「人間の価値とは何か」AIと共存共栄していくための社会的スキルを考える

ニアセ寄稿

 
近年AI(人工知能)の技術開発が進み「将来的に無くなる職種」などというものも発表されています。果たして本当にAI・ロボットが全て行ってくれる未来は来るのでしょうか?その時「人間の価値」はどうなるのでしょうか?
 
今回は、どんなに技術が発展しても人間として絶対に身に付けておくべき「社会的スキル」について考えていきます。

人間の価値を考える前に知っておきたいAI(人工知能)の種類

 

【特化型人工知能】

iPhoneに搭載されているパーソナルアシスタント「Siri」も特化型人工知能です。何か1つの役割に特化したものを言います。
 

【汎用人工知能】

こちらは世界中の様々な機関が研究開発をスタートさせたばかりで実用化されていません。何か1つの役割に特化するのではなく、会話・事務作業など人間と同じ振る舞いができるものを作ろうというコンセプトです。
 
日本で汎用人工知能の開発をリードしているのは「全脳アーキテクチャ・イニシアティブ」と言われていますが、彼らによると2030年には汎用人工知能開発の目処が立つと言われています。
 
感情を含む脳のすべてを再現しようとする全脳アーキテクチャのアプローチは「日本人らしい」と評価されています。
 

【ここで雇用問題】

汎用人工知能が登場すると、仕事、雇用の状況は一変してしまうと懸念されます。作業をオートメーション化するどころか、人間と同じような振る舞いができてしまうからです。

人間の価値とは何か。オックスフォード大学が示したデータ

人間が行う仕事の約半分が機械に奪われる
下記はオックスフォード大学が発表した「今後失われる職種」です。
 

※一部抜粋(参照:雇用の未来)
1、銀行の融資担当者
2、スポーツの審判
3、不動産ブローカー
4、レストランの案内係
5、保険の審査担当者
6、動物のブリーダー
7、電話オペレーター
8、給与・福利厚生担当者
9、レジ係
10、娯楽施設の案内係
11、カジノのディーラー
12、ネイリスト
13、クレジットカード申込み承認・審査員
14、集金人
15、パラリーガル、弁護士助手
16、ホテル受付
17、電話販売員(携帯電話・スマートフォン)
18、仕立て屋(手縫い)
19、時計修理士
20、税務申告書代行者
21、図書館員
22、データ入力作業事務員
23、苦情処理・調査担当者
24、簿記・会計
25、測定士
26、映写技師
27、金融機関クレジットアナリスト
28、眼鏡・コンタクトレンズ技術者
29、殺虫剤散布技術者
30、歯科技工士

 
このような衝撃的な予測をするのは、英オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授。そのオズボーン氏が、同大学のカール・ベネディクト・フライ研究員とともに著した『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文が世界中で話題となっています。同論文の凄味は702の職種すべてについて、コンピューターに取って代わられる確率を仔細に試算したことにあります。
 
たしかに、そう遠くない未来は便利な生活になるでしょう。「自動運転車」も実用化される日は必ず来ます。その分、消えていく雇用・職種もあるのは当然なのかもしれません。では他に便利なAI/ロボットは現在、どういう物があるのでしょうか?

身近になった「お掃除ロボット:ルンバ」

roomba
(公式サイト)ルンバはたしかに便利です。私も愛用しています。
ですが、違和感があるのも事実です。
 
お掃除ロボットをお持ちの方なら下記について考えたこと、1度はあるはずです。

  • お掃除ロボットが通れる家具に買い換えた
  • お掃除ロボットが通れるように床に物を置かない生活を心掛けている

お掃除ロボットを起動させるために、事前に最低限の掃除や家具の配置を行う……これ、本末転倒な気がしませんか?

お料理ロボット!シェフ・ロボット


【出典】https://www.youtube.com/watch?v=KdwfoBbEbBE&feature=youtu.be
まだ販売はされていませんが現在開発中の「シェフ・ロボット」です。
 
英国ロンドンにあるロボット工学カンパニー『Moley Rotics』(モーリーロボティックス)が開発した料理全自動ロボットは実用化に向けて2.000種類以上のレシピをインストールする準備を整えているそうです。
 
食材・食器さえ用意すれば、あとは全てお任せ!盛り付けも皿に綺麗にしてくれます。そして、料理後の手間……そう!あの面倒臭い「後片付け」も行ってくれるのでキッチンは常にピカピカ!
 
販売価格は約850万円!高い/安いあなたは、どう思いますか?

