「EC運営は八百屋だ。」Shopify野郎が語る、新時代を勝ち抜くEC運営

ECトレンド

健康食品を扱うネットショップ「ミウラタクヤ商店」を一人で成長させ、その経験を基に日本第一号のShopify教育パートナーとしても活動される三浦卓也さん。

今回は一人でのEC運営にこだわる背景から、変化の激しい現代を勝ち抜くEC運営まで、詳しく伺いました。

【ご本人プロフィール】

名前:三浦卓也

職業:ミウラタクヤ商店店主/Shopify教育パートナー

SNS:Twitter

人への期待に疲れて始めた一人でのEC運営。徹底した取捨選択で急成長を実現。

―一人でのEC運営を徹底される背景を教えていただけますか。

人と一緒に働くことに疲れてしまったんですよね。(笑) 今僕はミウラタクヤ商店というネットショップを一人で運営していますが、過去に3社で働いた経験があって。いずれの会社でも、組織の中で働くことで大きくパフォーマンスが下がることを痛感していたんです。人って誰しも、程度の差はあれど、他人に期待を寄せてしまうじゃないですか。でもなかなか自分の期待通りの行動なんてしてもらえない訳で、その時はがっかりしますよね。そのストレスが溜まってくると、注意力が散漫になって、前のめりで仕事に取り組むことが出来なくなってしまって…。

加えて、経営的な観点で固定費を上げたくないという理由も大きいです。ECって中々利益を出しにくいビジネスなんです。そんな中で、一人でも雇うと、高額な社会保険料も含めて、月間50万近くの固定費が発生してきてしまう。

人手でカバーしようとすると、利益体質からは遠ざかってしまいますし、同時に人への期待とそれを裏切られた時のストレスがついてきますから。もう割り切って一人でやっていくしかないなと考え、今に至ります。

―とは言え、ECの業務って本当に多岐にわたりますよね。一人でどのように全てをこなしているんですか?

手間をかけるところ、そうでないところの切り分けを徹底して行っています。僕の場合は、とにかく「お客さんに喜んで欲しい」という一心でミウラタクヤ商店をやっていますから、そこから逆算した取捨選択をしていますね。LINEでの接客は特に力を入れていて、毎日4,50件はLINEをしています。とても手間のかかる業務ではありますが、これもお客さんが喜んでくれるためです。反対にそれ以外の部分に関してはどんどん切り捨てたり、効率化を行っています。

実際のお客さんとのやり取り

―具体的にはどんな効率化をされているのでしょうか?

まず、取り扱う商材を変更しました。元々はハンドメイドの雑貨を扱っていたのですが、”ハンドメイド”であるが故に安定的な生産が見込めなかったり、梱包も大変だったりと苦労していたんですよね。そこで、安定的に生産できて、梱包も楽、かつより人の幸せにダイレクトに貢献できる健康食品に商品を切り替えました。

そして、物流はまるっと外注して、加えて時間指定は受け付けないようにしています。受け付けた方が良いのは間違い無いのですが、配送業者が時間指定に対応できなかった際にこちらまで連絡が来てしまって、その対応にまた時間が割かれてしまうので。その結果、お客様と向き合う時間が減るのであれば「ごめんなさい」という気持ちで、配送時間指定なしにしています。

また、ネットショップのトップページは常に最新の状態を保っておきたく、カートシステムはドラッグ&ドロップで簡単に更新できるShopifyを使用しています。外出中のふとした瞬間にスマホで処理を完結できる点でもShopifyは非常にありがたい存在ですね。

―今後さらに面を増やし、売上を上げるという考えはないのでしょうか?

売上を上げる気概はあります。ただ、とんでもない目標を立てて無理やり達成する、みたいな気持ちは全くないです。年輪経営を意識していて、面を広げるよりも、奥行きをまずは追求していきたいです。今いるお客さんとしっかりと関係性を深めていきたいと思っています。その結果、売上が上がったら最高だな、という気持ちでいます。

Shopifyの成長を確信して始めた教育パートナー。その中で見えてきた成長する店舗の共通項。

―三浦さんは日本第一号のshopify教育パートナーとして、セミナーの登壇やコンサルティングをされていますよね。なぜそのような活動をされているんですか。

Shopifyには、まだ僕が国産のASPカートを使っていたころ、さらなる効率性を求める中で出会ったんです。直接HTMLをいじらないとページを変更できないサービスが多い中で、ドラッグ&ドロップで更新できてしまうShopifyに触れたときは衝撃的でした。「これはやばい…! 絶対にビックウェーブが来る!」と感じたんですよね。

