【D2C】 入浴剤のサブスクで急成長!「DAY TWO」が挑んだ、ユーザー重視の商品開発

ECトレンド

近年、D2Cは国内のECを語る上で外すことのできないキーワードになっています。国内ECの市場規模は堅調に推移する中で、shopifyやecforceなどのD2Cをサポートするサービスも台頭し、スタートアップ企業や個人の参入障壁は下がっています。その一方で、プレイヤーが増えたことによる企業同士の競争は激化の一途をたどっています。

そこで今回は、パーソナライズされた入浴剤「DAY TWO」を主力商品として、2021年2月にD2C事業を立ち上げ、拡大を続けている株式会社FLATBOYSの内田様に、どのように売上を拡大してきたのか、EC運用に対する考え方などについてお話を伺いました。

<プロフィール>
内田遼(twitter
株式会社FLATBOYS 代表取締役CEO

― 内田様、今日はよろしくお願いします。 2021年2月にDAY TWO事業をスタートされて、既に4店舗を展開されていますね。自社サイト一本というD2C企業も多いですが、複数のモールに出店していくというのは最初からのプランだったのでしょうか。

いえ、そうではなく、やりながら検討していきました。出資してくれている投資家の中にAmazonのコンサルタントをされている方がいて、そういった方からのアドバイスも受けながら検討しています。例えば、Amazonは自社サイトのLPの改善を走らせていた時に、「この間になにか出来ることは無いだろうか」という話をする中で出店を決めました。

出店の順番は、最初にecforceで自社サイトを構築し、その後Amazon、楽天、Yahooショッピングです。今後も面は適宜拡大していきたいと考えています。

DAY TWO立ち上げ最大の難関は商品開発

― 2月の起業からまだ1年足らずで店舗を拡大し、注文件数も増えつつある状況だと思いますが、立ち上げ時に苦労されたことはありましたか?

内田: 全部苦労しました(笑)。でも、特に苦労したのは商品開発全般ですね。元々前職では女性向けブランドを持つ企業のプロモーションやマーケティング戦略立案の仕事をしていました。そのため、インフルエンサーマーケティングや広告運用など集客に関しては一通りの知見を持っていました。WEBに関しても知識があるので、ecforceを使ったサイト構築も、そこまで大変な思いはしませんでした。一方で、実際に販売する製品を企画して製作するのは未経験だったので、とにかく苦労しましたね。

― 具体的にはどのようなところが大変でしたか?

内田: まずは商品を製造してくれるOEM先を見つけるところですね。OEM先は2軸で検討しました。まずはインターネットで「OEM ○○」などで検索して出てきた所です。実際にトライアルに進んでみましたが、こちら側で要件をかなり詳細な所まで詰める必要があったり、やり取りの中で上手く伝わらないことがあったりしたため、断念しました。

もう1つは、既に市場に出ていて人気のあるブランドの製造元を探して、そこへアプローチするというやり方です。前者と比べて既に実績のある企業なので、話が通じやすく、色々相談しながら進められるので、こちらの企業で進めることにしました。

― まさにゼロから手探りで探し当てたということですね。OEM先が決まったあとはスムーズに商品製作が進んだのでしょうか。

内田: いえ、OEM先が決まってからも実際に商品が出来上がるまでには紆余曲折がありました。商品はただ作ればよいのではなく、実際にお客様に届けられるモノにしなくてはなりません。そのためには商品そのものの品質、各種法令など、多くの制約をクリアする必要があるんです。

また、モノは一度作ってしまうと直すのが難しいのと、それにも関わらず実際に作り進めてみないと気付きにくいことがあるところも大変でした。

― 具体的にはどのようなことが起こったのでしょうか。

内田: 元々DAY TWOでは瓶に入浴剤を入れるアイデアで進めていました。工場と試作品の作成を進めていたところ、入浴剤に含まれているエッセンシャルオイルが瓶の内部の素材と反応してしまい、開栓しにくくなってしまう可能性があることが分かりました。

100%開かなくなるのではなく、あくまで可能性なのですが、可能性があると分かっているのであれば当然販売することはできません。瓶パッケージは諦め、パウチなど別の形でリリースしました。このように、商品開発では事前には中々予見しにくい事に進路を阻まれることがあります。それをわずかな修正で解決することが難しい場合は根本から見直さなくてはなりません。

WEBサービスであればデザインを作れば裏側の実装は別ですけど世には出せますよね。それが製造物となるとそうはいかないんです。

商品開発に欠かせない「ユーザーの声」の集め方

― 商品開発にあたって大事にしていることはありますか?

