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「広告コピーの書き方」というとクリエイターに必要な能力と思われがちですが、モノを売る、知ってもらうというビジネスの基本に立ち返った時、どんな業種、職種でも必要な能力と言えます。   そこで今日は、「広告コピーの書き方」についてお話しするとともに、これからのビジネスにおける「言葉の重要性」についてもお話したいと思います。 広告とは?広告コピーとは? そもそもの話しですが、広告とは何なのでしょう?   三省堂『大辞林』によると「広告」とは以下の通り定義されています。     1)人々に関心をもたせ、購入させるために、  有料の媒体を用いて商品の宣伝をすること   2)広く世の中に知らせること     「知ってるよ、そんなこと」という声が聞こえてきそうですが、私なりに本質を考えた定義をするとこうなります。   商品に手を加えることなく、商品価値を上げること   近頃は広告会社が商品開発から入るというケースも増えてきましたが、本来的には広告はあくまで商品ありきのものであり、商品に手を加えることなく、「商品への印象」や「商品と人との関係を変える」ものなのです。   「広告」をそう定義した時、広告コピーはこうなります。   言葉で商品の価値を上げる人   冒頭の話に戻りますが、どんな業種、職種の人でも「広告コピーの書き方」を知って欲しい理由。それは・・・   思ったことを言語化し、武器にする力が、これからますます必要になってくるから   です。   デジタル技術の進化、メディアの多様化、それに伴い消費者が受け取る情報量は圧倒的に増えました。それにより、商品の認知を獲得したり、商品を売るための手口が増え、複雑化しました。   そうなると、一つのプロジェクトに関わる人数も飛躍的に増えます。その時、必要なもの、頼りになるものは何か?   「言葉」です。   その商品の課題、ターゲット、戦略、クリエイティブのコアアイデアを関わる全ての人で共有できる「シンプルで明快な言葉」が必要になってくるのです。   テレパシーなどが使えないうちは、言葉で共有するのが最も効率の良い手段となります。できるだけ解釈の誤差を生まないために。   人間はまだ、言葉でしか約束を交わせないからこそ、言語化する能力が今後クリエイターだけでなく、様々な業種、職種の方に必要になってくると言えるのです。 最も重要な広告コピー 次にコピーの種類についてお話しします。広告コピーには、誰もが「広告コピー」と聞いて頭に浮かぶキャッチコピー。商品の詳細な情報を詰め込んだ読み物である「ボディコピー」、キャッチコピーの補完的な要素を担うサブキャッチ、ブランドと消費者の関係性を定義したタグラインなど様々なものがあります。   ここでは、業種関係なく、みなさんにその重要性を知って欲しい広告コピーとしてタグラインを取り上げます。   商品を定義づけ、商品価値を上げる言葉としてのタグライン。一言でタグラインといっても表現すべきレイヤーは何層にも別れます。   社会的価値 (その商品が消費者のみならず、社会に提供している価値) ↑ 情緒的価値 (その商品を使うことで得られる「感情」の価値) ↑ 機能的価値 (その商品を使うことで得られる「性能」の価値) ↑ 物理的価値 (存在そのものの価値)   差別化が難しいブランドほど、上のレイヤーで戦うことが多くなります。   レイヤーの説明の例として「カップラーメン」を挙げます。       【カップラーメンの情報レイヤー】   社会的価値 共働き家族を応援・高齢貧困層を支援 ↑ 情緒的価値 ストレス解消・自宅で本格 ↑ 機能的価値 3分でできる・生麺 ↑ 物理的価値 カップに入ったラーメン   上記どのレイヤーでタグラインを書くか、それはその商品が置かれている市場環境、競合商品との関係、コミュニケーション戦略等を踏まえ考えなくてはいけません。 「What to...

  ニュースサイトの記事タイトル、ブログの記事タイトルなど、日々様々なタイトルを目にされていることと思います。   もちろん記事で最も重要なのは「中身」であることは間違いないですが、情報過多のこの時代に、中身を読んでもらうためのタイトルは中身以上に重要度が高いと言っても過言ではありません。   そこで今回はSNSで拡散しているタイトルの特徴を抽出し、自ら実践できるテクニックに落とし込んでみたいと思います。 シェアされやすい記事の特徴を考える 書く内容が何であれ、SNSで拡散されやすい記事の特徴を知っておくと便利です。書く内容がビジネスであれ恋愛であれ、この構成を意図的に使うことでシェアされる可能性がグッと上がります。タイトルに繋がるものですので書く前にじっくり考えて下さい。   1、 あるある 2、 すぐにためになる 3、...

