「最近の若者」の仕事観を知ってるか⁉2000年代前半生まれ、10代の起業家たちにインタビューしてきました

課外活動

大人には想像不能⁉10代の起業家に仕事観、価値観を聞いてきた

飲食店経営及び経営コンサルタントをしております「えらいてんちょう」です。皆様こんにちは。初めましての方は初めまして。
今回お届けするのは3名の高校生起業家へのインタビューです。高校1年生の起業家3名ということで、2002~2003年生まれ、ほとんどの読者の方より年下だと思います。中には自分の息子・娘が同世代という方がいらっしゃるかも知れません。今回はスマホネイティブ世代の彼らの仕事観について、インタビューを通じて詳らかにしてまいりたいと思います。次世代の仕事観は目新しく、資金調達や雇用、事業について他の世代と全く異なった認識をもっているため、その橋渡しができれば幸いです。

ワクワクを貫いて、目指すは現代の「百姓」。いわたがくさん

1人目は、いわたがくさん(twitter
都内の国立高校に在籍しながらも、「中高生のための一人旅」を企画し、クラウドファンディングでの資金調達も行った方です。
 

-今日はよろしくお願いします。簡単な自己紹介をお願いします。
 
いわたがく(以下いわた):こんにちは。いわたがくと申します。都内在住の高校1年生です。中高生の選択肢を増やすことを目的とした、genateという学生団体を主催しています。最近ではメディアやカフェの立ち上げにも関わっています。
 

-まずはいわたさんの起業や就職についての意見をお聞きしたいです。
 
いわた:僕は起業については肯定的な意見を持っているのですが、周囲を見ていると現実的な選択肢が就職しかないように感じています。僕は例えるならば「百姓」のように幾つもの仕事を手掛けて、人生を駆け抜けていきたいという思いがあります。その生き方を実現する手段として、現時点では「起業」を考えています。もし就職するとしても「パラレルキャリア」を体現していきたいと考えています。ただ、多くの人にとって就職はいい機会だと思います。現行の教育の仕組みでは問うことのない、「人生の目的」について自問自答する良い機会になると思うので。
 
-百姓というのは面白い例えですね。もう少し詳しく教えてもらってもよろしいでしょうか。
 
いわた:一つの仕事やプロジェクトに専門として従事するのではなく、「百の生業」を持つ百姓のように、多くのプロジェクトを仕掛けていきたいという思いがあります。
 
-なるほど。多くのプロジェクトを同時並行で動かせるようになりたいということですね。この考え方は堀江貴文さんの「多動力」に通じるところがありそうです。資金調達や従業員の雇用と言った点についてはどのようにお考えですか。
 
いわた:資金調達や従業員の雇用は、あくまで実現したいことの手段として個別に精査していくべきだと思います。会社経営についてはあまり詳しくはありませんが、従業員を雇用することよりもクラウドソーシングで外注する方が、コストが低い印象があります。
 
-お話を伺っていると、「上場」という起業の分野でのゴールはあまりイメージされていない印象を受けました。いわたさんにとっての仕事のゴールというのはどのようなものでしょうか。
 
いわた:私にとっての仕事のゴールは「自分にとってのワクワクを貫く」ことですね。同じように世の中をワクワクするようなことで溢れさせていきたい。お金についてあまり執着はないですね。美味しいご飯が食べられるくらいで丁度いいです。
 
-いわたさんにとって仕事というのは「遊び」や「ゲーム」の1種でリスクも少なく楽しめるものという位置づけなんですね。大変勉強になりました。本日はありがとうございました。
 
 

起業か就職課は関係ない。重要なのは「熱量」。高木俊輔さん

2人目は高木俊輔さん(twitter
中学校の文化祭のためにpolcaというサイトを使って、スポンサーを集めてしまったという方です。
 

 
-本日はよろしくお願いします。中学生で文化祭にスポンサーを獲得したというのは凄いですよね。まずは高木さんの就職や起業についての考え方を伺いたいと思います。
 
高木俊輔(以下高木):起業に関しては「お金を出せばすぐ出来るもの」という認識です。難しいものではないですね。業を起こすと書いて起業ですし、世の中になじめなくてもリスクを取れる人ならどんどんやってもいいのではないのでしょうか。就職は、ある意味では、最もリスクを取らずに攻めの姿勢でいられるポジションです。結局はその人に合う場所で行動するのが1番ではないでしょうか。
 
-なるほど。就職してから人脈や経験を積んで起業するという考えもあると思うのですが、この点について高木さんの意見を伺いたいです。
 
高木:就職にこだわる必要はないように感じます。就職しなくても人脈は作れますし、就職しても作れます。しかし、自分自身の熱量が下がってしまうことや、「これは自分のやりたいことではない」と感じるような時間があるとすれば、すぐに起業するべきだと思います。
 
-なるほど就職していなくても人脈を構築することや、経験を積んだりすることは出来るわけですね。資金調達の方法や従業員の雇用についてはどうお考えですか。
 
高木:資金調達についてはネット上で募れば良いのではないでしょうか。従業員についてはSNSで自分の事業について発信して、やりたいと手を挙げる人をどんどん雇っていけばよいと考えています。
 
