知的障がい者サッカー日本代表、西眞一監督インタビュー後編
後編では、「もう一つのワールドカップ」に向けた戦い方や、キーマンを教えてもらいました。
そして、実際に選手たちがプレーするところも見せてもらいました。
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スウェーデン大会に向けて
8月に「もう一つのワールドカップ」として、知的障がい者サッカーの世界大会があります。そこに向けて西監督は「ハードワークを通した、全員攻撃、全員守備」を掲げていますが、この言葉にはどんな想いが込められていますか?
ハードワークっていうのは90分間とにかく走る。走ることをまずやろうということ。
全員攻撃、全員守備は文字通り、みんなで攻めてみんなで守るということなんですけど、常にボールに関わるという意味でそれを提示しています。
なぜ敢えてそれを提示してるかと言えば、彼らは基本的にシンプルな人たちなんで、「ああもうきついな」って思ったら、足が止まっちゃう。それを「足を止めずにやろうよ」と。何のためか。それは「試合で勝つため」であり、「ゴールを決めるため」と言ってます。
全員攻撃、全員守備というのも、攻撃してる時に守備の選手が「僕は守りだから関係ないや」じゃなくて、ボールは前にあっても守備の人たちも常に関わっている、常にサポートできている。ボールを奪われたときにすぐに対応できる。
そういう意味で攻撃も守備も、全員一緒にやろうねって言ってます。
戦術について
戦術面ではどうですか?
彼らにはトレーニングで見たままのものをゲームの中でやってほしいと考えています。あれこれ戦術を細かくはめていくと、さっき言ったようにいろいろあったら彼らは混乱してしまうので。基本的なサッカーの原理原則っていうところを、彼らには常に言うようにしています。
極力シンプルにそぎ落としてく作業ということですね。今回キーマンとなる選手は誰ですか?
ゴールキーパーの内堀選手。あとミッドフィルダーの徳村選手ですね。
まず内堀選手。知的障がい者のサッカー選手として、なかなかゴールキーパーは育ちにくい。その中で、彼は2014年から代表に入っていて、シュートストップがとても良いし、人もボールも全く怖がらない。
接触プレーもですか?
はい。ゴールキーパーで「怖がらない」っていうの持ってるのは重要なので、非常に心強いですね。
徳村選手も前回大会から出場しています。身長が189cmあるんです。海外の選手っていうのはそのぐらいのサイズの選手が結構いるなかで、日本チームにもそういう選手がいると際立つんですよね。
足元のテクニックもあるし、コミュニケーション能力も高いし声も出るし、そういう意味でチームのエンジンとなりつつある選手だと思っています。
189cm!吉田麻也選手と同じですね。
「もう一つのワールドカップ」対戦国ってどんな国?
知的障がい者サッカーの強豪国って、どこなんですか?
サウジアラビアと南アフリカ、ポーランド、この辺りが3強です。次いでフランスです。
決勝トーナメント進出の鍵となるライバル国は、そのポーランドと伺っています。
そうですね。ポーランドとは前回予選リーグと3位決定戦で2回やってるんですけど、2戦2敗しているんで、なんとしてもそこを打ち破らないと、決勝トーナメントへの進出も多分無いですし、今回の目標であるファイナリストにはなれませんから。
ピッチ外の戦い。資金不足の現状
大会参加に当たって資金的にはキツくはないんでしょうか。
お金は無いですね… やはり海外遠征となるとお金がかなりかかるので、選手達にも少なくない自己負担金額が発生する見込みです。
お金がネックで、実力はあるのに参加できない、なんてこともあるのですか?
ありますね。なかなかマイナー、障がい者スポーツっていうのは厳しいですね。パラリンピックの種目であれば違うんでしょうが、それ以外のスポーツってなかなか難しいですね。
資金獲得のため、前回に続き今回も「応援Tシャツ」を販売していますね。
はい。利益は全て選手の渡航費に充てます。前回はおかげさまで1万枚売れました。それでも自己負担が出てしまうので、今回はそれ以上を目指しています。是非皆様にご協力頂きたいと考えています。
「知的障がい者サッカー」の未来
監督から見て、今後この「知的障がい者サッカー」がどうなっていくと良いと思いますか?
究極的には「無くなれば良い」と思っています。
えっ。
カテゴリとして切り出されて存在するのではなく、知的障がいのある選手が、健常者のチームで普通にプレーしていることが、一番いいんじゃないですかね。
普通に一緒に練習して、ゲームして。
東京の選手は社会人チームに入って活躍してる選手が1名いますし。そういうのをもっともっと増やしていかないといけないかなと思いますね。障がいのあるなしではなく、純粋にサッカーで評価されるという。
切り出されるのではなく、社会に溶けてなくなっていくイメージですね。
今日はお忙しい中ありがとうございました!