内田: お客様の声をしっかり聞くことを大切にしています。実際に商品化までつなげることもありますね。その場合、ピンポイントでのご意見を反映させるというより、頂いたご意見全体を見渡して「なんとなくこの意見が多いな…」という所から検証して実行します。

具体的な例で言えば、2月に最初にリリースしたのは大容量版だったのですが、お客様から寄せられた「新しい香りを何種類も試したい」「不在時でも受け取れるようにしてほしい」という声を参考にして7月に分包版をリリースしました。分包版はネコポスで発送できるため、ポストに投函できます。実際に販売してみて、評判も良いですね。

― ユーザーからすれば自分の声が商品に反映されたら嬉しいですよね。商品化のスピード感もD2Cならではのように思えます。お客様からの声は具体的にどのような形で集めていますか?

内田: 直接ユーザーさんとお話しています。具体的にはオンラインでのユーザーインタビューを定期開催しています。あとは、サブスクリプションビジネスなので、定期購入してくださるお客様からは毎月「継続」「停止」という判断とそれに付随する形でフィードバックを頂くことがあります。それらで頂いたご意見を参考に、試行錯誤を重ねながら商品を改善しています。

バックオフィス業務の効率化はEC立ち上げ初期でも重要

― バックオフィス業務についてもお聞かせください。創業間もないタイミングから発送業務をアウトソース化したり、EC運営を一元管理するネクストエンジンを導入されるなど、積極的に業務効率化を進めているようにお見受けします。どのような考え方で判断されているのでしょうか。

内田: 「手作業は極力減らしたい」と常々考えています。受注処理は毎朝、私ともう1名のスタッフの2名体制でecforce、Amazon、楽天、Yahoo、LINEギフト、gifteeと全部の管理画面を開いて、作業をしなければなりません。例えば、データをcsvに落として、配送先と連携しているスプレッドシートに記載する、といった単純作業です。全部手動なので、受注件数がまだ少ない段階でも結構時間を食ってしまうんです。午前中がほぼこれらの業務で奪われてしまうのが嫌でした。

受注処理業務はユーザー様にとって非常に大事なのでミスが許されませんが、同時に事業拡大のためにやらなくてはいけないことが他に沢山あります。また、手作業ではヒューマンエラーのリスクが高まります。一度でも大きなミスが起きると、対応にコストがかかりますし、何よりお客様からの信頼低下に繋がってしまいます。そういった意味でも自動化が望ましいと判断しました。

― 「人力でもギリギリなんとかなるけど、売上アップのためには必要」というご判断ですね。今後DAY TWO事業はどのように拡大していきたいとお考えですか?

内田:大きく分けて2つあります。1つ目は冒頭でも触れた面の拡大です。卸なども含めて、オンライン・オフライン問わず広げていきたいですね。もう1つは商品バリエーションの拡大です。例えば入浴剤は夏が閑散期になるので、夏向けの商品も検討しています。

今後も様々なアプローチを仕掛けていくので、もっと多くの方々にDAY TWOの入浴剤を体験していただき、世の中にセルフケア習慣を広げていきたいですね。

編集後記

「妻を、生理痛の苦しみから解放してあげたい」という内田さんの想いからスタートしたDAY TWO事業。D2Cというビジネスではこのように、想いをユーザーに直接届けることができるのが魅力の一つです。製品開発には苦労も多いとのことですが、次々に新しいアイデアにチャレンジしていくDAY TWOに注目です。

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