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ホーム > アキンド探訪  > 『小田原魚國(うおくに)』 絶頂期から売上は半減。それでも105年事業継続できる秘訣とは

お魚屋さんやスーパーの鮮魚コーナーでキラリと光るあの魚体・・・ああ・・・タタキにしたい・・・。
 
今回はネットショップから少し離れて、創業明治44年の小田原で100年以上続く鮮魚商魚國(うおくに)の社長にお話を聞いてきました。魚國3代目である古川孝昭さんに、鮮魚を生かしたお食事処など多店舗展開してきた、その歩みと観光地小田原の現状、「顧客に好かれる」従業員教育の秘訣などをお話しいただきました。

小田原 魚國

 

鮮魚から飲食業まで

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-まず、古川社長のこれまで歩んできた道教えてください
 
古川氏:祖父が明治44(1911)年に魚屋を創業したので、3代目ということになります。そして先代、私の親父が40年以上前に、魚屋の2階で飲食店「味の店 魚國」を始めたんです。その後、私が1975年頃に入社しました。
 
-それからいろいろなお店をオープンされていますね。現在は何店舗の飲食店を経営されているのでしょうか。
 
古川氏:ラスカ小田原に「海鮮茶屋魚國」、地下街のハルネ小田原に「海鮮横丁うおくに」、東京の神田・淡路町に「小田原魚國」です。
今まで他にもいくつか出店していましたが今はその3つですね。遠地だとやっぱり色々大変だったこともあって。いくつか閉めたのは、その店の経営が厳しかったからです。
 
-鮮魚店は順調でしたか。
 
古川氏:当時はね。でも、郊外にスーパーやショッピングセンターができてから、小田原駅周辺はよくなくなった。大きいスーパーが二つもなくなっちゃったでしょう。大手が撤退しちゃうってことは、それだけ厳しい。この両方が撤退してから、商店街の客数は確実に減ってますね。今年5月の小田原城のリニューアルで戻ってきてるけど、観光客だけです。
 
-観光客は確かに増えてきている感じがしますね。でもそれだけではよくならないんでしょうか。
 
古川氏:お土産もたくさん買う時代じゃないんです。めったに旅行しない頃は、「自分はここに行ってきた」とアピールするために、まわりに買ってきた。でも今は自分で食べたい、ほしいもの以外は買わないでしょう。60代、70代の人たちは、「これ10個」と買うんだけど、今の人は1個か2個しか買わない(笑)。私なんかはまだ「あの家を足して、5個」、「とりあえず10個」と買っちゃうけど、今の人たちはそういう買い方をしない。
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-言われてみればそうですね。家族と職場の人向けくらいにしか買っていかないですね。
 
古川氏:だから観光客が増えても、売り上げが上がらない。そういう時代になったんで、飲食で来る人たちはいるけど、なかなか厳しいです。人を商店街に呼び込む施策はいろいろやってみたけど、すぐに効果は出ませんでした。人が来ないことには販売チャンスが生まれません。そういう意味では商店街もチャンスをいかに作るかが一つの役目でしょうね。
 
-全国各地、商店街はうまくいっているところも、シャッター街になってるところもあってその差は顕著になっているように見えますね。
 
古川氏:小田原は人口のわりには、観光客が多いから、通行量は多いです。それに、地方で中心的な役割を果たしていたので人が多かったんですが、今は郊外にスーパー、ショッピングセンターができて、中心の商店街に人が集まらなくなったんです。毎日お客さんがひっきりなしに来る、と言った時代もありましたけど、昭和の時代からみたら魚などの売り上げは半分とか3分の1になってます。

小田原魚國 ネットショップの活用

 
-ネットショップも始められていますが、時代の流れ、背景もあってチャレンジされているということでしょうか。
 
古川氏:もちろんそれはあります。客を待ってるだけでは厳しい。まだこれから、という感じではありますけどね。その点で言うと店舗のほうがリピーターのお客さんが来て買ってくれます。

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魚國のネットショップではその日の朝に獲れた鮮魚や干物などが販売されているほか、料理長の魚を使ったレシピの公開など、飲食店ならではのコンテンツもある。

