ロープライスの家具屋「LOWYA【ロウヤ】」これからは画像が集客し、商品のイメージを売っていくことが必要

ニューアキンド

私的な話で非常に申し訳ないのですが、先日引越しをしました。こんにちは、ジェームズです。
 
引越しをする時、皆さんは「新しい部屋はこんな家具を置いて、こうしよう!」と希望に満ち溢れている場合が多いと思います。私もそうでした。ですが実際は引っ越し代、敷金礼金などの経済的圧迫により、結局適当に安い家具を、酷い時はダンボール椅子とダンボール机に落ち着いてしまう事が多いのではないでしょうか。私がそうでした。
 
おしゃれだけど安い・・・そんな欲望を満たす家具はないものか・・・まずは寝床だけでも・・・わずかな家財道具とダンボールに囲まれながら、検索していると「人をダメにするベッド」というものを発見。
 
こんな悪魔のようなベッドが存在していいのか。でも、欲しい。この神をも恐れぬベッドの開発、販売元の「LOWYA【ロウヤ】」は、楽天市場で5年連続ショップオブザイヤーを取っていて上場もているすごいお店。これは取材しなければ、ということで今回はLOWYA【ロウヤ】の運営元、株式会社ベガコーポレーション専務取締役の手島武雄さんにお話を聞いてきました。

LAWYA【ロウヤ】・家具専門店の生い立ち

 
-まずはベガコーポレーションさんの成り立ちについて聞かせていただきたいです。
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手島氏:設立は2004年の7月になります。代表の浮城が家具の輸入商社に勤務しておりまして、彼がもともと独立志向が非常に強く、当時小資本でドロップシッピングから始めることが、家具は商材的に可能でしたので、家具を選択してビジネスをスタートさせたというのが、設立のきっかけになります。
 
設立から1年、2年ぐらいまでは、商品をしっかり説明をすることによって、他社商品ページとの違いということでお買い求めいただいていました。しかし薄利であるという点と、設立3年目あたりから競合他社の値下げによって運営が厳しくなってきました。なので、ドロップシッピングでなく、直接貿易に切り替えていって、そこから自社商品、自社仕入れという形にしていきました。そこから利益が好転してきて、今のビジネスモデルの原型が生まれたというのが、2007年あたりです。
 
-ベガコーポレーションさんは上場されましたよね。優秀な人材を確保したいというものが狙いの一つとしてあるのではないかと思っているのですが、どういった人材をこれから厚くしていきたいと思われていますか。

 
手島氏:今、我々が求めている優秀な人材とは、エンジニアのことです。自社コンテンツというか、自社ドメインの本店であったり、もしくは今越境ECサイトを始めていますが、これを自社で開発していく中で、多くのエンジニアがかなり必要だなというふうに思ってます。
弊社はコアになる部分というのは、常に内部で開発をしたり、自社の人員で作業していくということを基本強みとしてます。そうやって内部にどんどんノウハウ、情報を溜めていくということを行っています。
 
家具は実際に見て触って確認したいというニーズが高い商材だと思ってるんです。例えばファッションやお水、食べ物というのは、どちらかというと衝動買いもしやすいので、衝動的にネットで買って、自宅に届けてもらうというサイクルだと思うんです。その点、家具はまだそういう事が少なくて、伸びていってはいるものの、金額の問題もあったりして、確認したいというニーズが非常に高い。
 
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手島氏:そうしたときに、お客様が家具を買った時のことをどこまでイメージできるかというと、例えばARであったり、VRのような技術は、お客様のニーズを満たすと思うんです。
我々としては、ネットで家具を売るだけでなく、コンテンツ力であったり、提案力、そういったものを総合したブランド力というものを活用しながら、「ネットで買うんだったらLOWYA【ロウヤ】だよね」という位置づけを目指していく必要があると。そういう意味での優秀なエンジニアを雇用していきたいということですね。

LAWYA【ロウヤ】・ショールーム開設の意図とは

 
-実際にLOWYA【ロウヤ】さんの商品を見る事が出来るショールーム(冒頭の写真)を始められたんですよね。
 
手島氏:楽フェスでお客様から「いい家具なのに安い。」というふうに生で言っていただけるお声が非常に多くて。今まで実際にわかってはいたものの、そういうきっかけもなかったので、実際ショールームを作ってみたらどのような反応が起こるかなと思っていました。
すると「LOWYA【ロウヤ】さんのこの商品見たかったんですよ」と言っていただけるファン層が、意外に多かったんです。
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家具・インテリアの総合通販 LOWYA【ロウヤ】のページ

実際足を運んでいただいている方が、月に大体1,000人ほどいらっしゃって、ほとんどがLOWYA【ロウヤ】のページを見ていただいて、確認しに来てるっていうお客様なんです。やはりネット上で知り得た情報を確認しに行きたいという需要は、家具の中には結構あるんだ、と実感しました。
 