-なるほど。資金調達についてはクラウドファンディングなどのサービスを使って事業に魅力を感じてくれる人を募るというような形ですね。従業員やプロジェクトメンバーもSNS経由で募って、黒字化して利益が出るまで活動して、利益が出たらメンバーに配分していくというような形になりますかね。経営者と株主をSNSやクラウドファンディングで募るイメージでしょうか。
 
高木:そんなイメージです!これからは収入に依存して、仕事にいやいや取り組む人は減っていくと思うので。「このプロジェクトは潰れてもいいか」という気軽なスタンスで、仕事に臨むような人が増えるのではないのでしょうか。
 
-なるほど。そもそもあまりお金に執着しているわけではないのですね。今の中高生の起業家は何をゴールにしているのでしょうか。
 
高木:単純に勉強よりも起業している方が楽しいからですね。使いたいときに足りる程度のお金を稼げれば問題はないという考えです。
 
-遊びの延長線上に起業があるというわけですね。たかが遊びの一つなので、一つの商売に対して執着もしない。上手くいって楽しければ続ける。遊びは真剣にやらないと楽しくないので、姿勢は真剣そのもの。このような取り組み方でしょうか。
 
高木:その通りです!
 
-なるほど。そのような姿勢で仕事に取り組まれているんですね。大変勉強になります。最後の質問なのですが、中高生の起業家の皆さんは本名でネットの活動を行っています。匿名で活動するとは考えなかったのでしょうか。
 
高木:自分は人とよく会うので、顔出ししている方が安心できるんです。あとは自分の名前をブランド化することも狙っています。
 
-なるほど。名刺の代わりとしてネット上にある実績を使っているわけですね。本日はありがとうございました。
 
 

起業もクラウドファンディングも若いうちが有利⁉益山永遠さん

3人目は益山永遠さん(twitter
胸の大きい女の子向けの下着ブランドを展開されています。
 

 
-簡単に自己紹介をお願いします。
 
益山永遠(以下益山):益山永遠(ますやまとわ)高校1年生、15歳です。胸が大きな女性のための下着ブランドEteranun(エテラナン)を立ち上げ、その資金調達としてクラウドファンディング中(5/19まで)になります。3/19に65万を目標に開始し、現時点で74%を達成しました。
 
クラウドファンディングのページ
 
世間一般的に贅沢な悩みとされる「大きな胸」に着目し、また私自身が当事者だったことから事業を展開することにしました。下着ブランドなのでアパレル業になりますが、日本や世界を良くしようとする起業家の方々にも影響を受け、ベトナムやバングラデシュといった発展途上国での工場開拓や生産を通し、発展途上国の工場の環境改善など社会課題解決型の事業へも広げられたらと考え動いています。
 
-もう既に商品をつくって販売されているのでしょうか?
 
益山:商品をつくるお金すら無かったので!クラウドファンディングを駆使しました!
まだ法人化をしていないこともあり、お金が無い状態だとどこの工場にも相手にされなくて…。まずは商品を作るお金を集めなければならない、クラウドファンディングに全力をかけることが私の出来ることなのかなと思い動いています。
 
-中学生で起業をしようというのは珍しいと思うのですが、影響を受けた起業家がいれば教えてください。
 
益山:影響を受けた起業家は、というか起業したいという夢が起業するという決意に変わったのは、14歳からのスタートアップという番組に出演されていた八木澤玲久さん、川島康平さんがきっかけとなりました。同年代の方がここまでしているのか…(語彙力)と感銘を受けたあの瞬間のことを今でも肌感として覚えています。初めて知った、見た、学生起業家があのお二方なので私自身あのお二方を基準としている所があったりします。(※八木澤玲久・高校3年生の時起業コンテストで最優秀賞を獲得、地元那須をPRする旅行代理店「那須旅」を設立、川島康平・高校2年生の時にQRコードを使った地方創生観光ビジネスを手掛ける株式会社NEXTremeを設立。現在はNEXTreme合同会社CEO)
 
-なるほど。起業や資金調達をする上で、年齢が影響すると思いますか?
資金調達については、「年齢って武器になるなぁ」とクラウドファンディングを初めてより一層感じております。簡単な話、私が今やろうとしていることを30歳の人がやってもここまで集まらないと思うんですよね。まだまだガキんちょの女の子がなんか社会課題を解決するためにやってんなー、若いのにすごいなー。ってなるんですよね。事業内容より年齢を先にみられるというか。それを嫌う人もいるようですが、私はこの年齢で動いたからこそチャンスを頂いたと思っています。
起業のハードルも若ければ若いほど低いと思います。失敗しまくれるので。起業を1番学べるのって起業することだから、バンバン行動して沢山失敗してそれらを次に生かせたらいいのかなぁというのが私の考えです。
 
-同じ内容でも、若さがあれば応援される、応援されれば資金調達もできるし、事業でつまったときも助けてもらえる、というイメージなわけですね。
一般的に起業に失敗するとお先真っ暗、借金まみれ、堅実に就職、みたいな価値観があると思いますが、そういった価値観に対してはどう思いますか?

