キュレーションメディアは今後どうなるのか。端を発したのはもともと繊細な医療の情報を扱う必要性があるのにもかかわらず、検索上位至上主義に走ったWebメディアの存在。googleの検索上位の品質をも疑う大きな問題とされています。
しかし、問題が発覚するまではこのような状況が続いていたというのも事実として受け止めなければなりません。今回は何をもってしてメディアといえるのか、私も関わるキュレーションメディアの現状と経営者が扱うべきメディアのあり方と情報ソースの取り方について考察していきます。
メディアとは
メディアとはそもそも何なのかを考えてみましょう。インターネットが発達するまでは、テレビのブラウン管やラジオを通して、人々は情報を仕入れていました。また、新聞や雑誌など取材をもとに記事を作り上げて、人々が購入することでも情報を得ていました。
つまり、インターネットが発達するまで人々は、テレビを見るか、ラジオを聴くか、雑誌や新聞を読むか、以上が主な情報ソース元となっていました。そのため、口コミというのもあくまで知人までの範囲に限定され、今の世の中みたいに世界中の口コミなんて見ることは当時からしたら想像もできなかったことでしょう。
ここで一つ述べておきたいことが、インターネットが発達する以前は、いわゆる国民的スターやメガヒットが生まれやすかったのです。例えば、今や世界中どこへでも旅することができますが、一時期は国民の多くがハワイに行きたいと思っていた時期がありました。
また、昭和の歌謡スターなどもお茶の間のテレビをつけると見る機会が多く、今みたいにYoutubeを見る習慣がなく、テレビで出演している歌手が国民的スターになることは、いわば定石ともいえる状況にありました。テレビや雑誌、新聞に出ることがステータスであり、ある意味、地位を表す指標として考えられてきました。
しかし、2000年のミレニアム前後から徐々にインターネット黎明期から、個人がWeb上にコンテンツとして残すことができる時代になり、2010年頃には今の世の中を予想するであろう「これからは個人が発信する時代、アナタ自身が広告塔」などとも世間的にいわれてくる時代に突入します。
2種類あるメディアとは
インターネットが発達することで何が変わったのか。従来の情報ソースを得るテレビを見たり、ラジオを聴いたり、新聞・雑誌を読むのに加え、インターネットで「検索する」という行為が生まれたのです。検索とは、昔は辞書で調べものをするときに使う言葉でしたが、現在だとその詳細はWebで検索してねと大方インターネットでの検索行為を指します。
ぞれだけ、世の中に浸透して、いまや日常的な行為として人々はGoogleやYahoo!などの検索エンジンを用いて情報を得ています。
ここで、メディアのあり方について考察したいと思います。持論にはなってしまいますが、メディアの役割は2種類あると考えています。
一つ目:事実を伝える報道、取材に基づいた信ぴょう性のあるもの
新しいお店がオープンした、雪による大幅な遅延が生じている、などといった情報は事実そのものですので、見る限りのもの以外は何もありません。こういう事実は、プレスや取材関係者が現場に足を運び、そのお店の内装や魅力などを取材したり、雪がどれくらいすごいのかなどを体感することで事実として発信されます。
二つ目:インターネットが発達したからこそ増えた2次、3次情報ともいわれる主にWeb発信で情報が入ってくるもの
Webを媒体にしたWebメディアが、最近の問題を呼んでいるのは周知の事実ですが、これはある意味仕方ないことでもあります。インターネットを開けば、そこは日本のみならず世界中の情報やトレンドなどすぐにキャッチすることができます。
それが、ただ受け手としてだけでなく自らもブログやSNSなどで発信することができるので、正しい情報ソースを経由していないと、誤った情報が広がってしまう危険性も十分にありうるのです。
誰でも発信できてしまうというのは、やはり一定のマナーだったり、メディアを作る上でのリテラシーがとても大事になります。
キュレーションメディアの現状
キュレーションメディアは真っ向から否定するものなのか。答えはノーだと思います。実際にキュレーションメディアのメリットはインターネット上に無数の情報が溢れかえっており、大海原の中から適切な情報にたどり着くのはやはりそれなりの検索力も必要になっていきます。
しかし、Webに精通した人は限られているので、キュレーションメディアがまとめてくれている情報はある意味、とても便利で有効活用できるのです。
ここで、情報の受け手として注意しなければその情報が正しいかどうかの判断です。Webメディアによっては、記事下部に現在の状況は異なっている可能性もありますので記事の信ぴょう性の判断につきましてはご自身で判断してくださいなどと書かれているのもあります。
つまり、キュレーションメディアを筆頭に2次、3次コンテンツは必ずしも情報を鵜呑みにせず、真実は実際に目でみて確かめることが重要であるわけです。ネットサーフィンすれば、いうなれば無料で情報が見られ、トレンドが知れ、なんでも分かった気がしそうでもありますが、従来の雑誌や新聞など取材を通してコンテンツ化してお金を払って得られる情報も考えると、ネット全てに情報ソースを頼るのは危険すぎるわけです。
これは経営者目線でもいえることです。新たに販路開拓やパートナー、採用を考えたときに、Webメディアが伝える情報や検索上位にくる企業を信じてもいいのでしょうか。全てはイエスとはいえませんよね。実際の肌感や現場に来たことでわかることなど、アクションを起こすことで得られる情報とネットサーフィンで得られる情報は違います。
あくまでもインターネット上の情報は参考程度に、自らの行動で得られる情報を一番に信頼しましょう。
メディア事業を運営していくために大切なこと
webメディアを情報ソースとして取り入れるのではなく、もし事業として運営していくのはどうしたらいいでしょうか。
これは零細、中小企業から大手に至るまで一貫としていえることがあります。それは自社のナレッジを生かしたメディアを作ることです。キュレーションメディア事業だけで今後事業を成り立たせるのは厳しくなっていくでしょう。まずはECなり、サービスなり、他の事業をのばすことが最優先となると思います。
他の事業で得られた知見やWebコンテンツを、メディアとしてわかりやすく顧客や顕在層に伝えていく、いわばブランディングとしてのオウンドメディアがこれからさらにニーズが高まるといえるでしょう。メディア型ECや、自社サービスを他社サービスと比べてみたり、ブログ調に書いてみてもいいですし、受け手がどう感じるかを意識して、自社の持つ魅力を最大限に伝えられるメディア作りを心がけたいものです。
また、メディアを持つことにより、自然と営業ツールの側面もあると思います。取材ついでに現状のニーズ把握もできますし、新規開拓の際にも取材ならば受けてくれる場合もあるからです。
こうしたメディア作りで一番大事なのは発信する上での責任です。見るべき人にしっかりと正しい情報が行き渡るか、このことを意識して今後のwebメディア作りを私も含め、行っていきたいと思います。