福島市のご当地グルメといえば円盤餃子。
見た目が空飛ぶ円盤に似ているからとか、円盤状に焼き上げているからとか名前の由来はいくつか説がある。
▲これが円盤餃子だ!
円盤餃子は第2次大戦後、福島市の餃子専門店「満腹」から始まったとされる。
満州から引き揚げた満腹の創始者が、現地人から習ったやり方で餃子を焼き、屋台で出したら大人気に。開店当初は焼き鳥などのおつまみもあったのだが、お客さんの要望もあって餃子専門店になったそうだ。
満腹の繁盛もあって、福島市内に餃子専門店は次第に増えていった。今ではすっかりご当地グルメとして定着した。現在、市内で円盤餃子を売りにしてる専門店は10店舗ほど。
メニューの1つとして中華料理屋やラーメン屋が提供してるケースはさらに多い。それぞれのお店で円盤餃子が置かれているポジションが微妙に異なっているので、3店舗を巡って比較してみた。
円盤餃子「照井 福島駅東口店」
餃子専門店「照井」は創業60年を超える老舗店。本店は夜からの営業なので、福島駅東口店に足を運んだ。
円盤餃子は一皿22個1300円か半皿11個650円の2択。いずれにせよ数が多い。ごはんセット350円を頼めば、ごはんとみそ汁とおしんこともう1皿ついてくる。ラーメンもあるけれどメニュー表の隅っこに追いやられ、あくまで餃子がメインというスタンス。
満席の店内をざっと見渡すと、2~3人で円盤餃子一皿をシェアしてごはんセットをつけるか、1人で半皿にごはんセットという人が多いようだ。なかにはごはん無し円盤餃子だけ一皿ずつという夫婦もいて、なるほどその手もあるかと関心した。ひたすら餃子に集中したいなら、それが一番だ。
▲円盤餃子一皿 1300円
油多めで焼かれているので揚げ餃子に近いパリパリ感がある。
22個も食べられるか不安だったが、1つ1つはそれほど大きくないし、餡も野菜多めでさっぱりしてるのでペロリとイケてしまう。主役を張れる餃子だ。
らーめん屋「石狩」
お次は「らーめん石狩」。辛味噌ラーメンやレモン入り塩ラーメンが人気のお店。こちらは基本的にはラーメン屋さんで副菜として円盤餃子も出してるというパターンである。
円盤餃子専門店は営業が夜からのお店がほとんど。それもあって、ここ石狩では昼から食べられるよって点を強くPRしている。10個単位で注文可能で、最大50個の超特大サイズも出来る。
▲円盤餃子30個 1800円
こちらも1つ1つは小ぶり。餡もさっぱりしてるので10個ぐらいであればラーメンと合わせて食べてもなんてことはない。あっという間に2人で30個完食した。
この時、ほとんどのお客さんがラーメン系を食べていて円盤餃子を頼んでいたのは我々だけだった。あくまでラーメンがベースで円盤餃子はおかず。まさに我々がそうだったが「夜は他の場所で予定があるので、昼間に円盤餃子を食べときたい」という観光客の需要も狙える。
のみくい処「川海」
3店舗目はのみくい処「川海」。カウンターメインの居酒屋で気さくなご夫婦がひっきりなしに陽気な話しをしてくれる。店内は薄暗く、スナックじみた空気感だ。
こちらは福島市から車で50分ほど南下した郡山市内にあるお店。
たった1店舗から始まって、流行るにしたがい競合店が出来てきて、ご当地グルメとして評判になって、周辺の市町村にも広がっていく。円盤餃子もまたご当地グルメの定番の流れを辿っている。
飲みがメインなので、食事メニューはつまみに向いてる物が多い。大変味のあるイラストは店長さんが描いたもの。イメージ図と実物があまりにも違いすぎて抽象画のようだ。
ちなみにこのお店、チヂミが1枚100円と爆安価格。
円盤餃子はこちら。前2店舗と異なるサイズ感で1粒が大きい。皮も厚く、餡も主張が強い。ラーメンやごはんのお供ならこれだけの量は食べきれないかもしれないが、酒のつまみとして2~3人でつつくなら有り。おつまみとしての円盤餃子だ。
以上のように、お店によって円盤餃子のポジションはまるで違う。
ある店は主食として専門で取り組み、ある店は副菜として置き単価アップを狙う。市内を飛びだし、酒のつまみに据えるパターンもある。
人気ご当地グルメをメニュー構成のなかにどう取り込むか。そこからお店の狙いが見えてくる。