こんにちわ。最近、AI(人工知能)という言葉を多く耳にする機会が増えてきました。とりわけ、ソフトバンクの開発したペッパーは、大衆をAI(人工知能)が可能にする近未来を想像するようなプロダクトに感動をおぼえた方も多いのではないでしょうか。
AI(人工知能)についてどうビジネスに生かしたり、サービスと連携されるかについて多くの企業が頭を悩ませたり、試行錯誤を繰り返しているなか、カラフル・ボード株式会社の代表取締役CEO/人工知能科学者・渡辺祐樹氏は、そのAI(人工知能)について大学院時代から学んでおり、常に最先端のAI(人工知能)について大学機関と連携して、研究を重ねています。今日は、渡辺社長にずばり、今後のAI(人工知能)の可能性について伺ってきました。
人工知能アプリ「SENSY(センシー)」を開発した理由
-まず、人工知能アプリ「SENSY(センシー)」の立ち上げについて教えてください
渡辺氏:はい。まず私たち人工知能アプリ「SENSY(センシー)」は、いきなりこのサービスを始めたわけではなく、最初はデザインのクラウドソーシングプラットフォームであるCOLORFUL BOARDを始めました。
-デザイン系とは今のファッション系とはまた違いますね
渡辺氏:まあ、そうですね。デザイン系といっても、エンジニアやフロントエンドのデザイナーではなく、どちらかというとアーティスト系ですね。たとえば、趣味でイラストを描いていたり、企業に勤めながら、傍らでグラフィックデザインをしている人、フリーランスで活躍の場を探しているアーティストを、COLORFUL BOARD上で業やアーティストのデザインを必要としている人とのマッチングを行っていました。
サッカーチームのロゴTシャツのデザインなど、全国からクリエイター・アーティストがオンライン上にて毎月デザインが投稿され、Facebookなどソーシャルメディアと連携したスコアリング(投票)により、人気が出たデザインを実際に製品化、販売する仕組みです。
-すごい良いサービスですね。アーティストの活躍の場を広げるというか…
渡辺氏:実はCOLORFUL BOARDは最近まで、運営していたのですが、今は人工知能アプリ「SENSY(センシー)」の開発に専念するために運営には携わってはいないんです。ただ、人工知能アプリ「SENSY(センシー)」は人工知能を全面に押したサービスとして知られていますが、COLORFUL BOARDにも人工知能は使っていたんです。
-お、本当ですか?2011年ですよね?
渡辺氏:その頃から、まだそこまで世界的に広がっていないだけで、人工知能を生かす技術はあったんです。もちろん、今の人工知能の方がより応用できる範囲が広いのですが、SNSと連携してスコアリングする際、デザインの良し悪しを人工知能の技術を使って採点していました。
-なるほど、それで人工知能アプリ「SENSY(センシー)」の構想を練りながら、2014年にリリースしたことになるんですね。
渡辺氏:はい。
-そういえば渡辺社長は、どうして人工知能に詳しいのですか?何か前職で学ばれたとかですか?
渡辺氏:いえ、大学時代にずっと人工知能の研究をしていたんです。もともと慶応大学にいた頃からは、いつかは起業しようと考えていたんです。実際、大学を卒業して、情報通信・経営コンサルの会社である株式会社フォーバルに入社しました。
株式会社フォーバルは、アントレプレナー制度というものがあり、伝説のアントレプレナーとして有名な大久保社長、直々に経営のノウハウやアドバイス、将来の起業の際の資金援助などをしてくれる、起業を前提にしている学生向けの入社方法です。
運良く選んでいただき、経営のイロハを学ぶことができたのが、今につながっていると思います。
また、人工知能アプリ「SENSY(センシー)」のサービスの構想については、2社目のIBMビジネスコンサルティングサービス株式会社に在籍したときに、アパレル部門のクライアントを担当することになったのがきっかけです。
華々しいファッション業界とは想像しがたい、在庫の多さや管理に課題を感じていたのです。もっと、ここを解消することができれば、ファッション業界全体の底上げになるんではと思ったことで、人工知能アプリ「SENSY(センシー)」のサービスが生まれました。
-なるほど、なぜ人工知能アプリ「SENSY(センシー)」は人工知能を取り入れているのですか?