  今回はオウンドメディアの現役運営者、これからオウンドメディアを運営しようとされている企業、担当者に向けた記事です。   「オウンドメディアの運営を始めてみたけどアクセス数が伸びない」「そもそも何から取り組み、オウンドメディアというものをどのように捉え、コンテンツをどう更新していけば良いかわからない」そう悩んでらっしゃる方、数多くいらっしゃると思います。   私自身も、メディア運営に関して何の知識もなく2015年1月に「街角のクリエイティブ」を立ち上げ2年半、試行錯誤を繰り返してきました。アクセス数が伸びずに悩んだこと、しばらくマネタイズがうまくいかず苦しかったことなど、困難も多々ありましたが、ようやくライターや編集担当者のおかげで、100万PVを超えるメディアに成長させることができ、運営に支障のない収益を生み出すこともできています。   そこで、自身の2年半を振り返り、備忘録という意味合いも兼ねてオウンドメディアを運営する上で気をつけるべき5つのことをまとめてみたいと思います。 1. どうやってマネタイズするのか? 「いきなりお金の話か」と思われるかもしれませんが、オウンドメディアで一番重要なことは何といっても「続けること」です。   大きな企業で取り組まれているなら、採算が取れていないと社内の風当たりが強くなりサイト閉鎖なんてこともあるでしょうし、小さい会社や個人で運営されている方もメディア単体で儲かっていなければ別の収益源を見つけなくてはならず、コンテンツの更新がおざなりになってしまう可能性が出てきます。つまり、立ち上げようとしているメディアでどのようにお金を稼いでいくかは、最も重要で、できれば最初に考えておきたいことと言えます。   「著名なライターをアサインすればページビューが伸びる」「SEOを意識した記事を量産すればページビューが伸びる」とページビューのアップに目線が行きがちですが、ページビュー以上に重要なのが「マネタイズ」です。   アドセンスや様々なSSP(サプライサイドプラットフォーム)を導入し、ページビューを上げていくというオーソドックスなやり方もあれば、バナー広告を入れず記事広告だけでマネタイズする。検索で流入したユーザー向けにアフィリエイト広告を設置する。一部または全部のコンテンツを有料にして講読料でマネタイズする、など様々なマネタイズの仕方がありますが、何より大切なのは最初に決めておくこと。最初に決めておくことで、マネタイズ法に合ったサイト制作が可能になり、収益も上げやすくなります。 2. どのようなコンテンツを提供できるサイトなのか? 1とも連動する話ですが、記事広告でのマネタイズも、アフィリエイト広告を貼ってのマネタイズも、「そのサイトにはどういう情報が載っているのか」ということを明確にすることが大きな強みになります。   広告主にとって「そのメディアはどういった属性の人が見ているのか」が一番気になるところなので、日頃からターゲットを絞りその層から支持を得られる記事をアップし続けることで、記事広告出稿のハードルを下げ、検索流入を増やすことができます。美容であれば美容、恋愛であれば恋愛という柱を見失わずにコンテンツを作っていくことで結果、アクセス数アップとマネタイズにつながるのです。 3. 丁寧な記事作りを心がけているか? Web上の記事はクラウドワークスで外注したり、社内のスタッフで作ればコストを抑えることが可能です。しかし、世の中にあまたある記事の中で読んでもらうのは一筋縄ではいきません。   手っ取り早く文字数を稼いだ記事を載せるのではなく、取材や「やってみた」等きちんと足を使って記事を書く。記事のサムネイル画像もオリジナルにこだわる。誤字脱字等、校正もきちんと行ってクオリティ管理をすることが結果メディアの成長につながります。 4. 過去の記事のメンテナンスはできているか? オウンドメディアを運営していて忘れがちなのが、過去記事のメンテナンスです。検索流入が多い過去記事をメンテナンスすることは労力も少なく、安定したアクセス数を稼いでくれるので必ずやっておきたいこと。Google Analytics等を利用しアクセス数の多い記事から、画像のリンク切れ、終了したイベント等の告知等が入っていないか、追記できるポイントがないかをチェック、加筆修正します。アクセス数の多い記事をメンテナンスし検索順位を落とさないことが、効率の良いメディア運営の絶対条件です。 5. SNSでの発信内容を吟味できているか Twitterやfacebook等のソーシャルメディアを単なる告知メディアと捉えてしまい、アップした記事の紹介のみを投稿するのはもったいないことです。ソーシャルメディアオリジナルのコンテンツを作成して、そこでしか読めないコンテンツを作ることで「フォローする理由」を強め、より多くのフォロワーを獲得することができます。結果オウンドメディアの記事にもアクセス数が集まるという相乗効果を生むことができます。 まとめ 以上、私が2年半のメディア運営歴から学んだ「オウンドメディアを運営する上で気をつけるべき5つのこと」でした。今回は基本的なことを羅列しましたが、また機会があれば突っ込んだものをまとめたいと思います。   皆様のメディア運営がうまくいくことを祈って、この記事を締めたいと思います。     ...

