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アキンド探訪

  創業期の英雄、起業のコア人材 皆さんの会社には「英雄」が存在するでしょうか。創業期の会社には、大抵の場合、英雄が存在すると思います。この人抜きにしてこの会社はない、ある個人の能力、あるいは人脈、そういうものが会社経営に圧倒的に寄与したという話はどこの会社にもあると思います。   創業期というのは大抵の場合、あらゆる業務が属人的です。当たり前ですね、最初から儲けのシステムが完全に出来上がっている会社なんてものはまずありません。プレイヤーの戦力こそが創業期の会社における強さそのものなのですから。その環境からは必然的に英雄が発生します。   創業時、あるいは創業後の中核メンバー集めの際、創業者であるあなたは間違いなく「儲けを生む人間」、あるいは「自分の能力的欠損を埋め合わせてくれる人間」という基準でメンバーを選んだと思います。少なくとも、合理的な(合理的であるということは必ずしも良い結果を生むわけではありませんが)創業者であればそうするでしょう。その結果、あなたの人選はドンピシャに当たった。あなたの選んだメンバーは八面六臂の大活躍を果たし、会社は大きく成長した。そういう美しいお話は結構あります。素晴らしいですよね、あなたも創業者として大変、鼻が高いでしょう。   しかし、美しくない話がここから始まります。会社が上々の収益を上げているとなると、当然規模を拡大したい、そういう話になります。しかし、規模の拡大を志向するとなると、業務の属人性を解除し、プレーヤーの能力に依らない収益システムを構築する必要が出てきます。英雄の異能で利益を上げる限界が来たから人を増やすという話になったわけですから。   業務のマニュアル化とノウハウの言語化とシェア、そういうことが必要になります。また、そろそろ創業以来ハチャメチャだった就労環境も整えなければならないでしょう。人を雇うということは、雇った人が会社に残ってくれる環境を作らなければならないということです。ハチャメチャに耐え、狂ったモチベーションで前進してきた創業メンバーの時代は終わり、会社というシステムを組み上げる時代がやってきます。   これを、僕は「創業期の終わり」と呼んでいます。業種や業態にもよりますが、従業員が2桁に到達するころには、嫌でもその辺は考えなければならないでしょう。創業期の終わりはとても悲しい季節です。これまで、個人の異能と裁量を丸投げした意思決定の速度で前進してきた会社を、ルールとシステムの中に落としこむ必要が出てくるのです。ワーカホリック達の楽園、永遠のような文化祭前日は終わりです。社員の数を増やすということはそういうことです。創業メンバーだけで回していた頃のようなハチャメチャは、規模が大きくなってくるとそうそう通らない。(たまにネジ通す会社もなくはないですが・・・)     ↓こちらもおすすめ↓ 「起業失敗の話。起業を志す皆さんに敗残者からお伝えしたいこと」     創業期の終わりに。英雄頼りの会社経営から抜け出す理由 もちろん、この段階で事業の拡大を止めるというのもありえなくはない選択肢です。実際、十分な利益をあげ、大きな成長余力を有しながら、それでも従業員の数や事業の規模を頑なに拡大しない経営者は存在します。彼らは正に勝利者です。自分の会社の最も居心地の良い大きさを見つけ、後はそれを守っていくフェーズに入った人たちです。規模を志向しなくとも十分な利益が取れて、かつ社内の人間や出資者がみな満足するだけ配分できる会社にのみ許される最高の贅沢です。   しかし、出資を受けて創業した人間がここで立ち止まるのは余程理解のある出資者に恵まれていない限り、難しいでしょう。また、社内の人間が「成長を止める」という判断を呑んでくれるとは限りません。「ふざけるな、ここが上限なら俺は辞めるぞ」そういうことになります。この段階で「英雄」たるプレイヤーに抜けられることは、即ち事業の破綻、そこまで悪くなくとも大きな収益の減少を意味することは言うまでもありません。   余談ですが、社員数人くらいだけど羽振りのいいあの社長、実はすごい人なんですよ。会社経営において「成長を止める」という判断は恐ろしく、難しいものです。まず、自分自身が止まれない、自分が止まれても出資者が許さない、出資者が許しても社内の人間が許さない、そういうことです。銀行も金を貸しに来ます、社長ならやれるという声がどんどんかかります。新規の出資希望者だって列を成します。それでも、それら全てを振り切ってその場所にとどまったのが、「小さい会社の儲かっている社長」です。社長自身がスタープレイヤーであり、同時に会社のオーナーである場合が多いですね。このようなゴールを目指すなら、是非その形を作りましょう。   しかし、多くの人は成長余力のある限り拡大を目指すことになると思います。仕方のないことです。創業の仕方によっては宿命付けられていると言っても過言ではないこともあるでしょう。出資者は利益を求めます、従業員は給与を求めます、そしてあなたは栄光を求めるでしょう。となれば創業期は終わるしかないのです。もっと儲けるためには、英雄の異能を会社の仕組みに落とし込んでいくしかない。英雄頼りの経営を抜け出さねばならない。拡大するしかない。そして、もちろんコンプライアンスと労働環境だって整えていかねばならない。 英雄の時代、輝かしき創業期 話をわかりやすくするためにラーメン屋のチェーン展開のお話をしましょう。   あなたは、1人のとてつもなくラーメン作りが上手い人間(仮にAとしましょう)を役員として迎え入れて、1軒目のお店を見事大繁盛させました。Aはとてつもなく職人気質で仕事に一切の妥協はなく、1日14時間鍋の前に立ち続け、会社に大きな利益をもたらしました。ラーメン屋は当たると大きいのです。お店の前に行列は絶えず、店舗運営以外の実務一切を担当していた社長のあなたは鼻高々です。最早あなた自身が店舗に出てホールや調理補助をやることもありません、人を雇えます。14時間働いた後に社長業をやる地獄からも開放されました。次から次へとメディアの取材も押しかけるでしょう。最初の挑戦は大成功でした。   さぁ、2号店だ。あなたは考えます。今度は資金にも余裕がある、銀行もノリノリで貸してくれた。物件情報も内装についても厨房器具も什器も勝手はすっかりわかっている。協力者もたくさんいる。2軒目の店舗は大抵の場合、1軒目より遥かに効率よく作れます。もちろん、ラーメンのレシピも明文化済みです、難解な火加減などもあなたはAに付きっ切りで習得しました。Aは純粋なる職人肌で指導が出来るタイプではないので、新人は2ヶ月ほどAの下で研修させた後、すぐ2軒目に投入しました。新人は二人とも経験者でしたし、レシピさえあれば何とかなるとあなたは判断したのです。   研修の後、Aは新人に対して「1日14時間ぐらい働く根性がない奴に勤まるのかよ・・・」などとグチグチと文句を言っていましたし、新人からは「Aは最悪だ、社長の指示をまるで守らない、無茶苦茶に働かされた」という声が上がりましたが、気にしていられません。「まぁまぁ、2号店に移れば大丈夫だよ、君たちが主役だ」などと宥めて進めるしかありません。なにしろ、2軒目の店舗は出来上がっているんですから。   2軒目も大成功でした。新人1号と2号はなかなかの働きぶりを見せ、1号店を上回る利益を叩き出しました。もちろん、1号店も相変わらず大繁盛です。あなたの下には大量の利益が転がり込んで来ました。ここで、リスクを取って二人同時に正社員を入れたのが英断だったことがわかります。新人2号を次の店舗に投入すれば、すぐに3号店が開店できるのです。そのようにして、あなたは気づけば5店舗のラーメン店を持つ一端の実業家になっていました。あなたの店舗展開能力は確かだったのです。新商品の開発などはAが引き続き担当しました、それらも次から次へとヒットしました。ラーメンを開発することに関して、Aは正に天才でした。ベースのスープにも度重なる改良を加え、お客様を飽きさせない多様な味を作り上げることが出来ました。   ここで問題が発生しました。マネジメントの手が足りないのです。飲食店というのは放っておけば利益を産む魔法の箱ではありません。所詮は人間が運営するお店です、監視を緩めればすぐに従業員はスープの煮込み時間を短縮し、掃除をサボります。最悪の場合売り上げを引っこ抜きます。スープを水増しし、麺の本数を少々いじればそんなことは簡単に出来ます。架空のアルバイトをでっちあげることさえあります。帳簿だって任せきるわけにはいきません、仕入れ先からリベートを抜いていないかもチェックする必要があります。マネジメントや業務オペレーションが上手く回ってない店舗にはあなた自身が乗り込んで指揮を執る必要もあるでしょう。あなたはついに限界に達しました。   そこで、あなたは管理職を一人雇うことを考えました。しかし、そこにAからの異議が上がりました。自分がいつまでも現場にいるのはおかしい、現場の人間を増やした上で自分に管理職を担当させろ、店舗運営のことなら自分が一番わかっている。何より、ラーメンを俺より上手に作れるわけでもなく、まして社長でもない、ぽっと出の人間に管理されるのは我慢ならない。Aはそう主張しました。あなたは呑むしかありませんでした。確かに、筋をいえばその通りなのです。Aは金だけで動く人間ではありません、仕事の充実感がなければ最悪退職してしまうことさえ考えられます。   結果としてあなたが2店舗の管理、Aが3店舗の管理を行うこととなりました。あなたも社長業が忙しくなっていたのです。新店舗の展開もやらなければなりません。まだまだ成長する気は満々です。逆にAは1号店の運営から解放され、十分な時間的余裕が確保されました。分業体制の始まりです。あなたは口を酸っぱくしてAに言いました、労働法規を守れ、コンプライアンスを守れと。あなたがラーメン作りの天才なのはわかっている、でもそれだけは頼みましたよ、と。もちろん、就業規則も作成して備え付けてあります。Aには遵守する、という旨の念書さえ取る徹底をしました。   こうして経営の第2フェーズが始まったのです。     ↓こちらもおすすめ↓ 「「労働者は強い」僕が体験した、創業期における従業員の話」     英雄の反乱、会社経営の失敗 嫌な予感はしました。そして、それはもちろん当たりました。数ヶ月とたたずAの管理する店舗から、離職者が出始めたのです。客足は落ちていません、むしろ増加しています。従業員に支払う給与だって、業界水準から見ればまずまず以上に設定しています。福利厚生だって飲食業界としては高い水準です。なのに、離職者は発生してしまいました。あなたは大慌てで退職者に話を聞きました、結果としては「Aの業務における要求水準が高すぎる」「Aにマネジメント能力がない」「Aが業務コンプライアンスや労働法規を一切無視している」ということが伝えられました。   いや、正確に言えばこれは完全な事実ではありません。Aに何があろうと付き従うという人間も出てきていました。Aは半ば意図的に従業員の精錬を行っている節さえ感じられました。何があろうと自分に付き従う、能力の高い人間だけを残す。そういう意図が感じ取れました。もっともAは論理的な人間ではないので、そのような意図が言語化されているかはわかりません。それしか仕事の仕方を知らなかったのかもしれない。実際、彼が修行してきた場所はそういう環境だったのでしょう。   しかし、これは看過できません。Aは退職した従業員の穴を自ら働き、また自らに付き従う従業員に働かせて埋め合わせてはいましたが、完全に違法操業です。あなたは次々と辞めていく従業員から発生する問題を何とかお金と説得で解決し、求人を打ち、それでもまた辞めるという地獄に疲れ果てました。   しかし、この会社の責任者はあなたです。あなたは去っていく従業員から受ける批判と罵倒に何一つ反論出来ません、裁判を起こされたら矢面に立つのはあなたですし、労基署に怒られるのもあなたです。このままの状態では店舗数を増やすことも出来ません。成長が止まってしまいます。出資者からは新規店舗はどうした、利益は上がっているんだろう、という矢の催促が突き刺さります。悪いのは全てあなたです。経営のコントロールを失った社長に弁解出来ることがたったひとつでもあるでしょうか?   Aとあなたは何度も何度も交渉を重ねました。我々は会社組織だ、法を守らねばならない。従業員は必ずしもあなたの満足のいく能力を持っているとは限らない、それでも育てなければ利益は出ないし事業拡大も出来ないのだ、と。実際、採用して僅か2ヶ月の研修を経た人材が十分に店舗を繁盛させているではないか、と。しかし、Aは納得する素振りを見せても行動には移しません。売り上げは落ちていませんが、利益率はじわりじわりと下がり続けていました。当たり前です、従業員が定着しなければ人件費と求人費用は果てしなく嵩むのです。従業員の配置転換やローテーションなども試してみました。しかし、結果は同じでした。   また、経営方針の食い違いも大きくなってきました。あなたは言います、業務を効率化しよう、そろそろセントラルキッチンを検討してもいいのではないか、あるいは具材の調理を外注しても良いのではないか。いくつかの会社には話をもう振ってある、味見をしてみてくれ、私の味覚では十分な品質であると感じられる。しかし、Aは拒否します。全て手作り、店内自製、そうでなければうまいラーメンなど作れないというのがAの信念です。実際、この言葉には説得力があります。このラーメンチェーンを推進させてきた原動力がまさにそれなのですから。   そして、あなたはついに決断しました。Aを現場に戻す、もちろんしっかりと支払っている役員報酬はそのままで、あるいは現場に戻ることさえしなくてもいい。商品開発と店舗を見て回って味見と監視するだけの立場でもかまわない、あなたはラーメン作りの天才ではあるけれどマネジメントの能力は無い。それを受け容れろ、経営判断としてあなたにマネジメント業務を続けさせることは出来ない。言うまでもなく、AとAに付き従う人間たちは納得しませんでした。このようにして、戦争が始まったのです。   あなたの管理する2店舗の掌握は問題ありません、しかしAの管理する3店舗の軸となる従業員は、既にA派としてあなたに反旗を翻していました。Aを解雇するのであれば、我々も退職する。彼らはそのようにあなたに宣言しました。せめて2店舗にしておけば・・・今更、後悔しても遅いのです。また、Aをメディア向けの顔としていたのも不味かった。あなたは社長業として黒子に徹していたのです。業界知名度は圧倒的にAが勝っている、Aは最早業界の風雲児として揺るがぬ評価を獲得している。Aが大量の人員を連れて離反するのは大いに可能なことですし、それは会社の信用を途方も無く貶めることでもありました。   さぁ、あなたならどうします? 会社経営の手綱を放さないために、みんなで幸せになるために このお話は僕の経験を大きく膨らませたフィクションですが、往々にしてある話です。こういった戦争を経ていない会社の方がむしろ少数ではないかと思うくらい、あちらこちらで起きていると聞きます。このお話はコンプラインスや労働法規の話と、創業期の英雄の反乱がまとめて描かれているので複数の論点が混ざっているのですが、これがまた実によく発生するワンセットなのです。残業を減らし、コンプライアンスを徹底させ、業務を最適化する際の最大の障壁は大抵の場合、現場の人間そのものです。   要素を単純化するために、Aの持ち株や出資者の影響などには部分的にしか触れませんでしたが、現実的には勘案すべき要素はまだまだ増えます。ごちゃごちゃに縺れた(もつれた)人間の紐は、実際にはもっともっと複雑になっていきます。しかし、つまるところ話はシンプルでもあります。社長であるあなたを越えかねない影響力を持つ人間が社内に出現してしまった、その結果、指揮系統が乱れ、挙句の果てに反乱まで発生してしまった。そういうことになります。   このようにして創業期の英雄と社長の対立は始まります。人間同士の利害と信念を賭けた対立が話し合いで解決することというのは、本当に稀です。そして、この問題を起こさないための土台作りや設定は、創業初期にしか出来ないことなのです。そして、異能を持つ人間を雇い、己の持たざる能力を補完するという「人を雇う」ことの最大の利点は、そのまま欠点でもあるのです。その欠点は往々にして創業期の終わりに顕現してきます。   「狡兎死して走狗烹らる」という諺(ことわざ)があります。ご存知とは思いますが、敵国を滅ぼしたら、どれほど功績のある忠臣も不要になって殺される、という意味合いの故事成語です。しかし、僕には犬を煮る側の気持ちが痛いほどわかります。もちろん、創業の英雄を煮殺すのは褒められた話ではありません。創業メンバーがいつまでも円満に、お互いの能力を認め合いながらやっていければそれは間違いなく最高です。しかし、そうはならないこともある、むしろそうならないことの方が多いということを創業者は覚えておく必要があると僕は思います。僕も覚えておくべきでした、心から後悔しています。   この話はちょっと見ただけで幾つもの失敗が見て取れると思います。あそこをああしていれば、こうしていれば、皆さんもすぐに思いつくでしょう。しかし、断言してもいい。創業と拡大の熱狂の中でそれを考え、備えられる人はそれほど多くはありません。まずは、いつまでもメンバーがお互いを認め合っていける仕組みづくりを、そしてそれが上手く運ばなかった時のこと、あなたの最もやりたくないプランについても十分に考えておくことを薦めます。起業する人間なんてのは往々にして夢見がちな理想の高い人間です、功績ある創業メンバーに自ら引導を、それも計画的に渡すなんてことは考えたくもないと思います。   しかし、それでも僕は考えておいた方がいいと思います。もちろん、僕が底抜けの無能であった可能性も大いにあります。むしろ、結果を見ればその通りでしょう。あなたはそんなこと考えなくても上手くいくのかもしれない、いや、むしろそんなこと考えない方が上手くいく可能性だってもちろんあります。しかし、この敗残者の無様なお話をちょっとだけ、頭の隅に残しておいていただければ僕も多少は救われます。人生は残念なことにまだまだ続くので、僕もまたやっていきます。   長い長い文章の読了ありがとうございました。     ...

