こんにちは、最近テレビに向かって独り言が多くなってきた Hi5 です。
マネージャーの皆さんは、期末や四半期末が近づくと、来期へ向けた予算作成に追われていることでしょう。新たな期からマネージャーに昇格した方は、もしかしたら初めてのP/L作成に疲れ果てているかもしれません。そんな、はじめてのP/L作成の一助になれば幸いです。
「目標の立て方-その1」 P/Lとは?
P/Lとは、Profit and loss の略で損益計算書になります。
損益計算書は、財務諸表の1つで、特に重要な P/L、B/S、C/S を総称して財務三表と言われています。
今回は経理財務担当や会計担当が作る会社の P/L ではなく、営業担当や企画担当が作る予算表という意味での P/L 作成について説明していきます。
「目標の立て方-その2」 P/L作成のポイント
P/L作成は、自分の首を絞めることにもなりかねない魔物です(笑)
低く設定(厳密にはしっかり上積みできるライン)したことで、会社からは暗黙の圧力をかけらた経験をお持ちの方は少なくないでしょう…。
資本主義社会において、会社は成長し続ける運命ですから、仕方が無いのです。でも、キチンと納得させる数値を見せられたら誰も文句は言いません(と思います)。
(本題に戻り、)
P/L作成する上で重要な大項目は以下の2つです。
- 売上
- コスト
ここから、ブレイクダウンしていきます。
売上の内訳を書き出しましょう。
例えば、
スマホ販売をケースに説明すると、スマホ販売の売上高の内訳は月額利用料とオプション利用料、スマホ本体料金です。また、売上を作るためにかかるコスト(原価)は、販売管理費(仕入れ代金、人件費、広告宣伝費、外注費)などが挙げられます。
次に月額利用料などの売上(収益)、販管費などのコスト(原価)はどのような要因(ドライバー)で増減するかを考えます。
Point!
この売上(収益)を増減させる要因をレベニュー・ドライバー、コスト(原価)を増減させる要因をコスト・ドライバーと言います。
- 売上( 月額利用料 )のDriver
- 契約台数、月額プラン
- コスト( 仕入れ代金 )のDriver
- 仕入れ台数、下代
(便宜上、1つのみ説明します)
上記のとおり、売上( 月額利用料 )の予算を引くためには契約台数と各契約ごとの月額プランを算出する必要があり、コスト( 仕入れ代金 )の予算を引くためには仕入れ台数と下代を算出する必要があります。
「目標の立て方-その3」 予算(ヨミ)を立てるには
では、実際にどうやって予算(ヨミ)を立てるか。
多くの場合、会社予算というものが各マネージャーが立てる部署予算よりも先にありますが、今回はそれは考慮せず自ら達成出来うる予算を立てるということを前提に解説します。
新規事業の場合は、実数値やあるいはフェルミ推定などを用いて仮説を立てていかなければなりませんが、来年度の予算ということであれば前年度(今年度)の実績値を元に立てていくことになります。
通常、実績値というのは同じことを行えば達成できるであろう数字になります。これを予算とすることは貨幣経済として経済成長しなければならないわけですから当然、保守的(Conservative)な考え方になります。そして資本主義のもと、会社からもこの数字で予算を立てると、ダメ出しされることでしょう。ただし、SWOT分析や3C分析、PEST分析などの結果、伸びない根拠が示せれば納得も得られやすいでしょう(当然その打開策を求められるのが会社というものですが)。
次にこのコンサバティブな予算を基準に現実的な成長率、いわゆる適度(Moderate)な予算を算出します。ここは前年度成長率を踏まえて設定します。一般的にはこのラインが予算として採用されやすいところになりますが、外的環境などの要因で上ぶれることが明確な際は、成長率は高めに設定されることもあるでしょう。
最後にモデレートな予算を基準に攻めの成長率、いわゆる積極的(Aggressive)な予算を算出します。私の場合、このアグレッシブな予算を部署のみんなで目標にして動いていくことが多くあります。
「目標の立て方-その4」 予算は現実ラインを知ることから
では実際に上記をもとに予算を立ててみます。
まず直近の年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を算出してみます。
これはすごく利用価値が高いのでぜひ覚えてください。
例えば既存事業であれば、過去5年の実績値推移を書き出し、年平均成長率を算出します。
この計算式で算出したCAGR(年平均成長率)は、24.47%となりました。
前年度の売上高 24 百万円に 24.47% を乗じた売上高予測 ≒30 百万円、私はこれをモデレートな予算に設定します。
外的要因など過去5年のトレンドを大きく左右する要因(各ドライバー変動)がなければ、大体この範囲で成長していくであろうことが予測できます。
あとは最低成長率であった 2015年度→2016年度 の 20% をコンサバティブな予算として仮置きし、各ドライバーを調整し現実的なものかを確認していく作業をする。というようにチューニングパラメータを調整しながら、各ドライバーの最適値を見つけだします。
「目標の立て方-その5」 売上を上積みできるドライバーを探すのが最大の難関
ここで紹介した方法は一例であり、確実にあがるであろう売上や、見込みの売上(ヨミ)を算出したものになり、会社予算には足りないケースがほとんどです。その際に、このヨミを上乗せできる、予算を達成させるためのドライバーを見つけ出すことが必要になります。この要因がないときに無理矢理フレキシブルな数字を乗せると、冒頭で記載したように自分の首を絞めることになります。
しっかりと戦略を練って毎年仕込み(種まき)をしていくことで、最良のレベニュー・ドライバーを見つけられるよう準備してみてください。