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ホーム > EC  > 1パック2,000円のベーコンが即完売。話題の”豚野郎”がECで売り続けるために大切にしていること
倉持信宏さん
「豚野郎」こと養豚家・倉持信宏さん

「豚野郎」を名乗り、SNSで注目を集める養豚家・倉持信宏さん。茨城県坂東市で経営する「山西牧場」が掲げる精肉ブランド「三右衛門」(加工品:「3 é mon」)は、肉の柔らかさや豚特有の臭いの少なさ、さらりとした味わいから「飲める脂」と称され、大人気!

ネットには「胃もたれしない」「あっという間に食べきってしまった」といった賞賛のコメントだらけ。 そんな倉持さんが商売をするうえで大切にしている思いとは。お話を伺いました。

【会社プロフィール】
株式会社山西牧場 
https://yamanishifarm.com/pages/top
食肉販売・加工品販売

【ご本人のプロフィール】
名前:倉持信宏
年齢:29歳
肩書:株式会社山西牧場 代表取締役

就活を諦め、未経験で家業の養豚場を継ぐ

株式会社山西牧場代表取締役・倉持信宏さん

― 倉持さんが養豚家になったきっかけを教えてください。

大学時代、食品系の会社への就職を考えていたのですが、働くイメージがわかなくて…。就活を諦め、卒業後に実家へ戻ったことが始まりです。養豚は家業でしたし、いつかは継ぐのだろうと思っていて、良いタイミングかなと。

とはいえ、まったくの未経験でしたし、社内に僕のポストがあったわけではなかったため、農場で仕事を覚えるところから始めました。

ところがいざ働いてみたら咳が止まらなくなるし、肌も荒れるなどアレルギー症状が出て辛かったですね。また親と働くので揉めることもある。しかも会社に自分の役割があるわけでもなく、居場所がなかったので、「自分で何か新しいことをしなきゃ! 」と焦っていました。

― その「新しいこと」が自社ECでの販売だったのでしょうか?

結果的にそうなりましたが、当時ECをしようという考えはなかったですね。仕事の経験を積むうちに、この美味しい豚肉をたくさん売ることが僕の役割だと思うようになりました。小さい頃から実家の豚肉を食べてきて、味には自信があったんですよ。 実際に購入いただいたお客さんの反応はすごく良かったですし。

地元で新規開拓をしようと、飲食店に飛び込み営業をしたことがありましたね。でもやっているうちに、「何か違うな」と思い始めました。

― どのあたりに「違うな」と感じたのでしょうか?

当時、豚肉をリーズナブルに買えるスーパーや精肉店が地元に多くありました。その中で価格を下げるという選択肢も知名度もなかったため、彼らと同じ土俵で戦っても分が悪いと考えたんです。それならば、美味しいもの に対するアンテナが高い方が多いであろう都内に狙いを定めて、販売することにしました。

― 舌の肥えた都内のお客さんをターゲットにするためにネットを活用しようと思ったのですね!

はい。実家の豚肉の品質には絶対の自信がありましたから。質の高さをしっかりと伝えられれば商機はあると踏みました。意気込んだはいいですが、わからないことだらけでしたけど…。

他社との比較ではなく、「山西牧場」の指名で買われたい

自慢の豚肉を見せる、倉持信宏さん

― あえて自社ECで勝負をしようと決断した一番の理由は何でしょうか?

モール型の場合、買い手は価格や納期などについて、複数の出品者間で比較検討を行い、購入するかを決めます。たとえば豚バラブロックを買いたいとき、A社、B社、C社のどこから商品を買うか、迷いますよね。僕は比較されてもなかなか勝てないと思っていたんです。

自社ECの場合、サイトを訪問してくれるのは、山西牧場のお肉に興味を持ってくださった方です。「お肉を買うなら山西牧場がいいな」と思ってくれている方、とも言えます。そういったお客さんに、僕が山西牧場の商品に注いだ情熱を感じ取ってもらいながら、購入検討をしてほしいと思っています。

― 自社ECはモール型よりも集客のハードルが高いと思うのですが、お店のサイトを知ってもらうために工夫したことはありますか?

自社ECを始めると同時に、SNSでの発信に力を入れ、僕のことも豚肉のことも知ってもらうように努めました。最初の1年間はフォロワーもまったく増えずでした。どのように集客していけばよいかわからない中で、出会いや知識を増やすために本を読んだり、都内で開催される勉強会やセミナーに足を運ぶなど、学びの場に出る機会を増やしていきました。

このときにありがたいと思ったのが、出会った方たちの存在です。僕をフォローしてくれて、豚肉の魅力をどんどん発信してくれたんです。たとえば、元株式会社ZOZO執行役員の田端信太郎さんもそのひとりですね。

田端さんが主宰する田端大学に参加したのがきっかけで、経営やマーケティングについてかなり学ぶことができました。もし何の繋がりもない状態だったら、僕の存在も山西牧場のことも、知ってもらうのに時間や労力を要しただろうと思います。

商品の良さを自分の言葉で伝えられるか

― 倉持さんが商売をするうえで大切にしていることは何でしょうか?

豚肉や加工品など自社商品の良さを自分の言葉で伝えることです。

山西牧場には「乾塩ベーコン」という商品があります。値段が1kgあたり1万円、1パック2000円とスーパーで売っているベーコンよりも高いんです。それでもありがたいことにすぐに完売となります。

大人気の山西牧場「乾塩ベーコン」

人気の理由は、肉の質や製法が良いのはもちろんのこと、僕が乾塩ベーコンの加工過程や美味しさを理解し、なぜその価格で販売しているのかを説明できるからです。どこかから引っ張ってきた言葉を使うのではなく、自分の頭で考えた言葉で語るからこそ、お客さんに情熱が伝わる——僕はそう思っています。

― 実家に戻った後、加工現場で働いた経験が生きているのですね!

