うつ病になった時の対処法!「頑張る事と無理をし続ける事は違う」

ニアセ寄稿

こんにちは、ニアセクリエイターズの中根です。
 
近年「心の風邪」と言われるうつ病になる方が急増しています。今回は東京・吉祥寺にある精神科の医師と、そこに通院する患者様とのカウンセリングに密着して参りました。
 
精神疾患の種類はアスペルガー症候群、人格障害など多種ありますが今回は【うつ病】に焦点を当ててお伝え致します。

うつ病の症状は「いきなり」現れる

東京・吉祥寺の精神科に通院する大沼恵美子さん(仮名)
 
現在は39歳、フリーランスで仕事をしています。ある朝、突然カーテンも開けられなくなりました。当時は27歳。
 
有名企業に勤めていて年収は約800万でした。いつものように、朝起きて仕事に行こうと頭では思っているのに身体が全く動きませんでした。その日は天気が良くカーテンから日差しが入ってきているのが見えましたが、太陽光を見るのが怖く、天気とは真逆のような重く苦しい感情が襲ってきました。
 
ベッドから出ることも出来ませんでした。昨日までは全く何ともなかったのに。

うつ病になる人の特徴

東京・吉祥寺でクリニックを経営している精神科の荒井医師(仮名)は、うつ病になる方の特徴をこう述べます。
 
荒井医師:
 
真面目で責任感が強く、自分に厳しい人が多いのが特徴です。他人から見たら明らかに無理しすぎているのに、本人にはその自覚が全くありません。ですが、本人も気付かないうちにストレス等が溜まり続けて、ある日突然、糸が切れてしまった状態に陥ります。
 
例えるなら、コップの中に水が溜まり、溢れてきてしまったような状態です。ご本人なりに症状はあったはずです。例えば夜、なかなか寝付けない。不眠は、うつ病の始まりと言われています。
 
ですが本人は、それを「自分に対する甘え」や「根性が足りないから」などと、自分が弱いせいだと思い頑張り続けてしまうのです。

うつ病の症状

 
荒井医師:
 
個人差がありますが、このような症状があったら「うつ病」と診断します。

【身体的、行動的パターン】

  • 不眠
  • 拒食、異常な過食
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 明るい場所を嫌う(太陽光、白熱灯)
  • 人と会う事を嫌がる
  • 外出を苦痛に感じる
  • シャワーを浴びるのも嫌がる
  • 高熱があるかのように身体が怠い
  • とにかくベッドや布団に潜り込んで出たがらない

【心意的、発言パターン】

  • 自己否定ばかりの発言
  • 「死にたい」ではなく「消えたい」と言う
  • 何もする気になれない
  • そのような行動、心意の自分を責める
  • 会社や周りに迷惑をかけてしまう、という気遣いさえ思い浮かばない
  • 更に悪化すると、会社やまわりへの配慮すら思考から消えて引き籠るようになります。

    うつ病診断

     
    荒井医師:
     
    大沼さんのような症状は完全に「うつ」です。
     
    しかし最近、職場環境でうつ病のような症状になり休職する方が増えていますが休職中は、旅行などを楽しみリフレッシュしています。精神科の医師にもよりますが、私はそのような方々は「うつ病」とは診断しません。はっきり言えば「ワガママ病」です。
     
    本当に鬱病なら外出は困難になり、ましてや旅行など楽しむ心境には絶対になれませんし出来ません。
     
    大沼さん:
     
    当時は分かりませんでしたが、今考えると激務すぎたのかもしれません。朝6時半に家を出て帰りはほぼ終電、という日々でした。
     
    荒井医師:
    身体と心、心と身体は繋がっています。どちらかが弱れば、もう一方も弱っていきます。
     
    大沼さん:
    休職中「傷病手当」を受けました。雇用保険に助けられました。足りない分は貯金でまかないました。

    【※傷病手当金とは】
    健康保険加入者が対象。
    同一の傷病について、支給を開始した日から最長1年6ヵ月間、受け取る事ができる制度。
    1日当たりの金額:【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)の金額が支給される。
    専用の申請書に医師が所見を記載し、所属している会社が署名・印を行い健康保険組合に提出する事により支給される。

    詳細は下記のHP参照
    ≪国民健康保険協会≫
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r307#q1

    うつ病の再発

     
    大沼さん:
     
    1年ほど休職した後、精神安定剤を飲みながらではありましたが復職しました。ですが33歳の時、また同じような事が起きました。仕事は転職し、以前のような激務ではありませんでした。
     
