こんにちは!ニアセ編集部新人の竹田です!
今回は、多くのEC事業者一度は検討する多店舗展開について、記事を書きました。
「EC事業を拡大させたいし、売上UPに繋がりそうだけど、どれだけ忙しくなるのか不安」という方向けに、多店舗展開のメリットや懸念点などについて分かりやすくまとめてみました。
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そもそも、なぜ多店舗展開をするのか?
EC業界における多店舗展開とは、言葉の通り「多くの場所にEC店舗を出店すること」を意味しています。ではEC事業をやっている人は、どういった理由やタイミングで出店数を増やすのでしょうか?
多店舗展開3つのパターン
多店舗展開には大きく3つのパターンがあります。
①自社ECサイトのみ→モールへ出店
②1モールで販売→複数モールで販売
③モールで販売→自社ECサイトの立ち上げ
それぞれに考えられる多店舗展開の狙いについて見ていきましょう。
①自社ECサイト→モールへの出店
このパターンがここ最近増えてきているのではないでしょうか?
BASEやShopify、BUYMAといったインスタントカートが注目を集める中、「とりあえず少ない費用で出店できるのならやってみよう」と気軽にECを始めるケースが多くなってきています。
このように立ち上げた店舗が、本格的にECに力を入れたいと考え、より多くの消費者にアプローチできるモールへの出店始めるに至ったというパターンです。
②1モールでの販売→複数モールでの販売
こちらも①のパターンと大体同じです。ある特定のモールでEC事業を始めた後に、「もっと違うターゲットに販売したい」、「別モールで開催されるセールで集客を狙いたい」といった理由で複数モールへ展開するパターンです。
①と②の場合、多店舗展開の主な目的はEC事業の拡大、特に売上や認知度の向上です。
③モールでの販売→自社ECサイトの立ち上げ
こちらのパターンは、①、②に比べると当てはまるケースは少ないかもしれません。モールでECを始め軌道に乗り始めた人が、ブランディング等を目的として自社サイトでの出品も始めるパターンです。
通常、モールに出店する最大のメリットは、多くの消費者が利用するため、自社製品の認知度向上や、多くの集客が見込ることです。しかし一方で、モールへ出店するための費用や、販売手数料といったコストも発生します。
消費者目線で考えたときに、モールでの購入は、商品のブランドで判断して購入するというよりも、買いたい物かどうかという点が重要になるため価格競争に陥りがちです。
また消費者は、あくまでそのモールで特定の商品を購入したという記憶が強く残り、店舗までは意識が向けられにくいものです。そういった意味で、リピーターやファン獲得のハードルが高くなりがちです。
そのためモールでの販売は、ブランディングをして単価を上げることが難しい傾向にあります。
自社サイトでの販売は、モールよりもランニングコストを抑えられるため、同じ値段でも利益を上げやすくなります。そのため③の場合では、費用を抑えつつ、ブランディングしたいという理由で、多店舗展開を行います。
多店舗展開のメリット
これまで、多店舗展開のパターンとそれぞれの目的について紹介しましたが、ここでは、多店舗展開で得られるメリットについてまとめます。
メリット1:潜在顧客への販売機会の獲得
これが多店舗展開することで得られる最大のメリットです。
特に複数モールでの出店については、3大モールのAmazon、楽天、Yahoo!が運営する各モールだけで見てもリーチできる顧客層が異なります。
消費者目線で想像していただくと、より分かりやすいかもしれません。
みなさんも消費者としてECサイトを利用する際に、販売している商品の種類や価格、使える決済方法、商品が届くまでの時間など、様々な要因で購入する場所を変えることがあると思います。
このように多店舗展開をすることで、異なるターゲットに自社商品を販売することが可能になります。そして、当たり前ですが、出店数が増えれば出品数が増えることになり、その人たちにきちんと訴求できればECでの売上UPに繋がります。
メリット2:機会損出のリスク分散
こちらは少しイメージしにくいかもしれませんが、押えておきたいポイントです。
例えば、あるモールで予期せぬ不具合が生じ、急遽メンテナンス中になり、一定時間の利用制限がかかったとします。この場合、そのモールにしか出店していない人と、それ以外のモールでも出店している人では、受ける影響が異なります。
そのモールにしか出店していない場合、メンテナンス期間中はの売上は”0”になってしまいます。一方で複数出店している場合は、同じく売上が減少してしまいますが、”0”にはなりません。
少し極端な例だったかもしれませんが、小さな機会損出でも積み重ねれば、いずれは大きな差に繋がります。そういった意味で、多店舗展開は機会損出のリスク分散というメリットもあると言えるでしょう。
多店舗展開する上での懸念点や注意すること
ここまで読んでいただいければ、「多店舗展開は何が良いのか?」ある程度理解していただけたのではないでしょうか?