  大人の皆さん!   JK・JD(女子高校生・女子大学生)の事情についていけていますか!?   本サイトは「商人(あきんど)」を応援するサイトなのですが、野口編集長(30代男性)がポロっとこう言いました。   「JKって何買ってるのかなぁ……」   たしかに、最近の若い子って何を買っているんでしょう……。というか、最近の若い子たちって何が好きなんでしょう?何を考えて生きているんでしょう? そもそも最近って何が流行っているのでしょう……?   「何を買っているのか?」「どんなことにお金を使いたいと思うのか」「インスタを活用したマーケティングって本当に効果があるのか?」など、商売・サービスに関わるすべての大人たちが頭を抱える「JK・JDの生態」を、今回は調査してみました。   すると、驚きの生態がいくつも発覚。   例えば… ・SNOWはもう流行っていない? ・かわいいのトレンドはすべて「韓国」から! ・プリクラのヒエラルキーが存在する ・ネットで買うのは「安いから」 ・とにかくお金に堅実 ・普通のバイトは「拘束されるから嫌」⁇ などなど。   だいぶ長い内容ですが、かなり勉強になることばかりだったのでぜひ最後まで読んでくださいね。     ▼JK・JD775人にアンケートを取りました ▼JK・JDを知る鍵は「Instagram」 ▼インスタを使えば広告費は不要「Instagram」 ▼SNOWの次は?流行りのアプリは○○。 ▼「かわいい」はどこからくるのか? ▼メルカリで服を買うのは田舎者?     JK・JD(女子高校生・女子大学生)775人にアンケートを取りました 今回は、わたくしライターのさえりが運営しているLINE@のアカウントにて、775人のJK・JDにアンケートをとりました。775名の分布はこんなかんじ。 △JK・JDのお小遣い(収入)は、20,000〜50,000円が最多。   △一体何を買うんだろう……。   このほか、様々なアンケート結果をもとにして、今回は10代の女の子たちの事情にめちゃめちゃ詳しい、ドリコムの吉田優華子さんにお話を伺ってきました。 株式会社ドリコム 吉田優華子(ディレクター) 2013年に新卒でドリコムに入社。現在は「PASS-街あるきを楽しく、お得に。」というアプリを流行らせるべく奮闘中。     吉田:普段は、ドリコムという会社でディレクターをしています。とあるきっかけがあって、音楽業界の人に「10代の子たちを知るパイオニアになってよ。ラジオとかやってみない?」と言われたんですね。それで『放課後トーークラジオ』という番組を始めて、毎回10代の子を呼んで話を聞いていました。私が知っている子たちの話に限りますが、10代の生態を教えるような立ち位置でインタビューを受けることもありますね。   参考:10代女子とつながる方法(おじさんにはムリ) http://markezine.jp/article/detail/26182   トレンドは10代女子から火がつくことが多いので、直接仕事と関係なくても普段からチェックするようにしています。     ——...

  前回の記事では「言葉を再定義すれば強いコンセプトを作ることができる」というお話をしました。今日はその先の話をしようと思います。その先、つまり「作った商品やサービス」をいかに生活者に情報として流通させるか、というお話です。 コミュニケーションで重要なこと。作ってどうやって広めるか。 こんな記事を書いている私ですが、広告代理店入社当時は、いい表現を作ることしか考えておらず、その表現が話題になって広告主の商品やサービスが知られたり、売れたりする所まで考えきれていませんでした。それは、TVCMや新聞広告といったメディア出稿が主流で、表現と売りの相関性が検証しづらかったというのもありますが、結果に対しての責任感が希薄だったというのが正直な所です。。   責任追及がないことをいいことに「いい表現を作れば自然と見てもらえるし、話題にしてもらえる」そう軽く考えて、自分が満足いく「表現だけ」を求めていました。   しかし、昨今のようにデジタル技術が進化し広告主側で、「表現がどれだけ流通したか」「表現がどれだけ売りにつながったのか」の効果測定がしやすくなってくると、「結果の出せる表現」が求められるようになります。「作るまで」が広告クリエイターの仕事だったものが「作ってどうやって拡めるか」までが仕事となったのです。   YouTubeをはじめとした動画メディアやFacebookをはじめとしたソーシャルメディアなどの登場で表現を見せる場所代(媒体費)が下がり、資金的な体力のない個人、企業でも簡単に発表できるようになったことも「拡める技術」が必要になった理由です。流通する情報量が10年前に比べ500倍にもなっていると言われ、昔は見てもらえていた表現が、母数の上昇により見てもらえなくなってきたからです。   このような現状で、ビジネスやコミュニケーションを行なっていく上で、重要になってくるのが「PR思考」です。   クリエイターのみならず、広告主を含めたビジネスマン全てに必要な思考です。「PR思考」とは簡単に言うと、消費者に好意的に情報を受け取ってもらい拡めてもらうため、表現内容、発信場所、発信のタイミングを考えるというものです。   「新商品を作れば自然と話題になる」「新しいサービスを作れば自然とみんなが使ってくれる」そう思っていてはもはやダメで、企業にとって拡めたいものを、メディアにとって取り上げたくなるもの、消費者がソーシャルメディアで発信したくなるものに加工しなくてはいけなくなりました。   PR思考の5要素 いきなり「PR思考を身につけろ」と言われても困ってしまいますので、今日は「PR思考」にかかせないと私が考えている5要素を紹介します。PR思考のとっかかりとして使ってみて下さい。   1、時流 2、ギャップ 3、あるある 4、使える 5、新しい   順番に説明していきます。   1、 時流 これは「PR思考」をする上で最も重要な要素。「なぜ今なのか?」を考えるということです。2017年という年、5月という季節、世の中の流行りや空気を踏まえてビジネスやコミュニケーション、表現を思考することで流通力のあるコンテンツを生むことができます。   2、 ギャップ これは1を踏まえるとよりパワーが増しますが、拡散される情報の鉄板パターンと言えます。「信じられないくらいマズそうなフレーバーなのに、信じられないくらいうまい」「こんなに可愛いのに瓦10枚頭で割っちゃうんだ」など「ぽくないを作る」を頭に入れて思考して下さい。   3、 あるある 「そうそう、それ初めて言われたけどめちゃくちゃ共感出来る」という要素を盛り込むのがこれです。注意したいのは「誰かが言ったあるある」ではダメで「初めて言われたけど確かにそうだ!」というものを見つけなくてはいけません。これがなかなか難しくもあるのですが、前回書いた「再定義」の手法で突破口を見出せる場合もあります。   4、 使える 商品やサービス、情報も今や使えなければ、見過ごされてしまう危険性があります。「この記事読んだから家事の時間が半分になった」「このサービス使ったから自分の苦手なことが克服できた」など使えるビジネス、使える企画は流通力のあるコンテンツとなります。   5、 新しい これは当たり前といえば当たり前ですが、圧倒的に新しいものはそれだけでかなりのアドバンテージがあります。過去にある商品やサービス、表現と比較して圧倒的に「ないもの」が見つかったら変に加工をせずファクトを前面に押し出せばOKです。     以上のように、これからは「情報をどのように消費者に拡めていくか」を踏まえて、ビジネスやコミュニケーション、表現を考えなくてはいけません。「面白いから広まるだろう」「面白いから売れるだろう」ではダメ、というのを肝に銘じてPR思考を磨いていきましょう。     ...

  わたくし松澤は珍スポットと呼ばれる一風変わった観光地をめぐっては「東京別視点ガイド」で紹介しています。6年間で巡った総数は1,000ヵ所以上。年末にはその年巡ったスポットTOP10をランキング形式で発表しています。   2016年度ベスト1に選んだのが栃木県の「岩下の新生姜ミュージアム」です。テレビCMでおなじみの岩下食品が手がける企業ミュージアムなのですが、その展示内容があまりにもぶっ飛んでいるのです。オープンは2015年6月。経営者が高齢だったり客足が減ったりで、気がつけば無くなってしまいがちな珍スポット界隈において、あまりに突然でビッグな新風だったので度肝を抜かれたものです。 たとえばジンジャー神社。岩下の新生姜とおなじくピンク色です。狛犬として立っているのは角が新生姜の岩鹿(いわしか)ちゃん。 ご神体も新生姜ですし、お供えものも新生姜。この日はイースター企画で新生姜の神様に変わって、新生姜で色づけされた卵の神様が鎮座していました。 超巨大な顔ハメ看板もあります。 体を駆けめぐる新生姜気分を味わえるゲーム「ジンジャー・ツアーズ」。昔なつかしのテレビ番組、電流イライラ棒と同じルールです。 イースター企画でダチョウの卵が岩下漬けされていて、ピンクになっていたり。 極めつけは「新生姜の部屋」です。擬人化された新生姜と2ショット写真を撮れる展示です。 本棚には「100万個の新生姜を食べたねこ」「もしも高校野球部のマネージャーが岩下の新生姜を食べたら」「ゆきゆきて新生姜」などベストセラーが並んでいます。 岩下食品株式会社 4代目社長・岩下和了さんにお話しを伺った 企業ミュージアムでありながら、他を寄せ付けない独創的な展示の数々。いったいどういう狙いがあるのか、どういう想いが込められているのかを社長・岩下和了(いわした かずのり)さんに直接伺って参りました。 ▲岩下食品株式会社 4代目社長...

