お笑いジャーナリスト「たかまつなな」の挑戦。 お笑いを通して社会問題を発信したい?

ニューアキンド

 
フェリス女学院出身のお嬢様芸人で「お笑い界の池上彰」を目指すたかまつなな氏。
 
正真正銘の箱入り娘で、お嬢様。なんといっても家系に驚く。ご先祖が新宿を開拓した高松嘉六氏、曾祖父は東京ガス社長で日本工業化学界の元老・高松豊吉氏。
 
まさにお嬢様。
 
お嬢様芸人「たかまつなな」氏は芸能活動をする一方、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科と東京大学大学院情報学環教育部に通い、学業にも励んでいる。さらに、18歳選挙権導入をきっかけに、株式会社笑下村塾を設立。代表取締役として会社を経営し、講演会やシンポジウム、ワークショップ、イベントなどを手掛けており、社長「たかまつなな」という顔も持ち合わせている。
 
「芸人」「学生」「社長」「ジャーナリスト」
 
何不自由無い生活を送っているのだろうと思いきや、クラウンドファンディングで学費を集めていた。彼女は一体何者なのか、「お笑い界の池上彰」とは何なのか、「お笑いを通して社会問題を発信したい?」、いろんな疑問を伺うべく、本人に直接会って話を伺った。

「たかまつなな」についての素朴な疑問


 
– 学生?芸人?社長?ジャーナリスト?メインは何をやられているのでしょうか?
 
たかまつなな氏:そうですね。全部メインといえばメインです。あまりガッツリ自分がココだ、とか、ここにいたいんだって、思わないようにしています。両立といえば両立をしています。
 
平日は毎日、大学に通っています。東大の方は夜の授業が多いです。TVの収録や講演会、出張授業、お笑いライブなどの仕事が入ったりしますが、ギリギリまで授業を受けてTVの入り時間をちょっとだけ遅らせてもらったりしてうまくやっています。
 
– なぜ2つ、東大と慶応両方行かれているのですか?
 
たかまつなな氏:慶応でいくつか勉強したいことがあって、メディアと教職など。教職を取りながら、メディアのことを勉強をするということが慶応は結構厳しくて。私が通っている藤沢キャンパスだと、メディアというと報道ではなく、プログラミングやインターネットが多いんです。
 
どうしたら勉強できるかなって考えていて、三田の方にメディアコミュニケーション研究所に話を聞きにいったのですが、教職課程と並行するのは難しいと言われました。どうしようか考えていたのですが、大学3年生の時に、教職の単位をほとんど取り終わっていました。あと1年、何か勉強ができると思い、学部4年生の時から慶応と東大のダブルスクールを始めました
 
– 結構いろんなところから取材を受けますか?
 
たかまつなな氏:そうですね。授業の合間に慶応まで来てもらって取材を受けたりしています。全校の学校に出向き、「笑える!使える!政治教育ショー」という出張授業を行っていることもあり、選挙の期間は特に多かったですね。記憶にないぐらい取材ばかり受けてました。学校に行くと、学校が勝手に呼んでいることもありました(笑)。5社ぐらい来たことも。選挙期間は、2カ月で50件弱取材を受けていたと思います。
 
– どのように認知されていったのでしょうか?
 
たかまつなな氏:芸人としての知名度が上がったのはお笑いの大会が一番大きかったですね。日本テレビ「ワラチャン!」という大会で優勝させていただいて、そこからいろんなバラエティ番組に出演させていただく機会が増えていきました。今、全国いろんな学校に出張授業として、政治の授業を届けているのですが、この活動は、芸人としての知名度があっても、誰も知らないですよね。だから、ライブをやってそこに新聞社の方などをどんどん呼んで、知ってもらう活動を地道に行っていきました。
 
そしたら、ある新聞社さんがすごい大きな記事で取り上げてくださって、Webでも取り上げてくださったので、多少なりとも認知度アップにつながったのかなと思っています。18歳選挙権で皆さんネタを探されていたので、ニュース番組の出演や新聞取材が増えていきましたね。
 
現在はAbemaTVの「みのもんた」さんの番組は準レギュラーになります。TBSさんの「好きか嫌いか言う時間」も出演させていただいています。

「たかまつなな」がお笑いジャーナリストになろうと決めた原体験


 