ですが、多店舗展開はメリットばかりではありません。これから多店舗展開を始めようとしている人が知っておくべき懸念点があります。
懸念点1:作業時間の増加によるサービス品質の低下
これは比較的イメージしやすいのではないでしょうか?
出店数が増えれば受注件数もその分増えます。受注増に喜びもつかの間、今度はその受注が入った分だけ出荷しないといけません。
多店舗展開により、受注が入ってから出荷するまでに必要な作業に要する時間が大きく増加します。店舗数が増えれば増えるほどこの時間が積み重なるものです。これに対応できる体制が整っていないと、受注処理が間に合わず、発送の遅延やそれによるクレームが発生することが懸念されます。
懸念点2:商品管理がもたらす意外なリスク
こちらに関しては、イメージしにくいかもしれませんね。実際に多店舗展開をした後に気付き、慌てる方が多いようです。
実は、モールごとに管理画面や商品管理の番号が異なっていたり、複数店舗間での在庫数が連動しない状況だったりすると、売り越し(実際の在庫数よりも多い注文が入ってしまい、商品を販売できなくなること)のリスクがあります。
売り越しは、お客さんに迷惑をかけるだけでなく、モール側からの評価が下がるなど大きなリスクを含んでいるため、常に注意する必要があります。
このように多店舗展開は売上が上がるというメリットがある一方で、その分やらなければいけないことが増え、忙しくなります。それを想定した上で事前に必要な対策をしていないと、成功するどころか、事業が回らなくなり失敗に終わる可能性もあります。
多店舗展開を始める前に考えるべきこと
では、どんな対策が必要なのか。結論から述べると、運営体制の見直しが必要になります。
「忙しくなるならその分気合いを入れて頑張ろう!」という根性論だけではすぐに限界を迎えてしまいます。(時には根性も大切ではありますが)実際に、受注増に処理が追い付かず、顧客からのクレームが殺到し、事業継続ができなくなるということも起こります。
そうならないために、「その作業って本当に必要なのか?」「他にやり方はないのか?」という視点で普段の業務を思い返してみましょう。場合によっては、業務を効率化するツールの導入も検討しましょう。利用料金はかかりますが、全て人力で処理する場合の人件費よりも結果的に安くなり、かつ様々なリスクに対応できる「強い運営体制」を構築できます。
多店舗展開を始める前にこそ、ぜひ一度、運営体制の見直しをしてみましょう。
まとめ
これまでにお話したとおり、EC多店舗展開は新規顧客獲得や、受注件数の増加など、ECの売上UPに繋がります。一方で受注件数が増えることによる作業時間やコストの増加、予期せぬ売り越しといったリスクも伴うものです。
そういったリスクを避けるためにも、多店舗展開を始める前にこそ、運営体制を見直すべきです。場合によっては、システム導入により無駄な人件費を削減しつつ、大幅な利益拡大を狙うのも、1つの選択肢として間違ってはいません。
EC事業者にとって多店舗展開は、通過点でありつつ、一つの大きな転換点でもあります。大事なタイミングだからこそ、ぜひ一度、本当に注力すべきことを考え直してみましょう。
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