  経営者の夢 経営者の夢というのはいつの時代、どんな場所でも大体明確です。「給料のいらない従業員」「無料の労働力」これに尽きます。「絶対に儲ける方法」について考えていくと、「まぁ人件費ゼロなら間違いなく儲かるよね」という結論が必ず出てくるわけです。   仕事というのは、お金を介した労働力、ないし労働成果の奪い合いゲームという色が大変強くあります。安い対価で高品質な労働力、あるいは労働成果を手に入れることが出来ればその時点で大体勝ちなのです。しかし、もちろん経営者の「タダの労働力が欲しい」という強い気持ちを実現させるわけにはいきません。そういうわけで労働者は保護されています。経営者があんまり気持ちを前に出しすぎると、「違法ですよね、それ」という話になるわけです。   社会に怒られます。社会が怒ると怖いので経営者は「この辺までは大丈夫な気がする」と思いながら進み、たまにガッツリ怒られます。あ、流石にあそこまでやると怒られるのか、みたいな知見が発生します。   しかし、一回起業してしまうと個人事業主であれ法人であれ、「この対価でこの働かせかたはダメ」みたいな保護を受けることは一切出来ません。「その仕事を受けたおまえが悪い」という世界観になり、誰一人同情してくれないのです。赤字の仕事を受けざるを得なかったことくらい誰だってありますよね。法に守られた労働者の世界観と違い、フリーランスや経営者の世界はより露骨な奪い合いです。当然ながら、「奪うテクニック」もどんどん洗練されていく。市場参加者同士の奪い合いが飽和したら、当然「新規参入者から毟ろう(むしろう)」という世界観になっていきます。「起業しよう」あるいは「独立しよう」と思い立ったこと自体が既に落とし穴、ということもあるわけです。今日はそんな話をしようと思います。   今日はわりと込み入った話になってるので「まとめ」はありません。結論だけ理解しているとその結論からズレたものが来た時、対応できないので、そんなのむしろ読まない方がいいと思います。 起業とは・・・誰もあなたを止めてくれない 別に皆さんを不必要にビビらせたいわけではないんですけど、起業というのは割と危ないです。というのもですね、「起業」とか「独立」みたいなキラッキラした単語をエサに人間を沼地に引きずりこんで骨までしゃぶる皆さんというのは結構存在しています。具体的な名前を出すと訴状が飛んで来て後頭部に刺さりそうなので具体的な話は避けますが、ネットワークビジネス系の皆さんも最近は「起業」とかそういう単語を使うみたいですね。ブログ飯界隈もわりとそういう匂いがしますが、僕の鼻が間違っているのかもしれません。わからん、なんもわからん。   雇用関係も持たない個人に商品を卸してノルマを課して売らせるという経営者の夢みたいな状態を作り出す皆さんは大変賢いと思います。契約社員ですらない、「非契約社員」みたいな状態で人間を使いますからね、彼らは・・・。   で、まぁこの話題は危険が危ないのでこの辺にしますが、例えば、「俺は起業するぞ」と心に決めて知人の経営者にアドバイスを乞いに行くとするじゃないですか。「やめとけ」と言ってくれる人って実際少ないんですよね。大体の人が「リスクはあるけどやりたいならやったらいい、応援するよ」って言ってくれると思います。逆に、顔を真っ赤にしてやめろと言ってくれる人がいたらその人は心からあなたを心配する良い人です。あなたにマトモなこと言ってくれる可能性が高いのはその人ですね、大事にしましょう。   というのもですね、まぁ起業なんて95%以上が失敗に終わるんですけど、それでも起業しようとする人間に「やめろ、失敗するぞ」って言ったら嫌われるんですよ。わざわざ嫌われたい人間もいないじゃないですか。そして、その人がなんかの間違いで成功しちゃった場合「俺の成功を信じなかったバカな経営者」としてあれしてしまうという可能性もある。   それに引き換え、とりあえず起業さえしてくれれば何らかの方法で利益を抜ける可能性も出てくるわけじゃないですか。正直なところ、起業相談された場合の答えなんか「やったらいい、出来るなら協力はするよ」しか無いんですね。それが一番損をしない選択肢なんです。正直なところ、起業家なんて日常的にガンガン破滅してるわけですし、特に思い入れもない新規創業の若者が一人や二人吹っ飛んだところで、どうということはありませんからね。ペットのヤマトヌマエビが死ぬ方が悲しいですね。それくらいで悲しんでいたらやっていけない。   あなたが「会社を辞めて起業する」と言い出した場合、周囲の人間はとりあえず反対すると思います。でも、それも一定ラインまででしょう。だって、起業のことがわかる人間なんて普通のサラリーマンとして暮らしていれば周囲にはそんなにいません。説得力のある反対をすることも経験がなければ難しいです。そして、起業のことがわかっている人間ほど良い笑顔で「やったら?」って言うと思います。僕だって破滅的な創業計画を見せられても仏像のような笑顔を浮かべて、「頑張れ」って言いますもん。どうせ止めても止まらねぇし。下手なこと言ったら怒り出すし。知らねーよ。そして、この哀れな若手起業家の姿は数年前の僕そのものでもあります。   「非契約社員」の作り方、マーケットのなまはげ 例えばこんなことを考えてみましょう。あなたはなんらかの事業をやっていて、最近人手が足りないなー、需要に供給が追いつかないなー、機会を損失しているなーと思っています。まぁ、これもまた具体的な話をすると色々危ないので、商品Aの製造販売をしているということにしましょう。商品Aの生産量を増やすには、設備投資をして従業員を増やすしか基本的にはありませんよね。   でもあなたは思います「自分で設備投資するのはリスクもあるし従業員を増やすのも怖いな」と。「なんとかリスクを限定的にした上であわよくばコストも抑え込めないかな」と。そこにフワっと現れたのが「起業したい!」という若者B君です。B君はあなたと同業の会社で従業員として働いているので仕事の知識も経験も持っています。ただし会社経営や起業の知識はほとんどありません。だからあなたに教えを請いに来たわけですね。   あなたは思います、「あれ、こいつに創業させれば早くね?」と。「資金つけてやって創業融資の引き方もコーチしてやって、人雇わせてガンガン仕事振ればいいよね、経営権も握れるし、ずっと利用出来るな、しかも創業資金以上に損が膨らむこともないし、従業員への責任もB君持ちになる」   これが王道的なデス起業パターンです。もちろん、子会社として下請けから創業するのが必ずしも悪いと言ってるわけじゃないですよ。こういうところから始まって羽ばたいていった会社だっていっぱいあります。ただ、こういう形で起業する以上、初期設定やその後の立ち回りを間違ったら「食われる」ということはわかりますよね。   実際、こういう形を目指して「起業したい若者はいねがぁ」と言いながら市場を歩いているなまはげは結構います。起業するのにはこういう妖怪と出会うのが一番早いと思います。迅速確実に創業出来ますね。その後のことはわかりませんけど。   また、「ド素人でもそこそこの能力があれば起業させて下請けとして稼動させられるようにする」ノウハウを持っている人というのも存在しまして、ここまで行くと冒頭で触れた「非契約社員」という単語が再びフラッシュバックしてきますね。「個人事業主として仕事を受けさせて便利に使う」というのは某大手飲食チェーンなどでも採用されていたソリューションですが、こちらの場合、創業する人間にオウンリスクで借金をさせることも可能になるので大変戦略の幅が広がります。借金の保証人に親兄弟をつけさせればパーフェクトですね。逃げられないから。「仕事を受注出来ることが確定している、発注する側からの目論見が提示される」という強みがあればお金も引っ張りやすいですし、資金計画も書けますからね。   昔出会った人間がこのようなことを言っていたのを僕は鮮烈に覚えています。以前のエントリでもちょっと触れた話ですが「高い能力を持った人間を一年社員として拘束しようと思ったら、俺みたいな零細企業経営者なら安くて600万はかかるわけよ。でも、『1000万円出してやるから起業しろ、仕事も回してやる」って言えばいい大学出て良い会社に勤めてた若者が向こうから来るんだよ、そりゃ良い話だよな、どんどん起業させてやる』とのことでした。   起業のチャンスが到来している皆さん、大丈夫ですか?皆さんの出資者はどういう目論見であなたに金を出そうとしていますか?本当にそれは「起業」ですか、あなたを「非契約社員」にする目論見ではないですか?   「創業資金をつけてやる」「仕事も回してやる」「何なら創業期のサポート人材も貸してやるぞ」「取引先も紹介してやる、俺の口利きなら良い条件で取引出来るぞ」「心配するな、全部段取りはやってやるから」そういう話の前で悩んでいる皆さん、多分このエントリ読んでる人の中にもいると思うんですけど、よーーーーーーーく考えた方がいいですね。   ただ、必ずしも「やめろ」って言ってるわけじゃないんですよ。資金がついてきて仕事が回ってくるというのは、やはりチャンスでもありますし、後はどのように人間と渡り合うかというだけの話になります。   あなたは元気な身体とやる気だけ持ってきてくれればOK!この起業パッケージプランに全部お任せ、みたいな話はわりとあります。そういう話に飛び乗る時は色々考えた方がいいですね。繰り返しますが「乗るな」って言ってるんじゃないですよ。罠の中に餌が吊るされているなら罠を作動させずにエサだけ引っこ抜くことを考えるのは当たり前です。   また、出資する側と起業する側に双方利があるという形態は皆が幸せになる理想形とも言えます。このバランスが著しく崩れていて、しかも止めることが出来ない状態にさえならなければいいわけですよ。それだけのことです。 捕食者としての起業家 ここまで、「起業家がやっていこうとした結果食われる」というお話をしてきましたが、このような捕食妖怪を逆に食ってしまう起業家というのも存在します。まぁ当たり前です、「嵌める方法」が洗練されていけばカウンターの手法も当然出てくる。これを読んでいる皆さんも、「そういう前提ならあれをあれすればああなるな」という考えが幾つか浮かんでいるんじゃないでしょうか。その発想はとても大事です。   「罠がある」という前提さえ踏まえていれば、人間は賢いのでそれなりに対策を思いつくことが出来ます。ところがね、「資金!誰か資金つけてくれ!」って走り回ってるときというのは、わりと人間は弱いんです。人間を嵌める技というのは、「そんなの見抜けねえよ」みたいな高度な技という場合はそんなに多くなく(たまにはそういうのもありますけど)判断力の低下した状態の人間を、冷静な判断力さえ有していれば見え見えの落とし穴に誘導するというのが基本です。多重債務者になると「お金借りない?面白い金利で」みたいな連絡がいっぱい来ますよね。そういうことです。   創業して儲けるということは、法に守られない奪い合いゲームの中で勝ちあがっていくということです。「奪う権利」が与えられる代わりに、労働法規などの「奪われない権利」が失われるわけですね。その中で初めての創業に挑む人というのは、圧倒的に一番弱い存在です。経験がない以上、頼れるものは想像力しかありません。   「やれば出来る」ことは必ず誰かがやるのが市場という世界です。存在を想定出来る悪魔は必ず存在します。というか、ごく普通の経営者であっても「あ、これ儲かるな」と思った瞬間に悪魔に化けます。とはいうものの、それはあくまでルールの中で許容された立ち回りであって、「悪」ではないんですよ。強いて何が悪いかといえば、そんな状況を作り上げてしまった方が悪いんです。自戒も多分に含めてですが。   起業というのは、往々にして「先行事例」みたいなものがあまり見つかりません。「出資者からいい条件で金を引いてなるべく株を渡さない方法」とか書いた本はありませんし、「子会社として創業して親会社から利益と経営イニシアチブをぶっこ抜く方法」について書かれた本も(多分)ないと思います。各自やっていくしかないわけですよ。「株の10%で1500万引けたぜ」という人もいれば、「60%渡さないと1銭も出てこない・・・」というパターンもあります。   一回やっていって派手に失敗すればこの辺はわりと身につくわけですが、皆さんもちろん「起業に失敗してドブの底に叩き落される」なんて経験はしたくありませんよね。ドブの底に落ちるタイプはまだよくて、「なんで俺はこんなことしちまったんだろう・・・」って思いながら働いてる人もいっぱいいると思います。「仕事?いつでも辞めていいよ。次の代取が会社コカしたらおまえの実家売られるけど」みたいな悪夢のピタゴラスイッチが発生することもたまにはあるんですよ。   そういうわけで、今日はそんなお話でした。僕はいつも皆さんの成功を心から祈ってます。やっていきましょう。     ...

