こんにちは、石嶋です。
ネットショップを運営していると、どうしてもページ構成やページデザイン、日々の売り上げなど目先の課題のことばかりが気になって、大元となる「マーケティング」についてしっかり立ち止まって考えることってなかなかできないものです。
今回は、実店舗との連動も踏まえたオムニチャネルやO2Oなどの成功事例に見る「すべらないマーケティング」について考えていきたいと思います。
ネットショップ担当者の憂鬱
ネットショップ担当者の日々の仕事について周りからよく言われること。
- 「いいよね〜、実店舗と違って、立ち仕事とかないし」
- 「営業に出向かなくても、勝手に注文が入ってくるんでしょ?」
- 「働く時間って決まってるんでしょ?残業知らず」
というような羨望とも皮肉とも取れるような見解を持たれているのではないでしょうか?
しかし、ここは経験者として声を大にして言います。ネットショップ担当者はそんな甘い仕事じゃないんです。なぜなら、仕事の大前提が、「日々課題を見つけ出し、その課題解決のために奔走すること」だからです。
ネットビジネスは日々進化している業界です。ネットショップ担当者とは、より時代のニーズに合わせた、「売れるネットショップ」作りについて日々頭を悩まし続ける仕事と言えます。
ネットショップ担当者が陥りやすい「売れるネットショップ」作りのためのプロセスとその解決策
日々課題と向き合っているネットショップ運営。そんな中で、良かれと思ってついつい陥りがちな「売れるネットショップ」作りのためのプロセスをご紹介します。
1.細かなデザインを気にする
ネットショップを他社と差別化しようとした時、やはり気になるのはデザインですよね。毎日同じサイトを見ていると、おおよそその他大勢の人が見てもなんとも思わないような小さな部分でも、妙に気になってきて細かな修正をしてしまいがちです。
<解決策>
ネットショップには実店舗と違って販売員がいません。ユーザーは欲しいものを欲しい時に買う傾向もあるので、そこに細かいデザインのクオリティーはあまり求められていません。もちろん、びっくりするくらいダサいデザインというのは考えものですが、まずはユーザー目線のサービス展開を考える方が賢明と言えます。
2.売れることに馴れ合いになる
売れることはとてもいいことなのですが、月の予算も超えたし・・・と馴れ合いになってくると、それ以上の伸びは見込めません。ある程度売れだすと、馴れ合いになってきて、新しいアイデアを考えるよりも、いかに売り上げのラインを切らないかという、若干セコい思考に陥りがちです。
<解決策>
時代のニーズにあった企画の施行してみてください。その企画がたとえ上手くすべったとしても、新しいことへのチャレンジ精神を持ち続けることが売り上げアップの鍵になります。すべらないように他社の成功事例を参考にするのも効果的です。
3.全てを自分だけで解決しようとしてしまう
責任者たるものどんな職業でも、陥りやすいのがこれです。課題を見つけ出したのは自分だし、自分だけで消化してしまおうとしてしまいがちです。しかし、それでは問題意識が全体に認知されず、どんどん負のループへ陥ってしまいます。
<解決策>
顧客動向の共有や商品売れ筋分析など、共有すべき情報は多方面で共有・分析しましょう。実店舗がある場合、顧客のニーズをダイレクトに反映させるためにも実店舗との連携は必要不可欠です。ネットショップ担当者のコミュニケーション能力の見せ所でもあります。
ユニクロ&しまむら ファストファッションの時代に合わせたマーケティング戦略
では、売れるネットショップになるためにはどのようなことが大切なのでしょうか?ジャパニーズファストファッションの2大勢力ユニクロとしまむらが行っているオムニチャネルやO2Oなどの施策を元に「すべらないマーケティング」について考えていきたいと思います。
スマホ普及によって消費者の動向は、年々変化しています。特に時代を色濃く反映するファストファッション業界では、その流れが顕著に伺えます。そこで注目されているのが、オンラインとオフラインの連携いわゆるオムニチャネルやO2Oです。オムニチャネルとO2O、大きな違いといえばオムニチャネルは既存顧客のさらなる囲い込み、O2Oは新規獲得のための施策というところですが、大きく区別して行っている企業は少ない印象があります。では、具体的にユニクロから見ていきましょう。
ユニクロ
ユニクロの特徴といえば、ファストファッションであってもブランディングに力を入れています。イチオシ自社製品ヒートテックやブラトップ、ウルトラライトダウンなども印象的ですね。テレビCMなども、まずは商品認知先行という形で展開されています。しかしユニクロの実店舗売り上げは下降気味。最近はその自社製品のブランディングが若干迷走気味と言われています。
そんなユニクロが行っているのが、オムニチャネル。実店舗での売上低迷に比べてネット販売は順調というのがその所以です。ユニクロは物流の拡充を図り、大型物流センターを竣工するなど本格的な動きを見せています。
ログインが必要なスマホアプリから実店舗で在庫切れ商品を購入できるようにするなど、いわゆる「One to Oneマーケティング」を目指しています。今後、店舗は「ショールーム」のような感覚で、もちろん実売はしますが、実際に目で見て触れて検討してネットで購入する・・・という流れを作っていく方針です。これはともあれブランディングありきの施策と言えそうですね。
ブランディング自体が迷走している現状で、一抹の根本的な問題があるような気は拭えませんが、オムニチャネル施策としては成果を得ているところは「すべらないマーケティング」と言えそうです。
しまむら
しまむらは、扱う商品は基本的に仕入れて売るスタイルの名もない商品で、これといった絶対的イチオシ商品はありません。しかしながら、しまむらの売り上げは純利益前年比45%増です。快進撃と言えるでしょう。
しまむらの強みは、ファミリー・主婦層をコアターゲットに絞り込み、ブレない商品戦略とマーケティングを行っているところです。そんなしまむらがとっている施策はO2Oです。しまむらも公式アプリを立ち上げています。しかし実際見てみるとよくわかるのですが、新聞の広告チラシのようなデザインです。
そしてユニクロと大きく違うのは、ネット通販機能を搭載していない点です。いわゆる「ショールーミング」を終着点としているユニクロとは真逆で、いかに店舗に足を運んでもらうか?というところに重きを置いています。
しまむらの最大の強みは品質と値段のバランスが常にブレないところです。コアターゲットをファミリー・主婦層に絞り、来店さえしてもらえれば芋づる式に売り上げを延ばせるという戦略に打って出ています。
そして、あっても良さそうなクーポンなどが搭載されていない代わりに、ユニークな機能を搭載しています。ユーザーのSNS拡散を誘発するような「しまパト」という機能です。実際に買ったものをSNSで紹介するとそれがしまむらアプリ内に掲載されるという、イマドキの主婦層の心をぐっと掴むような機能です。コアターゲットを絞り込みブレない商品戦略に加え、時代に合わせ寄り添う形の「すべらないマーケティング」と言えそうですね。
まとめ
同じファストファッションでありながらも、ユニクロとしまむらのマーケティングの終着点は全く違い、それぞれに実績を上げています。こうした成功例に習って、逆算の方式でマーケティングプランを立ててみるのも「すべらないマーケティング」をする一つの方法かもしれませんね。日々の身近な課題に追われるだけでなく、一度立ち止まってマーケティングを見つめ直す。「売れるネットショップ」作りの参考にしてみてはいかがでしょうか。
実店舗とネットショップに垣根を作らないオムニチャネル化