 
益山:そんな価値観あるんですか〜!もちろん事業内容や想いも前提ではありますが…若ければ若いほど得をするってイメージです!私的には失敗も失敗じゃないというか…だって…DJ社長なんか、何千万と借金あるけど幸せそうじゃないですか〜!(※人気YouTuber・DJ集団「レペゼン地球」のリーダー。ピーク時の借金は6,000万円という)その環境をどう受け止めるかは本人次第だし、いかにその状況を楽しむ力があるのかだと思うんですよね。起業関係なく。それに、みなさんだっていつリストラされてもおかしくないじゃないですか…。サラリーマンが安定とは思いません。
AIが発達してきてる今、固定概念に囚われない想像性や柔軟性、スピード感大事だと思うんですよね。時間って命なので!やりたいことやった方がいいです絶対!好きじゃない仕事なんてやらない方がいいです。私も最近苦手なことしておっきなニキビできたので。できるできないじゃなくて、やるかやらないか。使い古された言葉ですけど、「こういうことか!」って分かるのはやってからだと思います。
 
-起業のことは起業した人にしか分からないって感じですね…。実際起業するにあたって親御さんの意見はどうだったかについても伺いたいです。
 
益山:最初は周りは応援してくれてなかったですよ!両親、親戚含め。当たり前のように「子供に何が出来るんだ」って沢山言われました。けど、やってたら本気度伝わったみたいで今は応援してくれてると思いますよ!
 
-「親は親、自分は自分」って感じなんですね。益山さんも、ほかの中高生起業家のみなさんにインタビューしたときもそうなんですけど、お金持ちになりたい!みたいな感覚が薄いですよね。
 
益山:ほんまにそうすよ!ゆうて他人なんで。親であろうとも100%分かり合えることなんてないと思います。でもそれを悪いことだなんて思いません。学生起業家にとって親って大きな壁だと考えがちですが、意外とそうじゃないです。分かってくれないなんて!って思わずに、「あ〜そういう価値観なんだな〜!でも私はこういう風に思うねんなぁ」って感じで良いと思います。悟り世代って言われるじゃないですか、私たち笑。バブル世代の両親を持って、それを見てて「あ、お金を持つこと=幸せではないんだ」と気づいたんですよね。お金はより幸せになるためのものであって、「お金持ちは幸せ!貧乏は不幸!」ではないんです、決して。
 
-では、起業する上での目標、ゴールはどういうところになるのでしょうか?
 
益山:ゴールかぁ、私ないです!私、計画性めちゃくちゃなくて笑。ほんとにその時に「やりたい!」と思ったことに素直になってるだけというか…。なので、長期的なプランがあって、そこから逆算して今何をするべきかというよりその場その場での感情を大切にして動いてますー!
 
-その場でワクワクすることをやって、ワクワクしなくなったら切り替える、って感じですね。大変勉強になりました。最後に、中高生起業家のみなさんは本名で活動されてる方が多いですが、「ネットに個人情報を出さない」といった考えはあまりないのでしょうか?
 
益山:ほんまに一人の起業家として名前出してる感じですね。中高生だからどうとかじゃない気がします。
 
-ひとりの起業家として名前を出して売っているわけですね(私は出してない…笑)
大変勉強になりました。商売の成功をお祈りしてます!

 

まとめ

さて、次世代のエリートの考えを紹介いたしましたが、読者の皆様はどのような感想をもたれたでしょうか。
特徴的な考えとして
 
①起業を特殊なことと考えていない。会社員としての修行を経てからのような考えは皆無。
②起業が失敗しても破滅しないことを知っている。借金をしないから。ビジョンさえ魅力的ならクラウドファンディングで大金がすぐに集まる。
③ひとつの事業に愛着を持ってやり続ける、という意識が薄い。いろいろなことをやってみたい、常にワクワクしたい、起業はその手段である、という意識。
④仮に失敗してもそれも一つの経験と捉える。
⑤親の話が少ない。親は親、自分は自分といった自立心が強い。
 
といったものがあげられます。大学進学などを重視していないのも特徴です。SNSネイティブの彼らの価値観が主流になるのも時間の問題に思えます。読者諸賢におかれましては、新しい価値観を吸収していかれると、次世代と一緒に仕事がしやすいかも知れません。

1990年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。2015年、24歳の時に初期費用50万円でリサイクルショップをショボく起業し、ショボい経営術で1年間で系列5店舗まで拡大。現在はイベントバーエデンを経営し、ショボい起業コンサルタントも展開する。事業計画書はいらない、開業資金に何百万円もなくても大丈夫など、起業の常識をこれまでの経験をもとに覆し、ショボい起業家を増やす。このほか、ベーシックインカムハウスプロデューサー、しょぼい喫茶店アドバイザーも務める。2016年に初対面から2週間で結婚、1児の父。

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