起業家失格を乗り越えて。気づいた「成功者の特徴」3つ
失敗してきた。人生全般に…なんていうと、太宰治の追っかけになってしまう。ただ起業に関して言えば、失格もいいところだ。
私は教育と葬祭の2つの業界で起業を志し、「客が来なくて自滅」と「創業メンバーが揉めて解散」のわかりやすい失敗をした。それでも懲りずに3社目を動かしている。だがこれだけコケてきたおかげで、成功者と敗者の分かれ目は見えてきた。
ここの記事では、成功した人間だけがやっていて、私ができていなかったことを3つピックアップし、1つずつ解説する。
成功者の特徴① 「必要なアドバイス」に耳を傾ける
名だたる起業本には「人の意見ばかり聞いてはならない」とよく書かれている。ある意味では事実だ。財務知識が皆無な彼女・彼氏へ経営方針を聞くのはよろしくない。あなたが不幸になればいいと願っている同業者ははねのけたほうがよい。
一方で、自分より優れた人のアドバイスを無視するのが失敗者の典型例だ。誰から助言を聞くべきか考えるとき、冷静なときは我々も「自分より優れた人がわざわざ言ってくれてるんだから、取り入れよう」と思える。だが、いざ経営が厳しいとき、助言をしてきた相手が自分より年下ならどうか。学生ならどうか?自分よりすぐれた専門知識を持っているとわかったとき、頭を下げられるだろうか。
成功者は、頭を下げられる。敗者にはそれができない。
また、「誰のアドバイスを聞くべきか」を選別するのは最も重要なポイントだ。敗者は「好きな人」からアドバイスをもらおうとする。高校時代から尊敬している先輩。会社の元上司。親。彼らが一度も起業なんてしたことがないにも関わらず、感情で人を選んでいるのだ。
このミスを犯さず「自分よりその分野で成功している人」をアドバイザーに選べたとしよう。飲みに連れていってもらい、頂いたアドバイスをすぐに実行できるだろうか?多くの人は「はぁ」と受け流すのではないだろうか。
ある方から、起業相談をいただいた。私にできる範囲でお応えしたが、数か月たっても変化がない。「どうされてますか?」と聞いても「いやあ、ためになりました」とお礼が帰ってくるばかりだ。
そこで彼と飲みに行き、詳しく話を聞いたところ「自分は頭がいいと思ってこれまで生きてきた。だから自分がもの知らずだと指摘されるのがどうしても耐えられない」とおっしゃられた。私も決して頭がいいわけではないが、もし自分より専門性が高い人のアドバイスを同様の理由で無視するなら成功者にはなれまい。
成功者は、助言をすぐ実行する。このバーに通えばよくしてくれると言われれば通い、営業へ行けと言われれば100件電話する。どんな助言も、実行せねば成功できない。成功者はアドバイスを聞いてから実行するスピードが、とてつもなく早いのだ。
成功者の特徴② 大企業から学ぶ
私がかつて葬祭事業を立ち上げたとき「大企業の時代は終わりだ。これからはベンチャーが世界を席巻する」と思っていた。とんだ勘違いだった。
数珠、骨壷、霊柩車、卒塔婆……あらゆる道具でイノベーションを狙ったベンチャーが、葬儀場から火葬場まで全部揃える馬力のある、総合商社の参入で木っ端みじんになったのだ。私が足しげく営業をかけて広げてきた努力は水の泡となった。なにしろ、営業をかけた寺院自体が経営危機に陥ってしまったからだ。
成功者は大企業から学ぶ。彼らのもつスケールへ経緯を払う。大企業がリターンを考えると手を出しづらいゾーンから手を出していく。一流企業に登りつめたメガベンチャーを見れば一目瞭然だ。DMM.com、メルカリ……どれも最初は大企業がひるむジャンルへ打って出た。そして徐々に自浄作用を働かせ、一流企業へ転身していったのだ。
成功者の特徴③ 「誰から嫌われるか」を決めている
「いい人」が起業をすると、誰からも好かれたがる。消費者、出資者、株主、取引先。しかし思い切った施策は必ず、このどれかから反感を買う。ある社長は、経営難に陥っていた。そこでコンサルタントが入り、すぐに人件費が高すぎることに気づいた。世間の相場より1.5倍もの賃金を払っていたからだ。
だが、それを指摘すると、経営者は首を横に振った。「これまでずっとお世話になった社員だから、これくらい払わなくては」。その結果、社員の給与が足を引っ張り、研究開発へ資金を回せずにいた。そうすると良い製品は生まれない。巡り巡って人件費を払えなくなる。
「いまは苦渋を飲んでくれ。そうすればだれもが納得する成果を出せる」と、反発を抑え込み、時には悪役となるのも社長の役目だ。社員のことだけを見て会社を回すと、めぐりめぐって消費者や株主をないがしろにしてしまう。そうするとモノが売れなくなるから、最後は本丸ごと潰れてしまうだろう。
最近だと、日大の不祥事がわかりやすい。日大アメフト部が反則行為を行ったとき、とっさに日大は組織のナンバー2だったアメフト部監督を守る方へ動いた。しかし日大の資金源は助成金を出す国と学生だ。この2社へ背を向けて社員を守った結果ブランドイメージを傷つけ、売上ダウンへの道を歩んでしまった。
成功者は、好かれるべき相手へ優先順位をつけられる。取引先を怒らせてでも、圧倒的な売り上げで黙っていただくしかないこともある。株主を怒らせてでも、売りを取るべきときがある。社員に対しても然りである。
まとめ
成功者がやっていることは、とてもシンプルだ。助言をすぐ実行し、大企業へ敬意を払い、好かれたい相手を選ぶ。たったこれだけのことをするのが、いかに大変か。私自身もまずはアドバイスへ忠実に従うことで、次こそは成功への切符を掴もうと思う。