日馬富士問題から見る「飲み会の不毛さ」と「コミュニケーションのあり方」

ニアセ寄稿

日馬富士事件の根本的な原因はなにか?
 
2017年年末のニュース番組は、日馬富士の起こした事件の話題で持ちきりだ。しかし、私は「横綱の品格」や「相撲協会の闇」など、正直どうでもいい。
 
私が今回の騒動で感じたことは、「飲み会なんてやらなければこんな事態に発展することはなかったのではないか?」ということだ。お酒が入ると、自分が大きくなったように錯覚してしまう。そのため、貴ノ岩は生意気な態度をとってしまったのだろう。お酒が入ったことで衝動性が高まり、日馬富士は過激な暴力を振るってしまったのかもしれない。
 
日常生活でも飲み会の“弊害”を経験したことのある人は多いだろう。さすがに重傷を負わせるレベルの暴力はそうそうないと思うが、「後輩が上司にキレて、社内の雰囲気が気まずくなった」「上司に人格否定まがいの説教をされた」などはよく聞く話だ。
 
私も以前会社勤めをしていた時、「男の新入社員は飲み会に強制参加」という理不尽なルールを課せられ、会社の飲み会に何度も参加させられた。しかし、話題はそこにいない同僚の悪口や毒にも薬にもならない世間話ばかりで、生産性のある話は一切ナシ。しかも、お会計もワリカンでまさに「お金と時間をドブに捨てた」だけの不毛なものだった。
 
私のように飲み会をストレスに感じている人は少なくないはず。そこで今回は、飲み会をなくし働きやすい職場を手に入れるための考えをまとめたのでご確認いただきたい。

なぜ会社の飲み会は当たり前とされていたのか

まず、なぜ会社の飲み会が当たり前とされていたのかを私なりに考えてみた。
 
一昔前は、飲み会を通して社員同士が仲を深めるのは当然だった。その背景には、終身雇用が就職の大前提にあったため、入社してから定年までの約40年間、同じ会社で過ごす必要がある。そのため、長く会社にいやすいよう、同僚とコミュニケーションをとらなくてはいけなかったからではないだろうか。
 

会社の飲み会はいずれなくなる

しかし、今の時代に終身雇用はあってないような制度。
 
現在、日本は働き方改革の真最中で、特に「労働者の流動性を高めること」の必要性は声高に叫ばれており、1つの会社で40年も勤め続ける働き方は改められ、職場を転々としながらさまざまなスキルを身につけ、あらゆる業界で柔軟に活躍するモデルが推奨され始めている。
 
つまり、飲み会をして同僚と良好な関係を築く必要性はなくなり、近い将来、仕事の飲み会は淘汰されていくだろう。
 
そのため、「飲み会をなくし働きやすい職場を手に入れるための考えをまとめたのでご確認いただきたい」と威勢よく書いたが、時代が“仕事の飲み会”という不毛な集会を終わらせてくれるので、「私が何かをすることはない」という結論にたどり着いた。
 
現在「飲み会行きたくねー」と思っている人は、無理して空気を読む必要はない。また、「NO」と言えない人は、いずれなくなるものと思って、それまで耐え忍んでほしい。
 

飲み会がなくなればオールOK?

だが、ここで一つ疑問が浮かんでくる。本当に飲み会がなくなれば、労働者のストレスは軽減されるのだろうか?
 
たまにアルバイトの求人誌なんかを見ると「アットホームな職場です(^◇^)」「スタッフ同士、いつも和気あいあいとしています(*^-^*)」などなど、職場のコミュニケーションの質の高さをアピールする文言がよく見られる。
 
しかし、私はアルバイトを探すのであれば、「立地」や「時給」を重点的に注目し、職場の雰囲気はあまり気にしない。むしろ、「会話が一切ない殺伐とした職場です」「友だちや恋人を探している人には向いてません」と書かれている職場のほうが魅力的に感じてしまう。
 
もちろん、私が陰湿な性格であるため、そのように考えてしまうわけだが、「職場で友だちを作る気はない」「ビジネスライクな職場で働きたい」と、職場で必要以上のコミュニケーションを望まない人も多くいると思われる。
 
つまり、“飲み会どうこう”を議論するのではなく、それ以前に、職場でのコミュニケーションのあり方に注目する必要があったのではないのだろうか?
 

コミュニケーションは必要なのか?