  「起業したいです。何から始めればいいですか?」と質問をいただくことがある。   私は起業経験こそあれポシャった人間なので立派なことは言えないが、少なくとも最初の1年を乗りきるために必要なことは、結婚式で全部学べた。極論だが起業したい人はもはや独身でも結婚式をすればいいくらいに思っている。なぜなら結婚式の準備をすればビジョンの共有、予算管理、リーダーシップの3点が余すところなく鍛えられるからだ。 「ビジョンの共有」をせねば夫婦喧嘩になる 結婚式準備は、式場見学から始まる。そう思っている人はすでに波乱含みだ。結婚式はまず、夫婦でひざを突き合わせて「どんなことをしたいか」ビジョンを話し合うところから始まる。キリスト・仏教・神前式のどれか。大人数を招くフォーマルな式か、こぢんまりとやりたいか。   普段「何でもいいよ~」と寛容な彼でも、意外と「え?結婚式って会社の人や親戚中呼ぶもんでしょ?」と、とんでもない前提をぶち込んでくる。お互い「それ、結婚式をするなら当たり前でしょ?」と思っている要素を言語化し、ビジョンをすり合わせる。これができないと、そもそも見学にすら行けない。   たとえば、私は結婚式を挙げるつもりすらなかった。自分のためにご足労願うのも申し訳ないし、なによりコスパが悪い。普段は効率厨の夫も絶対にそのつもりだと思って入籍の準備を進めていた。ところが夫の口から出てきたのは「え、世間的に結婚式はするもんでしょ」   「そういうことは早く言ってくれ!」と思ったが、ビジョンを共有しなかった私の落ち度である。   起業でも同じだ。なんとなく「いいじゃん」と集まった創業メンバーも、じっくり話し合うと全然違う夢を見ていたりする。最初にビジョンを一つにせねば起業は空中分解するだろう。経営ビジョンを共有できないグループはすぐに崩壊する。そして家庭は最小単位の経営チームだ。2人のビジョンを共有する結婚式は、まさに起業へうってつけのエクササイズなのである。 「予算管理」こそ結婚式の要 結婚式を挙げる上で最も喧嘩になりやすいのが予算だ。「たっぷりのブーケにお色直しは2回。ビデオ撮影もしたいな〜」なんて夢を詰め込むとあっという間に一千万円。引き出物を入れる紙袋が1つ500円の世界。予算管理なしに式が成り立たない。   新婚は引っ越しやハネムーンでただでさえ金がない。そしてゲストの満足度も気になる。「ドレスばっかり派手で食事はひどかったね」なんて語り草になりたい夫婦はいない。だから限られた予算でゲストにも楽しんでもらわねばいけない。自分のやりたいことを達成しながら客の満足度を最大化する―。まさにビジネスで肝となる考え方である。   私の結婚式では夫が夢を膨らませ、私が予算を緊縮する係だった。「オレンジのお花がいい」「いいドリンクを出したい」といった夢の呪文を唱えると、その都度十万単位でコストが増える。一方、みんなのウェディング調査でゲスト満足度が食事に影響されることを知り、食事予算を最大化するなど独りよがりにならない予算管理が求められる。   起業がすぐポシャる中には「創業者の夢だけいっぱい詰め込んで、客を置いてけぼりにしたサービスを出し、誰も使わず終わる」ものがある。どんな素晴らしいビジョンも、予算内で顧客満足度を上げられないなら意味がない。結婚式はそれを教えてくれる。   さらに結婚式では自分の両親、相手の両親など「最終決定権が自分にある」と思っているプレーヤーが大量に登場する。起業で言うところの株主だ。親族をどう説得して自分のビジョンへ近づけるかは、まさに起業家に求められるリーダーシップである。 「リーダーシップ」で予想外のトラブルを軟着陸させる そして、結婚式がビジネスマネジメントを学ぶ上で素晴らしいのは、予想外のトラブルが必ず起きるという1点に尽きる。私の場合は、友人のドタキャンによりテーブルが1つ消滅した。結婚式では座席表を各テーブルに配るのが作法だから、配置を変えるなら座席表も印刷し直し。深夜、もう間に合わないと泣きそうになったが24時間運営の印刷会社へたどり着いた。   スタートアップでは「いきなりのトラブル」が笑えるほどやってくる。そのトラブルを乗り切るリーダーシップは素質や才能として語られがちだ。しかしリーダーシップは技術。小さな修羅場で訓練すればいくらでも育てられる。結婚式は小さな修羅場の宝庫として、起業家のリーダーシップを鍛えてくれるだろう。   かつて冠婚葬祭の業界で起業したことがある。そのときはイベントへブース出展し、業界内での知名度を上げようとした。在庫手配も予算管理も完璧だったが、まさかのスタッフ不足が前日に判明した。もともと1人いればよいだろうと思っていたが、営業周りで他社ブースを回る間は店番が別途必要なことをすっかり失念していたのだ。マヌケとしか言いようがない。   こういう失敗も結婚式なら「スピーチを依頼していた人がまさかのインフルエンザ」「手紙を読んでくれるはずの親友が彼と浮気していた」などの修羅場で身をもって教えてくれるだろう。(後者はできれば経験したくない)土壇場のリーダーシップは、プライベートの修羅場でこそ磨かれる。「あの時に比べれば、こんなの屁でもない」といえる胆力こそ、起業家の能力だから。 結婚式のプランだけでもやってみる 起業家であれば、結婚式はぜひ挙げてほしい。彼女がいるなら籍は入れずとも結婚式だけでもぜひ。もし抵抗があるなら、100人単位のパーティ企画を1つ打つのが良いだろう。   ビジョンの擦り合わせ、予算管理、そしてリーダーシップの奪い合い……どれも肝がヒリヒリする経験だ。だが、ヒリヒリするのを快感だからこそ、スタートアップって楽しいんだろ?くらいに言える仲間ができることを、いち起業家として期待している。     ...

  肉、トマト、オニオン、チーズ、肉。   バンズのかわりにビーフパティでサンドした、肉バーガー「ワイルドアウト」をご存知だろうか?美味しそう×写真映え×ネタになるの三拍子が揃っていて、見るからにバズりそうだな!というのが、初見の素直な感想だ。   これは相当戦略を練って商品開発したに違いないと確信し、人気ハンバーガー店「シェイクツリー」に商品の開発秘話を伺ってきた。 行列のできるハンバーガー店「シェイクツリー」 2011年にオープンした「シェイクツリー」は、JR総武線錦糸町駅、地下鉄両国駅からそれぞれ徒歩10分のところにある。   多くのハンバーガーチェーンが駅近に店を構えるなか、シェイクツリーは、やや不便な立地に店を構えている。それにもかかわらず、連日盛況。週末には行列もできる。 店名の「シェイクツリー」は、「shake a person’s...