野口健さんの自然教室

 
芸人さんになったキッカケ、政治に興味を持ったキッカケを教えてください
 
たかまつなな氏:もともと、社会問題に興味を持ったのが小学校4年生の時です。富士山と触れ合う中で、自然についてたくさん学びましょうという、アルピニストの野口健さんが開催されていた自然教室に参加しました。4泊5日で野口健さんと一緒に富士山を登るという内容で、実際に登ると、とても綺麗で感動したんです。
 
その時に、すごいコケが生い茂っていたのですが、見たことがないような風景で、やっぱり富士山は綺麗なんだって感銘を受けたんです。次の日に健さんが「じゃあゴミ拾いに行こう」と言って、「この人何言ってるんだろう」と最初思ったんです。「こんな綺麗な富士山でゴミ拾い?冗談でも言ってるのかな」と思ったんです。
 
実際に富士山の麓にある青木ヶ原樹海にゴミを拾いに行き、班ごとに分かれてゴミ拾いをしていると、バスが捨てられていたんです。ナンバープレートが外されたバスです。捨てられてるんですよ。バスを見つけて、子供だから嬉しく「バス見つけたよー」って。隣の班の子に自慢しに行ったら、隣の班の子が「俺、トラック見つけた」って言われて、『負けた…』みたいな。
 
その当時、富士山のゴミ問題はピークの時で、タイヤとか注射器とか医療器具とかバーッと捨てられてて。おそらく大元の業者さんはちゃんと廃棄物代を払っていると思うのですが、廃棄する業者はお金を浮かせるために不法投棄をしていたと思います。
 
健さんが「大人は見て見ぬ振りをするから、君たち、子供が伝えて欲しい」と仰って、『伝えなきゃ』ってすごく思うようになって、そこでずっと伝える方法を模索していたんですね。
 
自然教室から帰ってきて、学校の先生から「そんな貴重な体験をしたんだから、皆の前でスピーチしてみたら?」と言われて、夏休み明けの始業式の日に全校生徒の前で、スピーチしたのですが、私はすごい人見知りで喋るのが当時は苦手で。もうマイクに声が届かなくて、ボソボソみたいな。「あいつ何言ってんだ」みたいな、ザワザワした感じになって、『これじゃあダメだな』と思ったのです。
 
でもみんなに富士山の不法投棄について伝えたいと思い、富士山でゴミを見つけました、ということを模造紙に書いて廊下に貼っていきました。富士山について模造紙を使って伝えていた時に、これで本当に不法投棄はなくなるのか、ホントに訴えられてるのかなって思ったんです。そんな時に、読売新聞のこども記者募集というものを見つけたんですね。「これだったら新聞で全国の人に伝わる」と思って、読売新聞文化部の「ヨミウリ・ジュニア・プレス」というところに行ったんです。
 
最初はなかなか自分の企画が通らなかったですね。それでも止めずに何回も富士山の不法投棄のことを書いていた時に、反応があったんです。でも実際に反応があったのが、友達のお母様ばかりだったんです。同世代の子は新聞を読んでなくて「ななちゃんてすごいですね」みたいな。
 
「同世代の人に伝えたかったのに伝わってないな」と思って、『伝える方法ってなんだろう』とずっといろいろ考えていた時に「憲法九条を世界遺産に」という哲学者の中沢新一さんの名前を見て手に取ったんです。それが対談本で、もうひと方がめちゃくちゃ憲法について面白い考え方を提示されていて、こんな政策を思いつく人って、どこの先生なんだろうと思って、巻末を見たら「爆笑問題」というお笑いコンビで「太田光」と書いてあったんです。
 
それで、「こういう伝え方があるんだ」と感銘を受けて、私もお笑い芸人になって、お笑いを通して政治や社会問題についてを伝えたら、今まで興味がなかった人にも興味を持っていただけるんじゃないかなと思ったんです。お笑いとは全く無縁だったのですが、太田光さんを知ってお笑い芸人になりたいって思うようになったのが、そもそものきっかけですね。
 
野口健さんの自然教室に行ったのが小学4年生で、「憲法九条を世界遺産に」を読んだのは中学2年生の時です。そこからはずっと「伝える方法なんだろう」というのを模索していましたね。

「たかまつなな」はお笑い界の池上彰を目指す


 
政治とお笑いは、同時に興味を持たれたのですか?
 
