「人工知能の未来」を女性脳と男性脳の視点から考える

ニアセ寄稿

 
近頃の人工知能(AI)の発展には目覚しいものがあります。店頭でお客様の対応をするAIを搭載したロボットの登場や、将棋などの電脳戦ではプロの棋士に勝つほどにまでなりました。そしてオックスフォード大学の教授が発表した、10年後にはなくなる職業を見て、愕然とした人もいるでしょう。
 
果たしてAIは人間にとって変わるようになるのでしょうか。今回はAIについての考えを述べたいと思います。もちろん、これは個人的な意見であり、決して未来がどうなるなどといった予言をするつもりはありません。あくまでひとつの意見としてお考えください。

人工知能の未来を脳という装置から見る

脳は脳神経細胞、ニューロンと、幾重にも枝分かれして、それらを繋ぐ神経繊維によって、天文学的な回路を有しています。
 
これらの回路は感じたり、気づきや考える、思う、といった脳のイベントの全てに関わっていて必要な時に必要な回路が科学的な電気信号によって活性化されるのです。そこではとても複雑な情報処理、取捨選択、判断、決断といった計算を瞬時に脳は行っています。
 
これらを一つひとつデータ化してAIとして作り上げるには想像を絶する時間と技術、知識が必要であり、トライアンドエラーを繰り返しながら今日に至っていると想像します。

「人工知能の未来」 AIと脳の違い

私たちの周りは今や多くAIに囲まれています、すでに私たちの社会はAIによって成り立っている部分も多くあるのです。
 
例えば、顔認証システムはそれぞれの顔のパーツをカメラによって登録されたデータと照らし合わせ、そのデータと一致するかどうかを判断するというものです。
 
また、将棋の電脳戦で棋士と対戦するのもAIです。これらはある特定の分野で、膨大な記憶=データを蓄積し、それらを判断して最良の結果をはじき出します。データの蓄積という点において、AIの能力は人間の脳をはるかに超えていると言っていいでしょう。人間の脳は忘れるものだからです。
 
しかし忘れることができるのは脳が持っている能力とも言えます。先ほども述べたように、あらゆることを見たり、聞いたり、考えたりして特定のことにのみ集中するわけにはいかないのです。種の保存のため、生き残るためにはある特定の分野にのみ脳を使うわけにはいかないのです。
 
生きるために多くの臓器を機能させ、動くために手足に指令を出して動かし、目や耳から入ってきた情報、手で触れた感覚を分析して必要であるかないかを判断して記憶領域にしまいこみ、あるいは棄て去り、迫り来る危険をいち早く察知し、避けるか、戦うかを決断して行動を起こしながら、未来を予測する。
 
目の前にいる人と以前会ったことがあれば、記憶の引き出しからそのデータを引き出し、必要な情報をどう使うかを考える。総合的に見れば、私たち人間の脳はどのようなAIよりも複雑な計算を常にしているのです。

人工知能の未来を男性脳と女性脳から考える

以前、脳には男性に多く見られる男性脳と女性に多い女性脳の2種類があるというお話をしました。
 

▼「女性脳」「男性脳」について知っておきたい方はこちら▼

「女性脳」「男性脳」で変わる購買行動|商品説明はどうするべきか?

 
複雑な計算をしている私たちの脳は必要性があって男性脳女性脳が存在しています。男女の脳は回路特性、信号特性が違います。ご存知の方も多いかと思いますが、人間の脳には右脳と左脳がありそれぞれの脳を脳梁というものがつないでいます。
 
男性はこの脳梁が女性に比べて細い人が断然多く、そのため左右の脳を信号回路が行き来することが女性より少なく、左右の脳をそれぞれ別に徹底して使う傾向があります。対して女性は脳梁が太いので信号は左右の脳を頻繁に行き来して連携します。

「人工知能の未来」物事を俯瞰的に見る男性脳

簡単に言うと男性脳俯瞰的な脳と言うことができます。目の前の事象を細かく平面的に認識するのではなく、まばらに、そして空間全体をとらえる、三次元的な捉え方をします。
 
ゴールがどこにあり、今自分はどこに立っているのかがわからないと不安になります。結果を出して達成感を得るのです。ですから男性脳は身近な人を察していちいち動揺することもなく、普遍の仕事を成し遂げます。組織(社会)のために地の果てまで行くし、ムラのない作業をコツコツと積み上げて大きな組織を作る能力に長けています

