※本記事は自社商品を受注生産しているネットショップ担当者向けの内容になります。
ネットショップ担当者にとって、ひときわ厄介なもの・・・「在庫管理」。
在庫管理といっても、単純に在庫の数を数えるだけなのであれば、取扱商品の棚卸をすればいいだけなのですが、何か商品を作って販売している場合、その原材料も管理する必要性があります。
例えば、アパレル関係やアクセサリーなどは代表的なところではないでしょうか?そもそも在庫管理の意義とは何か?なぜ在庫管理がうまくいかないのか?どうすれば適正に在庫管理できるのか?など在庫管理について見ていきます。
在庫管理の方法とは?
在庫管理の意義とは何なのでしょうか?そこには2つ大きな意義があると考えます。
・お金の流れを明確にすること
・在庫切れのリスクを避けるため
単純に在庫管理といっても、既製品を販売しているだけなのであれば、その商品数を数えれば大方把握できるのですが、商品を作って販売している場合は、そういうわけにはいきません。
そこには材料費が発生しますし、ただ単純に売れた数だけではなく、それを作るにあたって発生した費用全体を見なければいけないので、一筋縄ではいかないのです。
複雑化するさまざまな在庫管理の方法
扱う商材が多ければ多いほど、在庫管理の方法は複雑化していきます。ですので、システムを導入しているネットショップが大半なのではないでしょうか?しかしながら、システムを導入してもなお「憂鬱」と感じられる在庫管理の実情とは一体どんなものなのでしょうか?
いくつか例をあげてみます。
1.とにかく把握する数が多い
2.在庫管理を複数人で行っており、しっかり情報共有できていない
3.不具合が出たとしても、出荷を優先している
4.実際のフローの中にシステムをうまく取り込めていない
5.サンプル品などの非売品の数をカウントしていない
ざっとあげるとこんなところではないでしょうか?一つずつ見ていきます。
1.とにかく把握する数が多い
簡単なようですが、これは根深い問題です。在庫管理において管理すべき細目が多いと、管理がかなり大変になってきます。ある程度をグループ化し、一つの項目として把握するようにしなければ、細かく把握しようとすればするほどに自分の首を絞めているような状態になりますね。特に原材料の把握などに多く見られる傾向ではないでしょうか?
2.在庫管理を複数人で行っており、しっかり情報共有できていない
在庫管理を、複数人で行っている場合、それぞれが共通意識を持っていなければ、いくら良いシステムを採用していてもほとんど意味をなしません。
在庫管理は責任者を定め、記帳するスタッフは限定した方が効率的だと私は思います。しかしながら、なかなかそれを専門に任せられるスタッフというのが、現場では確保しづらいというのが現状ではないでしょうか?
結局のところ、それをネットショップ担当者の仕事の一部とする流れになるのですが、現場の全てを把握していないと照合が取りづらい・・・というなんとも「憂鬱」な仕事であることは想像に難しくないと思います。
3.不具合が出たとしても、出荷を優先している
在庫を管理している者にとって、最も厄介なことというのがこれではないでしょうか?
在庫を管理しているはずなのに・・・なぜか欠品が出る。しかしながら、売りは立っているので、用意しないわけにはいかない・・・そうなってくると、状況はともかく、一番優先するのはお客様なので、なんとか間に合わせの材料で出荷にまでこぎつける。
しかしながら、「間に合わせ」であって、根本解決をしないままでまた新たな「番狂いの種」を投入しているので、在庫管理としてはとても「憂鬱」です。
4.実際のフローの中にシステムをうまく取り込めていない
システムを使用したところで、それを効率的に使用できる人間が限られていたのでは、リアルタイムでの在庫管理はなかなか難しいといえるでしょう。
しかしながら、商品を把握する際その入力作業までを実際作業をしているパートやアルバイトのスタッフ1人できるかというと疑問符がつきます。リアルタイムでの在庫管理と、帳簿上の在庫管理。結局この2元管理を融合させるのが、ネットショップ担当者の仕事になってくるといえます。
5.サンプル品などの非売品の数をカウントしていない
既製品であれば、サンプル品はサンプル品という項目で一元管理できるのですが、商品を作成して販売する場合、サンプル品であっても材料は使用しますし材料費も発生します。
しかし、売り上げは立たないもしくは正規の値段では販売しないので、そこで在庫に変動が出てきます。サンプル品を出荷する場合のほとんどが、原価割れしている場合が多いことが想定されることから、サンプル品をきちんと把握し、それを見越した在庫管理をする必要性があります。
適正な在庫管理の方法とは?
いろいろと在庫管理に対するも問題点をあげましたが、結局のところ適正な在庫管理とは一体どういうことを言うのでしょうか?
まず言えることは、ネットショップにおいて在庫チェック、在庫コントロールは必須です。しかしながら、商品を制作しながらの在庫管理はとても大変で、ある程度の期間を定めて棚卸をして計算するのが現実的です。
その棚卸の頻度と質を上げるように、社員教育していくのはもちろんのこと、日常の中で「とりあえず」をなるべく排除していく必要性があります。
とりあえず出荷する、とりあえず追加する、とりあえず立替える・・・
これをしている限り、在庫管理における負のループから抜け出すことはできないと考えます。ものづくりに思いや愛情は非常に大切です。手にしてくれる人に大切にしてもらいたいので、お客様を優先するのも決して間違ってはいません。
しかしながら、一つのショップを運営するにあたって絶対的に必要なものは、お金の流れを把握する力です。お金の流れを把握する=在庫管理という意識を、ネットショップに関わる全員に認識してもらう必要性があります。
在庫管理の方法をマニュアル化する
アルバイト・パートタイマーの方の入力は避け、別管理で毎日チェックし入力に関しては責任者が行いましょう。棚卸の回数を増やし、ネットショップ管理者だけでなく、なるだけ全員参加で「お金の流れ」を意識する機会を設けましょう。具体的に数値化した在庫数を、常に全員が把握できるように開示しておきましょう。
さいごに
人・モノ・カネ、すべてが絡む「在庫管理」は憂鬱な仕事かもしれません。いろいろな工夫を凝らし、ネットショップに関わるスタッフ一丸となって在庫の管理をしている意識を根付かせるのが、ネットショップ担当者の憂鬱の種を減らす方法ではないかと思います。