【前編】博報堂を辞めてプロレスラーに。三富政行が語る「好きを仕事にする」ということ。

ニアセ寄稿

異色の経歴をもつプロレスラーの仕事論

はじめまして。三富政行です!(twitterinstagram
 
今回コラムを書かせていただくにあたって、まずは自己紹介から。
 

■年表

1989年

8月東京都世田谷区喜多見に生まれる。
未熟児で生まれ、幼少期は発達も遅く両親に心配される。
その後すくすくと育ち、小学校高学年時には肥満児に。

2003年

夜更かしした深夜に、三沢光晴VS小橋建太をテレビで視聴。人生が変わる。

2008年

中堅の中高一貫校、高校を卒業。6年間プロレス好きな友人には恵まれず。
空手と水泳に勤しむ。空手では東京都ベスト8の成績を修めた。

2009年

一浪の末、慶應義塾大学文学部に入学。
UWF関東学生プロレス連盟の門を叩き、4年間を学生プロレスに捧げる。
リングネームは「潮吹豪」
岡原正幸研究会にて感情社会学、映像社会学、パフォーマンスアートなどを学ぶ。

2013年

広告代理店「博報堂」に就職。
体育会系営業職に配属され、社会の洗礼を受ける。
同時にプロレスへの捨てきれぬ夢がふつふつと…

2013年

会社員と並行してDDTプロレスリング系列「ユニオンプロレス」に参戦。
石川修司戦でプロデビュー。
会社員とプロレスラー、二足の草鞋を履く。

2014年

一年間の会社員生活の後、プロレスへの夢を捨てきれずに「博報堂」を退社。
一足の草鞋になる。

2015年

全日本プロレスなどに定期参戦。
その後、所属していた「ユニオンプロレス」が解散。フリーランスとなる。
自身のプロデュース興行などを定期開催するようになる。

2016年

武藤敬司率いる「WRESTLE-1」にレギュラー参戦。現在も継続参戦中。

 
以降、プロレスラーとしての活動に加え、福山平成大学特別講師や、コラムニストとして執筆活動なども行うようになる。
NESTA-PFTの資格を取得しており、パーソナルトレーナーとしてフィットネスビジネスも展開している。
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今回はこんな偏屈な経歴の自分が、僭越ながら「好きを仕事にする」ということをテーマに、2018年に生きる、プロレスラーとしての仕事論を語らせていただけたらと思います。どうか、お付き合いください。
 

「好き」を仕事にしてみると…

趣味の「好き」と仕事の「好き」は全くの別物。そもそも好きなことを仕事にすると逃げ場がなくなる。会社を辞めてプロレスラーになって5年。一時は一文無しになって路頭に迷ったこともある。
 
そんな苦しい時、「プロレス」は会社員時代のようにストレスのはけ口や逃げ場になってはくれなかった。
 

「好き」を仕事にするためのマインド

仕事で追い詰められて逃げ場がない時、残念ながら選択肢は二つしかない。その仕事を「辞める」か「続ける」か。
 
自分の場合、博報堂を見栄張って(!?)辞めた以上、そして「好き」を仕事にした以上、「仕事としてのプロレス」から逃げたくはなかった。
 
とにかく“続ける”。
意地でも“続ける”。
耐えて堪えて“続ける”。

 
そして5年経った今、その時の選択は正しかったと思える
 
「好き」を仕事にしたならば、真に生き残るのは「“続ける”ことを辞めない人」ということだ。
 
例えばプロレスラーでも、若い頃はブレイクしなかったが30歳半ばを過ぎてから化ける選手には、非常に多くの観客を惹きつける“人間味”がある。
 
才能に溢れて若い頃から活躍した選手以上に、苦労した選手が花咲く瞬間は近くで見ていても感動があるし、またその人にしか出せない色気に溢れている。
 
“続ける”ことを辞めなかった選手の目ヂカラは本当に強いし、リングの上でも何とも言えないオーラに圧倒される。
 
バックステージで発する言葉もとにかく強い。グッとくる。
 
そういった先輩を見ていると、今日も明日も“続ける”ことしか道はないのだとつくづく思う。
 

「好き」と「出来る」の狭間を見つける

いざ「好き」を仕事にしてみると、その世界には本当の天才がいる。一流の中の一流でもある。
試しに、近くで見てきた天才を、二つのパターンに分類してみる。
 
【感覚型天才】
 
映像で見た動きなどをいとも簡単にやってのけてしまう選手。
どんなに複雑な動きも一発で「トレース」する能力を持ち合わせている。
そして、演者としてのオーラや、コメントのチョイスなども群を抜いて秀逸であることが多い。
自身の周りでは、武藤敬司選手や、飯伏幸太選手黒潮イケメン二郎選手などに上記の才能をまざまざと見せつけられている。
もちろん、以下に説明するもう一つのパターンの天才でもあるのだろう。
 