人間の価値とは。これから必要な社会的スキルとは

まず「お掃除ロボット」ですが、床に物を積み重ねているような生活では全く使い物になりません。次に「料理・ロボット」は食材や食品添加物など身体に良い安全な物を買い出しに行くのは、あなたです。「あなた」にそのような事を見極める知識が必要とされます。
 
スーパーで、いちいち検索して調べますか?手間ですよね?どんなに美味しい料理を作ってくれるロボットでも「持ち主次第」という事になります。
 
「生きる」ために必要な事。衣食住について最低限の知識が無ければ、どんなに有能なAI/ロボットも活かす事は出来ません。
 
例えばAIに質問・命令をするにしても、正しい文法で伝えなければ、こちらの意図とは全く違う事を行ってしまいます。AI/ロボット相手でも【人間として生活を営む基本知識・常識】が無ければ全く活用はできないでしょう。
 
買い物から身の世話、全てを任せられるAIロボットはまだ少し遠い未来です。人間の手が全く必要ない快適なAIロボットの実用化までは、人間としての器量が必要とされます。

人間の価値を知り、時代にあわせた働き方を

永続する企業は減り「機械との競争」などで稼げるスキルは変わりつつあります。企業の寿命やスキルの寿命より私たちの寿命が長いという時代が迫っているのが近年です。
 
そうなれば、1社で長く働き定年まで勤め上げる、という生き方はもう古い価値観となりつつあります。なら、新しい時代に合わせた働き方をすべきです。
 

【①エクスプローラー】

自らの針路を幅広くとって模索を続けながら、良いビジネスに出逢ったらどんどんチャレンジしていく。
 

【②インディペンデント・プロデューサー】

自由と独立を重視して小さなビジネスを営む。
 

【③ポートフォリオ・ワーカー】

さまざまな仕事や活動に同時並行で関わっていくというビジネス方法。
 
上記①~③は年齢とリンクしないのが特徴です。20代でインディペンデント・プロデューサーでも良いですし、60歳でエクスプローラーでも構わないのです。
 
こうして各世代が混じり合っていくのが、これからの未来の有り方ではないでしょうか。年金も期待できない超高齢化社会に向けて「生涯現役」で有り続けるためには①~③の働き方を選択する人が増えると予想されています。

人間の価値に加え、お金に対する価値観も近未来へ

稼ぐために人生を消費するのでなく良い人生を過ごすために必要な働き方を皆、内心は求めているのではないでしょうか?生活する上で「お金」は欠かせません。
 
ですが、毎日クタクタになるまで働いても薄給……しかし仕事以外の「生きがい」を見つけている人は近年増えています。
 
仕事中心、お金中心の人生はつまらない!それはビジネスパーソンの皆様が1番分かっている事なのではないでしょうか?楽しい人生を軸に、働き方を見つめ直すべき時代が近づいて来ています。

個性と価値観の時代へ

AI/ロボットに不向きな事……それは「個性」です。AIは膨大な情報・データからディープラーニングで多くを学びます。「人間の感情」も学びます。ですがそれは学び得たデータの統計です。「個性」ではないのです。
 
人間には「個性」があり「価値観」も多種多様です。
 
これからの時代は、自分に合ったビジネスで必要なお金を稼ぎつつ、人生を楽しむ。その秘訣は何か。家族や友人関係、肉体的、精神的幸福、自分についての深い知識、多様な人的ネットワークなどの「見えない」資産、無形資産を蓄積していくこと。
 
この無形資産を「ある程度の期間にわたり恩恵を生み出すもの」と定義しましょう。そう考えれば、これらは人生において重要な資産となります。
 
ですが人生80歳を過ぎてから人脈を広げることは、なかなか難しい事です。無形資産の大切さに気付いた「今」から人脈作りを意識することが重要と言われています。
 
新しい時代に身を投じるには勇気も必要です。
 

▼新たな自分の武器(個性を活かす事)を増やす
▼新しい人脈ネットワークを築く
▼新しい経験に対する開けた姿勢

 
新しいネットワークを築くときは、古い友達の一部と疎遠になることは避けられません。こうした変化に積極的に向き合うことは、痛みを伴うこともあるでしょう。しかし、未来は立ち止まっていても勝手に近づいてきます。それに備えるには「今」しかない事を、どうか忘れないでください。
 
AI/ロボットに雇用を奪われ、経営者のせいに出来る時代はすぐ終焉を迎えるでしょう。ですが、悲観せず前向きに変革の時代がやってくると捉えているビジネスパーソンは多くいます。
 
「これまでは単線でしかなかった人生から、複線的な人生を歩むことができるようになるかもしれない」
 
「今」着々と時代の変化に対応できる準備を整え始めている人達。そのような柔軟性を持つビジネスパーソンが生き残り、そしてAI/ロボットと共存共栄していくのでしょう。

 
 

ニアセクリエイターズ所属のWebライター/コラムニスト
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