商品コード、JANコード、ロットナンバー。一つ商品を扱うだけでも、そこには様々な役割をもった番号たちが絡んできます。
「似たような番号がたくさんあってよく分からない」「そもそも何に使うの?」今回は、そんな疑問をもつ新任ネットショップ担当や、ECを始めたい方に向けて、代表的な3つの番号の違いや必要性について解説します。
商品コード
商品コードとは、それぞれの商品の名前に当たるものです。ほとんどの場合、英数字や記号を組み合わせて作ります。
社内の商品管理を効率化するために事業者がつける管理番号であると同時に、モールやカートシステムを使ってネットショップを立ち上げる際には必須のものです。
新商品を登録する際はもちろん、棚卸や検品、受注システムを導入している方は在庫の引き当てや管理など、EC事業者であれば誰もが日常的に利用することになります。
「商品の名前なら、商品名と一緒じゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
どちらも売る側=今回でいうとEC事業者側が決められる点では同じですが、商品名と大きく違う点は、使う文字とその可変性です。分かりやすく例をあげてみましょう。
商品名「くまのぬいぐるみ 茶色」
「くまのぬいぐるみ 赤白色」
「くまのぬいぐるみ 茶色の大きいサイズ」
商品コード:kuma-brown
:kuma-redwhite
:kuma-brown-big
どちらも「商品の名前」に当たるものではありますが、「誰のために」つけるかが異なります。
商品名は購入者のために分かりやすく、端的に商品の概要を示すものです。よってセール時には「【10%off】くまのぬいぐるみ 茶色」になるなど、状況によって購入者に刺さるよう適宜変更されるので、管理には適しません。
対して商品コードは、売る側である事業者のために存在するので、管理しやすい形で商品を特定するためにつけられます。よって理由がない限り、変更されることはありません。
もちろん、どのような文字列が管理しやすいかは事業者によって異なります。上記の例のようにぱっと見て分かる商品コードにする方もいれば、ただの数字の羅列にする方もいるでしょう。販売、取引先、実店舗との連携など、様々な要素を考えた上で最も管理しやすい形で商品コードをつけましょう。
商品コードは、モール・カートシステムによってその名称が違うのも厄介なポイントです。例えばAmazonでは「出品者SKU」、Yahoo!ショッピングでは「商品コード」、楽天市場では「商品番号」とそれぞれ違う名前で呼ばれますが、どれも同じ「商品コード」を指しています。
また商品コードと混同されやすい概念として「型番」がありますが、両者には明確な違いがあります。「商品コード」は売る側(EC事業者)が独自に決められるのに対して、「型番」は商品を卸すメーカー側が決めるというものです。ただ商品管理の都合上、型番をそのまま商品コードとして使う事業者もいるので、社内でどのように使い分けられているかは注意が必要です。
JANコード
【GTINジーティン( JANジャンコード )とは】
GTIN(Global Trade Item Number)は、「どの事業者の、どの商品か」を表す国際標準の商品識別コードです。日本国内においては、JANコード(Japanese Article Number)とも呼ばれています。
引用:https://www.dsri.jp/jan/about_jan.html
JANコードとは「どの国の・どの事業者の・どの商品か」を数字で組み合わせて表した、主に実店舗で使われる商品の識別番号です。
通常は、商品のパッケージ裏によく付いているバーコードに変換されます。JANコードの数字を、さらに一定の法則に従って縞々模様に置き換えたものを、店員さんたちは「ピッ」として「どの商品がいくつ売れたか」を管理しているわけですね。
商品コードと異なるのは、JANコードは国際基準のコードであるため、EC事業者が勝手に決められるものではないという点です。「どの国の」「どの事業者の」までは、GS1 Japan(流通システム開発センター)から貸与された数字を使って表します。
後半の「どの商品」を表す部分は販売者が設定できますが、桁数は決められています。また使えるのは半角数字のみであること、全体の文字数(桁数)が決まっていることなども、商品コードと異なる点です。
しかし逆に言えば国際基準、つまり全世界共通のコードなので、複数の取引先とやり取りをするのにもってこいなシステムです。また商品コードと同じように、検品や棚卸し、在庫管理の効率化にも役立ちます。また実店舗も持つ方であれば、JANコードをそのまま商品コードにするのも、複数店舗の在庫管理を考えると良いかもしれません。
ロットナンバー
ロットナンバーとは、製造年月日や製造工場を特定するために商品に付与される番号です。主に製造業界で使われる言葉なので、業務でメーカーとやり取りする事業者さんはよく聞くかもしれません。
ちなみにロットとは、メーカーが一度に生産する商品量、生産単位のことです。イメージしやすい例をあげると、鉛筆などでよく使われる「ダース」。「鉛筆1ダース」といったら、鉛筆12本のことですよね。この鉛筆の1ロット=12、ということになります。このような1ロットの具体的な数は企業ごとに決められるため、決まった量は存在しません。
ではロットナンバーは何に使われるのでしょうか。
最も代表的な必要性としては、不良品の特定です。
例えば、新型コロナウイルスのワクチンで異物混入のニュースがありましたね。あの時に何百万本という膨大なワクチンの中から「いつどこで誰に打ったワクチンに異物混入の可能性があるのか」をすぐに特定できたのは、ワクチンをロットナンバーで管理していたからです。
このように、ロットナンバーがあれば不良品が発生した時も、「どの工場でいつ作られたもの」という印を付けておけば、消費者側で該当するのかを確認できる仕組みになっています。その他運用次第では、工程管理の効率化、コスト削減などにも役立つのがロットナンバーです。
まとめ
商品コード、(ついでに少し出てきた型番)、JANコード、ロットナンバーの違いをまとめると、この表のようになります。
似た概念ではありますが、設定者や用途、特徴などに明確な違いがあることがわかります。
今回はEC担当者に必須の基本的な概念のみを解説しましたが、業務範囲や運用によってはさらに多くの値を使いこなすことになるでしょう。それぞれを正しく理解して、EC業務の効率化を進めましょう!
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