 
【努力型天才】
 
とにかく日々同じルーティンを繰り返し続けられる人のこと。これも一つの天賦の才だと実感している。
あるプロレスラーK選手は、試合の反省を毎試合ノートに綴る。そこに先輩からのアドバイスや、突発的に生まれたアイデアも書き足し、自分というレスラーがどうやって進化していくか、という日記をデビュー以来ずっと書き残している。
ささいなことではあるが、これを年間100試合、何年も何年も続けることはなかなかに難しい。まさに努力の天才である。
 
また、友人のAV男優・しみけんさんは、朝起きてポカリスエットをお湯で割ったものを飲み(※体温以下のものは飲まない)、ブラックコーヒーとアミノ酸を摂取。その後エアロバイクを漕ぎ、撮影現場には毎日決まった内容のヘルシーなお弁当を持参する。
そしてこのルーティンを10年以上続けているというから驚きだ。
 
いずれも、同じことをずっと続けてプロとしての自身の価値を常に磨き続けている良い例である。簡単なようで簡単に出来ることではない。
 
このように、天才や一流と呼ばれる選手を前にした時に、「好き」だけでは乗り越えられないプロとしての壁にぶつかる。
 
それでも続けたい。否、生き残らなければならない。そこで、自分にしかない価値というものを考えるようになる。
 
自分がその世界で「出来る」ことで生き残る。そんな考えにシフトしていくようになる。
 

辿り着いた、「ポジショニングの重要性」

自分がこの世界で「出来る」こと……。
 
思えば、学生時代に打ち込んだ学生プロレスは、根底にあるモチベーションが「世間に届け、負けてたまるか」だった。誰も知らないジャンルを世間に響かせ集客する。その気概は広告の精神に通じていたのかもしれない。
 
クライアントが望む商品のブランディング。広告マンとして必要な精神が、自分の秘めたる才能としてあるということは、何となく実感していた。
 
このマインドををプロレスに生かしたい。そう思い立って考えてみると、プロレス興行をひとつの商品として捉えていけるようになった。
 
プロレス興行のプロデュース。
 
大会の企画から、協力企業とのタイアップ、選手のブッキングから大会の進行、そして自分の試合。ファンの反応を反映した次回の興行への施策、提案。これまで培ってきたキャリアが、業界で生き抜くためのパワーに変わっていった。
 
それから、「マネジメントに注力できる選手」という自分の価値を見出すようになった。自身が選手であることで、選手の気持ちも分かる。そして大会の企画、進行に携わることでスタッフ側の気持ちも分かる。いわばイベントの「中庸」的なポジションを担うことで、業界内での立ち位置を見つけることが出来た。
 
もちろん選手としてキャリアを続けたいがための選択であるし、さらに高みを目指す気持ちは変わらない。しかし、自分がオンリーワンの存在になることによって、常に「需要」がある存在にならなければいけないということは、日々危機感として抱いている。
 
こういった、「ポジショニング」という考え方は、他の業界でも通用することではないだろうか。自分のやりたいことと出来ること、今一度見つめ直し、Re:ポジショニングする。
 
そうすると、本当の意味で、「好き」が仕事になっていく。

編集後記

仕事はお金をもらう手段と割り切って、やりたいことは趣味や副業で実現していく。そんなスマートな人々がもてはやされる世の中で、三富さんの生き方は不器用に映る。でも、それがたまらなくカッコイイのだ。
 
スマートに生きるだけが人生ではない。「好きなこと」に本業として立ち向かうからこそ見えてくるものがあるはず。
 
あなたも心の奥にある「好きなこと」にもう一度光を当ててみてはどうだろうか。
 
全力で戦う三富さんを応援したい方は、小田原アリーナで7/1に開催される下記の大会に足を運んでみてはどうだろう。

7/1は小田原アリーナに来てください!

 

<W-1大会情報>
★2018年7月1日(日)
「WRESTLE-1 TOUR 2018 SYMBOL」神奈川・小田原アリーナ大会
 
★2018年7月18日(水)
「WRESTLE-1 TOUR 2018 SYMBOL」東京・後楽園ホール大会
 
★2018年9月2日(日)
「2018 プロレスLOVE in YOKOHAMA」神奈川・横浜文化体育館大会
 
くわしくはコチラ
 

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後編、公開しました!

1989年8月2日生まれ、東京都出身。慶應義塾大学に在学中、学生プロレスに打ち込み、潮吹豪のリングネームで活躍。卒業後は大手広告代理店・博報堂に就職。プロレスラーになる夢を捨てきれず、1年で退社。2013年ユニオンプロレスに所属し、デビュー。同団体解散後はフリーの道へ。2015年12月より、武藤敬司率いるWRESTLE-1(レッスルワン)に継続参戦。「NESTA-PFT(全米スポーツ&エクササイズ協会認定パーソナルトレーナー)」「福山平成大学 特別講師」等の肩書きも持つ。

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