  インターネットが普及していない時代、パソコンの使い方もわからなったひとりの建築士がネットショップを開店。ネットで「蟹」を売り、楽天市場で蟹ブームを起こした「北国からの贈り物」。 しかし、一大ブームを引き起こした北海道発の「インターネットの蟹屋さん」は、決して右肩上がりに成長したわけではありませんでした。10年間勤めていた建築設計事務所を辞めて始めた株式会社北国からの贈り物。 代表取締役社長「加藤敏明」氏にこれまでの歴史を交えながら、商売の難しさ厳しさのお話を伺いました。 「北国からの贈り物」立ち上げた、けど売れない   -最初から売れました?   加藤社長:最初は建築設計事務所で働きながらネットショップをはじめました。まぁ、案の定全然売れなかったですね。オープンして1カ月後にようやく1件、初めて注文がありました。ネットショップしている方なら誰でも経験があると思うんですが、初めて注文来たとき「本当に注文がくるものなんだ」と驚きました。東京のお客様から毛蟹を1尾注文もらって、それを届けたんですよ。   1年位やって月に10件程度は注文が入るようになって、リピーターさんも増えてきたので、いよいよ勝負を賭けようと楽天市場に出店したんです。当時は楽天市場に出店するには初期費用30万円を払わないとダメなのですが、今まで貯めた貯金を切り崩して出店しました。僕が32歳位の頃で収入も多くなかったので、勝負ですよね。   実際楽天市場に出店してみたら、なんと11月12月の売り上げが400万円程度。11月12月がちょうど蟹の売れるシーズンだったというのもあるのですが、これだけ売れるならいけるぞと、改めて確信して妻と会社とも相談して会社を辞めることになりました。98年にネットショップを始めて2000年の4月に独立して、蟹屋の店長さんとして「北国からの贈り物」という会社を立ち上げました。     ―よくご家族が独立を認めましたね。   加藤社長:家族の説得はかなり苦労しました。子供が2人目産まれたタイミングで会社辞めたので、妻や妻の両親からは会社辞めるなんてどういうことだと、詰められました。会社辞めて何するんだと言われて、インターネットで蟹売るんですと説明しても、何だインターネットって、蟹売るのかって険悪で、妻からは「建築家のあなたと結婚したのであって蟹屋のあなたと結婚したわけじゃないわ」、みたいな話もされて・・・でも「俺はこれで生きて行くんだ、起業家として会社を大きくしていくんだ」、と話しても通じないわけですよ。   子供産まれたばかりでしたしね。その時僕が言ったのは、「不安な気持ちもわかるけど、これで俺生きてくと決めたから、やらせてくれ」って、その代わり月の売り上げが1千万にならなかったら、諦めて会社員に戻るから1年間やらせてくれっていう覚悟を伝えたんです。それでようやく納得してもらえました。   独立後は売り上げを上げる為にメルマガやページ作りを今まで出来なかった分、一生懸命やっていました。しかし、売り上げが上がらなかったんです。楽天広告も出したのですがそれでも売れなくて。というのも4月から6月って蟹の売れる時期ではなかったんですよ。蟹の売れる時期は10~12月なんですが、僕の中では12月までに月1千万の売上げが目標だったので、もっと売らなくては月に最低100万円売らなくてはという意気込みでメルマガを書いて、サイトのページも作って。広告を買うほど売り上げが下がってくるので、5千円だったタラバガニをセールで3千円や3割引で出すようになりました。   注文0の日が続く   加藤社長:そうすると、いよいよアクセスもなくなって最後は注文0の日が1週間続いた事が楽天でありましたね。その時は楽天の担当に電話して、「今まで注文が来ていたのに1週間注文が来ないなんて、おかしいじゃないか楽天のシステムが壊れているんじゃないか」と聞いたんです。そしたら「お調べします」と言われて、3分後に楽天の担当者から注文メールが来て、「今テスト注文しましたけどどうですか」と。壊れてなかったんですよ。ただ単に、「売れていない」だけでした。   売り上げ0の日が続くというのは今思い出しても、恐ろしいことですよ。これから子供2人育てていくのに売り上げ1週間無いけどどうしよう、と悩みましたね。   そこで売り上げが上がらない理由を考え抜きました。その時初めて、自分が売り上げ上げたいから商品安く売ったり、メルマガ出してセールしたりしていたけど、お客さんの立場は違うと気付いたんですね。   お客さんってどういう時に蟹が欲しいんだろうと考えて、それは誕生日や家族が集まる時、年末のお歳暮のシーズンに贈ったり、年越し蕎麦とかお正月に食べたりとか、晴れの舞台だったりするから、こっちが売りたいと思っても、お客さんの都合もあるから無理だなと気がついたんです。   それで焦るのをやめて、12月までに目標達成すればいいから、それまでは売ることよりも自分がどうしてこの商売を始めたのか、うちの商品はどうやって食べたら美味しいのか、自分の商売に対する思いを12月までお客さんに伝えようと今までとは間逆のスタンスで、売れなくてもいい、ただ商品のことを伝えたり、自分の思いや会社がどんなことやっているのかを伝えることに集中しようと思ったんですよ。   売ることよりも、インターネットを通じて商品をお客さんに知ってもらうことが大事だと切り替えて、リラックスしながらメルマガ書いて子育てして。メルマガの内容も商売寄りの内容から切り替えて、今日は子供達とお風呂はいったとか、下の子が寝返りうったとか、上の子がこんな言葉を喋ったという話を書いてみたんです。   そうするとお客さんから、メルマガほのぼのしてていいよね、うちも同じぐらいの子供がいて苦労わかるよ店長さん、とメールがきたんですよね。あとは子育てが終わった僕より上の世代の人達からも、俺にも私にも子育て苦労した時期があった、そんな問い合わせメールがくるようになって。   そうするとついでに「お薦めの商品は何ですか?」と聞かれるんですね。ページを見たらタラバガニがあるけど、「この商品はどうやって食べるのか」と、商品の質問も一緒にくるんですよ。「このタラバはボイルしてあるので、届いたら直ぐに食べられますよ」と、やりとりしていると注文が増え始めてきました。そういったお客さんとの素のコミュニケーションや、あとは蟹の仕入れ日記のようなものをメルマガでやっていると、それを見てお客さんが、面白そうだと安心して注文してくれたりしました。そうして7~9月に少しずつ注文が増えてきたって言うのが、商売面白いなっと思った時のステージでしたね。   ―半年位は何もなくて、きつかったと思いますが、やはり大事なことはファン作りですか?   加藤社長:ファン作りですね。お店をはじめると、どうしても肩に力が入って、これだけ売り上げ目標ってなるじゃないですか。そうしてプッシュするとやはりお客さんも引いてしまうんですよね。余裕を持つというか、信頼関係を作るとか、どんな商売でも一緒です。売りたいから安売り、はやっぱりダメですね。時代は違うけどそう言った商売の根幹は、今も同じだと思っています。 ワケありカニに火がついて蟹ブームに   ーその後、楽天市場で蟹ブームを作られたと思うのですが、その時の話を教えてください   加藤社長:当時はタラバガニの姿とか、立派な蟹が贈り物で売れるんですよね。でも、中には仕入れると足が1本折れたり黒ずんでる商品も出て来るんですよ。折れていたり黒ずんでいるだけで、中身は変わらない。どんどん注文が増えてきて仕入れが増えると、その内の2杯3杯は足折れの蟹が出て来たので、そういったものはギフト商品としては売らず、ワケあり蟹で半額で売りました。そしたらそれが人気になった。いわゆる「ワケあり商品」ですね。ワケあり商品はうちがはしりなんです。   最初はワケあり商品の蟹を買って、美味しかったから今度は贈答用に綺麗な蟹を買う、というお客さんが増えてきたんです。北国の商品は安くて美味いし、贈答にも使えると注文が増えて、12月には売り上げが、2千万円まで増えたんです。始めてから1年くらいの話ですが、びっくりするぐらい売れて、半端なかったですね。楽天もビックリ、僕もビックリしました。   ―2千万円はすごいですね。   加藤社長:売上の要因の一つは、ファンが増えていたからだと思います。僕はメルマガ書くのが好きでしたから、どうしたら沢山の人に読んでもらえるかを考えて、メルマガの中に自分の家族ネタやクイズを入れたり、メルマガ購読者向けのプレゼント提供や、色々な企画やオークションをして会員を増やしたんですね。その時のメルマガ会員は1万人位いたんですけど、そのお客様が年末に購入してくれたということですね。   加藤社長:自分の中ではメルマガ会員を10万人集めた段階でパートスタッフ雇用して組織としてやろうと思っていました。10万人会員あれば商売になるだろうって自分の中で思ったんですよ。メルマガ会員を10万人にするまで1年位かかりましたね。   翌年、メルマガ会員が10万人になったのでアルバイトスタッフ採用して3人位でやり始めました。売り上げが2億3億になって、毎年1.5から2倍位売り上げが伸びていく楽しい時代でしたね。その3年後にYahoo!オークションに出店しました。ずっと1人だったので今までは1店舗しか見きれませんでしたけど、売り上げは増えてメルマガ会員も増えてきたので、1店舗1店長制で多店舗展開をやっていくと、また売り上げが伸びてきてという循環を作る事ができました。   まずはワケあり商品を買っていただいて、今度はギフトで買っていただく、というリピーターのお客様が増えて、お客様単価も高くなっていきました。売上が上がっていくのはいいのですが、受注がパンクしましてね。   1年間積み上げてきたお客様が年末に爆発して、受注業務がパンクしたり、人が足りなくなったり、出荷場がパンクしたり、ものが売れすぎて無くなったり・・・毎年何かしらの試練があってそれを乗り越えながら何とかやっていました。   初期の楽天RMSは月50万円程度しか売れる想定をしていない仕組みだったので、受注処理がすごい大変だったんですよ。僕もやっていましたが1日300件注文がきて、それを手作業で1件1件メールを書いて、3日間で合計3~4時間しか寝れないような状況で商売をやっていました。1月の繁忙期が終わった時に、すごく嬉しかったんだけど死ぬかと思ったんですよ。今回はトラブルもなくお客さんに迷惑もかけず商品届けられて良かったけど、受注業務を効率化しないと翌年はこの3倍注文がくるから間違いなく死ぬと思ったんですよ。   当時はネットショップの一元管理システムもなかったので、ネットショップの受注業務を管理するシステムを自前で作って、翌年の12月にはそれを活用しながら乗り越えました。   当時はネットショップで爆発的に売れる事を想定したインフラが無かったんです。楽天市場でさえ、受注ソフトも物流の考え方もありませんでした。 それを1つ1つ、無いものは作ろうと受注管理システムを作って、バックヤードも倉庫さんと相談して何回かパンクしながらその度にやり直して整備しました。 よかれと思った「安売り」で3年売上が伸び悩む   ―これは失敗したな、というお話はありますか。   加藤社長:そうですね、結構あります。リーマンショックの頃なんですが、確か2008年9月位でこれから蟹のシーズンだぞという時にリーマンショックが起こったので、蟹も3億位仕入れていたのに、景気が下がったので例年に比べて3割位落ちましたね。蟹はグルメの中でも高い商品だったので、買わない人が多かったんだと思います。   これは大変なことになるなと、広告を出してもメルマガで商品を紹介しても、売れなかった。お客様も12月にボーナスが出るかわからない状態で、贅沢に高価な蟹は買えない、と買い控えている状況だったんですよね。自分もそうでしたしね。11月後半にもう今年は世の中的に仕方がないから、利益を諦めようと決断しました。景気悪いけど、でもお客さん蟹食べたいよねって事で、思いっきり安売りしたんです。   リーマンショックで景気がすごい悪くなったけど、年に1度楽しみにしているお客さんもいて、ずっと買ってもらっているお客さんに買ってもらえない方が寂しいと思ったので、原価でもいいから、食べて欲しいなって思いでメッセージを書いて販売したんです。   今年はこういう時勢で景気も悪いし、毎年買っているお客さんに食べてもらいたいので赤字覚悟で販売するので良かったら年末蟹食べて、今年は楽しかった話題も少なかったけど最後に蟹食べてハッピーになろう、とメルマガを出したんです。それで一気に売れて、昨年の1.3倍売れたんです。利益を諦めてもお客さんに買ってもらえれば翌年に繋がるし、僕の中では年に1度のお客さんとのご縁を繋げたと安堵感と達成感があって、お客さんにしても例年よりも安く蟹が買えたという喜びもあったと思います。   1年に1度の書き入れ時の12月から2月まで安売りしたので、経営的なダメージは大きくてですね。あの時は良かれと思ったけど、1度安売りをするとなかなか値段も戻らないし、安売りのしすぎも失敗したなと思ったのは終わった後ですね。景気が普通の時に安売りをしたのではなく、景気が下がっている中での安売りをしてしまったので、戻そうと思ったものが戻せなかったと、そこを読みきれなかったところもあるし、通常の時とは違う状況だったと不可効力だったという思いもありながら、安売りしないと売り上げも上がらないという状況が2008年から2010年まで続きました。   ―その翌年も安売りしたんですか?   加藤社長:価格のプライスリーダーになってしまったので、他の蟹屋さんも引きずられて、蟹を安くしないと売れなくなってしまったんです。どこかのタイミングで価格を戻すところはあったのかもしれないけど、戻しきれなかったのが自分の中でありましてね。2010年の後半から仕入価格を工夫して、値段も上げながら利益率も元に戻すようにしました。結果的には2010年の12月は良い数字が取れたんです。   ー今は蟹以外も色々と販売されていますが、どのタイミングで商材を広げたのでしょうか。   加藤社長:2011年の震災がきっかけですね。あの時はどこも厳しかったと思いますが、蟹屋も相当厳しかったと思います。祭り事が一切ダメみたいな風潮になりましたよね。単価の高いものが売れなくなってですね、半年位売り上げ半分に下がりました。   その時は・・・本当にしんどかったですね。4月~6月売り上げが下がる時期だったのですが、そこは生きてく為に仕方ないと色々なものを売りました。北海道の水を売ったり、カンパンを売ったり、北海道の商材で被災地向けの常温商品増やして売っていこうと、色々なメーカーさん、取引先を増やしてあらゆる商品を売りながら、今どんなものがお客さんに求められているのだろうと商材を増やした時期でしたね。   ―それがきっかけで、今の形があるんですね。   加藤社長:商材を増やすタイミングで、「北国からの贈り物」は何屋なのか、僕達の売りたいものは何だと改めて話合いしまして、蟹をメインにしながら売って、北海道色を強くした北海道の美味しい物をもっと広げて売っていこうと決めました。 「北国からの贈り物」というブランドはどうあるべきかを考えて、見直しながら今に至っています。   「北国からの贈り物」で北海道を活性化する   ーしかしネットショップが全くない時期に建築士を辞めてネットショップを始めるなんて、よく奥様が了解しましたね。   加藤社長:その時は了解していないんですがね。会社を辞めて、その年の12月に僕がずっと働いて3日で3時間しか寝ていないのを分かっていて、「そんなに無理してどうするの」って、最後に手伝ってくれたんですよ。それまではずっと独立に反対だったから、声も掛けてくれないし、手伝ってくれることもありませんでした。12月の10日過ぎたぐらいかな、もう死ぬかと思うくらいヘロヘロになっていたら、そこで手伝ってくれて。   「そんなに頑張ってどうするの」と声掛けてくれて「死んじゃうよ、あなた」と。その時、妻に「大変で死にそうなんだけど見てくれ、こんなにお客さんから注文が来ているんだ」といって初めて売上を見せたんです。「約束しただろう、もうすぐ1千万円超えるんだ。お前との約束はこれで果せるから、これで我家は安泰だ、ようやく売り上げも上がってお客さんもこれだけ来ているから、これから先は子供達を育てていけるから安心して」と僕も泣きながら本音で話したんです。   妻も「分かっている」と、「出来ることがあったら手伝う」と言ってくれて、2人で夜中にFAX送ったり紙切ったり、パソコン使えませんでしたからね。手作業の部分を手伝ってもらいながら乗り切りました。妻には感謝というか苦労ばかりかけているんですよ。(笑)   ー最後に一言お願いします。   僕の中では、軸が今でも建築家なんですよ。事業を始めたきっかけが北海道の経済の活性化というところで、僕の中ではもともとそれを建築家としてやりたかったんです。ネットの事業で北海道の魅力ある商品を日本全国、世界へ届ける中で自分も経営者として起業家として雇用して、収益上げて地域社会へ貢献して、町が良くなって北海道が良くなっていく、というのが僕のゴールです。蟹屋って小売をやる楽しみがあるし、海外でやる楽しみもあって、苦労も多いけど1個1個をすごく楽しみながらチャレンジしています。   続けているとお客さんもついてくるし、販売の仕方も分かって来る。商売って継続なんですよね。     ...

  私は社会人になって14年間、「言葉」を生む仕事をしてきました。しかし、言葉と言うものは、ただ「表現する」ためだけに存在するのではなく、商品やサービス、プロジェクトの「コンセプト」や「進むべき方向性」を指し示すものとして機能します。   そう考えれば、どんな業種、どんな職種で働かれている方も「強い言葉を生む技術」は、仕事をする上でとても重要で、持っていると強い武器になるものと言えます。   そこで今日は、そんな「強いコンセプト」や「強いディレクション」につながる「強い言葉の作り方」について、具体的な例を交えて、お伝えしたいと思います。 「強い言葉」を生むために言葉を再定義する 「強い言葉を生む」ためには、いくつか方法論があるのですが、今日は最も使い勝手が良く、本質的なものについてお伝えしたいと思います。それは       言葉を再定義する       というものです。簡単に言ってしまえば「ある言葉」や「ある考え方」を、「別の言葉で言い換える」というものなのですが、これがとても有効なのです。わかりやすい例を出します。       四十歳は二度目のハタチ。(伊勢丹)       これは、2009年にお亡くなりになられたコピーライター、眞木準の伊勢丹のキャッチコピーです。おそらく「伊勢丹に四十歳のターゲットを集客したい」というクライアントの要望を受け、開発されたキャッチコピーだと思います。   クライアントからこのお題が出た時、きっと駆け出しのコピーライター(若い頃の自分も含め)は   ・洋服にこだわる四十代は、かっこいい。 ・今日初めて、娘のインスタグラムにのった   などと書いてしまいます。   ・クライアントの戦略ワードをキャッチーに言語化する ・ターゲットのインサイトをつく ・ターゲットの背中を押す要素を入れる   という「キャッチコピーのあり方」に照らし合わせれば、悪いキャッチコピーではないと思います。しかし、このコピーは、ポスターや新聞広告など「限定された場所」でしか使えない「表現のコピー」に留まってしまっています。   言い換えると「コンセプト」や「ディレクション」にはならない“枝葉”のコピーであって、様々な施策に「広げる」ことができる“幹”となる言葉にはなりません。その視点で「四十歳は二度目のハタチ」を見てみるとどうでしょう?   この言葉は「四十歳」を「二度目のハタチ」と再定義するコピーであることがわかります。つまり “幹”(コンセプトやディレクション)となって、広がりが容易に想像出来ます。少し考えただけでも、   ・二度目の成人式 ・四十歳から飲める「大人の中の大人」限定の飲料キャンペーン ・二度目のハタチ採用活動   など、単なる「百貨店のキャンペーン」を超え、世の中の「四十歳」を再定義し、社会の価値観をも変えてしまう力を秘めていることがわかります。   このような言葉こそが「強い言葉」と言えるのです。   言葉を再定義し「強い言葉を生む」ための、オススメのやり方もご紹介しておきます。「再定義すべき言葉(課題となっているキーワード)」を、ノートの真ん中に書き、周りに言い換えを書いていきます。       他の言葉で、例を出してみます。   【飛行機の言い換え】 ・空飛ぶ映画館 ・電車より安全な交通手段 ・最速の移動手段   【水の言い換え】 ・お湯が冷えたもの ・薬(サプリサプリメント)を飲むもの ・植物の食事       飛行機を「空飛ぶ映画館」だと捉えれば、映画館で行っているサービス、例えば、3Dメガネを配って3D映画を上映したり、数種類のポップコーンが食べられたり、さらに進めると映画に合わせた飲食を提供したり(フランス映画とその地方のワイン、チーズなど)と、コンセプトからどんどん機内でのサービスへアイデアを広げていくことができます。   水を「薬を飲むもの」だと捉えれば「薬を飲むためだけのお水」というコンセプトが生まれます。酸性の薬(サプリメント)にも、アルカリ性の薬(サプリメント)にも合う中性、しかも成分の吸収を助けたり、新陳代謝を促したりすることができれば画期的な水が生まれます。これからの高齢化社会にあった商品として話題にもなりそうです。同じように水を「植物の食事」と捉えれば「植物専用のミネラルウォーター」というコンセプトで、植物の成長に適した成分を含んだ水、しかも人間も飲めるものを生むことができます。ペット専用のミネラルウォーターを作っても面白いかもしれません。   実際は、商品化やサービスの実現化に向けては、様々な検証、そして収支が合うかなど検討すべき点が多々ありますが、コンセプトづくり、アイデア出しというフェーズで見れば、かなり有効に使える方法論だと言えます。   以上のように、どんな業種、職種で働かれている方でも必要となる「強い言葉を生む技術」は、「再定義するコツを掴むだけ」で容易に手に入れられることがわかります。   何の拠り所もなく、コンセプトを生もうとしても、なかなか難しいものですが「再定義する」というシンプルな目標を掲げて、連想ゲームのように言葉を書き出していけば、驚くほど簡単に「強い言葉」「強いコンセプト」にたどり着くことができるのです。   課題を抱えて、頭を悩ませている方がいらっしゃったら、一度「再定義する」を試してみてはいかがでしょうか?     ...