就活では「コミュニケーション能力」の高さが、評価のウエイトを大部占めている。しかし、キチンと“報連相”ができれば、必要なコミュニケーション能力は十分満たしていると私は思う。
 
イジってイジられて、キャラをあてがい演じて…そんなバラエティー番組で求められるようなコミュニケーション能力は、職場でなんの役にも立たないように思える。(営業職は多少必要かもしれないが)
 
そこで、いっそのこと「職場で業務に関係ないコミュニケーションは一切禁止する」というのはどうだろうか?一見、破天荒なアイデアかもしれないが、このアイデアを考えれば考えるほど、メリットがとても多いことに気づいた。

業務に関係ないコミュニケーションを禁止する3つのメリット

 

1.転職しやすくなる

「自分の力を他の業界で試してみたいけど、これまでお世話になった人を裏切りたくない…」「こんなブラック企業辞めたいけど、俺が辞めたら同僚にしわ寄せが…」と考えてしまい、転職に踏み切れない人は少なくない。
 
なぜこのように考えてしまうのかというと、同僚に対して“情”を抱いているため、「申し訳ない」「裏切れない」などの情が邪魔をし、転職に踏み切れないのだ。
 
だが、余計なコミュニケーションをしなければ、情は生まれにくく「さっさと辞めてしまおう」という気持ちになれ、自分の可能性を試すことや、ブラック企業をスッパリ辞めることも簡単にできる。
 

2.パワハラやセクハラを減らせる

もし、部下が仕事でミスをした時に上司が「そういうミスをされたら困るな」と注意するのはセーフだ。しかし、「そんなんだからお前はダメなんだ」と続けた場合、これは業務以外の会話になるのでアウトになる。つまり、上司のパワハラ的な言動を封じ、パワハラの芽を摘むことができるのだ。
 
また、セクハラ的な言動なんてものは、まさに業務と一切関係ない会話なので即アウト。現在パワハラやセクハラに悩まされ、ひどい場合には自殺してしまったケースもある。余計なコミュニケーションがなくなれば、パワハラやセクハラに苦しむ人はかなり減らせるだろう。
 

3.正確な評価ができる

現在、多くの会社が名ばかりの成果主義を導入している。評価する側も人間なので、ついつい自分と仲の良い社員を高く評価してしまう気持ちも仕方ないことだ。
 
しかし、余計なコミュニケーションを廃止すれば、「業績は悪いけど太鼓持ちが上手いため評価されている人」や「業績は良いけど人付き合いが悪いため評価されていない人」をよりフラットな視点で、適切に評価することが可能になる。

まとめ

思ったことを端的に相手に伝えることや、相手の言ってることを理解したうえで反論することなどのビジネス的なコミュニケーションは、空気を読み合い思ったことをなかなか伝えられない日本人には難しいように思える。
 
そのため、業務に関係ないコミュニケーションを一切廃止し、空気を読む余地を与えなければ、ビジネス的なコミュニケーションをとることは可能になるはず。
 
業務に関係ないコミュニケーションを廃止することも、「働き方改革」の一つのアイデアとして、とても有効なのではないだろうか。

最後に一言

過去に私を無理やり飲み会に誘った上司に言いたいことがあるので、この場を借りて勝手に言わせていただきたい。
 
飲み会は行きたいもの同士で勝手に行ってくれ。飲み会に来てほしいなら、「この人と話したい」と思われるような魅力的な人間になれ。人の時間やお金を奪う権利は誰にもない。
 
飲み会が好きな人にはぜひ覚えておいてほしい。

 

 

 

 

 

 

ニアセ編集部のあとがき

飲み会は苦手、そもそも業務に関係のないことを会社の人に話したくないと思っている人は多くいると思います。今回の記事とは逆の意見ですが、仕事をする上で飲み会や業務に関係のないことを話すことは非常に重要です。
 
気心知れた仲間をつくり人間関係を良好にした方が仕事がしやすくありませんか?人間関係が悪かったら報連相も成り立たないので、生産性は落ちますし、パフォーマンスも落ちます。業務に関係のあることだけしかコミュニケーションを取らないとなると無機質な組織、職場になり、アイデアは生まれず、イノベーションも起きず、時代に取り残されていずれ消えてしまうという結末を迎えるでしょう。そんな環境で仕事をする時間は人生の無駄になります。
 
無駄な時間を過ごしている暇なんてありません。生産性を落としている場合ではありません。仕事でパフォーマンスを出すために、仲間との信頼関係や意思疎通ができる関係性を構築していくことはビジネスをする上で必須です。
 
コミュニケーションのない仕事は存在しません。コミュニケーションを拒絶する前にコミュニケーションスキルを高めましょう。相談がしやすい関係を構築しましょう。仕事では、いろんな壁、課題にぶちあたります。課題を解決するには仲間の力が必要です。
 
ひとりでできることなんて限界があるのです。力を合わせましょう。業務に関係あるなしに関わらずコミュニケーションを積極的に取って高い壁を仲間と乗り越えましょう。乗り越えた先には今見えていない景色が見えるはずです。
 
 
 
 
 
業務に関係のないコミュニケーションは禁止するべきか、それとも業務内容問わずコミュニケーションを活発に行っていくべきか。
 
ダイバーシティ(多様性)を重んじる現代、あなたはどちらですか?

 
 

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