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ホーム > EC  > マーケティング戦略を考える|脳科学にみる年齢層ターゲティング

 
年をとると脳は衰えていくばかりと思っていませんか?実はそんなことはありません。実は人間の脳の出力値が最大になるのは56歳とも言われています。
 
そして、その後も脳は生きている限り成長を続けていくのです。超高齢化社会が進んでいくこれからの日本において、シルバービジネスも注目されていますが、それぞれの年代によってモノを買う、という行動を起こす時の判断基準には傾向があります。
 
今回は年齢層別脳は何をどのように考えて購買行動を起こすのかについてお話しします。

マーケティング戦略の参考になる年齢層の違い

若い人たちの方が記憶力が良い、というのは一般的に知られた事実です。若い頃の脳はとにかく新しいものを吸収しようとするので、記憶力という点だけを見れば確かに歳を取った脳より良いと言えます。しかし、それは記憶力が落ちるのは脳の衰えとイコールではありません。
 
30代にさしかかる頃、脳の伝達回路はそれまでの経験から優先順位がつけられるようになるのです。その結果、失敗に使われた回路には信号が行きにくくなり、成功に使われた回路には信号がよく行くようになります。そのようにして、脳はとっさに正解を出せるようになり、失敗することも少なくなっていきます。
 
40代以降は新しいものを覚えるという能力は次第に低下していきますが、代わりに正解をすぐに判断できる、本質を見抜く連想記憶力が強くなり、出力性能を活発にしていくのです。この出力性能が最大値に達するのが56歳頃と言われていて、物事の本質や、人の資質を見抜いたり、トラブルに対する対応力や事業戦略力なども磨かれていくのです。

マーケティング戦略を決める年齢層ターゲティング

それゆえ各年代によってモノを買うときにどのように判断するかが変わってくるとも言えます。もちろん個人差もありますし、好みの違いなどもあるのでこの年代は、と一括りにできるほど単純ではありません。
 
しかし、人間の脳は成長を続けるので、その年齢の脳はどのような状態にあってどのような考え方をするのか、傾向を示すことはできます。そして、そのことを知っているのといないのでは、見込み客やターゲットに対するアプローチも変わってくることもあるのです。
 
 
 

 

マーケティング戦略×ターゲティング|10代後半〜20代の市場

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10代後半〜20代の人たちの脳はたくさんの情報を素早く吸収して長くキープする力に長けています。この頃にどれだけたくさんの情報を取り込んだかは、人生において世の中の事象を読み解く基礎力につながります。
 
この世代をターゲットとするには、低価格で、次から次へとどんどん新しい商品が登場するスタイルがお勧めです。彼らは新しい情報を取り込もうとするので、どんどん浮気するし、飽きやすいし、新しいものへと目が移っていくからです。
 
ただし、なんの軸もないのはダメです。良くも悪くもこの頃に得たイメージは大きくなっても影響します。ですので一貫性のあるブランドイメージを刷り込むことが必要です。
 
例えばユニクロ。ファストファッションとしてサイズ展開や色展開も豊富で毎シーズン新しいコラボ商品などの企画もする。比較的安価ではあるがシーズン限定商品などでユーザーは価値観を見いだすこともできるのです。

マーケティング戦略×ターゲティング|30代の市場

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30歳前後になると知識を詰め込む、単純記憶力のピークは過ぎていきます。ただひたすら行っていた情報収集を止める代わりに、脳は社会における自分の立ち位置を見定めるようになるのです。
 
孔子の言葉に「吾十有五而志於学。三十而立」(吾れ、十有五にして学を志す。三十にして立つ。)とあるように、社会的な自我が立つようになってくるのがこの時期で、等身大より少し高めに自分を底上げして見せる傾向があります。
 
そして30代は今までに得てきた知識をもとに、世の中を見通せる視点というものが持てるようになるけれども、優先順位を即座につけるだけの経験がまだない年頃と言われています。たくさんの選択肢が浮かぶし、選ぶのにもどれが正解なのかわからずに迷う。そして選んだ後は、果たしてこの選択が最良であったのか迷うのです。
 