  ニューアキンドセンター様で書かせていただくのも今回で3回目になりますが、1回目2回目と失敗談ばかりだったので、今回はちょっと失敗談ではないものを書かせていただきます。本日は「出資者」の話です。僕の起業で成功と呼べるのはここだけじゃないかと思うところもあり、本当に出資者には恵まれました。お陰でまだ生きています。   この辺の話は今まで以上に個別性が高く、100人の起業家がいれば100通りの創業資金調達方法があるとは思うのですが、とりあえず僕の経験からの話になります。僕の創業は何の実績もない人間が資産家を口説いて金を引っ張ったというだけの話ですが、周囲の創業事例を見るとわりとよくあるパターンのようです。何かのご参考になれば幸いです。 出資で起業するか自己資金で起業するか そもそもの話ですが、ベストは100%自己資金による起業です。出資者なしでやれるならそれがベストなんです。全て自己の裁量でやれますので、完全に自由な経営が可能になります。もちろん(誰にも株を渡さなかったとすれば)創業者利益も総取りになりますね。融資なども受けずに済むなら正にパーフェクトと言えるでしょう、返済も利払いもキツいしこれが一番いいですね。まぁ、世の中そんな都合の良い話はないんですけど。そんな金持ってて起業する意味があるかと言われたら微妙ですし・・・。   現実を言えば若手起業家が数百万~数千万の資金を完全な自己資金で用意するのはかなり難しいです。かなりの一流企業にお勤めのところからスタートでも、20代で真水の1000万を用意するのはそれなりにキツいですね。また創業融資などもある程度タネ銭がないと借りにくいです。出資金は返済義務のない資金ですので、そういう意味ではリスクが低いとも言えます。現実的なところを言うと、出資金と会社名義での借り入れを組み合わせて創業資金を作り出すのが一般的な段取りになるのではないでしょうか。出資100%なら返済義務がないので理想ですが、色々考えるとなかなかそうもいかないのが世の中の厳しいところで。   出資者の立場になって考えてみてください。それこそ「代表取締役が会社をブン投げて物理的に逃げた」という事態だってあり得るわけですよ。というかよくあるわけですよ。本当に社長というのはよく失踪する生物です。「おまえもリスクを負え、最後まで逃げない保証をつけろ」とは言いたくなるじゃないですか。(それでもわりと逃げるんですけど)創業融資は代表取締役が連帯保証人になるとちょっと金利が安くなったりしますので、この辺を負わされることが多いでしょうね。もっとシンプルに出資と融資を組み合わせてくる場合も多いと思います。   出資者と創業者の株式の配分に関しては、双方が納得するまで徹底的に話し合っておくべきです。少なくとも、「株式は100%出資者のもの」と主張する出資者の下で起業をするべきではありません。株式を一切持っていない創業者ですが、単なる定額働き放題プランですね。おまけに会社の借金の連帯保証人なんかになっていた場合逃げることすら出来ません。労働法規にも守られないのでほとんど奴隷です。まさかそんな条件で起業する人間がいるわけがないと思うじゃないですか。結論だけ言うとたまにいます。ここまで派手なアレじゃなくても序盤でこの辺が甘かったがために残酷なことになる事例はわりとありますね。   ある程度の自己資金を入れたり、会社の借り入れの連帯保証をしたり、あるいはプレイヤーとしての自分の必要性などを担保にして、納得できる割合の株式を創業者として獲得しておくことは最低限必要になります。この創業者として得られた株式ですが、将来的な創業者利益の担保であるとともに、自社内における今後の対人交渉、役員や従業員などに対してのとても強いカードでもあります。というか、代表取締役が切ることの出来るカードって本質的に金とこれしかないんですよ。   出資者はよく選ぶことを薦めます。極端な例ですが、出資を受けて創業してしばらくしたら、出資者が反社の人だったことがわかった、なんて事例ももちろんあります。きちんとビジネスプランに共感と理解があり、将来の夢と展望を共有できる、社会的に問題のない出資者を選びましょう。出資者の金の出所が不明なんてのは論外です。「気づいたら反社のフロント企業経営者だった」って話はですね、なくもないんですよ。経営が傾いたら彼らが寄ってくるのは有名な話ですが、創業からそもそも終わっていたパターンもあります。そして、しっかりと話し合った上で適切な配分で株式を受け取りましょう。何をもって適切とするかの根拠については、自分自身で考えるしかありませんけれど。   メイン出資者を選ぶチャンスは創業初期にしかありません。「出資者を選ぶのは自分だ」というつもりで出資者探しをするのがいいと思います。悪魔のような出資者ももちろん存在します。「良い大学出て良い会社に入った若者を俺のような人間がマトモに雇おうと思ったら安くて年600万はかかるが、起業という形で・・・」みたいなことをやっている人間は普通にいっぱいいます。(この話はそのうち細かくしたいと思います)   まとめ   ・出資者は選びましょう、間違っても反社から資金を得てはいけません   ・創業時の持ち株の比率は納得いくまで話し合ってください。議決権などの概念はよく勉強しましょう。初期メンバーや出資者の人数、事業の性質などによって最適解は変化します。   ・自己裁量で他者に譲渡可能な自分持ちの株式は、経営権や創業者利益の担保であるとともに今後極めて重要な交渉カードになります。迂闊に切らないようにしてください。   ・出資者に「食われる」ケースもそれなりにあることは頭の片隅に入れておいてください。 出資者の探し方 「お金を持っており、かつ事業に投資したい人」を探して、自分の事業計画をプレゼンするだけの簡単な作業です。僕は大学在学時代から果てしなく出資者を探し続けていたので、起業を具体的に考え始めた時には出資者の目処は大体ついていました。それで、「なんで僕に投資したんですか?」と出資者に尋ねようと思ったんですが、現在のザマでそれを尋ねるとかなり重苦しいことになってしまう気がしましたので、なんとなく予想してみることにします。そのうち風向きが良くなってきたら答え合わせをしましょう。   儲かりそう、と思わせる事業計画 これは基本かと思います。あくまで「儲かりそう」であって「儲かる」ではないのがポイントです。「絶対に儲かる事業計画」が仮に存在したとしても、出資者が「儲かりそうだな」と思ってくれなければ無意味なんですよね。僕は作図やパワポなんかはまるでダメですが、文章と喋りにはそこそこ自信がありましたので、これはそんなに苦労しませんでした。たぶん、これは狙う事業や個人のキャラクター性によってもやり方の正解が違うと思うので、とりあえず色んな人間に事業計画を話しまくって反応を見てみるといいと思います。(ただし、事業計画を丸パクって自分でやりそうな人間は避けましょう)それと、事業計画書は書きまくりましょう。就職活動のエントリーシートと一緒で、書けば書くほど、語れば語るほど洗練されていきますので。(実際の事業の成否とはたぶん無関係の技能ですが)   出資者のやりたいことと一致した事業計画 さりげなく非常に重要な気がします。これは地主系の皆さんであるとか、あるいは投資業で財を成した皆様にありがちなことですが、「実業をやりたいな」と考えている資産家の方はかなりの数います。でも、もちろん自分でやるのは面倒だしリスクも高い。しかし、出資する形で誰かにやらせて自分はオーナーになれば、出資した額面以上に損失が膨らむことはなく、事業に付随する各種リスクが降りかかることもない。ならやってみるか、そういう需要はこれだけ不景気の日本でもわりとあります。特に、飲食なんかは「やってみたいけど、自分でやるのは食中毒とか怖いし絶対嫌」という需要がわかりやすくありますね。「フレンチで修行したけど創業はオーナーの意向でハンバーガー屋」みたいな話もわりとある。そういうわけで、これは「事業の成功」という観点からは正しいとは言いにくいですが、「出資者に合わせて事業計画書を書く」もナシではないです。少なくともある程度合わせる柔軟性はあった方がいいですね。   出資者が「あいつに金を託した」と胸を張れる何かを持つ ぶっちゃけたところですが、資産家である出資者から見て子飼いの起業家はちょっと値の張るペットみたいなものです。ワンワーン。 僕は、起業における主役は(出資を得ての起業の場合)起業家ではなく出資者・投資家だと思っているんですが、主役の皆様が気持ちよく「俺の下で会社やってる奴なんだよ」と紹介出来るだけの何かを持っておくと、必ず役に立つと思います。そういう意味で、「経歴なんか起業するなら役に立たない」という話はあんまり説得力がないと感じています。また、経歴というのは必ずしもキラキラしたエリート路線ばかりとは限らず、「地べた這い回って来たぜ」みたいな現場アピールするラッパーみたいな経歴もそれはそれで強みになります。持ち味を生かしましょう、人生はいつだってそうするしかない。   直接的に出資者の役に立つ能力 出資者は事業に金を出すわけですが、出資者と起業家の関係は実際もうちょっと密接だったりしますので、直接的に出資者様のお役に立てる特殊技能があったりするとかなり出資を得やすくなります。ほら、なんだかんだ人間の懐に滑り込むのには「具体的に役に立つ」って一番早いじゃないですか。僕のメイン出資者は地主様ですが「あなたの周囲で発生するめんどくさい仕事やスジの悪いあれは全部やります、やらせてください」「やります」「やります」などのプッシュが効果を発揮しました。人間、気合いを入れればわりと色んなことが出来ますので気合いだと思います。とりあえず「出来る」「やらせろ」と言ってみる姿勢です。多少色んな人にタダ働きさせられがちになるのは経費と思って諦めましょう。   人間的共感 出資者との間にある種の共通する価値観や共鳴する理念があることがとても大事だとは思います。結局カネを出す出さないの最後の一線ってそこになってくることが多いと思うんですよ。まぁ、出資を得るためにはある意味自分を偽ってでもこれを出資者との間で作り出さなければならないこともあるでしょう。でも、理想を言えば自然な形で出資者との間に人間的共感が発生しているのが一番良いですよね。僕がこうして大失敗しても未だに僕の出資者は僕に良くしてくれています。これは、やっぱり人間的に共感出来る部分があるということが大きく、そういうところが確保出来ていると理想だと思います。それだけに何とか恩は返したいですね・・・。頑張ります。次は上手くやります。   まぁ、こんなところかなぁと思います。とにかく色んなところを駈けずり回って、お金を出してくれそうな人に会ったらゴリゴリプレゼンをする。いつ、いかなるタイミングでも、口から事業計画が(それも可能であれば出資者ごとの特性に合わせてある程度カスタマイズされたものが)溢れ出るくらいまで高めて人生を送ることが重要なのではないでしょうか。僕のそう長くはない人生でも、これで複数の出資者候補は確保出来たので、多分やればできるのではないかと思います。こないだも「1億貸そうか?」という話がインターネットから転がって来ましたし。(どうなるかわかりませんが、今度一回お会いしますかという話になりました)   「事業に投資したい資産家がいる場所ってどこだよ」というお話ですが、流石にそれは自力で見つけてください。どっかにはいるんだから必死で探せばそのうち見つかるかもしれないですよ。流石に僕の金脈を他人に渡すことは出来かねます。僕だっていつかはもう一戦やるんですから。気合い入れて探しましょう。うまいこと見つかったら僕にも紹介してください。俺のものはやらないがおまえのものはくれ。   「起業して成功する」ことはともかく、「出資を得て起業する」というところまでは、「とにかく俺は起業をするし、儲けるし、あんたを儲けさせるし、事業プランももちろんある、俺の話を聞け」と叫び続けて人生を送ればどこかのタイミングで打席に立つチャンスが巡ってくるものなのではないかな、と思います。あとは、なるべくチャンスのありそうなところに移動していく嗅覚みたいなものも必要かもしれませんけれど。まぁ、それは各自与えられた条件の中で頑張るしかないところだと思います。こないだも「株式の10%で1500万出資受けたよ。未経験の業種で初創業だったけど」って人類と遭遇して「マジかよ」ってなったので意外とチャンスはあるんだと思います。やっていきましょう。   まとめ   ・事業計画書を書きまくる、いついかなる時でも事業計画を話せるくらいまで練る。   ・出資者の希望や性質に合わせて事業計画を書くのもあり。   ・出資者にとって金を出す理由になるだけの経歴や肩書きがあると良し。   ・直接的に出資者の役に立てる技能があると懐に潜り込みやすい。   ・人間的共感が発生していると理想的。   ・やっていきましょう。     ...