  みなさん日々、仕事上の様々なことで頭を悩ませていらっしゃるかと思います。そしてその多くが「考えるべき課題の答えが見つからない」ということではないでしょうか。私も企画の仕事をはじめて14年経ちますが、1年目より結論を導くスピードが速くなったかと聞かれたら、そんなことは全くなく、今でも同じように頭を悩ませています。   しかし、一方で。この14年間でスランプに陥った時の対処法、脱出法のようなものは14年の中で開発してきました。   その中でも最も使えるのが「視点の変え方、作り方」です。   そこで今日は、どんな職種でも使える「視点の変え方、作り方」についてお話したいと思います。 視点を意図的に変えると「考える」は爆発的に進む ビジネスのアイデアを生む時、担当する商品やサービスのアイデアを生む時、また表現のアイデアを生む時にうまく進まないのは大抵「視点が限定的」であるためです。つまり、視点を増やすことができればそれら作業は驚くほどスムーズに進められることができます。   以下に私が使っている具体的な「視点の増やし方」をご紹介しますので、ご自身のお仕事に取り入れてみて下さい。   1. 他者になりきる   これはまさに「視点を変える」方法です。意図的に他者になりきることにより「別の目」で課題にアプローチします。「どうやってなりきるの?」という方には「ものまね」をお勧めしています。まずは自分の身近な人から。その人が課題を直面した時に言いそうなこと、思いそうなことを想像してみるのです。そして、その視点のまま課題にアプローチしてアイデアを出して下さい。   少し慣れてきたら人間以外にも挑戦してみましょう。課題そのものに視点を設け、考えている自分を見たらどう思うか、何と言うか。考えあぐねている自分を、飼っている犬がみたらどう思うか。たまたま通りかかった宇宙人がこの状況をみたら何と言うか、を想像し、書き出してみるのです。   この方法の良い所は、他者になりきった数だけ視点が生まれるということです。自分の目でしか見えていないことも、意図的に他者の目で見ることで思わぬ発見があります。   2. 「らしくない」形容詞をくっつける   これも視点を作ったり、変えたりする上でとても有効な方法です。課題に絶対合わなそうな「らしくない」形容詞を強引につけることで新しい視点を生むというやり方。   ジェームス・W・ヤング氏が著書『アイデアのつくり方』で言っている「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである」という考え方がありますが、まさにこれを使って視点を生むのです。   例えば「今までにない本屋を考えてみよう」という課題があった時、「かわいい本屋」「怖い本屋」「硬い本屋」などと列挙していきます。「かわいい本屋」はJKをターゲットとした本屋のアイデアにつながるでしょうし、「怖い本屋」はお化け屋敷と本屋を融合したイベント施設のアイデアにつながります。どれもあくまで「一次アイデア」ですので過去事例との照らし合わせ、深堀り、フィジビリティの検証などは必要ですが、ブレストのテーブルにはのせられるはずです。   一方、「話題になる採用方法を考えろ」という課題があった時、「早い採用」「長い採用」「やさしい採用」などと列挙していきます。自分を写メで撮っただけで就活が終わる「1ショット採用」、大学4年間をかけてじっくり採用活動を行う「ダラダラ採用」、圧迫面接とは程遠い「接待面接」など、少し考えだだけでも色々なアイデアが生まれます。   「らしくない」をくっつけることで自分の脳が活性化され、視点を容易に増やすことができるのです。   3. 再定義する   最後にご紹介するのはこの記事(コピーライターが教える。ビジネスで使える「強い言葉」の作り方)でも触れた「再定義」を使った視点の作り方、増やし方です。課題を一度要素に分解し直し、分解した要素を独立させたり、どれかを強めたりすることで視点を作り出します。   例えば「本」を「トイレで読むもの」と再定義すれば「100冊の本が読める有料個室トイレ」というアイデアを生むことができますし、「インテリに見えるもの」と再定義すれば「洋書100冊付き本棚」という商品のアイデアを生むことができます。課題の近くにあるターゲットの潜在ニーズも意識しながら考えるとより精度の高いアイデアが生まれます。   