    結婚をしたのですが、長年1人暮らしだったせいか他人との共同生活に馴染めませんでした。あと、共働きでしたが家事が完璧に出来ない自分が妻として失格だと自己嫌悪の日々でした。
     
    荒井医師:
     
    大沼さんのように完璧主義者はうつ病になりやすいのです。もう少し、気楽に生きる方法や価値観を身に付けなければ何度でも再発します。

    うつ病を予防する

     
    荒井医師:
     

    • 自分がどういう場面で頑張りすぎてしまうのか
    • 自己嫌悪に陥ってしまうのか


    それらを知ることがうつ病予防の1つです。
     
    例えば女性に依存するあまり、堕落した生活を送る男性がいます。当人同士がそれで幸せなら良いのですが、男性の中には「こんな自分は最低で大嫌いだ」と自己嫌悪からうつに陥る方もいます。
     
    そのような場合は、「自分自身が心身共に自立できるまで女性には近づかないように」このような指導・カウンセリングを行うこともあります。自己嫌悪に陥る環境には近づかないように、むしろ自分から遠ざけることによって「自己嫌悪」という感情を抱かずに済みます。
     
    また、辛い・苦しいと感じたら逃げることも大切です。それは「甘え」ではなく「自己防衛」です。あとは、あまり考えすぎない癖を身に付けることも予防になります。

    うつ病は遺伝?

     
    荒井医師:
     
    遺伝的なうつ病もあります。大学病院の遺伝子検査で調べる事ができますが、解り易いのは幼少期~思春期に精神的疾患を発症した事がある方は、ほぼ遺伝と判断できます。
     
    例えば自律神経失調症など、思春期に発症した事があるか。大沼さんは中学生の頃に発症しているので遺伝的なものが要因の1つと考えられます。しかし、遺伝子を保有していても発症しない方もいます。また、遺伝ではなく環境要因でうつ病を発症する方も大勢います。遺伝子保有者は再発率が高くなります。

    うつ病対策

     
    荒井医師:
     
    生きていくためにはお金が必要なので仕事は大切だし、仕事に対して生きがいを持つ事は立派です。しかし、頑張る事と無理をし続ける事は違います
    ちょっと無理しているな……と感じたら、立ち止まってみる事が大切です。あとは、自分自身の考え方の癖を知る事は本当に大切です。その癖が、自分を苦しめるのなら考え方・価値観を少しずつ変えていけばいいのです。
     
    性格」は生まれ持ったものです。変える事はできません。しかし「人格」はまわりの人々や環境次第で形成されていきます。自分にとって、悪影響しか与えない人間なら縁を切ることも「人格形成」には必要です。
     
    世の中で言われている「性格」とは「人格」です。ビジネスにとって人間性、つまり「人格」はまわりに大きな影響を与えます。信用を得るのも、嫌われるのも「人格次第」です。
     
    ですが自分の「人格」を否定せず、自己嫌悪に陥ることがあれば少しずつ「人格」を変えていきましょう。人間は簡単には変われないので焦らず、自分を責めず、そして他人の目を気にしないで自分のペースを大切にしてください。
     
    そして「うつ病」は心が弱い人が発症するものではなく、誰でも起こり得る病気であること。あなたも、いつ、どのようなきっかけで発症するか分からないのです。
     
    大沼さん:
     
    どんなにお金を積んでも、薬の禁断症状や副作用からは逃げられません。仕事より大切なものは、いくらでもある。そして自分が苦しいと感じる事から逃げることは悪い事ではないと思います。
     
    立ち向かうだけが人生ではない、そう思います。それに対して「甘え」とか「弱い」とか自己嫌悪に陥る日もあります。他人の目も気になります。ですが、誰も代わってはくれないのだから……

    編集後記

    年末になると毎年、荒井医師は奈良県・東大寺を訪れるそうです。「救えず亡くなっていった患者様に手を合わせるためです。」
     
    精神科の医師として救えなかった命。自殺した方に手を合わせているそうです。うつ病は、心だけではなく命も亡くす病だと痛感しました。荒井医師の仰る通り、本人は「限界」まで頑張ってしまうのでしょう。ですが、この機会に皆様もぜひ1度自分自身を見つめ直してみてください。
     
    頑張る事と無理をし続ける事は違います
     
    この荒井医師の言葉。そして大沼さんの「誰も代わってはくれない」
     
    とても胸に響きました。自分の身を守れるのは自分のみ。世間はただでさえ厳しいです。なのに、更に自分に厳しく生きなくてもいいのでは?時には肩の力を抜くことも、ビジネスパーソンにとって必要な能力の1つなのではないかと思いました。

     
     

     
     

    ニアセクリエイターズ所属のWebライター/コラムニスト
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