渡辺氏:SENSY(センシー)の理念にあるように、ヒトのライフスタイルをより最適化し、無駄をなくすことが、世界で叫ばれているゴミの問題など社会的課題をも解決するビジョンを達成するためです。
というのも、これだけ、インターネットが発達し、誰もがSNSを使って発信できる時代、情報が大量に渦巻き、本当に欲しいものや必要な情報が埋もれていってしまうといったことが起きています。そのミスマッチをなくすために、ずっと学生時代に研究していた人工知能の可能性を、人工知能アプリ「SENSY(センシー)」でフルに活用することで、ゆくゆくは一人一台の人工知能、パーソナルスタイリストとしてのサービスを目指しているからですね。
人工知能アプリ「SENSY CLOSET」などのビジネスモデルについて
-いまの人工知能アプリ「SENSY(センシー)」のサービスの主軸について教えて下さい。
渡辺氏:はい。現在、 人工知能アプリ「SENSY(センシー)」のサービスはBtoC向けのSENSYアプリと、BtoB向けの店舗接客、EC接客の「SENSY CLOSET」、パーソナライズDM等、人工知能プラットフォームを活用したプロダクトを提供しています。最近はBtoB向けのSENSY(センシー)の人工知能を用いたパーソナルデータの活用がファッションや百貨店業界に引き合いがあるので、そちらがメインになりますね。
-具体的にはどんなサービスなんですか。
渡辺氏:まずBtoB向けの店舗接客ですが、これはショッパー(販売員)さんの接客のお助けツールとしてご利用いただいています。既存のショップや百貨店ですと、何百もあるファッションブランドさんにとっては、販売員の記憶力では追いつけない場合もあり、来店いただいたお客様への適切なアプローチができない場合などもあります。
しかし、この人工知能アプリ「SENSY(センシー)」の人工知能を使えば、人工知能が学習したパーソナルデータをもとに、お客様に沿ったファッションコーデを提案することができます。また、今後は、ブランドをまたがったコーデをSENSY(センシー)と提携しているショップの中から見つけ出し、オシャレを提案してくれるようになります。これは、既存の販売員にはできない部分ですね。
-いわゆる人工知能接客ですね!
渡辺氏:はい、そうですね。いまはファッション業界がメインですが、先日ワインソムリエを人工知能アプリ「SENSY(センシー)」が利き酒師としてお客様に、ワインをレコメンドした店舗も試験的に行いましたが、今後はヒトのライフスタイルの衣食住すべてにSENSY(センシー)の人工知能を使った接客、サービスを展開したいと思っています。
-ファッションができれば、食、住もできると?
渡辺氏:はい、現在の人工知能の技術であれば、可能です。もちろん、サービスとして世に出すために開発やその他検証は必要ですが、現在のサービスを運営しつつ、同時進行で開発も進めています。
-人工知能の可能性がどんどん広がりますね!続いてのSENSY CLOSETはどんなサービスですか?
渡辺氏:これは、ECサイト向けのサービスなのですが、SENSY CLOSETの対応サイト内では、まるで実際に店舗に訪れているかのように、ファッションの着せ替え、お気に入りのコーデを保存することができるサービスです。
また、いま自分が所有しているファッションクローゼットをデジタル上に記憶し、いつでも閲覧できるように、同じような服を買ってしまうのを防ぐこともできる機能もあります。
-なるほど、ありそうでなかった、いわゆるマイ・クローゼットの見える化ですね?
渡辺氏:はい、そのとおりです。現在だと、必ずしも店頭に行かなくても、電車内や海外でECサイトを通じてお気に入りのファッションアイテムを買うことができます。しかし、クローゼットの中は、すべて記憶できているかというとそうではない場合もあり、以前購入したものと似たような色合いやデザインを買ってしまったという経験はあると思います。
このようなミスマッチをなくすためにデジタルクローゼットというものをつくりました。また、導入企業に関しても、よりECサイト内での回遊や購買促進につながる施策として注目されています。
-パーソナライズDMは初耳ですが、これはどんなサービスですか?
これは、人工知能アプリ「SENSY(センシー)」の人工知能として蓄積されたお客様のパーソナルデータを最適化し、そのお客様ひとりひとりの興味関心を引くアイテムを反映させたDMを送るサービスです。
-え、それってひとりひとり違う内容のDMになるんですか?
渡辺氏:はい、そうですね。実際、スーツを中心に販売するはるやま商事さんにご利用いただいたところ、目に見える効果が上がったのです。今回はスーツということで、男性の方が数値が良かったのですが、ブランドによってはまた変わってくると思います。今回は適応しなかったですが、ひとりひとり違った割引き率をあてることも可能です。
-このサービスはとても面白いですね。近未来の店舗・イベント集客に応用できそうですね。
渡辺氏:はい、パーソナライズDMは特に好評いただいていますので、業種問わずさまざまな応用のしかたが考えられますね!
人工知能アプリ「SENSY(センシー)」の今後の可能性
-では、さいごにお伺いしたことがあるのですが、今後AI(人工知能)はどのようになっていくのでしょうか。
渡辺氏:はい。人工知能については、先ほどもお話しましたが、いま急速に進歩を遂げています。研究のレベルについては、日本も海外も同じくらいで、ただ、欧米諸国の方が人工知能を使った実務レベルでの試験的導入ないしは検証が多くされているといっていいでしょう。
そのような状況を日本のメディア側が人工知能が人の仕事を奪うのではなどど翻訳したり、拡大解釈して伝えていたりするわけですが、いわゆるシンギュラリティ(人工知能の頭脳が人間の頭脳レベルを超えること)が2045年とされていますが、ここ5〜10年で来るかもしれませんし、2045年以降になるかもしれません。つまり、まだはっきりしていないのが現状なんですね。
-なるほど。人工知能アプリ「SENSY(センシー)は人の仕事を奪うとかはないですよね?
渡辺氏:人工知能アプリ「SENSY(センシー)」の立ち位置はあくまでも人の感性を学習するパーソナルプラットフォームです。ドラえもんの世界観と一緒で、一家に一台ドラえもんみたいに、ひとりひとつの人工知能を持ってもらい、あらゆるライフスタイルの局面で人の手助け、道先案内人としての活用をイメージしていますのでご安心ください。
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