いわゆるOtoOはオフライン、オンラインですが、それのオンライン、オフラインみたいな。要はオンラインからオフラインに流すというふうな送客が、これでできるんじゃないか、また、今後はこういったノウハウを活用して、いわゆる家具のプラットフォーム的なものの位置付けというものを、我々は別軸で目指していく必要があるんじゃないかと考えています。
 
-家具のプラットフォーム!新しい言葉ですね。
 
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手島氏:例えば目黒通りっていう家具通りがあるんですよね。
そこには非常にいい家具、珍しいものも含めてあるんですけども、悲しいかな、「行かないとどんな家具があるかわからない」っていう現状がありまして。でも、こういった家具の情報を扱っている、情報サイトみたいなものがあるかというと、ない。しかし、ニーズとしては非常に高いと思っています。
 
実際、家具を買いに行くとなると、1日作業じゃないですか。実際に店舗に見に行って、確かめて、じゃ、次イケアに行って、とかそんな感じじゃないですか。あらかじめ見たいものが、ネット上である程度カタログのように見れて、それを実際店舗に見に行く。そういった情報が、ポータルとして存在していれば、間違いなくそこに顧客のニーズとしてはあると思うんですね。そんなサービスを提供していくことが、我々の次の課題になってくるのかなと思っています。
 
既存の店舗様の情報っていうものを、我々がプラットフォーマーとして提供していく。これが次なる構想ですね。

LOWYA【ロウヤ】での売上の9割強を占める自社ブランド

 
-「人をダメにするベッド」のように、売り上げ全体からみると、自社ブランドの比率はどれぐらいなんでしょうか。
 
手島氏:売り上げの約9割強がプライベートブランド商品なので、もうほぼ自社の商品で成り立っている状況ですね。
最近ではもう一からデザイン3D起こして作っています。
 
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-LOWYA【ロウヤ】さんでは「これ売れるな」とかそういった経験則、ノウハウなどはどのように溜めていかれたのでしょうか。
 
手島氏:家具といってもいろんなジャンルがありますよね。ダイニングあり、ベッドあり、ソファーあり、テレビボードありと、いわゆるそういうジャンルの中で売れてる商品は何か、というのをまず軸に考えています。
 
その売れている商品の上の値段、下の値段の商品というものがありますよね。つまりお客様にとっての比較対象商品ですね。「値段が上の商品だと、安い物と比べてここがいい」とかそういう点を明確にすることで、お客様が、5,000円出すか、1万円出すかっていうように選択肢に広がりが出てくる話になりますよね。
 
なのでこれはノウハウというよりも、どちらかというとマーケティング戦略ですね。また、家具に限った話ではないですが、目玉の商品を売るためにどう見せるかっていうふうなことだと思うんですね。
 
-しっかりマーケティングして、攻め所を見つけているわけですね。
 
手島氏:もう一つ、最近ですと家具だけじゃなくて掃除機だったりだとか、ハンディークリーナーとか、夏物の今ですとテントとか、あと人工芝とかが、かなり売れてきているんです。実際この辺っていうのは、確かにやってみないとわからないというのはあります。
しかし、ある程度マーケットがどのぐらいあるのかっていうのが、大体リサーチできますので、その中に競合さんがどんな感じで売ってるのかとか、どのプライシングで売ってるのかとか、ページはどうかとか、細かいところまでマーケティングすることで、この商品は勝てるなとか、取っていけるなとかいうふうなことは、あらかた想像がつきます。

LOWYA【ロウヤ】画像が、集客する

 
-LOWYA【ロウヤ】さんのページってすごく具体的で、その商品を利用した時のイメージがすごく湧きやすいんです。ページの作り方がとても上手いですよね。
 
手島氏:ありがとうございます。ただ、今まではそれでよかったんですけど、これからは少し違ってくるのかなと。
 
いわゆるSNSがこれだけ普及してる中で、商品のイメージを売っていく事が、やっぱり必要なんですね。最終的にはコンバージョンにつながるかどうか、アクセスがそれによってどれぐらい広がるのかという事はあるんですけれども、画像が仕事をしてくれるというか、画像がお客様を連れてくる時代なんですよね。そうすると、いわゆる商品のイメージカット写真に、どれだけ「いいね!」やシェアしていただけるのかとか、そういったお客様の共感が必要なんじゃないかなと。
 
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手島氏:うちはロープライスの家具屋、ローの家具屋さん、それでLOWYA【ロウヤ】という名前なんですね。楽天のランキング画面でクリックを取るために、とにかく枠を赤くして最安値とか書いてっていう激安をうたってた時期も正直ありました。でも、こういった手法が楽天中で非常に増えたんですね。
 
ですから、安かろう悪かろうではなく、「LOWYA【ロウヤ】だから買う」っていう値段以外での理由が必要なんです。今そういう戦略に移行してきてますね。社内に専属カメラマンもいて、商品イメージを高める演出といいますか、そういった所にも力を入れています。

