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ホーム > アキンド探訪  > 企画して「物を売る!」 本物の価値ある商品を提供し続けられるワケとは

前回の「【ブランド戦略を聞く!】Hamee株式会社と有限会社スコープの社長対談!」に引き続き、Hamee株式会社代表取締役の樋口氏との対談形式で、ECが始まった当初の苦労話や、「scope」の変わらない部分、EC業界の今後などについて、お話しいただだきました。

「物を売る」高いものを仕入れて定価で売る姿勢は一貫していた

―お二人がお店をスタートされたのはECが始まった初期の頃ですから、やはり苦労した部分もあったと思います。当時の印象的なエピソードなどがあれば、教えてください。
 
樋口:詐欺にあったとか(笑)。
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樋口:多分、話すと長くなっちゃうから(笑)。最初はネット通販から始まって、メーカー寄りになって「会社にしよう」と。仲のいい香港人の友達と一緒に会社を作って、ストラップを大量生産・大量販売したんです。1発目の商品はよかったんですけど、2発目があんまり売れなくて、焦っちゃったんですよね。で、ガンガン、後払いでもいいから買ってくれる所にってやっていたら、結構な金額の取り込み詐欺にあっちゃって、ブワーってお金がなくなっちゃったんです。当時20歳くらいだったんですけど、それが一番大変でしたね。だからその後は、ネット通販に徹してコツコツやるのがいいかなって思って。
 
あと、それが直接の原因ではないんですけど、香港人の友達とも、それから2年後に別々にやろうということになって。半分ずつ資本を出しているからどうにもならなくなっちゃって。そこからは、友達と一緒に事業をするのはやめようと思いました。自分が圧倒的なマジョリティを持っていないと、一緒にやっている人のことも不幸にさせてしまうと思うようになりましたね。
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平井:うちの場合は、ずーっとあんまり人と接しないで、自分がやりたいようにやっていたので、「耐えるしかない」っていう所ですね。お金がないからファミレスでバイトするみたいな、売れない芸人さんと同じような感じで。バイトで稼いで10何万もらって、スコープの給料はゼロで2年くらいやり続けるみたいな。そういう苦労ですね。まあ、最初はそんなもんですよね。
 
樋口:僕の所は1997年から始めて、僕も全然お金はなかったんですけど、実家に住んでいたからまだ助かりました。100円ショップでおかゆ買ってきて、みたいな(笑)。そういう世界ですよね。
 
平井:当時、「日本は何があっても生きていける国」って言われていたけど、ウソじゃないかって思うくらい貧乏でした。缶ジュースとか開けてるヤツがうらやましくて(笑)、買えなかったですから。あと野良猫を見てうらやましく思ったり(笑)。忙しいけどお金ない、みたいな状態で。当時でも既にブランド家具なんかの安売りで結構な売り上げを作ってる人もいたけど、僕たちは「安売りはしない」って決めていたので、売れなかったんですよね。当時から良いものを仕入れて定価で売るっていう、それは今より強かったかもしれない。

「物を売る」まずは古い年代のものを何百脚集めて並べてみて価値を見つける

 
平井:あと、あるお金をどういう風に投資していくかっていうことを、社長は考えるじゃないですか。樋口さんが投資しているのは、システムだったり、海外の子会社ですよね。僕らはものすごく集約した会社にしようと思っているので、今いるスタッフにたくさん投資するのと、あとはモノのアーカイブですよね。過去の物を集める。いろんなソファーとかいろんな花瓶とかいろんな椅子とか、そういうのを集めることにすごくお金をかけています。
 
樋口:うちのスマホケースをアーカイブしてもしょうがないですからね(笑)。アンティークって、それだけで資産価値があるから。
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平井:一個のモノを作ろうとした時に、過去にザーッと遡るんです。例えば、artek/Stool60をスコープで別注しようと思ったら、簡単に「これのこの色にしようよ」っていうやり方は、絶対にやらないんです。1930年代の古いものを百脚以上集めてみて、全部並べて「何が価値なんだ、ここだ」って。そうしないと、お客さんが損するから。お客さんが得をするような方向で考えていて、スコープで買った物が後から価値が出て高くなる、みたいなことがあるといい。ネットオークションで、去年の11月に3000円でうちが売った布が、すぐに数万円になる、とかも実際にあって、そういう買った物の価値が上がるのってなんかいいなって思います。

物を売るために仕事のやり方を変える

 
―scopeさんの場合、商品へのこだわりなどは当初から現在まで一貫されていると思います。その他に、昔から今までで変わってない部分はありますか。
 
平井:うちは、Hameeさんくらいの人数にするのが難しいなと思って。人を増やすのが嫌いなんですよね。だから、「しんどいから人増やしてくれ」とか言われると「知恵を出して、もっと簡単にできる方法考えてよ」という、知恵出し制度をやっています。社員だけじゃなくパートさんも同じで、割り当てられる仕事によって時給がどんどん上がるようにして、賞与もあって。出荷場も、以前は200件だったのが、仕事のやり方を変えたら1,000件こなせるようになったり。スタッフ1人当たりの売り上げをどんどん増やしていく仕組みというのを昔からずっとやっていて、そこは一貫していますね。だから、スコープに新しいスタッフが入ってきたときに、パートさんを含めてみんなが「あれどうする、これどうする」って知恵を出し合って話しているのを見て、不思議だって言いますね。
 
あと、僕、お金の使い方にすごくうるさいと思うんですよね。使うとこには使うんですけど「とりあえず」なモノを買うと、処刑されるっていう(笑)。例えば会社で使う椅子にしても、いいものはいいじゃないですか、やっぱり。いいものを買ってそれをずっと使っていた方が会社の歴史にもなるし。そこも変わらない部分ですね。
 