「再定義」という方法は、少し違った角度から光を当て直して視点を作るというイメージですので、前の2つとは若干ニュアンスは異なりますが、確実に脳の切り替えを行ってくれます。 まとめ 以上、「ビジネスで使える視点の変え方、作り方」をお伝えしました。上記でご紹介したのは私の方法論ですので、どんどんご自身で開発したものを増やしていくと良いと思います。いずれにせよ、意図的に、強制的に視点を変えるテクニックを持つことで、企画スランプ、思考スランプから早く抜け出せたり、スランプに陥らずに済んだりします。   仕事を円滑に進めるテクニックの一つとして、活用されてみてはいかがでしょうか。     ...

  前回の記事では「言葉を再定義すれば強いコンセプトを作ることができる」というお話をしました。今日はその先の話をしようと思います。その先、つまり「作った商品やサービス」をいかに生活者に情報として流通させるか、というお話です。 コミュニケーションで重要なこと。作ってどうやって広めるか。 こんな記事を書いている私ですが、広告代理店入社当時は、いい表現を作ることしか考えておらず、その表現が話題になって広告主の商品やサービスが知られたり、売れたりする所まで考えきれていませんでした。それは、TVCMや新聞広告といったメディア出稿が主流で、表現と売りの相関性が検証しづらかったというのもありますが、結果に対しての責任感が希薄だったというのが正直な所です。。   責任追及がないことをいいことに「いい表現を作れば自然と見てもらえるし、話題にしてもらえる」そう軽く考えて、自分が満足いく「表現だけ」を求めていました。   しかし、昨今のようにデジタル技術が進化し広告主側で、「表現がどれだけ流通したか」「表現がどれだけ売りにつながったのか」の効果測定がしやすくなってくると、「結果の出せる表現」が求められるようになります。「作るまで」が広告クリエイターの仕事だったものが「作ってどうやって拡めるか」までが仕事となったのです。   YouTubeをはじめとした動画メディアやFacebookをはじめとしたソーシャルメディアなどの登場で表現を見せる場所代(媒体費)が下がり、資金的な体力のない個人、企業でも簡単に発表できるようになったことも「拡める技術」が必要になった理由です。流通する情報量が10年前に比べ500倍にもなっていると言われ、昔は見てもらえていた表現が、母数の上昇により見てもらえなくなってきたからです。   このような現状で、ビジネスやコミュニケーションを行なっていく上で、重要になってくるのが「PR思考」です。   クリエイターのみならず、広告主を含めたビジネスマン全てに必要な思考です。「PR思考」とは簡単に言うと、消費者に好意的に情報を受け取ってもらい拡めてもらうため、表現内容、発信場所、発信のタイミングを考えるというものです。   「新商品を作れば自然と話題になる」「新しいサービスを作れば自然とみんなが使ってくれる」そう思っていてはもはやダメで、企業にとって拡めたいものを、メディアにとって取り上げたくなるもの、消費者がソーシャルメディアで発信したくなるものに加工しなくてはいけなくなりました。   PR思考の5要素 いきなり「PR思考を身につけろ」と言われても困ってしまいますので、今日は「PR思考」にかかせないと私が考えている5要素を紹介します。PR思考のとっかかりとして使ってみて下さい。   1、時流 2、ギャップ 3、あるある 4、使える 5、新しい   順番に説明していきます。   1、 時流 これは「PR思考」をする上で最も重要な要素。「なぜ今なのか?」を考えるということです。2017年という年、5月という季節、世の中の流行りや空気を踏まえてビジネスやコミュニケーション、表現を思考することで流通力のあるコンテンツを生むことができます。   2、 ギャップ これは1を踏まえるとよりパワーが増しますが、拡散される情報の鉄板パターンと言えます。「信じられないくらいマズそうなフレーバーなのに、信じられないくらいうまい」「こんなに可愛いのに瓦10枚頭で割っちゃうんだ」など「ぽくないを作る」を頭に入れて思考して下さい。   3、 あるある 「そうそう、それ初めて言われたけどめちゃくちゃ共感出来る」という要素を盛り込むのがこれです。