最近よく副業ないしは複業についての話題がメディアに出ることが多くあるように思います。そのうえで会社に属さなくても仕事を受注して、生活していくことのできるフリーランスとして働く人口が今後増えていくと予想されます。
今回は、自身も普通の女子大生から現在はフリーランスのライターとして活躍し、これからの働き方としてフリーランスの選択肢を増やすためにフリーランスの集いを運営する上村菜穂さんにインタビューしてまいりました。
女性の活躍を支援したい
フリーランスになったきっかけ
-早速ですが、フリーランスになったきっかけを教えていただけますか。
上村氏-はい。私はフリーランスのライターとして働く前は大学院生でした。大学在学時には陸上部に所属しており、週5、6日はスポーツ中心の生活をしていました。ちなみに大学では工学部で建築学を専攻していました。
大学3年生になる直前に学校の外にもコミュニティや、いろいろな機会に溢れていると知りました。そこから部活の合間に大学の交友範囲外の人との交流をしようと、空いた時間を生かしてイベントやセミナーなど、人が集まる場所に顔を出していたりしていました。
なのでこのときは1年のうち、何日休みがあったか覚えていないです。週7で1日に何件も予定があるような生活でした。次第に人脈が広がっていくなかで、「賢者屋」という学生が月間2,000名以上集うフリースペースの副代表として運営に携わる経験もさせてもらいました。その賢者屋でも学生を中心に色々な方が出入りをしていて、情報や知識を得るきっかけになりました。そして、大学3年の1月に興味が湧いた、女性の活躍を支援してみたいと考えるようになったのです。
女性の活躍を支援する仕事がしたいけれども・・・
-なるほど。どういった形で女性の活躍を支援したいと思ったのですか。
上村氏-実はまだその当時は具体的に案がなかったというのが正しいですね。賢者屋では「なでしこ大学」というイベント企画を立ち上げ、ロールモデルになる社会人女性と女子大生の繋がりの機会を提供していました。
賢者屋のスポンサーの大手企業様やベンチャー企業様、それ以外にも動き回っていく中で知り合えた女性経営者の方々や、フリーランスとしてイメージコンサルタントやキャバ嬢プロデューサー、ハーブティーの広報・販売している方や、メイクの先生など幅広い職業の方にご協力いただきました。
部活を引退して、大学を卒業後、お世話になっていた大学の教授の助言から同じ研究室の大学院に進学することを決めていたのですが、専攻する内容は建築学だったので女性の活躍を支援するとは全く違うものでした。『女性の家事労働が削減される住宅システム』の研究をしていて、大学ではそのテーマで卒業論文を提出したのですが。大学院に通いながらも、今後の将来についてどうしようかと悩み始めた時期でもあります。
そこで、あるときお世話になっている方に、「女性の活躍を支援する仕事をしたいのだけれども、何をしたらいいのかわからない」ということを打ち明けたのです。そうしたら、「じゃあ、あなたはが何が得意なの」と聞き返され、自分のことを思い返してみるといつもルーティーンでFacebookの投稿をあげていたのですが、反応があったり、文章を褒められることが多かったのです。そのことがきっかけで自分は文章で表現するのが得意だったということに気づき、ライターとして活動していきたいと思いました。
20代の女性向けに発信していたメルマガ
フリーライターとして独立
-ライターとして最初からフリーランスでやっていたのですか。
上村氏-いえ、最初は女子大生ライターという肩書きでやっていて、フリーランスと言えるほどの収益も出せていませんでした。しかし、一番はじめに仕事をくれた賢者屋の代表である佐藤さんのおかげで、「ライターを始めました」とFacebookで投稿したところ、いくつか案件をいただき、そこから色々な方が応援してくださりフリーライターとして独立を決意したのです。
-フリーランスで仕事があるっていうのはすごいですね、人脈づくりがここにきて役だっているということなんですね。
上村氏-そういうことになりますね。もちろん、値段や交渉の面でも始めたては相場感がわからないので苦労した面はありますが、案件をこなすうちに慣れてきました。また、女子大生ライターとして名乗っていたので、女子大生に向けた美容などの記事を多く頼まれましたね。
相手(クライアント)の悩みに対して、いかに解答を持っているか
-なるほど、あとライターの案件をこなすだけでなくメルマガも運営されていますよね。
上村氏-はい。実は中学生のころに匿名(ハンドルネーム)で恋愛系のメールマガジンを運営していました。いまはもうそのサービス自体は終了しているのですが、およそ20,000人のメルマガ会員がフォローしてくれていましたね。
-え、中学生からもうライターとしての片鱗を見せているじゃないですか。でもなんでそんなにフォロワー数が増えたのですか。
上村氏-女子がする恋愛に対して、求められている情報はなんだろう?と考えました。そこで、女子同士が共感できる内容を文章として発信していたからだと思います。かなり必死に情報収集をしていました(笑)
このときの経験によって、発信する側は、読む側の方がどういう気持ちでいて、どのような情報が欲しいのかを考えることがいかに大事かを少なからず学んだ気がします。現在では、ライターのみならずフリーランスになりたい人が役立つ情報をメルマガとして発信していますが、当時の原体験がいまにいきていると思います。読者層は20代の女性が多いですね。
こうやって、発信していくことで集客できるという自分の強み、ブランディングになり、最近では自分の強みをライティングに落とし込んでしっかりと伝えられる文章セミナーや、楽天大学でセミナー講師を務めるなど、ライティング以外の案件も増えてきましたね。人生設計女子会というもので女子大生向けに自分たちで開催したり、時にサイバーエージェントさんとコラボで自己PRのために考えることをお伝えしたり。
-なるほど、すごいですね。ずばり集客のコツはなんでしょうか。
上村氏-そうですね。メルマガにしても他のビジネスでもそうだと思うのですが、相手(クライアント)の悩みに対して、いかに解答を持っているかだと思います。私は好きなことを仕事にしているからこそ、メールマガジンで発信する内容にこだわり、ある程度まで共感されるようになったと思います。
女性の活躍を支援する仕事がしたい
-では最後に今後の目標についてお話しいただけますか。
上村氏-はい。そもそも私がフリーランスになり女性の活躍を支援する仕事をしたいと思ったきっかけが母の影響でした。私の母は専業主婦ですが、働きたいという意欲は結構持っていました。なのに家事をしなくてはならないため、自宅で過ごすことが多いわけですね。この状況をみて、もっと働きたいけど働けない女性に対してなにか支援できないかという思いを抱いたわけです。
それがライターだと案件によっては在宅でもできるわけですし、私の場合ですと、在宅でライターの仕事ができるので、自宅で祖母の介護に時間を充てることができます。小さいお子さんの育児をしている女性でも在宅でできる仕事があれば、家計の助けにもなりますし、もっとフリーランスの垣根が低くなるようにしていけたらいいと思っています。
また、「The Freelance」というコミュニティを立ち上げ、フリーランスで活躍している人と、これからフリーランスになりたい人が集うイベントを開催し、つながりを持てるように努めています。今後は仕事とプライベートをうまく両立させ、充実した日々を送れるワークライフバランスに富んだ人を1000人つくることが目標ですね。
編集後記
インタビューを終えて思ったことは、女子大生からどこにも就職せずにいきなりフリーランスになるという見方によってはリスキーに思えることも、いとも簡単にこなしている風に見えました。フリーランスになる前、好奇心で積極的にイベントに出ていたフットワークの軽さと情報や人脈を得ようとする心構えが、フリーランスとしての活動に大きく寄与しているのかもしれません。これから独立やフリーランスになりたい方の参考になれば幸いです。