 
-御社のネットで買われる方って、30代、40代ですか。
 
古川氏:40代、50代の方々もネットで買うようになってます。余裕があって買えるのは、その世代でしょう。アジの干物を買いたい若い人は少ないんじゃないですか。
 
うちのネット以外にも、ネット経由でお中元とかお歳暮で魚や干物が売れたりするんですけど、年齢層は高いですよね。若い人たちにどうやってアピールするのかが重要です。
 
-伊豆の干物会社がオンラインショップを立ち上げたけどうまく売れず、ほとんどDMの売上げに偏っているという話を聞きましたが。
 
古川氏:うちもDMを年末にやるんですけど、年齢層が高いんで、だんだんお亡くなりになっちゃう(笑)。
 
-これからは、ネット販売にも力を入れていくのでしょうか。魚のさばき方の動画をアップされていましたが、5万回再生されていますね。
 
古川氏:そうですね。弊社の料理長が定期的に旬の魚を使った料理を紹介して、その調理方法を載せているんです。レシピも動画のほうがいいのかな。でも、撮影してアップするのって大変で(笑)今はネットの売り上げがそこまでないので、ネットの担当者がまだいないんですよね。ゆくゆくはもう少し動画をアップしたり、ネットのコンテンツを太くしたいですね。

小田原魚國が105年続く理由

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-明治44年創業の鮮魚店というのは、やはりすごいです。ビジネスを長く継続していくために心がけていることを教えてください
 
古川氏:そうですね。でも昔よりも郊外で買われる方のほうが多い。交通の便とか買い物の仕方が変わった。ただ、小田原に来たら必ず寄るっていう人は結構います。でも、そういう方が小田原市内に来る機会が減ってます。いいものを安く売ることはやってきてますけどね。前は魚を客が丸ごと買ったけど、今は何でも切ってすぐ食べられるようにして売るというもことも多いですね。昔は魚を皿盛りで5匹とか買ったんです。アジが安かったら開いてフライにしておくとか、いろいろできるんだけど。
 
-なるほど。
 
古川氏:でも私も、もっと時代に追いつかないとっていう気がします。常に新しいものにチャレンジして、いろんなことをやってきた。でも全部がうまくはいかないんで、店も作って閉めてを何回も繰り返しています。ともかく、魚屋だけは頑張ってやるしかないと思ってます。ただ、やっていく価値があるのかも、見極めなくちゃいけない時代だという気がします。
魚屋の組合長もやってるんですが、うちの組合は170軒ぐらいあったのが、今、70軒ないですから。
 
-100軒も減ってるんですね。
 
古川氏:100軒以上ですね。ここ15年、20年ぐらいで、そのぐらい魚屋さんがなくなってます。スーパーの影響もあるけど、スーパーが50軒100軒も増えたわけじゃない。
 
魚屋に行って話をして買うとかをしなくなって、買い物の仕方も変わったという気がします。ただ、若い人でも魚料理を作ったり、レシピを見る、好きな人たちも増えてきてますね。でも、そういう人たちって量を買わない(笑)だからもっと色々な方法を考えていく必要があります。
 

スピードとお米と

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小田原駅内にある海鮮茶屋魚國。駅から出ずに!小田原の獲れたての海の幸を存分に楽しめる。

 
-飲食店の魚國さんは駅の中にあって、いつ見ても人が入っています。ずっと流行ってる事業の運営で気をつけてる点ってありますか。
 
古川氏:基本的にクイックサービスだと思ってるんです。いかに早く出せるかが大事。味、サービス、魚が安くておいしいのはもちろんですが。駅だから観光客の方は時間が何分しかないっていうのもある。お昼はいかにお客さんに早くおいしいものを食べてもらうか。次の場所に行かなくちゃいけないですから。
 
-それは地下街のハルネ小田原のお店もそうですか。
 
古川氏:ハルネの地下のお店はちょっとこだわりがあるんですね。地元のお客さんに食べてもらいたい場所です。また、ラスカ小田原のお店は、ご飯もおかわり自由なんですよ。それでお米もおいしい、いい米を使う。「ご飯だけでも食べたいね」というレベルのものは出さなくちゃいけないと考えています。
 