ありがとうございました。
アットホームな民宿「樽分」
この後、監督やスタッフの皆様は昼ごはん。午後の練習を見させてもらうため、私もどこかで昼ごはんを食べようと思っていたら、樽分のお母さんが「あなたの分も作ったから食べてって!」とのこと。やさしい。皆さんと一緒に生姜焼き定食を頂きました。
▲めちゃくちゃおいしかったです!ありがとうございました。
そして練習見学へ
午後は小雨が降る中の練習を、見学させていただいた。
最初はシャトルランニング。「数値が前回よりもよくなっている」と目を細めるコーチ。オフの期間にさぼらずトレーニングをしてきた証拠だ。
▲シャトルランニングの様子
四角に広がってのパス回し。フリーマンを使った2対2、サイドからのセンタリングシュート。そしてゲーム。それらを見ながら私は思いました。
「知的障がいとは?」
▲ゲームの中で激しく競り合う
選手の皆さんのボールタッチや、キックの精度など、一つ一つのプレーのレベルが高い。そして何よりコミュニケーション。選手同士で声を掛け合い、励まし、一所懸命にプレーしている。普段見ているサッカーと同じサッカーがそこにありました。
正直なところ、もっとコミュニケ―ションで苦労していたり、言う事を聞かない選手がいたりして、サッカー以外の所に時間を使う場面が多いのではと想像していましたが、全くそんなことは無く。100%サッカーに集中して取り組んでいる姿が印象的でした。
練習は予定をオーバーして3時間に及びました。練習後、監督が「大会のキーマン」として名前を挙げていた徳村選手にお話しを伺いました。
まだ21歳の徳村選手。受け答えは年齢を感じさせないしっかりしたもので、こちらの方がドギマギしてしまう始末。茫漠とした質問をぶつけても、その質問の意図をしっかりと理解して、答えてくれました。
インタビューを終えて、改めて私は思いました。
「知的障がいとは?」
編集後記
まず、「知的障がい者」という言葉の持つ意味を、自分がものすごく狭く捉えていたことに気が付かされました。
障害の重さ、どんな障害なのか。一口に「知的障がい」といっても、色々なパターンがあります。
少なくとも今回接した彼らを、ことサッカーにおいて「障がい者」として切り出す必要は無いのではと感じました。この辺りはまず地域リーグや草サッカーではもっともっと認知されて良いのではと思います。
西監督が願うように、知的障がいを持った選手が切り出されるのではなく社会に溶けて馴染んでいくには何が必要なのか。
実際今回代表に呼ばれた選手の中には、所属チームがこの日本代表しかない選手がいます。地元ではプレーする環境が無いということです。上手いのに。
海外では知的障がいのある選手がプロサッカー選手として給料をもらって試合をしている例もあるとのこと。日本でもそうなっていけばいいと心から思います。
どうすれば変わっていくのか。私はプレーを実際に見て、話をして、考え方が変わりました。だから、もっと多くの人が彼らのプレーを目にすることが、社会を変える一歩になるのでは。
その為には世界大会で勝つこと。
「決勝戦進出」は高い目標ですが、是非達成してほしいと思います。
Tシャツを買ってください!(2回目)
4年に1度のFIFAサッカーワールドカップの1か月後の8月、知的障がい者サッカーの最高峰、INASサッカー世界選手権(通称:もうひとつのワールドカップ)がスウェーデンで開催されます。
「もうひとつのW杯」は日本国内で7千人を超える知的障がいのあるサッカー選手にとっては夢であり、代表選手にとっては最大の目標となる大会です。
しかし、代表合宿によるチーム強化、そしてスウェーデンへの選手・スタッフの派遣には非常に大きな費用が掛かります。
現状は費用が大幅に不足し、選手にも大きな自己負担を強いる状況です。
スウェーデン遠征時の選手負担を少しでも軽くするため「日本代表公式応援Tシャツ」の販売を開始いたしました。
是非、皆様のお力添えをいただき、「もうひとつのW杯」へ代表選手団の派遣にご協力いただきますようお願い申し上げます。
「もう一つのワールドカップ」日本代表公式応援Tシャツのご購入はこちらからお願いします。
おまけ
監督はネットショッピングとかしますか?
しますよ。よく買うのは、うちの子供たちのスポーツ用品ですね。あとは家電。
家電買いますか!最近何を買いましたか?
空気清浄機買いましたね。妻が。
奥さんが。そうですか。便利に活用されてるってことですね。
西監督の奥様も利用しているネットショッピング。その裏側を支える「ネクストエンジン」
西監督と西監督の奥様も活用しているネットショッピング。そのお店を支えているのが「ネクストエンジン」です。
導入している店舗数は業界最大級の23,852店以上!(2018年4月期末実績)
「毎日のメール対応が地獄」「複数モールに出店したい」「とにかく忙しい!」というEC担当者の方は、是非一度チェックしてみてください。
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