そんな中でShopifyの方からセミナー登壇のお声掛けをいただきました。もちろん「やります!」と即答して登壇させていただいたのですが、そのセミナーの反響がとても良かったんです。勢いのあるShopifyで自分の経験や知識が役に立つのならこんな嬉しいことは無いと思って、今後もぜひやらせてください、とお願いした所、教育パートナーの制度を紹介いただいたんです。

三浦さんのShopify教育パートナーのページ

―多くのEC事業者と接する中で見えてくる課題などはありますか?

僕の支援する、0→1フェーズのECを一人で担当されている方々は、集客面で課題を抱えていて、売上が立っていないというケースが非常に多いですね。まず集客施策として思い浮かぶのはGoogleショッピング広告やfacebook広告などですが、そういった基本的な知識を持っていなかったり、SNSを活用できなかったりする方が多い印象です。SNSに関しては「発信ツール」という認識が未だに根強いです。SNS上であっても本質は人と人とのコミュニケーションですから、まずは積極的に絡みに行くことを推奨しています。

―伸びているネットショップの共通点などはあるのでしょうか?

成果がついてくるかどうかは、担当者に依存する部分が大きいです。集客のノウハウを持っている方はやはり売上の立ち上がりが早いと感じます。加えて、担当者が前のめりで自発的な行動が起こせるかどうかは非常に大きなポイントですね。

「こういうことやって、こう考えたんですけどどう思います?」って聞いてくる人と「これやりたいんですけど、どう思います?」と聞いてくる人だと断然前者の方が売れていくようになります。試行回数が全然違ってきますから。

EC業界は変化が激しい業界です。便利な新しい手法もどんどん出てきますから、自分でアンテナを張って、飛びついて、ガリガリ手を動かせる人が店舗を成長させていきます。

Shopify一つにしても触りまくらないとサービスの理解はできませんしね。

教育パートナーとしてのセミナー登壇

変化の激しいEC業界。その中で勝ち抜くためのEC運営とは。

―EC業界は変化が激しいということですが、これから先はどのような企業が生き残っていくのでしょうか?

まず、資本を潤沢に持つ企業は生き残るのでしょう。今後はそこに加えて、お客さんと関係性を深め、コミュニティを上手く形成できる企業が生き残っていくのではないかと考えています。

というのも、人ってもうスペックではなくて、共感でモノを買うことが増えてきているじゃないですか。なのでお店側は共感を生むための仕掛けを用意しなきゃいけない訳です。そのための手段はいくつもありますが、重要なひとつの要素として「コミュニティ」があります。人は何らかのコミュニティに属しているとき、そのコミュニティに対して、強い共感を抱きやすいからです。そんな中で、SNSが発達・浸透して、オンラインでもお客さんとの関係性を構築して、その輪を広げていくことの難易度がどんどん下がってきているんです。ここに手を付けない選択肢はないですよね。

―お客さんとのコミュニケーションが肝になってくるんですね。

そうですね。ECってなんだかスマートなビジネスみたいに昇華されがちです。でも僕は「八百屋さん」のようなあり方が最強だと思っているんですよね。

自分で声を張って、お客さんを呼び込んでくる。お客さんと仲良くなって、お悩み相談にも乗る。時には井戸端会議の会場にもなる。

そんな風にコミュニティを作っていけるお店が生き残っていくんだと思います。お店の中の人の人間性が本質的に問われているとも言えるかもしれませんね。

ポップアップストアを出すことも

―三浦さんの今後の展望を教えてください。

 これからも自分の仕事を通して誰かのためになることをしたいと思っています。今取り組んでいるミウラタクヤ商店でも、Shopify教育パートナーでも、今あるご縁を大切にしつつ、少しずつ広げていきたいです。

 それぞれの理想像でいうと、ミウラタクヤ商店は「ダイエットに詳しい近所のお兄さん」。Shopify教育パートナーでは「町の電気屋さん」みたいな。そんな風に周りの方との関係性を大切にしつつ、徐々に規模を大きくしていくことができたら良いなと思っています。

Hameeの2年目社員。
ネクストエンジンを世に広めるべく奮闘中!
最近実家の猫に会いたくて震えている。

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