注意したいのは「誰かが言ったあるある」ではダメで「初めて言われたけど確かにそうだ!」というものを見つけなくてはいけません。これがなかなか難しくもあるのですが、前回書いた「再定義」の手法で突破口を見出せる場合もあります。   4、 使える 商品やサービス、情報も今や使えなければ、見過ごされてしまう危険性があります。「この記事読んだから家事の時間が半分になった」「このサービス使ったから自分の苦手なことが克服できた」など使えるビジネス、使える企画は流通力のあるコンテンツとなります。   5、 新しい これは当たり前といえば当たり前ですが、圧倒的に新しいものはそれだけでかなりのアドバンテージがあります。過去にある商品やサービス、表現と比較して圧倒的に「ないもの」が見つかったら変に加工をせずファクトを前面に押し出せばOKです。     以上のように、これからは「情報をどのように消費者に拡めていくか」を踏まえて、ビジネスやコミュニケーション、表現を考えなくてはいけません。「面白いから広まるだろう」「面白いから売れるだろう」ではダメ、というのを肝に銘じてPR思考を磨いていきましょう。     ...

  私は社会人になって14年間、「言葉」を生む仕事をしてきました。しかし、言葉と言うものは、ただ「表現する」ためだけに存在するのではなく、商品やサービス、プロジェクトの「コンセプト」や「進むべき方向性」を指し示すものとして機能します。   そう考えれば、どんな業種、どんな職種で働かれている方も「強い言葉を生む技術」は、仕事をする上でとても重要で、持っていると強い武器になるものと言えます。   そこで今日は、そんな「強いコンセプト」や「強いディレクション」につながる「強い言葉の作り方」について、具体的な例を交えて、お伝えしたいと思います。 「強い言葉」を生むために言葉を再定義する 「強い言葉を生む」ためには、いくつか方法論があるのですが、今日は最も使い勝手が良く、本質的なものについてお伝えしたいと思います。それは       言葉を再定義する       というものです。簡単に言ってしまえば「ある言葉」や「ある考え方」を、「別の言葉で言い換える」というものなのですが、これがとても有効なのです。わかりやすい例を出します。       四十歳は二度目のハタチ。(伊勢丹)       これは、2009年にお亡くなりになられたコピーライター、眞木準の伊勢丹のキャッチコピーです。おそらく「伊勢丹に四十歳のターゲットを集客したい」というクライアントの要望を受け、開発されたキャッチコピーだと思います。   クライアントからこのお題が出た時、きっと駆け出しのコピーライター(若い頃の自分も含め)は   ・洋服にこだわる四十代は、かっこいい。 ・今日初めて、娘のインスタグラムにのった   などと書いてしまいます。   ・クライアントの戦略ワードをキャッチーに言語化する ・ターゲットのインサイトをつく ・ターゲットの背中を押す要素を入れる   という「キャッチコピーのあり方」に照らし合わせれば、悪いキャッチコピーではないと思います。しかし、このコピーは、ポスターや新聞広告など「限定された場所」でしか使えない「表現のコピー」に留まってしまっています。   言い換えると「コンセプト」や「ディレクション」にはならない“枝葉”のコピーであって、様々な施策に「広げる」ことができる“幹”となる言葉にはなりません。その視点で「四十歳は二度目のハタチ」を見てみるとどうでしょう?   この言葉は「四十歳」を「二度目のハタチ」と再定義するコピーであることがわかります。つまり “幹”(コンセプトやディレクション)となって、広がりが容易に想像出来ます。少し考えただけでも、   ・二度目の成人式 ・四十歳から飲める「大人の中の大人」限定の飲料キャンペーン ・二度目のハタチ採用活動   など、単なる「百貨店のキャンペーン」を超え、世の中の「四十歳」を再定義し、社会の価値観をも変えてしまう力を秘めていることがわかります。   このような言葉こそが「強い言葉」と言えるのです。   言葉を再定義し「強い言葉を生む」ための、オススメのやり方もご紹介しておきます。「再定義すべき言葉(課題となっているキーワード)」を、ノートの真ん中に書き、周りに言い換えを書いていきます。       