こんにちは。ニアセクリエイターズの中根です。
今回は感涙療法士:吉田英史(よしだ・ひでふみ)氏が推奨する『涙活』について取材をして参りました。2016年11月某日、感涙療法『涙活』セミナーが開催されていたので、セミナーに参加させて頂き、『涙活』の流れを拝見させて頂きました。
「ストレス対処法は泣くこと」その1:涙活とは
吉田氏:
涙活とは、一ヶ月に2,3分だけでも能動的に涙を流すことで心のデトックスを行う活動です。涙活セミナーでは主に3~8分程度の感涙動画を7~8本観て、泣いてもらうという流れです。数本の動画を見る目的は個々により泣けるツボが違うので、理屈抜きで泣くという体験をしていただきます。
現代社会では涙を流さない方々が増えていると感じました。近年、泣きたくても泣けない、涙が出てこない。このように、自分の感情にすら鈍感になっている方々が急増していると思います。そこで『自分の泣けるツボ』を把握する為に涙活では最初に多種多様な動画を観て貰っています。
動画は、家族や恋人・ペット・世間の人々の優しさ・温かさを感じさせるような多種多様なジャンルで、セミナー参加者はメモを取りながら映像を観ていただきます。
- どの動画に感銘を受けたか
- 動画のどの部分で涙が溢れたのか
これは自分なりの『涙感のツボ』を把握するために行うものです。
「ストレス対処法は泣くこと」その2:涙活セミナーでやること
吉田氏:
「類は友を呼ぶ」という諺の、類(るい)を涙(るい)と、もじって、『涙は友を呼ぶ』。同じ場所で泣きの体験を共有した人同士で、交流してもらいます。映像を見て、どういうところで泣けたのか、なぜ泣いたのか、あるいは泣けなかったのか等々、みなさんと意見交換していきます。
泣き言セラピーも涙友タイムも、泣いたあとにやるのですが、これにも深い意味があります。人は涙を流すことで素直になり、思いを吐露しやすくなります。
セミナー参加者女性の声:
涙を流すことにより日頃のストレスから、感情を我慢していた部分を吐き出せました。その結果、心のつかえがなくなると、心に余裕の隙間ができて他人を思いやれる余裕・寛容さができると思いました。
心に余裕ができれば、仕事への取り組み方にもより良い方法が思い付いたり、活力があがり仕事が効率的に進むようになれると感じています。また、泣き顔を見せ合うことでチームとしての結束力が高まりました。
「ストレス対処法は泣くこと」その3:どんな内容で「涙を流す」と良いのか
吉田氏:
1番効果的なのは『感動・感謝の涙』です。涙には、感情の涙と目を保護する涙の2種類があります。例えば玉ねぎで溢れる涙は催涙性物質である硫化アリルが涙腺を刺激するため多くの涙が出ますが、それは『涙活』の効果が発揮できません。
情動による涙は感情の起伏により『交感神経過緊張』になるため、脳の大脳辺縁系で発生する作用により涙が目から溢れ出します。ストレスが生じると副腎皮質ホルモンが分泌され、心身ともに悪影響を及ぼします。
しかし、涙を流すことによってストレス物質である副腎皮質ホルモンも一緒に流れ出ます。これが『涙活』です。また、悲しい時の涙より『感動』の涙の方が涙活には有効的です。
「ストレス対処法は泣くこと」その4:涙活の最適な時間帯
吉田氏:
基本的に時間帯は問いませんが、より効果的な時間帯は1日仕事を終えた夕方から夜にかけて行うと良いかと思います。ぐっすり寝られて、翌朝、仕事に向かう気持ちが上がります。
また曜日は週末(休日)が良いでしょう。仕事で溜まったストレスを洗い流し、翌週の仕事に向けて気力を充実させられるようにしましょう。
「ストレス対処法は泣くこと」その5:涙活がビジネスパーソンを救う?
吉田氏:
ビジネスのグローバル化により、長時間労働や休日出勤が増えており、肉体的なストレスや疲れが溜まりやすい状況にあります。中には、無理な依頼を受けたり、ミスが許されない業務であったりすることもあり、精神的なストレスを強く受けやすく、また、愚痴を含めた日常的な雑談がしづらくストレスが溜まりやすい状況も生まれています。
過労死や自殺が社会問題になり、うつ病などの精神的疾患を未然に防ごうと従業員50人以上の全事業所でストレスチェックを実施することを義務化する改正労働安全衛生法が2015年12月に施行されました。
しかしチェックはするものの、ストレス解消に対しての対策に追われて具体的な対策を取れていない企業が多いのが現状です。だからこそ大袈裟な準備等を必要とせず、気軽に行える涙活を取り入れて頂きたいと願っております。涙活でデトックスを行い、肩の力を抜きリラックスする事で仕事効率化結びつけましょう。
緊張感が常にあり精神的に疲労がたまっている方も多いことでしょう。常時張り詰めた緊張感の中にいるような方で、なかなか泣けない人でも大勢の人と共に涙を流す場を体験すれば自然と精神が弛緩し涙が溢れてくるはずです。
身近にそういう機会がなければ家で1人、涙活をしてみて下さい。方法としては『自身が泣けるツボ』の動画や本などをストックして、時間があるときに観るよいと思います。
「ストレス対処法は泣くこと」その6:泣くほどストレスに強くなれる
吉田氏:
「涙」を流す引き金はストレスです。映画やドラマ、小説など他人が経験したストレスで泣く“感動泣き”をしたほうが スッキリと解消することができると思います。しかも他人の苦しい経験やつらい経験を追体験することで、自分のストレスに対する耐性もアップ。泣くほどストレスに強くなれるのです。
私は、この涙活イベント、つまり泣く場所を社会に作っていく事が求められていることではないのかと考えるようになりました。この活動をやっていて、現代人は、泣く場所を探しているとさえ、思うようになりました。
「泣いたっていいんだよ」
「弱音(泣き言)を吐いたっていいんだよ。」
そう言ってあげられる社会になればと考えています。
なぜ、人は涙を流すのか。
それは、きっと、神様が、私たち人間が前を向いて生きていけるようにするために、つけてくれた機能なのかもしれません。
涙活は、「明日笑うために今日泣こう!」というのも1つのテーマになっています。辛い事・苦しい事があって、泣いて落ち込んでいるだけでは勿体ない!人は泣いた分だけ強くなれる・輝ける、それを多くの人に伝えていきたいです。
【取材協力&記事監修:感涙療法士、吉田英史】
プロフィール:鎌倉市出身。早稲田大学大学院教育学研究科修了。老人ホーム、学校勤務を経て現職に。 感涙療法士として学校(生徒/先生/PTA等の保護者)、病院(患者/医師や看護師等の職員)だけではなく企業や自治体の職員・地域コミュニティの活性化の一環で公民館や図書館等で地域に住む方々に向けて涙活イベントや講演会を実施。元高校教師・スクールカウンセラー。通称『なみだ先生』
≪なみだ先生ホームページ≫
http://www.tearsteacher.com