業種、職種に関係なく知っておきたい「広告コピー」の書き方

ニアセ寄稿

広告コピーの書き方」というとクリエイターに必要な能力と思われがちですが、モノを売る、知ってもらうというビジネスの基本に立ち返った時、どんな業種、職種でも必要な能力と言えます。
 
そこで今日は、「広告コピーの書き方」についてお話しするとともに、これからのビジネスにおける「言葉の重要性」についてもお話したいと思います。

広告とは?広告コピーとは?

そもそもの話しですが、広告とは何なのでしょう?
 
三省堂『大辞林』によると「広告」とは以下の通り定義されています。
 
 
1)人々に関心をもたせ、購入させるために、
有料の媒体を用いて商品の宣伝をすること
 
2)広く世の中に知らせること
 
 
「知ってるよ、そんなこと」という声が聞こえてきそうですが、私なりに本質を考えた定義をするとこうなります。
 
商品に手を加えることなく、商品価値を上げること
 
近頃は広告会社が商品開発から入るというケースも増えてきましたが、本来的には広告はあくまで商品ありきのものであり、商品に手を加えることなく、「商品への印象」や「商品と人との関係を変える」ものなのです。
 
広告」をそう定義した時、広告コピーはこうなります。
 
言葉で商品の価値を上げる人
 
冒頭の話に戻りますが、どんな業種、職種の人でも「広告コピーの書き方」を知って欲しい理由。それは・・・
 
思ったことを言語化し、武器にする力が、これからますます必要になってくるから
 
です。
 
デジタル技術の進化、メディアの多様化、それに伴い消費者が受け取る情報量は圧倒的に増えました。それにより、商品の認知を獲得したり、商品を売るための手口が増え、複雑化しました。
 
そうなると、一つのプロジェクトに関わる人数も飛躍的に増えます。その時、必要なもの、頼りになるものは何か?
 
言葉」です。
 
その商品の課題、ターゲット、戦略、クリエイティブのコアアイデアを関わる全ての人で共有できる「シンプルで明快な言葉」が必要になってくるのです。
 
テレパシーなどが使えないうちは、言葉で共有するのが最も効率の良い手段となります。できるだけ解釈の誤差を生まないために。
 
人間はまだ、言葉でしか約束を交わせないからこそ、言語化する能力が今後クリエイターだけでなく、様々な業種、職種の方に必要になってくると言えるのです。

最も重要な広告コピー

次にコピーの種類についてお話しします。広告コピーには、誰もが「広告コピー」と聞いて頭に浮かぶキャッチコピー。商品の詳細な情報を詰め込んだ読み物である「ボディコピー」、キャッチコピーの補完的な要素を担うサブキャッチ、ブランドと消費者の関係性を定義したタグラインなど様々なものがあります。
 
ここでは、業種関係なく、みなさんにその重要性を知って欲しい広告コピーとしてタグラインを取り上げます。
 
商品を定義づけ、商品価値を上げる言葉としてのタグライン。一言でタグラインといっても表現すべきレイヤーは何層にも別れます。
 

社会的価値

(その商品が消費者のみならず、社会に提供している価値)

情緒的価値

(その商品を使うことで得られる「感情」の価値)

機能的価値

(その商品を使うことで得られる「性能」の価値)

物理的価値

(存在そのものの価値)
 
差別化が難しいブランドほど、上のレイヤーで戦うことが多くなります。
 
レイヤーの説明の例として「カップラーメン」を挙げます。
 
 
 
【カップラーメンの情報レイヤー】
 

社会的価値

共働き家族を応援・高齢貧困層を支援

情緒的価値

ストレス解消・自宅で本格

機能的価値

3分でできる・生麺

物理的価値

カップに入ったラーメン
 
上記どのレイヤーでタグラインを書くか、それはその商品が置かれている市場環境、競合商品との関係、コミュニケーション戦略等を踏まえ考えなくてはいけません

「What to say」と「How to say」

上記どのレイヤーの「何を言うか」、つまり「What to say」が決まった後、重要なのが「どう言うか」の「How to say」です。
 
また、最近では「what to say」「How to say」の中に「How to behavior」も考慮しなくてはいけなくなっています。端的に言うと「らしさ」です。
 
らしさ」とは、その企業の人格。Appleが「パソコンは、安さだ」とは言わなそう、Nikeが「空気を読んで行動しろ!」と言わなそう。この「言わなそう」、逆の「Appleっぽい」「Nikeっぽい」が「らしさ」です。
 
らしさ」を考慮することで、同じ言葉でも伝達度が驚くほど変わってきます。

これからの広告コピーのあり方とは?言葉のあり方とは?

これからの広告コピー、言葉のあり方をあえて一言で言うなら「指針」という言葉が最もしっくりきます。何かモヤモヤとしたものをスパッと一言で言い得る能力、その能力により生まれた言葉が「指針」となり、複雑なアウトプットに論理性、必然性をもたらすのです。
 
何度も言いますが、今後ビジネスにおける「言葉」はますます、クリエイターのものではなくなってきます。そして、あらゆる業種、職種のビジネスマンに必須の技術となっていきます。
 
言葉。それはあなたを強くする、今一番のものなのかもしれません。

 
 

街角のクリエイティブ編集長。電通を経てBASE設立。胸になんか刺さったというブログを泣きながら書いています。著書『思考のスイッチ 〜人生を切り替える11の公式〜』を本屋の一番目立つ所に移動させるのが得意です。Twitter:@t_nishijima

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