みなさん日々、仕事上の様々なことで頭を悩ませていらっしゃるかと思います。そしてその多くが「考えるべき課題の答えが見つからない」ということではないでしょうか。私も企画の仕事をはじめて14年経ちますが、1年目より結論を導くスピードが速くなったかと聞かれたら、そんなことは全くなく、今でも同じように頭を悩ませています。
しかし、一方で。この14年間でスランプに陥った時の対処法、脱出法のようなものは14年の中で開発してきました。
その中でも最も使えるのが「視点の変え方、作り方」です。
そこで今日は、どんな職種でも使える「視点の変え方、作り方」についてお話したいと思います。
視点を意図的に変えると「考える」は爆発的に進む
ビジネスのアイデアを生む時、担当する商品やサービスのアイデアを生む時、また表現のアイデアを生む時にうまく進まないのは大抵「視点が限定的」であるためです。つまり、視点を増やすことができればそれら作業は驚くほどスムーズに進められることができます。
以下に私が使っている具体的な「視点の増やし方」をご紹介しますので、ご自身のお仕事に取り入れてみて下さい。
1. 他者になりきる
これはまさに「視点を変える」方法です。意図的に他者になりきることにより「別の目」で課題にアプローチします。「どうやってなりきるの?」という方には「ものまね」をお勧めしています。まずは自分の身近な人から。その人が課題を直面した時に言いそうなこと、思いそうなことを想像してみるのです。そして、その視点のまま課題にアプローチしてアイデアを出して下さい。
少し慣れてきたら人間以外にも挑戦してみましょう。課題そのものに視点を設け、考えている自分を見たらどう思うか、何と言うか。考えあぐねている自分を、飼っている犬がみたらどう思うか。たまたま通りかかった宇宙人がこの状況をみたら何と言うか、を想像し、書き出してみるのです。
この方法の良い所は、他者になりきった数だけ視点が生まれるということです。自分の目でしか見えていないことも、意図的に他者の目で見ることで思わぬ発見があります。
2. 「らしくない」形容詞をくっつける
これも視点を作ったり、変えたりする上でとても有効な方法です。課題に絶対合わなそうな「らしくない」形容詞を強引につけることで新しい視点を生むというやり方。
ジェームス・W・ヤング氏が著書『アイデアのつくり方』で言っている「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである」という考え方がありますが、まさにこれを使って視点を生むのです。
例えば「今までにない本屋を考えてみよう」という課題があった時、「かわいい本屋」「怖い本屋」「硬い本屋」などと列挙していきます。「かわいい本屋」はJKをターゲットとした本屋のアイデアにつながるでしょうし、「怖い本屋」はお化け屋敷と本屋を融合したイベント施設のアイデアにつながります。どれもあくまで「一次アイデア」ですので過去事例との照らし合わせ、深堀り、フィジビリティの検証などは必要ですが、ブレストのテーブルにはのせられるはずです。
一方、「話題になる採用方法を考えろ」という課題があった時、「早い採用」「長い採用」「やさしい採用」などと列挙していきます。自分を写メで撮っただけで就活が終わる「1ショット採用」、大学4年間をかけてじっくり採用活動を行う「ダラダラ採用」、圧迫面接とは程遠い「接待面接」など、少し考えだだけでも色々なアイデアが生まれます。
「らしくない」をくっつけることで自分の脳が活性化され、視点を容易に増やすことができるのです。
3. 再定義する
最後にご紹介するのはこの記事(コピーライターが教える。ビジネスで使える「強い言葉」の作り方)でも触れた「再定義」を使った視点の作り方、増やし方です。課題を一度要素に分解し直し、分解した要素を独立させたり、どれかを強めたりすることで視点を作り出します。
例えば「本」を「トイレで読むもの」と再定義すれば「100冊の本が読める有料個室トイレ」というアイデアを生むことができますし、「インテリに見えるもの」と再定義すれば「洋書100冊付き本棚」という商品のアイデアを生むことができます。課題の近くにあるターゲットの潜在ニーズも意識しながら考えるとより精度の高いアイデアが生まれます。
「再定義」という方法は、少し違った角度から光を当て直して視点を作るというイメージですので、前の2つとは若干ニュアンスは異なりますが、確実に脳の切り替えを行ってくれます。
まとめ
以上、「ビジネスで使える視点の変え方、作り方」をお伝えしました。上記でご紹介したのは私の方法論ですので、どんどんご自身で開発したものを増やしていくと良いと思います。いずれにせよ、意図的に、強制的に視点を変えるテクニックを持つことで、企画スランプ、思考スランプから早く抜け出せたり、スランプに陥らずに済んだりします。
仕事を円滑に進めるテクニックの一つとして、活用されてみてはいかがでしょうか。