  学生時代に、飲食店でアルバイトをしていた。   「アットホームな職場」、「安心のオープニングスタッフ」。求人誌はどれも胡散臭く感じられたため、前から気になっていたダイニングバーに飛び込んで、半ば強引に雇ってもらった。   未経験だったため、最初の2カ月はお客さんの前に立つことすら許されないまま、皿を洗って過ごした。そのうち先輩たちが軒並み辞めて、店としてはかなり消極的な理由で、僕の接客デビューが決まった。   愛想は良い方だとわかっていたから、接客で売り上げを伸ばすことの楽しさには、すぐ気付いた。「また来るね」と言ったお客さんが本当に来てくれることがやり甲斐で、金曜・土曜に2時間制を敷かれるとサービスに時間をかけられないことだけが不満だった。 高そうなスーツと、高さのあるヒールを履いたカップルが来ると、あえて男性側に気を配る。   おしぼりを男性に渡す素振りをして、その男性が女性を優先させる人か判断する。おしぼりを女性に譲るジェスチャーをすれば、以降は全て女性優先。小さなことだけれど、「エスコートできる男」をアピールできるひとつめのチャンスが「おしぼり」だから、そこは自分が悪者になってでも男性をアシストすると決めていた。   場の支配も、できるだけ男性に委ねる。会話の邪魔にならぬよう、テーブルの前に立つ時間を極力減らす。このディナーが、この日のデートが、ふたりの夜がうまくいくことを、そっと祈りながら迅速なアシストを続け、黒子に徹していた。   無事にデザートかコーヒーまで辿り着き、女性がトイレに立った瞬間にカード会計をスマートに済ますと、僕は心の中で「うまくいきましたね」と、男性と自分のタッグを褒め称える。恐らくは、ミスのない完璧なエスコート。男性も女性も、酔いすぎることはなく、心地よい気分で店を出る。 そんな接客業での経験を経て、社会人になった。   社会人といっても、所得はそこまで高くないし、ワインにやたらと詳しいだとか、食べた瞬間にソースに入っている食材がわかるとか、そこまで繊細な舌も持ち合わせてはいない。   それでも、過去の経験が良くも悪くも活きるのか、サービスや料理を楽しんでいると、「お気に入りの店」というのがチラホラ出てくる。例えば、僕が好きな接客は「サービスマンの存在感がほとんどないのに、テーブルの上はいつもキレイで、お酒も適量な状態が保たれていること」。これができている人に出会うと、絶対にまた足を運びたくなる。   そして25歳のとき、誰にも教えたくない、とびきり「お気に入り」の店ができた。 「ちょっと背伸びしたデートをしよう」と、予約もしないで入ったイマドキなレストラン。店内に水槽があるようなイヤラシサは皆無で、5つ星ホテルのような堅苦しい雰囲気もない。オープンキッチンならではの緊張感と臨場感がフロアに活気をもたらし、そこに微かに聞こえるBGMが調和をもたらしている。   初めての店では、純粋にその店のオススメが知りたいと思い、7,000円か8,000円くらいのコースを頼んだ。社会人3年目の「オトナ」なデートには、丁度いい値段。 テーブルに着くと、おしぼりとドリンクメニュー、ワインリストを渡される。僕に差し出されたおしぼりを軽いジェスチャーで彼女に向けると、綾野剛のような薄顔のサービスマンは「失礼しました」と言いながら、笑顔で彼女の手元へ。   シャンパンのグラスとコースをふたつ頼むと、店内を見回す。オフィス街にあるからか、平日だとビジネス利用が多い。外国人も見受けられ、顧客の年齢層は30~40代くらいに見える。   25歳当時の自分たちからすれば少し背伸びしたように思えるその店の端、僕らのテーブルに、ナイフとフォークが添えられた。 一品目を食べ終わったところで、サービスマンがフォークとナイフを新しいものに取り換える。ソースがべったりついたソレを一皿ごとに変えるのは、贅沢すぎる気もするけれど嬉しい。僕らは今夜、贅沢をしに来ているのだから。   そして、テーブルの上に新たなフォークとナイフ、グラスだけが置かれた状態になって、ふと気付く。僕の手元にあるナイフとフォークの位置が、先ほどと左右逆になっていることに。 これだけサービスやらレストランについて書いていながら恐縮なのだけれど、僕はフォークとナイフを左右逆に使う癖が、昔から治らなかった。まるで左利きのように、フォークは右手、ナイフは左手で食事をする。   この店のサービスマンは、それを1皿目で見抜いて、2皿目から即座に対応してきたようだった。   お客さんのことを、めちゃくちゃ細かく見ている。なのに、「これで正解でしょ?」という自己顕示欲は微塵も感じさせない。こちらの動きを先読みしているかのように、二皿目以降も絶妙なタイミングで、さりげなくも完璧なサービスを続けた。理想的すぎるおもてなしを受けて、僕はその店をえらく気に入ってしまったのだった。   店を出る直前、少し混雑も落ち着いてきたようだったので、エントランスで店長を呼びだしてもらう。すばらしいサービスだったこと、ビジュアルも楽しくて美味しい料理だったこと、店内の雰囲気がよかったこと、その場で感じたことをできるだけ伝えると、店長が名刺を差し出した。   「よかったら、いつでも遊びにきてください。連絡をくだされば、また彼にテーブルを任せます」   あれから5年。たったひとつの接客術によって、僕は特別な日を迎えるたびに、この店に足を運ぶようになった。相変わらず隙のない最高のサービスと、アイディアと企画性に満ちた楽しい時間を過ごすために。     ...

  「地球上になかった味」と評され、カレー通たちから支持される『火星カレー』。   池袋駅西口から徒歩3分ほどの場所にあり、かわいい看板が目印です。カウンターとテーブル席が4つのカレー屋さん。 火星カレーの特徴はなんといってもこのメニュー構成。さまざまなお肉がカレーの具になっています。鶏、豚、牛といった定番はもちろん、カンガルー、馬、鹿といった他では見たことないカレーがずらりと並びます。 ▲鴨カレー880円 + 豆トッピング100円 鴨カレーに豆トッピングです。 彩り鮮やかなお豆はチキンスープで煮ています。ごはんはかるく焼かれて焦げ目がついており、香ばしい匂い。ルーは水分の少ないタイプですが、ドライカレーともキーマカレーとも一味ちがいます。水をほぼ使わずに、野菜から出た水分で作っているそうです。ルー1皿あたりニンニクが1かけら半入っているそうですが、独自のスパイス配合が効いてぜんぜん臭くありません。たしかにいままで食べたことのない味。これはクセになりますね。 ▲カンガルーカレー1080円...

  学生時代、世界は変えられると思っていました。専門は国際政治で、紛争解決。ビッグな研究にビッグワード。さすがに平和を作れるとまでは思っていませんでしたが、平和が生まれる仕組みくらいは解明できるだろうと。   ビッグなテーマを扱うと、夢も大きくなる。学生起業を思いついたのは、そんな時のことでした。   結論から書きますが、私は2社起業して両方ポシャりました。2社目はそこそこ起動に乗せましたが、最初の失敗はひどかった。けれどひどい失敗ほど学びも大きいものです。ですから今回は大言壮語を振り回して盛大にズッコケた最初の起業についてお話させていただきます。   起業したのは帰国子女向けの教育事業でした。海外に長年滞在した高校生は、大学受験で帰国生向けの推薦入試を受けられます。推薦入試とはいえ事前に滞在国のセンター試験結果に近いスコアを提出する必要があるほか、大学によっては別途筆記試験も課されます。   ところが帰国子女の高校生には卒業して日本へ帰ってから、最初の入試まで準備期間が2カ月しかありません。それゆえ本来の能力を発揮できず第一志望に通らないことも多々ありました。それで「通信教育で帰国前から対策できる仕組みを作ればいいんじゃないか」と考えたわけです。 目的に合致した人しか起業仲間にしてはいけない ここで私は、起業家が「絶対にやってはいけない」ミスを犯しました。当時の彼氏と起業したのです。他に参加したのは彼氏の友達。そして私以外の創業メンバーは金に困っていました。考え得る限り最悪のチョイスです。   何があっても、起業はビジョンが合う人としかやってはいけません。目的に合意できないと、経営方針がブレるからです。私が通信教育で作りたかったのは「帰国生が実力を発揮できる世界」でした。当時の彼氏が求めていたのは「東大に通っている自分の学力で楽にこなせる仕事」でした。彼の友人が求めていたのは「すぐ手に入るキャッシュ」でした。   全員、目的がバラバラです。目的が違えば細かい施策で揉めます。揉めている間は商品の質が上がりませんから、盛大な時間ロスになりました。実例として、知名度を上げるために広告を打とうとしたことがあります。海外在住の日本人向け新聞へ出稿したのです。   そのときは残念ながら集客に繋がりませんでした。しかし「帰国生が実力を発揮できる世界」を目指す仲間なら、広告をどう直すべきだったのか、媒体は正しかったのかレビューしたでしょう。しかし「すぐ手に入るキャッシュ」を求めていた彼の友人はみんなで出し合った広告費が捨て銭になったと怒りました。   テストプランとして出稿したイギリスの新聞広告は、2017年現在もたった£12(約1,600円)。(http://www.news-digest.co.uk/news/classified/apply.html)けれど彼の友人はお金がなく、とにかく儲かると信じて起業に参加していました。だからわずか1,600円で大揉めしたのです。   目的が違う相手と起業してはいけないと書きましたが、特にお金に困っている人と組んではいけないと学びました。仕事柄、ベンチャー企業へ伺うことも多いのですが、成功事例を聞いていても最初の1年は赤字覚悟。正直、お金に余裕のない人間は家庭教師のバイトでもした方がよさそうです。   けれど起業の声かけをして集まる人の半分は「事業売却でがっぽり儲ける」「寝てても従業員が働いて儲かる仕組み」を夢見ています。こういうタイプをスタートアップ期に招き入れるのは最悪の選択肢です。 具体的な失敗と廃業までの流れ ここからは、あまり振り返りたくもない廃業までの流れをご覧いただきましょう。最初は口コミもありそこそこ生徒が集まりました。時給2,000円のバイト程度。これでやる気を出した我々3名は、さらなる集客を考え広告投資を決めます。   「帰国子女にヒアリングしたから」と自信満々に新聞広告を打ちましたが、前述の通り集客へ繋がらず、彼の友人が怒ります。「儲からないなら教材づくりは協力したくない」「じゃあ報酬は払えない」などしょうもない小競り合いをするにも時間を使います。   次第に全員が「何でこんなに時間を使って儲からないんだ」という思考になっていきました。揉めているだけで何も顧客へ価値を提供していないのに、働いたつもりになってしまったのです。   その後は「広告に出資した金返せ」なんて話になった挙句、彼の友人が音信不通に。添削指導にも人材が必要なので、人手不足から通信教育の質が下がり、ゆるやかに生徒が減り始めます。   仲間を探そうと起業の話を同級生にしてみましたが「一攫千金」タイプが集まるばかり。安定した年商が上がったら法人化しようと思っていたのが不幸中の幸いか、アッサリ廃業が決まりました。彼との関係はこの後しっちゃかめっちゃかになり、最後はmixiで相談を聞いてくれた女性に寝取られてTHE END。 起業は華やかで、経営は地味だから 「起業」という言葉は華やかです。ベンチャー企業のウェブサイトには、顧客の世界を変えるソリューションが溢れています。しかし経営と廃業はとても地味。ビッグマウスにふさわしいスモールワールド。けれどすべて自分の責任です。   調子に乗った自分が友情と恋愛関係を壊しました。金じゃどうにもならない人間関係を、金でトラブって壊してしまった。当時は人間不信っぽく相手を責めてみましたが、悪いのは全部自分です。バカ、本当にバカ。あの日の未熟な自分を殺してやりたい。   その後、目的が合う相手と再び企業を志すものの同じく広告戦略でコケて頓挫。モノの売り方を学ぶため、就活で外資系企業のマーケティング部門へ入りました。   今の私は、世界を変える起業はできないかもしれません。けれど自分の担当した商品が売れることが大きな喜びです。それは当時の私が死ぬほど成し遂げたくて、できなかったことでした。     執筆:トイアンナ ブログ:トイアンナのぐだぐだ     ...