相当に生きていますね! 売ろうとするものがどうやって作られているのか知るために、現場に行って、手を動かして作ってみることは重要です。そうすれば、例えばベーコンがなぜこの価格設定になっているのか、もわかると思います。

手作業で塩を刷り込んでいる、直下式の窯で吊るして焼くと油がポタポタ落ちて重量が減っていく…といった工程を体験しているので、商品の魅力を飾らないリアルな言葉で、お客さまに届けることができるんだと思います。

― 山西牧場のサイトを見ると、倉持さんの商品紹介文が載っていますもんね。どんなお肉なのか、どんな味かがイメージできます。

ただ、アピールが押し付けがましくならないように気をつけています。絶対的な主役は商品であって、作り手の苦労ではないからです。値段はものの良さにつけられるべきで、作る際の苦労であってはいけないと僕は考えています。僕は熱くなりやすく、長く喋ってしまうので、情熱は伝えても圧を伝えないように気をつけています(笑)。

職人の技がつまった本物の手造りベーコン
「職人の技がつまった本物の手造りベーコン。軽く炙るだけでじわりと脂がとろけます。そのままでも、ポテトやアスパラなどの野菜と合わせても。主役にも脇役(具材)にもなれるので様々なお料理にお使いいただけます」 (山西牧場公式HPの商品紹介より抜粋)

「買い手が選ぶストレス」を減らすことが重要

あと、僕は自社商品を好きでいてくださっている方を大切に思っています。新型コロナウイルスの影響で飲食店は大打撃を受けましたが、中には常連客やファンに支えられて経営を続けられたケースがあります。自社ECでも同様で、お客さんとのコミュニケーションを大切にし、繰り返し購入いただく環境作りを心がける。もちろん、質の高い商品を作ることが大前提ですけれども。

― 徹底的にお客さんを大切にするということですね。

自社ECでの販売を約2年やってきましたけど、売るって未だに難しいと感じますよ。note、Twitter、YouTubeなど、いろいろなSNSを使いながらコツコツと発信を続け、いただいたコメントにお返事もします。

目玉焼きと合わせてもよし
生活をイメージした商品作り

例えば「この商品はどう味付けすると良いのか」といったコメントがありました。マスタードや塩をオプションで売るようになったのは、お客さんのこのコメントが発想の起点でした。とにかく届け先の生活をイメージすることを大切にしています。

商品作りも発信も地道に続けてきたことによってお客さんが増え、ここまでやってこられたと思っています。

― 最後に、これからECを始めようと思う人に向けてアドバイスをお願いします。

他の商品を売るのをやめ、加工品ブランド「3 é mon」では乾塩ベーコン以外を扱わなかった時期があります。そこまでして「山西牧場といえばベーコン!」を明確に打ち出し続けていました。やるなら他と思いっきり差をつける。ベーコンのためのnoteを書いたり、写真を撮ったり、このベーコンがどれだけ素晴らしいかを発信し続けました。

だからこのベーコンはいまでもリピーターが多いです。現在はベーコンを起点にリピーターが半分以上を占めていて、顧客構造が安定してきています。

倉持信宏さん

「あなたならこれ!」という看板商品を作ることで、買い手が商品を選ぶ負担を減らせると考えています。世の中には物が溢れていて、買い手は選べなくなっているんです。

あれもこれも売るのではなく、自信のある看板商品を前面に出し、その商品をきっかけに自社を知ってもらう。買い手の選び疲れを緩和する工夫は必要になると感じますね。

― 倉持さん、ありがとうございました!

編集後記~”豚野郎”と接して

「豚野郎」のインパクトが大きくて「どんな人なのだろう?」と取材前はめちゃめちゃ緊張していた筆者。実際にお話ししてみると、笑顔が素敵でお話しやすい方でした。

「届け先の生活を考える」「どうやったらサイトが見やすくなるかをチェックする」など、倉持さんの発言の端々から感じたのは、お客様への配慮でした。買い手への心遣いがあるからこそファンが増え、話題になっていくのが納得できます。

余談ですが、筆者は山西牧場の肩ロース500グラムを購入し、ローストポークにして食べたことがあります。とっても柔らかいし、「飲める脂」の通り全然しつこくなくて、家族であっという間に完食しました。ギフトにしても喜ばれるのは当然ですね!

そうそう、次のベーコンの発売が準備中だそうです。販売が楽しみだなぁ。

追記:ベーコンの購入について

記事を読んだ方から、「ベーコン買いたいんだけどどうしたらよい?」というお問い合わせを多く頂きました。2020年6月末現在、ベーコンは売り切れていて、再販の準備をされているとのこと。また、再販されてもすぐに売り切れてしまうため、手に入れたい方はLINEの友達登録がおススメです。そうしておくことで、事前に販売のお知らせを受け取ることができます。以下のページの下の方にLINEの「友達追加」ボタンがあります。 気になった方はぜひ登録してみてくださいね。
https://yamanishifarm.com/

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この記事を書いた人

3歳の息子を持つパパライター・編集者。妻の産後うつをきっかけに働き方をチェンジ。子育てや家族観のほか、グルメ系の記事も執筆。

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