たかまつなな氏:政治の方が先です。不法投棄の問題から、社会をよくしていきたいと思い、政治にも興味を持ちました。やっぱり社会問題を突き詰めていくと、政治の壁にぶつかるんです。法整備が整ってないとか。
 
そこで政治家になろうと思いましたか?
 
たかまつなな氏:全然。まだ被選挙権もないですけど、持っても政治家になるつもりはないです。将来的にもなるつもりは全くありません。政治家になると自分の立場もあるので自由に発言できなくなると思うんですよね。
 
政治のことをちゃんと説明する人が外部に必要だと思うんですよね。どちらかと言うと、政治も分かっていて、それをエンターテインメントにできる人が不足してると思うんですよね。政治家だって不足してるかもしれないですけども。
 
政治に興味を持ちながらお笑いを目指すと決めたタイミングというのはいつぐらいですか?
 
たかまつなな氏:中学2年生の時に、なりたいなって思いました。でもその後はやっぱりすごい迷いはあって、なりたいと思っても諦めかかったり、向いていないんじゃないかなって思うことがずっと続いてましたね。爆笑問題さんの事が好きだったので、コンビ志望でずっとやっていたのですが結成して解散を13回は繰り返しています。
 
どのタイミングで、「お笑い界の池上彰」を目指そうと思ったのですか?
 
たかまつなな氏:最初から思っていました。芸人として微妙だったからそっちに行ったんだろうってすごい言われるんですけど、出張授業をする前からお笑いを通して政治などをわかりやすく伝えたいと思っていました。
 
高学歴というものを武器に芸能界にいようって人はいっぱいいると思うんですけども、社会問題や政治をわかりやすく伝えたいという方は少なくともお笑い界にはいないですよね。私はタレントであり、活動家みたいなことをやりたいと考えています

「たかまつなな」がクラウドファンディングで学費を集めた理由


お笑い界の池上彰」になりたいと志し、お嬢様芸人としてデビューした「たかまつなな」氏。お笑い芸人でありながら、学生。お笑いの優勝賞金で大学院に進学したものの、貯金が底を尽き、学費を払えなくなってしまった。「たかまつなな」氏は大学院の学びを活かし、政治をもっと身近に、若者と政治をつなぐ架け橋になるために、クラウドファンディングで大学院の学費支援を募ることを決断し、実行した。
 
たかまつなな氏:もともと、親しい人には私の学費について話はしていたのですが、ファンの方がブログのコメントに「クラウドファンディングでやったみたら?」と助言してくれたんです。でも、さすがに知らない人からお金を募るのはなぁ、という抵抗感がありました。
 
単独ライブの直前に、貯金が3万円になって、これは本当にヤバいってことになりました。先輩の芸人さんなど貸してあげるよという方もいらっしゃったのですが、私としては、同じようなことで悩んでる人に、クラウドファンディングもひとつの手段だと思ってほしいと思い実施させていただきました。もちろん自分が困ってるから自分に支援してくださいというのが一番にありますけど、お金がなくて進路を諦めていく人をたくさん見てきたので、その人たちの助けにもなればと思い行動しました
 
今回あらためて、支援をいただくために、社会をよくするために、若者と政治をつなぐ架け橋になるために、自分の思いをちゃんと言葉にするように努力をしました。結果として、たくさんの方が支援してくださって大変ありがたく思っております。この場を借りて、御礼申し上げます。大切に勉強させていただきます。
 
 

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たかまつなな(著):政治の絵本

お笑いを通して政治や社会問題を伝えたいと会社を設立し、全国の学校に出張授業を行っているたかまつなな氏。出張授業で行っているコンテンツ「笑える! 使える! 政治教育ショー」を完全書籍化し、「政治の絵本―現役東大生のお笑い芸人が偏差値44の高校の投票率を84%にした授業」という書籍を発売。
 
少女漫画風のイラストも入っているので、子供から大人まで楽しみながら、負担なく読める一冊。政治の難しそうなことも、とてもわかりやすく、読みやすくなっている書籍なので、政治の入門書として最適です。

 

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商売繁盛を応援するWebメディア・ニューアキンドセンターのセンター長。 もっとエッジを効かせたい、もっとトンガリたい。どうぞよろしくお願いします。

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