他の言葉で、例を出してみます。   【飛行機の言い換え】 ・空飛ぶ映画館 ・電車より安全な交通手段 ・最速の移動手段   【水の言い換え】 ・お湯が冷えたもの ・薬(サプリサプリメント)を飲むもの ・植物の食事       飛行機を「空飛ぶ映画館」だと捉えれば、映画館で行っているサービス、例えば、3Dメガネを配って3D映画を上映したり、数種類のポップコーンが食べられたり、さらに進めると映画に合わせた飲食を提供したり(フランス映画とその地方のワイン、チーズなど)と、コンセプトからどんどん機内でのサービスへアイデアを広げていくことができます。   水を「薬を飲むもの」だと捉えれば「薬を飲むためだけのお水」というコンセプトが生まれます。酸性の薬(サプリメント)にも、アルカリ性の薬(サプリメント)にも合う中性、しかも成分の吸収を助けたり、新陳代謝を促したりすることができれば画期的な水が生まれます。これからの高齢化社会にあった商品として話題にもなりそうです。同じように水を「植物の食事」と捉えれば「植物専用のミネラルウォーター」というコンセプトで、植物の成長に適した成分を含んだ水、しかも人間も飲めるものを生むことができます。ペット専用のミネラルウォーターを作っても面白いかもしれません。   実際は、商品化やサービスの実現化に向けては、様々な検証、そして収支が合うかなど検討すべき点が多々ありますが、コンセプトづくり、アイデア出しというフェーズで見れば、かなり有効に使える方法論だと言えます。   以上のように、どんな業種、職種で働かれている方でも必要となる「強い言葉を生む技術」は、「再定義するコツを掴むだけ」で容易に手に入れられることがわかります。   何の拠り所もなく、コンセプトを生もうとしても、なかなか難しいものですが「再定義する」というシンプルな目標を掲げて、連想ゲームのように言葉を書き出していけば、驚くほど簡単に「強い言葉」「強いコンセプト」にたどり着くことができるのです。   課題を抱えて、頭を悩ませている方がいらっしゃったら、一度「再定義する」を試してみてはいかがでしょうか?     ...

  2017年4月3日月曜日、通勤で使っている六本木駅には、こわばった表情の新入社員らしき「社会人」が髪を整え、着心地悪そうにスーツを着て、足早にどこかに向かっていた。   そんな新社会人達を見ていると、ジーパンにセーターで出社する自分にまで緊張感が伝わってきて、ふとあの頃を思い出した。   14年前。   2003年4月1日、出来たばかりの電通ホールで私は、六本木駅で見かけた新社会人のような出で立ちで、大きな不安を抱えていた。   どうしても入りたかった電通の入社式当日。嬉しいはずのその日に、私の頭の中には全く違う想いがあった。   「この会社で正しかったんだろうか」 「この会社で一生やっていけるだろうか」 「落ちこぼれたりしないだろうか」   「フレッシュマンブルー」とでも言うのだろうか。全く知らない世界に飛び込む不安と恐怖に押しつぶされそうで、周りにいる180人の同志(同期)の顔さえ、グレーのフィルタがかかって見えていた。   そして、あの日の自分は、強く、疑いなく、こう思っていた。   「早く、新人という肩書きから抜け出したい」   六本木駅で見かけた新社会人の多くも、似たような想いを持っているのかもしれない。   しかし、14年後の今、あの頃の自分に。そして2017年、不安を抱えるすべての新社会人に「このこと」を伝えたいと思う。   「1年目の君にしか、できないことがあるよ」 この一年は、二度と来ない。 当たり前のことだが、社会人1年目というものは一度だけしかない。二度とやっては来ない。これから約40年。君たちは会社の一員として、社会の一員として、長いプロとしての人生を生きる。いい意味でも悪い意味でも、どんどんこなれてくるだろう。だからこそ、この一年でしかできないことをして欲しい。変に背伸びしたり、誰かの真似事をするのではなく、今の君の「強さ」で戦って欲しい。 インターネットを捨てよう。 上司や先輩になくて、君にあるものは何だろう? 「時間」だ。今しかないその時間を使ってどんどん外に出かけよう。「ググれカス」なんて定型文は聞き流し、現場に足を運ぼう。