できるかもしれない
 
入社したての君は、おそらく君の配属先と、君の上司を選べない。だからこそ、やることがある。会社の中を見渡し「この人だ」という師匠を見つけ、つけ回そう。
 
部署が違ってもいい。君の仕事は、君の直属の上司から命令されたことだけじゃない。10年後の君のために、ついていくべき指針を見つけ、やるべき仕事を終えた後、師匠の仕事を手伝い、技を盗むんだ。「残業は絶対したくない」という考え方も否定はしない。でも、10年後に打席に立っているのは今、がむしゃらに目を輝かせている新人だという事実も、一方である。
 
今は師匠の実績と人脈でしかないものが、やがて、君の実績と人脈を形作っていく。

「あと38年しかない」と考えられるか、どうか。

2003年の入社式から、もう14年も経つ。
冗談抜きで昨日のようだし、そろそろ社会人の折り返し地点だと思うと、言いようのない焦りさえ感じる。
 
近ごろ、こんなことを考える。
 
「あと何年働くんだろう?」
 
スタート地点で見る14年先は遥かに遠い。でも今、後ろを振り返って思うことは「14年はあっという間だった」ということだ。この調子だと、きっと60歳で後ろを振り返ったとしても「昨日のようだった」と言っているのだろう。
 
生きる早さが変えられないとすると、今、何をすべきか。
 
「今、それに気づくこと」だと思う。
 
60歳で後ろを振り返った時の「今」を、今、意識するか、しないか。
 
それこそが「今」を大切にできる、最良の方法なのだと思う。
 
私は、1年目にそれができなかった。
 
教えてくれる人もいなかった。
 
だから、この記事を書こうと思った。
 
今、1年目である新社会人の君たちに。そして14年前の自分に、はっきりこう言ってあげたかったのだ。
 
今、君にしかできないことがあるよ」と。

 
 

この記事を書いた人

街角のクリエイティブ編集長。電通を経てBASE設立。胸になんか刺さったというブログを泣きながら書いています。著書『思考のスイッチ 〜人生を切り替える11の公式〜』を本屋の一番目立つ所に移動させるのが得意です。Twitter:@t_nishijima

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