-お米を重要視されているんですね。それはなぜなのでしょうか。
 
古川氏:ご飯がおいしいのは大事。普通は魚のほうにだけど、そうじゃない。ご飯がおいしくないとダメなんです。魚屋やってんだから、魚がおいしいのは当たり前。「このご飯うまい」といって、魚を食べるとさらにおいしいわけでしょう。ご飯がおいしいっていうのはすごく重要なポイントです。「おいしいお米を」とお米屋さんにいってる。おいしい米だと、ご飯の出も多く、残さない。お米がおいしくないと、料理がおいしくても、最後に満足感がない
 
-確かにそうですね。
 
古川氏:米がまずいと、「メシまずい」ってなっちゃう。お米は値段高いったって、原価率はそんなに変わらない。茶わん一杯だから。
 
-だったら、おいしいお米がいいですね。
 
古川氏:そう。料理屋はご飯だけでもう一杯っていうお米を使わないと。
これは親父が料理屋を始めたときから、うまい米ってうるさかったのもあって、「あぁ確かにそうだ」ということで気を付けています。米がおいしいと、おにぎりも、お茶漬けもうまいって思ってもらえます。

小田原魚國のスタッフを生かす秘訣

-社長として、いろいろなスタッフを抱えて経営していくうえで、気をつけていることがあったら教えていただきたいと思います。

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鮮魚店魚國の店内。小田原漁港で水揚げされた魚を、古川社長が自ら買い付ける。

 
古川氏:スタッフはそれぞれみんな違うんで、その人の特徴を性格や考え方も含めてつかむことがすごく大事です。会社としては、いかにお客さんにそれぞれの従業員をかわいがってもらえるかですね。だからみんなに「自分のお客を作りなさい」とよくいいます。お客さんて人につく部分が多いですからね。だから、スタッフが辞めちゃうと大変。
 
-大事なのは人柄ですね。弊社のシステムのサポートスタッフがいるんですけど、やはり指名が来ます。ネットショップの満足度も、カスタマーセンターの対応でかなり高くなるということがあります。
 
古川氏:でもなかなかそれってマニュアル化できないじゃない。それぞれ自分の得意分野を生かすといい。だから「自分のお客を作ることはどういうことか」を考えるといいかもしれない。
 
売ればいい、作ればいいじゃなくて、情がないと。「お客さんのためにできるかどうか」っていう思考回路を作っていかないといけない。お店の人が自分のことを考えてくれるから、その人から買ったりすることもあるでしょう。また、「自分が一番心地いいことを、相手にやってあげなきゃダメ」っていったりします。
 
自分だったら、このほうが居心地がいい、このほうが落ち着くとか。それをできるかどうかは大事ですよね。特に接客業、飲食店では。あとは、「ほしい」と思ったときに聞いてくれるとか。
 
-ちょうどいい時に。
 
古川氏:そうそう。「タイミングがいいから、もう一杯飲んじゃおう」となるとか。そこってすごく大事ですね。自分を見ていてくれてるのがわかると、「またあの人に」ってなるじゃない。来たら必ずあの人を呼ぶみたいにならないとダメでしょう。なかなか実践できないですけどね(笑)。
 
-最後に古川社長の人の育て方、というものをお聞かせください。
 
古川氏:本人主義に近いかな(笑)。あまり怒らないタイプです。本当はもっといわなくちゃいけない気がするけど、よっぽどのことがないといわない。いうと逆に発想が縮こまっちゃうこともありますしね。

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編集後記

商店街の衰退が叫ばれて久しい昨今。そんな中での鮮魚商魚國の工夫、販売チャネル拡大へのチャレンジを聞く事が出来ました。
 
ところで鮮魚店の魚國では生の鮮魚だけでなく、獲れたての魚をフライ等に調理したものも売っています。信じられないくらい美味しいので、小田原に来た際は、ぜひ。

 
 

この記事を書いた人

商売繁盛を応援するWebメディア・ニューアキンドセンターのセンター長。 もっとエッジを効かせたい、もっとトンガリたい。どうぞよろしくお願いします。

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