  通勤時間、無駄だと思いませんか。 というか、あの時間って会社のための時間なのに、給料は発生していないんですよね。どういう事ですか!   すみません。突然熱くなってしまって。 しかし片道2時間の通勤中、ふと「何だこの時間は」と思ってしまったんです。しかも毎日のように電車遅延するし、すし詰め状態の満員電車だし、お腹の調子は悪いし。そしてふと、「毎日何やってるんだ!」と思ってしまったんです。   度々すみません。 しかしみなさん、在宅勤務とかリモートワークとか、通勤時間の存在しない働き方がしたいと思いませんか。毎日頑張って会社に出社している企業戦士のみなさんなら、一度はリモートワークという働き方を夢見たことがあるはずです。   わざわざ会社に行かなくても自宅やカフェ、海でも川でも山でも正直どこでも仕事はできる!リモートワークさせて欲しい!   とは言いつつも実際リモートワークって、しっかり仕事できるのかわからない・・・。リモートワークだと部下やチームメンバーの顔が見えないし、サボってる可能性もある・・・。対面じゃない分、相手とのコミュニケーションが上手くいかなくて仕事しずらいかも・・・。   なんか不安や疑問など懸念材料ばかり出てきますね。そんな中、Hamee株式会社の開発部約30名が一斉にリモートワークを実践したようです。2週間以上前に開催の旨を告知して、Wi-Fi環境や問題があった時に集まれる場所等、考えうる最低限の準備をした上で実施されたそうです。   その内、はじめてリモートワークを実践した方と既に週1リモートワーク中のエンジニア2名にお話を伺いました。       ▼リモートワーク初めて!マドンナエンジニア:甲斐氏の場合 ▼週1でリモートワーク。ハブられてるわけではないエンジニア:瀬尾氏の場合 ▼リモートワーク全面導入!ソニックガーデン代表取締役:倉貫義人氏の評価       集中力と作業効率は通常の2倍。甲斐愛佳氏の場合 ▲甲斐愛佳氏...

  労働者は強い。創業期人材のジレンマ。 従業員は会社に利益をもたらしてくれるとても重要な存在です。人間一人にこなせる業務の量が有限である以上、業務を拡大しようと思ったら従業員を雇うというのは有力な選択肢になってきます。会社経営というのは、つまるところ従業員に給料を払って、支払った額以上の利益を出すことですからね。従業員は利益の源泉そのものです。   その一方で、従業員のことを「労働力を販売しに来る取引先」として考えると、あまり良質な取引先とは言えません。極論をすればですが、「その日に欠勤されたら会社に大損害が出る」という日であっても、体調が悪いと従業員が主張すれば出社させることは不可能です。また、一応、法的には一定期間を経た後でないと退職できないというルールは無くもないですが、本人が「就労不可能である」と宣言すれば、会社に引きずり出すなんてことは一切出来ません。そして実体験ベースで言いますが、わりとバックレます。(これに関しては別に訴訟起こしてもいいんですけど、割に合わない)   創業期も半ばに差し掛かり、従業員が増え始めるとこれまで創業メンバーだけで回していた頃とは全く別種のトラブルが頻発するようになると思います。また、「人を使う」ということの難度の高さに直面せざるを得なくなります。実際ここで、「人的規模の拡大は志向しない」という方向に舵を切る経営者も少なくないです。まぁ、僕の事業はどうしても拡大するとなれば従業員を増やすしかない業種でしたので、前回のエントリに引き続いて、こちらも失敗の話になります。   労働者の権利は強いです。そして、恐ろしいことに労働者は支払いを待ってくれません。大抵の取引先は電話して事情を話してお願いすれば支払いを多少待ってくれたり(まぁ、今後は都度、現金払いでお願いしますみたいなことになることもあるけど)するものですが、従業員にはそういうことは一切通じません。遅配なんか出した日には、従業員との信頼関係は完全に終わりだと思っていいでしょう。あの状況まで追い込まれた時の従業員は最悪の債権者です。金融機関の取立てよりずっと恐ろしいですよ。また、給料を止めたまま従業員に仕事をさせるというのはね・・・。本当に何が起きるかわからない世界に突入します。   なにより恐ろしいのは、従業員に対しては「一定期間に一定量の労務を提供する、労務の提供が契約通り成されなければ違約金を支払う」というような、通常の商取引では当たり前の観念が一切通じないことです。労働者は(まぁ厳密に言えば1ヶ月程度のあれはあるけど)いつでも会社を辞められるのです。社員数人規模で事業を回している時にこれがどれほど恐ろしいことかは少し考えてみればわかると思います。   しかし、創業直後の会社に「辞めてもいい人間」なんてものを置いておく余裕があるかといえば、あるわけがありません。経営効率の面だけで言えば、全ての従業員が代わりの利かない存在であることが理想です。しかし、言うまでもなくそれは「どこが崩れても総崩れ」という状態に他なりません。更に、「自分が抜けるとこの会社は大変なことになるだろうな」ということに気づいた従業員は際限のない要求を始めます。   そういうことをしない人間を雇えばいいという話かもしれませんが、これはとても残念なことだと思うんですけど、毎日が乱戦状態で業務マニュアルなど存在すらしない創業初期に、「会社の弱みにつけこんで金を抜こうとする」程度の知恵の働かない人間では、なかなか戦力になりえないのです。状況を読み、雇用主と報酬の交渉をする。これはプレイヤーとしての優秀さの表れそのものですし、労働者としては当たり前の権利です。これが出来ない人間が優秀なわけがない。これが創業期人材のジレンマという概念です。(今考えました) 起業家と労働者の利害は一致しない そもそも、株を持っていない従業員にとって「未来の成功」なんてのは絵に描いたモチでしかないんです。今月払われる給与、それが従業員にとって世界の全てです。特に、創業したばかりの会社に株も貰えない状態で入社するような人間にとっては。創業したての零細企業なんて、3年後には存在してない可能性の方が高いわけですからね。未来の展望なんて、客観的に見たらクソほどの価値もないわけですよ。このクソほどの価値もないものをいかにキラッキラさせるかが経営者の腕とさえ言える。   創業期の会社における経営者と労働者の利害は、根本的に一致しないのです。もちろん、「従業員としての待遇を維持したまま株をよこせ!」と主張する人間も出てくるでしょう。(まぁ、経営者だって「株はやらないけど役員にならない?」って言いますしね、これはお互い様です)   従業員を雇って会社を回すということは、能力の低い使えない従業員と、能力はあるが当然要求も苛烈な従業員との終わりなき戦いです。要求されるがままに金を払っていたら倒産しますし、与えられる株の数は当然有限です。(まぁ総量を増やすことも出来なくないけど、他の株のホルダーがブチギレると思う)   かといって、有能な従業員に逃げられても大変なことになります。そして従業員に重要なポジションを任せられなければ利益はなかなか出ないですし、経営者が全く休めないということになります。その一方で重要なポジションを掌握されたら相手に交渉力が発生してしまう。「従業員が徒党を組んで全く同じ業種の別会社を立ち上げた」みたいな話だってよくあることです。取引先もノウハウも顧客も全部ゴッソリ持って他社に移られた、なんて話は最早聞き飽きたレベルですね。僕もやられました。   これはもう、模範解答の無い終わりなき戦いです。例えば、従業員Aに「辞められたくなければ俺の給与を上げろ」と脅かされたとします。仕方なくあなたは従業員Aの給与を上げました。そりゃもう従業員B、C、Dが出てきますよね。出資者(株主)も怒るかもしれませんね。他の役員たちも口々に不満を言うでしょう。そりゃね。人間、他人の給料には本当に敏感ですからね。まぁ、Aに口止めをするなどの措置はなくもないですけど、小さな規模の会社でバレずにそれをやれるかというとね…。   また、従業員は大抵の場合「自分の業務」を「自分だけがこの業務に精通している」という状態に持って行きたがります。業務ブラックボックス一丁あがりです。(これは労働者の振る舞いとしては大変正しい戦略なので、労働者の皆さんは積極的にやりましょう。僕もそうしています)「あなたの仕事を全部この人に伝授してください」という指示を出して、素直に仕事を教える従業員ですが、体感的には「存在しないんじゃね?」と思うレベルです。このようにして「新人潰し」や「課長も逆らえない現場のババア」などの概念が発生します。まぁ、でも、これもやっぱり労働者の処世術としては正しいというしかないですよね。 従業員が憎い 正直なところ、会社の規模を一定以上に拡大した後、信じられないほど従業員に対して冷酷になる経営者ですが、「気持ちはわかる」としか言いようがありません。僕だって従業員が怖くて出社拒否したい日が何度もありました。従業員を「仲間」とか「味方」とかそういう認識をするのは、余程運と人徳に恵まれた経営者以外は不可能だと思います。「タチの悪い取引先」くらいが穏当な表現で、「敵」と表現する経営者にも会ったことがあります。   彼は「自社の従業員の大半が大嫌いだし、もう少し会社のスケールを上げて収益を仕組み化したら古参の人間は全て排除する」とベロベロに酔っ払って語っていました。彼が転ばずに走りぬけたら、立派なブラック企業経営者になるんだと思います。そんな彼の会社の求人広告には「アットホームな職場」と書かれていました。確かにそういう家庭もありますね…。   何故か、わりと多くの人が「経営者は労働者より強い」と思っています。でも、創業期の会社に関してはこれは完全に嘘です。余裕で労働者の方が強いです。だって、経営者の切れるカードってせいぜい「減給」と「解雇」くらいしかないんですよ。創業したての零細企業をクビになるのが怖い人間なんてそんなにいないですよ。(たまにはいますが、そういう人間が優秀な人材である可能性は低いでしょう)   例えば、従業員10人のそこそこ儲かってる零細企業があるとしますが、ある日突然5人が辞表を出したら大惨事ですよ。普通に倒産まであります。実際、「従業員が全員辞めた」みたいな話は経営者界隈で結構聞きます。「従業員が逃げたけど、仕事止めたら違約金が・・・」って僕に電話かけてきた社長もいました。すいません社長、ちょっとブログとツイッターが忙しくてお力になれませんでした。まぁ、今の僕には動員できる人間もいないし事業もコケて顔も効かなくなったのでどの道お力にはなれなかったと思いますけど。   僕も現在は給料を頂戴する身の上ですが、改めて労働者は最高です。何せ、会社にどれだけ損害与えてもよっぽどコンプラ的なアレでなければ訴えられることもないし、最大のリスクが「クビになる」ですよ。こんなのノープレッシャーもいいところじゃないですか。ここ数年、毎月給料日は本当に憂鬱だったのですが、貰う側になると本当に楽しいものですね。最高です。そりゃ「労働者が憎い、従業員が憎い」って気持ちにもなるよなぁと改めて思いました。   そういうわけで、僕自身も創業期にある企業がどのように人材を確保しマネジメントすればいいのかについてはあまり明確な答えを持っていません。「創業者のカリスマ」とか「マインドコントロール」とか「やりがいを与え、夢を見せる」とか「零細企業でもクビになりたくないレベルの人材でなんとか利益を上げる方法を考える」とかそういう方向性なのかなぁと思います。   よく、自社の未来の展望を熱く語って社員をウォー!させてるイケてる新興企業の社長がいますが、あれ本当にすごい能力で、株も分けてもらってない社員に会社の未来の展望なんてさして関係ないし、そんなんどうでもいいから今月の給料上げろって話じゃないですか。普通に考えて。ハチャメチャに上手くいったところで、どうせ一番先に利益取るのは株主で次は経営者、従業員なんて最後におこぼれを貰う程度でしょう。そりゃ経営に食い込むレベルまで登りつめてた人は美味しいかもしれないけど。   事業拡大が上手くいったところで末端従業員の平均給料なんかそんなに上がらないです。事業拡大とともに利益率がアホほど上昇するならともかく、総売り上げから人件費に配分出来る割合なんて事業規模が拡大してもそんな変化しないんですから。事業規模がデカくなったらその分人件費も増えるわけで。しかも拡大期の採用なんてムチャクチャなんだからロスもでかくなる。まぁ、出世して給料を上げるチャンスは増えるかもしれないけど。   創業期の会社には、人間に夢を見せて非合理的な努力をさせるある種の能力が必要になるということなんですかね…。僕はどうしてもそういうのが得意ではないので、未だによくわかりません。でも、そういうことが出来る社長が勝ってますね、やっぱり。   で、起業を志す皆さんどんな感じでやっていこうと思いますか?従業員を雇って上手いことやるイメージはできましたか?「有能だけど安く働く忠誠心溢れる労働者が欲しい」って思いましたよね。でもね、それを100人単位で調達出来るならあっという間に億万長者なんですよ・・・。僕も次の事業のためにここは非常に考えているところなんですが、あまり倫理的でない手段しか思いつきません。コンプライアンスはとても大事です。社会に怒られます。やっていきましょう。    ...