「人工知能の未来」臨機応変に対応ができる女性脳

女性脳臨機応変力のある脳です。目の前のことを逃さず見つめ、大切なもののわずかな変化も見逃しません。共感という潜在情報を欲しています。そして子供を守る母としてのDNAで本人も知らないうちに危険を回避する能力を持っています。
 
情報収集も得意。奥様同士のとりとめのないおしゃべりの中から必要と思われる情報をキャッチします。何かことが起こったら、何年分もの蓄積された記憶を一気に脳裏に転記して臨機応変に動くことができるのです。そんな女性脳は情動で動きます。結果よりもプロセスを大事にするのです。

「人工知能の未来」を2種類の脳から考える

この世にはあるべくして2種類の脳があると考えられます、片方は左右の脳を別々に使い、空間全体を把握して獲物までの距離を測って複雑な図面を読むことが得意。変化には弱いけれども死ぬまで頑張り続けることができます。
 
そしてもう一方は目の前にあるものを舐めるように見て、周りの人たちの体調変化やためものの腐り具合などを敏感に察知します。おしゃべりによって情報収集をする脳です。
 
人間の脳が目の前で起こっている事象を即座に認知するのに、約0.6〜0.7秒かかると言われています。女性脳は直感的に、危険が迫っているという微妙な変化を感じ取ります。男性脳空間察知力でそれがどこから、どのような規模で迫っているのかを測るのです。これらの情報を合わせて、人類は今日まで進化してきました。
 
これらをもし、1つの脳におさめるとなるとどうなるでしょう?例えばターミーネーターのようなAIに支配される世界が未来にやってくるかというと、一つのAIで処理するには膨大なデータ量になり、判断が遅れるのです。一つの人工知能で男性的な視点と女性的な視点両方を処理するあいだに敵にやられてしまい、行動を起こす前に完全に破壊されてしまうでしょう。

人工知能の未来

これからやってくる未来に、人間と会話ができる、ドラえもんのようなAIが誕生するとすれば3次元的な認識をする男性脳と2次元的な認識をする女性脳を持った2体のドラえもんが必要だと思うのです。
 
現在誕生している対面型のAIやiPhoneのSiriなどはインターネットに接続し、ネット上のデータの中から最適な答えを引き出すシステムが多いです。
 
しかし、これではネット上で答えが見つからない時、質問の仕方によっては相手の質問が正しく理解できなかった時は「よくわかりませんでした」といった答えが返ってきたり、全くとんちんかんな返答が返ってきたりすることは多くの人が経験したことがあるでしょう。
 
現在のAI女性脳の相手の気持ちを「推し測る」という点で遅れをとっているのです。人間であれば、この人は何を知りたいのかを言葉や表情以外にも、呼吸や、ちょっとした間から気持ちを推し測ることができます。
 
AIにも性別があって、それぞれの特性を持ち、男性脳を持ったAI女性脳を持ったAIが互いに手と手を取って立ち向かえば、無敵ではないでしょうか。同じように、この社会も、あるいは組織において、互いの特性を知り、理解することによって、より良い組織を作ることができると思います。

人工知能の未来「10年後」の世界は?

しかし、今はまだほんのその入り口に立ったにすぎません。私たちが夢描いたドラえもんのような、人間の心理を理解し、考え、判断を下し、即座に会話に応答できるAIが誕生するにはまだまだ幾つもの壁を乗り越えなくてはならないでしょう。
 
10年後になくなる職業というのも、とてもセンセーショナルな内容で話題性はありましたが、すべての職業がなくなるとは思いません。少なくともサービスや技術とはある1つの点だけで成り立っているものではないからです。人間の脳はそれだけとても複雑にできているということ。ある部分はAIでカバーできるでしょうが、それでは至らない部分が多くあることお分かりいただけたと思います。
 
これまでのデータの蓄積や計算によるAIでの対応に取って代わっていくでしょう。でも残るものもあると思うのです。例えば、時計の修理工どんなにデジタル化が進んでもアナログな部分は捨てられないのが人間です。そのアナログなアンティーク時計をコレクションしている人もいます。時代は常にアナログ気分とデジタル気分が入り混じっています。
 

▼「アナログ脳」「デジタル脳」について知っておきたい方はこちら▼
 


脳の認識回路『アナログ回路』と『デジタル回路』

 
 

アパレル企画に20年携わった後、マーケティング、行動心理学等の学びを通して聴くこと、書くこと、伝えることに興味を持ち、2015年よりライターとして活動中。インタビューや取材、プロフィールライティングを主にやらせていただいています。ヨットが趣味です。

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