この年齢層をターゲットにするのであれば、商品を体系化することが重要になってきます。ライバル会社や、商品との差別化を明確にして自社と競合の位置関係をしっかりとつけることです。と同時に自社商品をはっきりと伝えるネーミングやメディア戦略を意識するべきです。他社とはここが違う!ということをあくまでもソフトにさりげなく表現をしていくことで商品認知と好感度を上げることができます。

マーケティング戦略×ターゲティング|40代の市場

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40歳前後になってくると現れてくるのが物忘れ。しかし、これは冒頭に述べたように、脳の衰えや老化と単純に片付けるものではありません。
 
世の中を知るためにがむしゃらに詰め込んできた単純記憶力のために使っていた脳の機能を本質を見抜く連想記憶力へとシフトするために、必要とみなされないデータをどんどん消去していくのです。ですから物忘れは老化ではなく、進化の過程なのです。情報が整理されていくことで30代の迷いというものが徐々に消えていく年頃です。
 
40代は30代から50代への移行時期です。ですので40代はどちらの要素も合わせ持つ、ちょっと複雑な年代です。50代の脳の特徴については後ほどまた述べますが、簡単に言うと迷いがなくなり、無駄がなくなります。
 
40代へのアプローチのキーワードは「一点豪華主義」。全体的にはリーズナブルでも、自分がちょっとだけ気分よくなれるもの、こだわりを持つ傾向にあります。
 
例えば、靴だけはこのブランドと決めている、とかワインだけはちょっとうるさい、など。本質を見据える世代への前段階として、ちょっとしたこだわりを持つようになる人が多いのです。この世代に響くキーワードは、上質・憧れ、といった50代へ向かうこだわりの言葉や、大人カワイイ・フレンチシック、といったある特定のテイストや雰囲気を持つもの。
 
この年代への商品やサービスの訴求はこだわりの商品にターゲットを絞り込んで、その本質的な良さやこだわりについてをアピールすると良いでしょう。

マーケティング戦略×ターゲティング|50代の市場

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50代以降の脳は言ってみれば、「10のうち2しか見えない脳」です。しかし、その2つは人生において本当に必要なもの、上質なものです。
 
これまでの経験から脳は物事の本質を見逃さないで、無駄な行動もしない。そして、迷いというものがなくなっていくのです。その一方で一旦勘違いをすると激しく思い込んでしまうこともあり、頑固な一面も持ち合わせるようになります。そして危ういことは本能的に避けるようにな守りに入りがちです。
 
見えるものは少なくても本質的に大事なものを外さない50代以降の人の脳は「良いモノを適正な価格で買いたい」という思いが強いのです。
 
そして、一度そのお眼鏡に叶えば、あまり浮気もしない、長く愛用してくれるというありがたい市場でもあります。長持ちしない安価なものや、めまぐるしく変わる季節商品などを連発することには不安を感じる傾向があるので、この年代の人たちにモノを購入してもらうには、本質的な商品を、適正な価格で販売することが重要です。
 
そして、その本質をわかりやすく、直球的な表現で伝えることが大事です。さらに今まで利用していたものから新しいものへの一歩を踏み出す、つまり守りからの脱却を促すために、ここは焦らずゆっくりと時間をかけた変化を仕掛けるのがポイントです。
 
例えば、化粧品などであれば、試供品やお試しセットなどを実際に使ってもらって良さを実感してもらうのも一つの方法です。いきなり今まで使っていたものから変えるというのはこの年代には難しいことだからです。

マーケティング戦略×ターゲティング|

このように、年代によって、脳は変化をしていきます。ターゲットとなる年代層がはっきりとしていれば、その年代に対して今回の傾向を参考にしてアプローチしてみてください。より、その商品やサービスがターゲットに届くものとなるでしょうし、場合によってはターゲットを変えるヒントになるかもしれません。
 
また、この脳の年齢差を知ることはコミュニケーションにも役立ちます。30代前後の人には少しだけハードルの高い目標に積極的にチャレンジする環境を作る、50代以降の人材を活用するには、勘違いを起こさないように丁寧に情報伝達をするなど、ちょっと接し方を変えるだけで思わぬ能力を発揮することもあるのです。
 
 

この記事を書いた人

アパレル企画に20年携わった後、マーケティング、行動心理学等の学びを通して聴くこと、書くこと、伝えることに興味を持ち、2015年よりライターとして活動中。インタビューや取材、プロフィールライティングを主にやらせていただいています。ヨットが趣味です。

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