担当する商品やサービスがある現場に行って、ライバル商品と並んだ時の見え方、買っていく人が何分で、何を見て、購入を決めているかを観察しよう。インターネットには載っていない情報が、現場にはある。それを手にして会議に臨もう。沢山の業務を抱えている上司や先輩には得難い情報。それこそ、1年目の君にしか持てないものだから。 「最強の素人」になろう。 素人の目を持って仕事ができるのは、社会人1年目だけ。逆に素人同然の意見として許されるのも、社会人1年目だけだ。2年目以降は色んな大人の事情がわかってきて、嫌でもプロの視点を持つようになる。また、1年目であれば許されていたことが、2年目では許されなくなるし、「2年目なのにそんなこともできないのか」「2年目なのにそんな質問をするのか」と言われたり、思われたりする。   人は成功したことからより、失敗したことから、かけがえのないものを学ぶ。   これは、私がこの14年間で得た教訓だ。人は成功したことはすぐに忘れてしまうが、失敗したことは絶対に忘れない。そして、同じ失敗を繰り返さないよう努力する。つまり、人は失敗した回数が多いほど、大切な局面で失敗しにくくなる。だからこそ「失敗が許される1年目」にできるだけ失敗を重ね、2年目以降での成功率を上げてほしい。   「恥ずかしいから」とか「どうしよう」とか言ってる間に、1年は過ぎ去る。どんどん打席に立って、どんどん空振りしよう。ホームランバッターはそうして生まれるから。 「この人だ」という師匠を見つけよう。 14年間広告の仕事をしていて、つくづく感じるのが、優秀な人間が生み出すものは「学生っぽい」ということだ。言い換えると「実現可能性が怪しいもの」。過去の実績や、予算、スケジュールのしがらみを取っ払って、たどり着けない場所にたどり着く。圧倒的に「なかったもの」を世の中に見せつける。   では、新人の「学生っぽいアイデア」はなぜ実現しないのか。   「個人の実績」と「人脈」の問題がある。   仕事は人についてくる。過去の仕事ぶりと実績から「この人なら大丈夫だ」という人に、チャレンジングな仕事がやってくる。また、どんな優秀なプロでも一人で仕事を仕上げることはできない。同じく「この人にならついていく」という優秀な仲間が、優秀なプロの周りにはいて、ともに新たな実績を作っていく。さらに実績に魅せられた優秀な仲間が集まり、人脈もどんどん拡がっていく。   そこで、こう考えてみるのはどうだろう?   「僕の学生っぽいアイデアは、優秀な師匠となら実現できるかもしれない」   入社したての君は、おそらく君の配属先と、君の上司を選べない。だからこそ、やることがある。会社の中を見渡し「この人だ」という師匠を見つけ、つけ回そう。   部署が違ってもいい。君の仕事は、君の直属の上司から命令されたことだけじゃない。10年後の君のために、ついていくべき指針を見つけ、やるべき仕事を終えた後、師匠の仕事を手伝い、技を盗むんだ。「残業は絶対したくない」という考え方も否定はしない。でも、10年後に打席に立っているのは今、がむしゃらに目を輝かせている新人だという事実も、一方である。   今は師匠の実績と人脈でしかないものが、やがて、君の実績と人脈を形作っていく。 「あと38年しかない」と考えられるか、どうか。 2003年の入社式から、もう14年も経つ。 冗談抜きで昨日のようだし、そろそろ社会人の折り返し地点だと思うと、言いようのない焦りさえ感じる。   近ごろ、こんなことを考える。   「あと何年働くんだろう?」   スタート地点で見る14年先は遥かに遠い。でも今、後ろを振り返って思うことは「14年はあっという間だった」ということだ。この調子だと、きっと60歳で後ろを振り返ったとしても「昨日のようだった」と言っているのだろう。   生きる早さが変えられないとすると、今、何をすべきか。   「今、それに気づくこと」だと思う。   60歳で後ろを振り返った時の「今」を、今、意識するか、しないか。   それこそが「今」を大切にできる、最良の方法なのだと思う。   私は、1年目にそれができなかった。   教えてくれる人もいなかった。   だから、この記事を書こうと思った。   今、1年目である新社会人の君たちに。そして14年前の自分に、はっきりこう言ってあげたかったのだ。   「今、君にしかできないことがあるよ」と。     ...