―樋口社長は、同じネットショップとして、スコープとの違いを感じたりしますか?
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樋口:うちも、今そっち(スコープ)の方向に行きたいと思っているんですけど。スコープさんみたいに、徹底して大事に売る、作る、商品を絞り込む、もっともっとクオリティの高いものを作るとか。そうしたいんですけど、忙しくてなかなかそこまでできていない。少し前までは「会社をつぶしちゃいけない、伸ばさないといけない」という思いが強くて「つぶさないためには」という、危機感の方が大きくて。忙しくて人を増やしても、スタッフはみんな頑張っているから新しいビジネス作るし、成長させているんです。でも、相変わらず忙しい。こういう状況を、スコープさんみたいな流れに持っていきたいな、という思いが強くあるんですよね。
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平井:僕もスタッフが大変そうだと、なんとかしてあげたいと思うんですよね。そういう時は、人を雇うべきか悩むんですけど。そこで考えた手法が「人を雇う」じゃなくて「新しいことを増やしたら何かをやめよう」と。例えば、ラッピング対応をやめるとか。今はパートさんも含めて全員で30人で出荷まで行っていて、そのうちの7人で経理、輸入、Web制作、商品企画、写真撮影、SNSを担当しています。樋口さんと会った当時は年商6億くらいだったんですけど、今はちょっと人が増えただけなのに20億近くまで伸びてます。
 
樋口:やめるっていうことも大事なことなんですね。

「物をみんなに安く売る理由」を企画化して商品を売る

 
―EC業界の全体感として、大手モールは定期的に行う大型セールやポイントキャンペーンなどがスタンダードになっています。今後も、その流れは続くと思われますか。また、同じ業界で頑張っているネットショップ事業者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
 
樋口:うちは、今後スコープさんみたいな方針でやっていきたいですね (笑)。スコープさんはどうですか?
 
平井:僕らの業界は、値引きするのが「悪」みたいな考えがあり、僕らもずっと定価販売を大事にしてきたんだけど、だからこの業界は広まらないのかなと思っている部分もある。世間とは逆行して僕は今、値引きいいんじゃないかな?と思っています。何だかんだ、みんな安い時に買うじゃないですか。プレゼンテーションの仕方が問題なのであって。
 
僕らがSNSを活用した例として、お皿の在庫が2万5千枚くらいあってなんとか減らしたいと思った時に、スタッフは最初「返品したい」って言っていたんですけど、僕、お客さんに安く売ったらいんじゃないかって考えて。そのお皿に乗せた料理の写真をインスタにアップして、SNS上の企画として「みんなで商品ページつくっちゃおうぜ企画」という風にしたんです。これはおもしろかったです。フォロワ―が数万人いるような影響力のある人も、それを見て燃えてくれて。さらに、週一で僕たちがいい写真を選んで、選ばれた人には豪華商品をプレゼントしていた事もあり、たくさんの人達がインスタにアップしてくれました。そしたらその様子を見て、別のお客さんがまたお皿を買ってくれる。1ヶ月しないうちに、1万2千枚くらい在庫が減り、ほっと一安心でした。
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インスタのフォロワ―って、僕はそんなにいないんですよ。SNSはフォロワ―の数より、いかにSNSに連動した新しい企画を作れるかだと思っていて。商品をただセールで安く売るんじゃなくて「モノをみんなに安く売る理由」っていうのを企画化して商品を売るというのが、今後は増えていくんじゃないかなと思いますね。
 
樋口:確かに、残った在庫を返品したり捨ててしまうのではなくて、そういう風に売っていくのが大事ですね。売り方として、安いものを集めてただ売っているだけのECはダメだと思いますね。
 
平井:かといって、絶対に値引きしない!とかは、僕は違うと思うんですよね。超ハイブランドはやらないかもしれないですけど、通常のアパレルブランドはセールやりますし、みんな買っていますし。そういうのもうまくやっていくのが、広がっていくコツなのかなと思います。

「物を売る」ものづくりのポリシーがないと世界には通用しない

 
平井:今日、樋口さんと話していて、世界に広がっていこうと思ったら、やっぱり「本物」じゃないと無理なんだなって思いました。いかに自分たちでブランディングするか、モノづくりは自分たちがどう決めるかですから。食器だったら長く使えるとか、「ものづくりのポリシー」みたいのがないと世界には通用しないぞと、やる前から気づいてしまいました。
 
樋口:それは、日本も同じだと思いますね。中小でも安売りの店は存在するけど、「安売り」だけだと結局大手には敵わないじゃないですか。中小のECとしては、スコープさんみたいな形が、未来のECの形なんじゃないかなと思いますね。
 
平井:インスタグラムとか、SNSの活用も絶対合うと思いますよ、Hameeさんは。例えばHameeさんの商品を持っている人が参加できる企画とか、やってみるといいと思います。
 
樋口:スコープさんの過去の企画も拝見して、うちでもちょっと考えてみようと思います。
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編集後記

どんな時でも決して安易な方向に走らず、徹底的にこだわり、考え抜くscopeさんの姿勢は、商品セレクトや写真、文章、SNSの企画など、あらゆる所に現れていると思います。
 
売れない時代でも変わらずに自分たちのポリシーを持ち続けてきたからこそ、scopeさんは、決してひとりよがりではない「本物」の価値ある商品を提供し続けられているのだと思いました。
 

 
 

この記事を書いた人

「ネクストエンジン」のマーケティング全般とその他雑用を幅広く担当。趣味は迷惑メールの購読と家庭菜園。「お母さんのパート先のいい人紹介するから⇒URL」というひねりの効いたおもしろ迷惑メールにテンションをあげますが、既婚。二児の父。

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