LOWYA【ロウヤ】顧客目線に立った、出荷を外部倉庫に任せない理由

 
-倉庫の事業もやられていますよね。あれは自社倉庫ですか。

 
手島氏:いいえ。あれは賃借ですね。そこに弊社の社員を派遣しています。
出荷オペレーションやピッキングを社員でやっていますね。
 
-出荷のアウトソーシング化をされる企業様もおられますが、完全に外部に出荷を任せない理由は何でしょうか。

 
手島氏:顧客目線で考えたときに、やはり出荷を自社でやってると融通が利くんですよね。例えば家具って不良品がまだ多い商品なんですよ。やれ傷が入ってたとか、何かが足りないとか、工場がまだまだオートメーション化されてないんです。家具って、どちらかというとまだ人海戦術に近くて、人が加工することが非常に多いんですよ。
 
そうすると、やはりヒューマンエラーが出るのでそれが不良につながって、お客様のクレームにつながってしまう。
お客様の期待を裏切った反動がクレームとしてくるわけですから、明日中に着けとか、送れとかがよくあるんです。例えばこれが出荷を外に依頼すると、外部倉庫としてのルールがありますから、もう明後日にしか送れないとか、当然ですが融通が効かないんですね。結果、LOWYA【ロウヤ】の信用を下げてしまう。
 
なので、できる限り柔軟に対応していこうという思いから、自社でオペレーションをしています。また、自社で倉庫をオペレーションすることによって、過去の経験則から、効率化の問題などを考えて取り組みができる。これもやはりコストダウンにつながるところなんです。
 
すると結果的に、お客様に還元ができるという話になります。ですから核となる部分は自社でやるという姿勢は、ずっと変わっていないです。

 
-コスト面からみても、自社で出荷をするメリットがあるという事ですね。
 
手島氏:そうですね。結局他社に預けると変動費にはなるんですが、自社でやると人を雇うので、固定費になりますよね。結局その固定費になったときに損益分岐点を超えるラインってあるわけじゃないですか。ですから、そこの分岐点を超えてきてるっていうのもありますね。

IT企業としてのベガコーポレーション

 
-越境ECの「DOKODEMO(ドコデモ)」というサービスをされていますが、こちらはいかがでしょうか。
 
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手島氏:ここはまだ現段階としては、投資先行です。
ご存知かと思いますが、訪日の外国人が1,600万人だとかって言われてて、間違いなく今後の日本の消費を支えるのは、外人の方たちになると思っています。
 
爆買いなどと一時期言われてましたけども、これって実際来て買わなくてもいいじゃないか、という考え方があって。たまたま円安で、本国よりも安いので買う。これは確かに、日本人でも海外行ったらそういうことがありますが、買うためだけにその国に行く必要はないのではないかなと。
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人のニーズと物をマッチングさせるのがECじゃないですか。基本的に日本に来なくても、もしくは帰った後にでも、リピートオーダーできるという安心したサイトを目指してるっていうのが、「DOKODEMO(ドコデモ)」なんです。今ははシステムの作り込みを自社でやってるので、セキュリティー問題のクリアですね、お客様が買いやすい状況になるように、ずっと構築していっています。
 
-そのためにも、エンジニアの人員増加をすすめているということですね。
 
手島氏:そうですね。やはり我々はIT企業ですので、自社でそういう開発ができないと、新しいものが作られていかないからですね。
結局物を売るために既にある場所を利用するのか、自分たちで何かイノベーションをしていくのかというような違いかもしれないですね。
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-自分たちで作っていく?
 
手島氏:世の中が求めてるものとか、ニーズっていうもの、「こうなったらいいよね」って何かしらあるじゃないですか。それってそう思ったときに、おそらく世の中ってそうなっていきますよね、基本は。
 
例えば携帯があったらいいなと思ってたら、携帯電話ってできましたし、それにカメラがついてたらいいなと思ったら、カメラがついて、インターネットも乗りましたし。世の中のニーズというものを、誰かしらがキャッチアップして作っていってるわけですよね。それによって、ビジネスっていろいろと生まれているので、それを待つのか、自分たちで作っていくのかっていうと、僕たちは後者でありたいと思ってるんですよ。
 
そうでないと上場した意味もないですし、我々が世の中に受け入れられる存在価値ってどこにあるのかなと。確かに商品を提供するっていうのはあったにしても、それだけだと単なる小売業じゃないですかっていう話なので、あまりもう魅力がないんです。僕たちは小売業という枠組みではなく、やはりIT企業なんですというふうな枠組みで考えています。
 
-そうなんですね。ベガコーポレーションさんのイメージが変わりました。
 
手島氏:そうですね。最初はやはり物を売る、物を売り方が上手いとか、家具屋としての企業でしたので。これはこれでやめませんよ。やめませんし、商材として家具って別に10年20年たっても家具は存在してますので、これは安定的な収益を生む事業として引き続き伸ばしていきます。
 
でも、その伸ばしていく過程であったり、それ以外のところを、我々の自社ドメインサイトであったりだとか、新しい事業として生み出していくというイメージですね。
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Interviewee : Takeo Teshima
Interviewer&director : Tomokazu Noguchi
Photographer&Editor : masamichi okubo

 
 

 
 

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